ガレとジャポニズム展 [展覧会(絵以外)]
サントリー美術館に「ガレとジャポニズム」展を見に行った。
ガレはフランスのアール・ヌーヴォー期を代表するガラス器、陶芸、工芸作家。
2006年夏のBunkamuraの「ガレ展」(そのときの記事はこちら)は、ロシア皇帝への
献上品をエルミタージュ美術館から借りてきたものをはじめ、ため息の出る
美しい高級品がずらっと並んでいた。
今回は、ジャポニズムという主題で、日本美術からの影響を探る展覧会。
今の季節に使ってみたいガラス器
形もおもしろいけれど、「蓮に蛙」という作品名どおり、蓮のつぼみと蛙が描かれている。
この蓮や蛙は、日本の「北斎漫画」からヒントを得た、ということで、北斎漫画も展示してあった。
「なんだ、マネしてるだけじゃない。そっくり!」と隣で見ていた2人連れが言っていた。
北斎の「鯉」の絵も展示されていて、これによく似た鯉が描かれた花器もあった。
蛙や鯉が花器のモチーフに使われることなど、フランスの感覚からしたらあり得なかったのだが、
北斎や広重の筆での動物や魚たちは、ガレの目に、新鮮に写ったのだろう。
備前焼の「獅子頭の火入れ」をヒントに制作したガラス器、伊万里に似た鳩の形の陶器、
竹の花器を陶器で表現した植え込み鉢など、日本製品にヒントを得たものを見れる。
これは、1989年のパリ万博で発表された黒色ガラスの瓶。
中央でコウモリが羽を広げている図柄。
この頃になると、日本の図柄の単なる真似ではなく、ガレ特有の表現になってくる。
2007年夏に行った伊豆のガラス工芸美術館で、ガレは、ナンシーに滞在した日本人、
高島北海と親交があり、北海からも影響をうけたことを知った。
今回の展覧会でも北海が取り上げられていた。
ジャポニズムに傾倒していたガレは、日本の壷にも似た形の壷を制作。
グレーの不透明なガラスとマットな半透明のガラスの間にプラチナ箔を入れて、東洋陶器の
風合を出している。枯葉の図柄で、もののあはれ を表し、
「過ぎ去りし苦しみの葉」というメーテルリンクの抒情詩からとったタイトルをつけている。
「氷の花」。私はこれが一番好き。
素地ガラスの上に、コニャックのような色(琥珀色)のガラス、さらにプラチナ箔を
かけてあるので輝きがある。ガラス製の白い花をのせ立体的になっている。
のせる花が、濃いピンクのカトレアの作品もあったが、暑苦しく感じた。
これが最後に飾ってある目玉作品。「蜻蛉」。
大理石の輝きを持つマーブルガラス。中央にかなり大きな蜻蛉。ガレの最後の作品。
サントリー美術館のある六本木の東京ミッドタウンにはいろいろなお店がはいっている。
「トシ・ヨロイヅカ」のケーキは人気で、いつも行列だが、この日は雨で、「買う人」という看板の前に
傘をさして待っている人が3人だけ。チャンス!
「本日のティールームの予約は締め切りました」との看板が横に見える。
列の後につくと、「お客様、お一人でいらっしゃいますか?6時の予約のお客様が
お見えにならないので、カウンター席がひとつあいていますが。。」 わ、ラッキー。
「フランボワーズのチーズケーキ」と、紅茶。ポットで来たので、2杯飲めた。
金曜日、5時に仕事を終えて、まず、ここでお茶。ほっとするひととき。
美術館は水~金曜は8時までなので、この後、行ったのだった。
はじめまして。
アール・ヌーボーの特にガレのガラス大好きです。繊細で幻想的ーそして、植物や昆虫などの自然にこだわったテーマ選びなどに惹かれます。
by ルビー (2008-05-05 22:30)
ルビーさん、はじめまして。
私もガレが好きです。この展覧会、もうすぐ会期が終わるので、あわてて駆けつけました。作品の制作年代順に展示してあったので、作風がどういうふうに変化していったのか理解できるいい展覧会でした。
<繊細で幻想的ーそして、植物や昆虫などの自然にこだわったテーマ選び>→そのとおりですね!
by TaekoLovesParis (2008-05-06 00:02)
北斎漫画を読みましたというか見ましたが動植物、人、当時の様子を筆一本で描いているような図案集のような側面を持っているので蛙なんかはそのままいただいちゃったんでしょうね。
今なら問題でしょうが尊敬の念をもって賛辞の気持ちをこめていると受け取りますね。
現在でもいきなり「ホクサイ、スキデス」なんて話し掛けてくる人もいるから北斎人気根強いです。
by いっぷく (2008-05-06 06:48)
蛙はその頃パリでは珍しかったのかな?
絵の題材にならなかっただけか?
この頃この近くでも蛙は減りました。農薬のせいでメダカとともにいなくなりました。
蛙がいなくなると→蛇もいなくなりました。埼玉県では『絶滅の恐れのある種』にアオダイショウを選定したそうです。道を歩いていて蛇に出会う?ことはここ数年ありません。
次にいなくなるのは?
by とらion (2008-05-06 08:51)
いっぷくさん、以前に私がボストン美術館の浮世絵展で北斎を見たと、記事にしたとき、いっぷくさんが、「僕は北斎漫画が好きです」と、コメントしてくださったのを覚えています。
私も今回初めて本物を見ました。墨でさっと描かれているけれど、実に達者で名人芸ですね。江戸時代は小さい時から、絵師に弟子入りして描いていたから、描き慣れるんでしょうね。
ガレは生涯、北斎の真似だったわけでなく、この模写を出発点に、東洋的図柄に被せガラスの自分技法を融合させ、オリジナルを制作していったことが、この展覧会でよくわかります。
by TaekoLovesParis (2008-05-06 09:25)
とらionさん、当時、蛙はいたけれど、図案として使う考えがなかったようです。ガレが一番多く用いたのは、一番最後の作品にもあるように蜻蛉(とんぼ)ですが、これも絵の題材としては当時は驚きだったようです。
蛙、蛇は、環境の変化でいなくなるんですね。私が前に住んでいた都心の家は、古くからの池や木々に囲まれた大きな公園のそばだったせいか、
蛙が庭にうじゃうじゃいて、よけて歩く状態。今でも変わらずだそうですが、
きっと、公園がなくなったら、、、。
北斎の花鳥図も一枚展示されていたのですが、「かわせみ、あやめ、なでしこ」で、あやめがとらionさんの絵を思い出させるものでした。機会があったら、ごらんになってください。
by TaekoLovesParis (2008-05-06 10:00)
確かに北斎あたりをそのまんま「真似してるだけじゃない!」、って云いたくなる様な作品がたくさんありましたね(笑)。でも、日本の陶芸の世界でも名品の“習い”は修行過程として珍しいことじゃないことじゃないそうなので、僕は気にせず楽しめちゃいましたよ。むしろ、ガレがこんなにも日本文化を愛してくれていたんだ、と今更ながらに感じて、嬉しく思いました。
「蛙に蓮」の器には、何を盛ったら似合いますかね~。ジュンサイなんか入れたら、それこそ池みたいで面白いかな~と思うけど、野菜ギライのtaekoさんがそんなもん入れるワケがない?(笑)。
by yk2 (2008-05-06 10:21)
>マネしてるだけじゃん
草葉の陰でガレも苦笑いですね。
by katsura (2008-05-06 12:49)
ガレは本当に日本を愛してくれてたんだなとわかる作品達ですね。
しか~し、この記事で一番目を引いたのは最後!
「フランボワーズのチーズケーキ」めちゃくちゃおいしそうです♪
最近では少し下火ですが、ケーキ以外のことが何かと目立つあの「ヨロイヅカ」さんのお店なんですね。
ヨロイヅカケーキにガレと充実の週末でしたね。
by かよりん (2008-05-06 14:20)
ガレの作品が私は大・大・大好きです!!
知らなかった~!!私としたことが!!出遅れとは!
来週にでもサントリー美術館にGo!したいです。
でももうすぐ終わりだったのね・・・いけるかな・・。
by 範子29 (2008-05-06 15:28)
nice&コメントありがとうございます!
▲yk2さん、yk2さんもこの展覧会、いらしたんですよね。
ぜひ、記事になさってください。
たしかに、陶芸は職人技だから、真似してうまくなっていくんですよね。
会場には、尾形乾山の松ノ木の模様の染付け茶碗とか、宮川香山の
蟹の付いた鉢など、日本の名品もありましたね。思わぬものが見れて
うれしかったです。そういえば、サントリーはお茶道具のいいものを持って
いるんでしたね。
<「蛙に蓮」の器には、何を盛ったら似合いますかね~>
→私は、そら豆を入れます。緑がきっときれいに映えるでしょう。
私にとって、野菜は見て楽しむものなので。。
▲katsuraさん、<草葉の陰で、、>
→ウィットの利いたコメントで、さすが!
▲かよりん、あまりの行列にいつも断念していたヨロイヅカだったので、
食べれてうれしかったです。その場で作ってくれるデザートもあるのですが、私はケーキが食べたかったので。
▲範子ちゃん、ガレがお好きだったのね。これ、わかりやすくて、いい展覧会でしたよ。期待を裏切らないと思います。
by TaekoLovesParis (2008-05-06 21:57)
蛙、苦手なんですけど、デザインとなると、手足の動きが
ユーモラスで楽しいですね。
by miku (2008-05-06 23:31)
以前住んでた地で、近所のミュージアムに、たくさんガレの作品があって、
キレイだなぁ・・・と何気なく見てました。
その当時は、ガレという人がどんな人かも知らなくって。
もったいない・・・。
「蓮に蛙」の器に、バラバラにしたザクロの実を入れたら・・・
ちょっと卵っぽくって、怖い感じかな・・・。
叶匠寿庵のゼリー、花甘露なんか、いいかも♪
by Inatimy (2008-05-07 07:06)
「水の花」琥珀の色合いと白いカトレア(?)優美ですてきです。
わたしもどうも蛙・蜻蛉系が苦手ですが、やはり他ではとりあげられてない題材なのですね。彼らと食べ物が一緒に目に入ってくるのは・・・ダメだわ(笑)ただ、西洋の洋館にはとても合うと思います。
鎧塚さんところに入れたのは、すごいラッキーね。入ろうかなと思うと、たいがい一時間半まち、なんですもの。お味は、いかがでした?
by pistacci (2008-05-07 08:31)
Taekoさんこんにちは。
「水の花」、きれいですね。
以前訪れたジュエリーの展覧会で、
蛙やトンボなどをあしらったものに
たくさんであって、驚きました。
先週散歩していたら、
小さな蛙に出会ったのを思い出しました。
ケーキもおいしそう♪
良い時間ですね。
by 琉那 (2008-05-07 15:06)
こんばんは。
今日、大阪のサントリーミュージアムの「マリー・ローランサン展」へ
行ってきました。そしたら、「ガレとジャポニズム展」のチラシが置いてありました。これもいい展覧会のようですね。Taekoさんの解説を読むと、ぜひ行きたくなりました。この頃は、Taekoさんのお蔭でいい美術展にたくさん行くことができ、嬉しく思っております。
東京ミッドタウンもぜひ行きたいです☆
by coco030705 (2008-05-07 22:04)
ロートレック展に行ったとき、次回のこの案内を見て興味があったのです。
日本の影響って思っていた以上に大きかったみたいですね。
by バニラ (2008-05-07 22:12)
わぁ、ステキですね。
ジャポニズムがメインだなんて、行きそびれていましたが急いで行かなくっちゃ!!
しかも北斎漫画まで展示してあるなんて、ね。
過去記事も改めて拝見しました。
伊豆の美術館にも行ってみたいなぁ・・・♪
by てんとうむし (2008-05-07 23:30)
nice&コメントありがとうございました
▲mikuさん、ユーモアのあるものがお好きだから、、ってブログで写真を
拝見しているので、だんだん好きそうなものがわかってきました(独断だけど)
▲Inatimyさん、ガレを知らなくても、キレイだな、と思えるってやっぱり、
作品がすばらしいんですよね。私も、見て、いいな!と思って、誰の作品かな?と思うことが多いです。
ザクロはちょっと、、、(笑)。そういうまずいものを先に思いついちゃうなんて、お茶目ですね~。和風に叶匠寿庵ですね。この器に大きさも手ごろだと思います。
▲pistaさん、<「水の花」琥珀の色合いと白いカトレア(?)優美ですてきです>→そう、優美っていう言葉がぴったり!琥珀色のせいで重厚感もあるでしょ。
家具に、たとえば椅子の背もたれに蛙がついていたら、ぞっとしますよね。家具は植物模様に限りますね。
▲Lunaさん、そういえばジュエリーのトンボ、私も見たことがあります。でも蛙のはどんなだろう。。小さい青蛙はかわいいけど、大きくな雨蛙は苦手
です。ケーキでお茶してから美術館って最高の時間のすごし方でした。
by TaekoLovesParis (2008-05-08 00:12)
nice&コメントありがとうございました
▲Cocoさん、東京のガレ展の会場に、大阪の「ローランサン展」のポスターが貼ってありました。きっと東京にも、と思って今、調べたら、ないんです。。
昔、ローランサンの「帽子の少女」が好きで、デパートでじっと見ていたら、
「割り引きしますからいかがですか」と言われ、割引という言葉に弱かった(過去形、、たくさんの失敗で最近は少し成長しました)買って飾っていました。
六本木ヒルズはちょっと気取っていますが、ミッドタウンの方が庶民的で
買いやすいです。食べ物を売っているお店が多いですしー。
Cocoさんのお好きなリッツ・カールトンがミッドタウンの奥にできました。
▲バニラさん、ガレのお父さんもガラス職人だったのですが、お父さんの代から、日本のものに関心があったんだそうです。だから、ガレも自然に日本に関心をもつようになった、と説明が書いてありました。
▲てんちゃん、鳥獣戯画はてんちゃんの記事を見て、終り近くに見に行って
、なかなかいい展覧会でした。ファイルを買って、パリの友達にあげたら、日本っぽいので喜んでいました。
伊豆は夏がいいですよ。でもペンションじゃなくて、オーベルジュに泊まらないと、、て、てんちゃんに言われたんだったわね。
by TaekoLovesParis (2008-05-08 00:41)
pistaさんに、追加。
ケーキはおいしかったけど、感動するほどではありませんでした。ティールームの雰囲気はいいですよ。私がたのんだお茶とケーキで1180円。
じゃ、感動するケーキは?私はサダハル・アオキでした。どこに持っていっても喜ばれています。
by TaekoLovesParis (2008-05-08 00:44)
Taekoさん、貴重な(笑)情報ありがとう!意外とリーズナブルなのね。
ミッド・タウンでは、行列を横目に地下のル・コントでお茶してフルーツケーキ♪買ってきてました☆いつか、並ばないですむときにはいってみることにします。
サダハル・アオキ、私も好き♡日比谷のほうが落ち着いてる気がします。
by pistacci (2008-05-08 10:05)
ナンシーのマジョーレ邸に行ったとき、私たちが日本人だと知ると、ガイドの人が北海の名をさかんに出して説明してくれましたが、私も母も全く知らず(恥)…こんな作品を作る人なのですね。
by aia (2008-05-09 19:24)
aiaさん、よっこ(敬称略)といっしょに行ったナンシーの記事、覚えていますよ。いいな~~~と思って読みました。私はナンシー美術館をはじめ、
ナンシーの観光名所は全部お休みの水曜日に行ったので、全部外から
覗いただけ。庭とアールヌーボーもようのガラス窓しか見えなかった。。
マジョーレ邸にも行ってみたいです。
もっとナンシーでの北海のことを知りたいと思って、高樹のぶ子の「HOKKAI」を買って読んだのですが、私にはがっかりでした。
by TaekoLovesParis (2008-05-10 01:11)
面白かったです。
今日見てきました。
人人人でいっぱいでした。先日の連休を思い出させる賑わいでした。
蛙に蛇に蝶それに蜻蛉やお玉もいましたね。その他いろいろな昆虫がいました。蛾がいたのにも驚きました。
バッタの器が面白かったな?まるでバッタ怪獣でした。
その中で私が一番興味深かったのは瓢箪に蛇とツルが巻きついた器です。
というのは何年か前に自宅庭に大瓢箪を植えて作りましたが、いまだストックになっています。それでなんとか作品にしたいと思っていたので
良いヒントになりました。
by とらion (2008-05-10 19:59)
ガレ、人気ありますよね♪
ほぼ毎年のように企画展が開催されているように思います。
ガレの器でケーキが出てきたら、美味しさ5割増かも~(^_^)/
作品を傷つけないようプレッシャーは5倍増!?(^_-)
by りゅう (2008-05-11 13:16)
とらionさん、いらしたのですね!
やっぱり最終日となると、混むんですね。私が行ったときは、金曜の夜だったので、すいていました。
今回、模様に使われているので、一番多かったのは、蜻蛉でしょうね。
バッタ、有田焼ふうにきれいな色の模様がついていたぶんですね。
何に使うのだろう、花器?としばし考えました。形がバッタですものね。怪獣、ほんと、そうですよね(笑)
瓢箪がとらionさんの絵ごころにぴんときましたか。いつか見せていただけるのを楽しみにしています。
by TaekoLovesParis (2008-05-13 00:56)