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マホメット2世 [オペラ、コンサート、バレエ]

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 ロッシーニ・オペラ・フェスティバル日本公演を見に行った。
会場は渋谷の東急、オーチャードホール。オペラ劇場ではないので、舞台が少し狭い。

 私が見た演目は「マホメット2世」。
歴史ものなので、舞台は絢爛豪華。衣装も美しい。

 15世紀、ヴェネツィアの植民地モンテネグロは、世界制覇をめざすマホメット2世率いる
オスマントルコ軍に攻め込まれた。総督と重臣ガルボは捕えられ、マホメット2世の前に
突き出される。「父を助けてください」と願い出た総督の娘アンナは、マホメット2世を見て驚く。
突然姿を消した恋人ウンベルトだったのだ。マホメットは身分を隠して敵地に住み、ウンベルト
と名乗っていたのだった。
マホメットの屋敷に連行され、妃となるよう説得されるアンナだったが、父を、祖国を、
宗教を捨てるわけにはいかず。。。

mahometto.JPG

 

mahometto2.JPG

 日本初上演なので、聴いたことのあるアリアがないが、アンナ役のソプラノが豊かな
声量と表現力でみごとだった。
 父親がテノール、部下が男なのにメゾソプラノ、マホメットがバスという振り分けに
最初違和感があったが、重唱をきいていて、これでいいのだと思った。

 プラハ室内合唱団の合唱も上手で、オペラの質を高めていた。

 ヴェネツィアはイタリアなので、カソリックのキリスト教。マホメットのトルコはイスラム教。
オスマントルコがヴェネツィアに攻め入る場面では、兵士が大きな十字架に縄をつけて
引きずり倒し踏みつけることで、勝利を表していた。これを見て、数年前のイラクで、
民衆がフセインの像に縄をつけ倒していたのを思い出した。時の権力者を倒す時の
伝統的方法?と思った。

 歌のうまさ、演技のすばらしさ、演出、舞台装置、衣裳、すべてが一級品だった。
アリアの長いところでは、寝そうになってしまったけど。。

 ☆ ロッシーニと、オペラ・フェスティバルに関しては、もうひとつの演目「オテッロ」を
ご覧になったdukeさんがくわしく書いていらっしゃいますので、そちらを参考になさってください。


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Inatimy

攻めてきた軍のリーダーが、恋人だったなんて・・・かなり、ショックですよね。 私をだましたの?探りをいれるために近寄ったのね、絶対許さないから!と怒ってしまいそうですが、アンナさんはそうはならず、マホメット2世の、お妃に、という言葉に揺れるのかしら・・・。
ふふ、Taekoさんも、寝そうになることがあるんですね。 
by Inatimy (2008-11-24 06:18) 

匁

おはようございます。
すごい煌びやかな衣装ですね。この写真からも覗えます。
モンテネグロはそんな歴史を背負った土地なんですね。
最近もセルビアと争ったり。ローマ、ベネチアそしてトルコが攻め入りそして蒙古も攻めてきたのかな?人種が入り混じっているわけですね。
私はソ連が倒れてロシアになった時の道路交差点に有ったスターリンの銅像が倒されるのを覚えています。その前後にモスクワに行ったものですから。
by (2008-11-24 07:19) 

いっぷく

一級品を観るって素晴らしい体験ですよね、自分の嗜好とすこし違っても、鑑賞した後にはとても心地よい気分になれるのがとても好きです。ソープ・オペラはほとんどみませんが。
by いっぷく (2008-11-24 07:43) 

duke

リンクありがとうございました!
豪華絢爛な歴史モノ・・あー、やっぱりこっちも見たかったなぁ~。素晴らしそうですね!!オテッロの方はトルコに勝利したベネチア軍。こちらはトルコに攻められるベネチア植民地。お話がつながっているようでありながら、マホメットの方々は「心理カウンセリング」が無用な高い人間性を感じました。パンフレットを読みましたが、最後がなんとも悲しく・・でも信念を感じました。また・・どこかでこの演目を見たいと思います。
何年も前に、イタリアでナンパされてついて行った日本人女性達が被害にあったニュースがあり、「イタリア人だと思ったら中東の人だった」というオチが(失礼)ありました。ちょっとオバカな感じがしましたが、イタリア人のアンナでさえわからないなら、致し方ないか、とふと思い出しました。ははは。
by duke (2008-11-24 15:07) 

miku

「マホメット2世」観に行かれたんですね!
壮大な舞台ですねー
いつかDVDになるかなー
by miku (2008-11-24 18:59) 

pistacci

男声の重唱は素敵ですよね。
すばらしいものだったでしょうね。
オーチャードホール、たしかにすこし狭い感じだけど、帝劇に比べると
(ここ、較べるところじゃない?)舞台が近く感じられたような気がしました。
by pistacci (2008-11-24 20:51) 

てんとうむし

うふふ
Taekoさんが寝そうになるんだったら、オペラ鑑賞中にもしも私が寝ちゃったとしても許されるかも、なんて考えてしまいました(笑)
by てんとうむし (2008-11-24 22:14) 

かよりん

オペラも声量や表現力が申し分ないと本当に嬉しいですよね。
全てが一級品ってかなり贅沢なオペラ!!
ラストはどうなるんでしょう?気になります。
by かよりん (2008-11-24 23:14) 

lie

オペラ観てみたいです。
まだ経験していませ〜ん・・・
いいなあ。
by lie (2008-11-25 01:10) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲Inatimyさん、鋭いご指摘。たしかにそう考えられますね。でも、アンナはマホメットを愛してるんです。初めは怒りよりも驚きと愛の方が強い。でも、理性で考えると、父を、祖国を、と気持ちが変わっていく。
だからマホメットの宮殿から脱走し、父と重臣を解放。急遽、重臣と結婚して、マホメットにあなたと結婚できない、と言い渡し、自害するの。

舞台が暗いので、眠くなっちゃいます。友達から「寝たら起こして」と、
言われ、お互いに寝ないように見張ってました。

▲匁さん、おっしゃってくださったとおりです。モンテネグロは旧ユーゴスラビアだから、最近まで戦いの地。地中海に面したこの位置は、ローマの時代から覇権争いで、気の休まるときがありませんね。
スターリン像が倒されて、新しくロシアの時代になった歴史的場面のときにモスクワにいらしたとは劇的でしたね。日本で、銅像を倒すというのを見ないのは、独裁者がいなかったからなのでしょうね。

▲いっぷくさん、絵でもオペラでも一級品は人を感動させる力がありますね。今回のソプラノはすごかったです。彼女の歌のときは、誰も寝なかったと思いますよ。
すばらしいオペラだと、人間がここまで声で表現できるという高い世界に吸い込まれ、それを体験したという充足感があります。

▲dukeさん、イタリアオペラだから、どちらもベネチアが舞台なんですね。はい、信念の方々ですから、「カウンセリング」のはいる余地などありません(笑)。オテッロもマホメットも成功していても、ベネチアでは異国人。高貴な身分のイタリア人女性と愛しあっても結婚となると周囲からの反対が。。マホメットの場合は特に宗教の違いが。。これ、今も変わらないですね。「イタリア人だと思ったら中東の人だった」の話、パリでも、フランス人とアラブからの移民の人との違いがわからない日本人女性はたくさんいますもの。

▲mikuさん、DVD、きっとなりますよ(希望的観測)

▲pistaさん、今、しょっちゅう通っている帝劇の舞台が基準になるのは、当然のことでしょう(笑)。帝劇より横幅が狭いです。
オペラの魅力は重唱、って私は思ってるの。あ、今回のミュージカルの聴き所も男声の重唱でしたね。




by TaekoLovesParis (2008-11-25 01:36) 

エリザベート

宗教って日本人には分かりにくい部分がありますよね。でも、観劇しながら現実の?が理解できるのは嬉しいですね。。
by エリザベート (2008-11-25 10:04) 

yamagatn

見てみたいなあ、オペラ・・・・・
一度鑑賞をしてみたいのですが
庄内では厳しいんですよね・・・・・
by yamagatn (2008-11-25 22:28) 

ムーミン

父と恋する人との板挟み、なんですね。
祖国を愛する心情が、歌い上げられるのを聞くのは
感動的でしょうね。
衣装も素敵で、素晴らしいですね~。

by ムーミン (2008-11-26 11:16) 

yk2

昔の改宗は命懸けですものね。アンナの恋の行方やいかに。

ところで、15世紀のトルコとキリスト教社会が対峙する物語と聞いただけで、僕の頭の中は塩野七生ワールドで埋め尽くされます。あとで何かしら本を引っ張り出してみようと思いますが、マホメット2世って、『コンスタンティノープル陥落』の時のスルタンのことなのかしらん???。(→まだ読んでない分なもので・・・^^;)。
by yk2 (2008-11-26 22:47) 

TaekoLovesParis

nice&コメント、ありがとうございます。
▲エリザベートさん、そうなんです、歴史のこと、宗教のことは、私は本で読むより、絵やドラマで見たほうがわかりやすくて好きです。

▲yamagatanさん、庄内には自然に恵まれた良さがあるけれど、来日公演のオペラは大都市になってしまいますね。今回のロッシーニ・フェスティバルは、滋賀県のびわ湖ホールと東京での公演でした。

▲ムーミンさん、日本は周りが海で、外国から攻めたり攻め込まれたりの歴史が少ないので、祖国愛という感情がうすいけれど、国際結婚をした友達Aは、日本に愛着があり国籍を捨てることができなくて、友達Bは選挙がしたいからと迷わずにアメリカ人になりました。
by TaekoLovesParis (2008-11-26 22:50) 

TaekoLovesParis

yk2さん、はい、塩野七生の「コンスタンティノープル陥落」のマホメット2世です。コンスタンティノープルの陥落は1453年だけど、今調べたら、
1470年にベネチアの基地ネグロポンテを占領したの時のことが、このオペラ。さらに1475年にジェノバを占領。16世紀には、後継スルタンが勢力を伸ばし、ウィーンも包囲。モーツァルトが「トルコ行進曲」を書いたり、トルコ珈琲がはやったのだそうです。
by TaekoLovesParis (2008-11-27 00:14) 

aranjues

オペラにぴったりな題材で、これなら長丁場でも
耐えうるかと思いましたが、長いアリアで寝そうに
なられましたか。私なら熟睡しそうです。
オペラとは長らくご無沙汰、先日ソウルで韓国の
誇る??ミュージカル「ナンダ」を見てきました。
これは休憩無しの1時間半、ばっちり楽しめました。
これくらいが合ってるようです(笑)。
by aranjues (2008-11-27 14:50) 

TaekoLovesParis

aranjuesさん、おっしゃるとおりオペラにぴったりの悲劇でした。
今、耳に残っているのは、残念なことにアリアではなく、ラッパをならしてのトルコ軍の行進の曲です(苦笑)
「ナンタ」、知らなかったので、調べたら、ミュージカルパフォーマンスっていうんですね。台詞がなくて、厨房で料理を作るようすを台所道具を打楽器にして、、、おもしろそうですね。1時間半くらいは、疲れているときでも集中できるから、程よいだろうなと思いました。
by TaekoLovesParis (2008-11-27 23:04) 

TaekoLovesParis

てんちゃん、お返事がぬけてしまってごめんなさい。
今回、寝なかったのは、隣の人と前の人がのど飴のセロファンをはがすのにガサガサ、結構派手な音がするんですよ。ペットボトルのお水飲んでる人もいたし。それでもS席なんですよ。
by TaekoLovesParis (2008-11-28 22:06) 

TaekoLovesParis

かよりん、お返事がぬけてしまってごめんなさい。
悲劇で終わるのがオペラのセオリー。ミュージカルと違うの。
アンナはマホメット2世の目の前で短剣を胸に突き刺し、自害します。
勇気ある死だけど、見ていると、胸がつぶれる思いです。


by TaekoLovesParis (2008-11-28 22:39) 

yamagatn

都会がもうちょっと近ければ
色々と体験できることが増えるんですよなあ
もう少し時間に余裕ができたら、里帰りの
時にでも初体験をしてみたいと思います^^
by yamagatn (2008-11-29 22:01) 

katsura

「トリスタンとイゾルデ」を見てきたのですが、「マホメット」と違って超ミニマムな舞台と衣裳でした。こういう豪華絢爛な舞台もらしくていいですね。
by katsura (2008-12-02 16:34) 

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