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THE ハプスブルグ [展覧会(西洋画)]

 昨日金曜日、夜8時まで開館の国立新美術館へ「ハプスブルグ展」を見に行った。
「14日で終了だから、がんばって行きましょ!」と、同僚Kから言われ、前日は遅くまで仕事。

Habsburg1.JPG  

http://www.habsburgs.jp/highlight.html

 会場に入ると、いきなり目に飛び込んでくるのが、正面の壁の青。
鮮やかなブルーの壁紙に「ルドルフ2世」の肖像画。
「だまし絵展」で見たアルチンボルドに果物で顔を飾られた肖像画と同じ王様。
同行の友Kが「恐るべし、ハプスブルグの遺伝子、長い顔にしゃくれ顎」と指摘。
穏やかな表情から、戦争よりも絵など文化が好きで、宮廷好きだった王様と伺えた。

 HabsburgLeopord2S.JPG      HabsMariaT.jpg

 まず、家系図が展示してあった。「これ、覚えたほうが、肖像画はわかるわね」
ルドルフ2世の祖父の兄弟が初代スペイン王。フェリペ2世はその息子だからいとこ?
マリア・テレジアは、ルドルフ2世より200年後。

 上の右の絵は、マリア・テレジアが11歳のとき。
男の兄弟がいなかったため、長女マリア・テレジアは、この絵が描かれた11才のとき、既に
皇位継承が詔書で定まっていた。

 チケットの絵、ベラスケスの「王女マルガリータ」は、マリア・テレジアの祖父に嫁いだ。
マリア・テレジアより100年後が、フランツ・ヨーゼフ1世の王妃エリザベート。
ドラマティックな人生は、昨年、ミュージカルで上演された。
有名なこの大きい絵。衣装の豪華なこと!

   HabsErithebate.JPG   

 (下左)スペインのフェリペ2世は、肖像画でなく甲冑を着た肖像彫刻。
 (下右)レオポルド1世は、薄い真珠貝を使った肖像。
  たしかに、ふたりとも顔がハプスブルグ家のDNA。

 HabsburgFerripe2.JPG           Habsburg7.JPG 

 この展覧会は、肖像画よりも、ハプスブルグ家所蔵だった絵画のほうがずっと点数も多く、
名品揃い。絵の前で、わくわくした。

 イタリア絵画では、ティントレットの「オンファレの寝台からファウヌスを追い出すヘラクレス」
構図がおもしろい。遠くから見たほうが際立つ絵だった。

 HabsThintret.jpg  



 ドイツ絵画では、デューラーの「若いヴェネツィア女性の肖像」(左下)
クラナッハ「ヨハネの首を持つサロメ」。オペラでのサロメは薄いヴェールだけなのに
このサロメは豪華な衣装。冷たい表情に美しさも漂う不思議な絵。

HabsDuhlar.jpg       Habskranach.jpg

 スペイン絵画では、グレコの「受胎告知」(左)
背景のブルーグレーに思わず「あ、グレコ」。細長い人間が幻想的ですっきり見えた。
 ムリーリョの「悪魔を奈落に突き落とす大天使ミカエル」(右)

 HabsElGreco.jpg      HabsburgMurillo.JPG

 オランダ絵画は、レンブラントの「読書する画家の息子」(自分の息子がモデル)
レンブラントの自画像にも似た雰囲気。レンブラント作品はたくさんあった。

 HabsRubens.jpg     Habuburg6.JPG

 工芸品で、特にきれいだったのは、上右の「ラピスラズリの鉢」

この展覧会で、一番人が集まっていたのは、明治天皇から、フランツ・ヨーゼフ1世に
おくられた画帳。当時の日本の風景や生活がわかるのでおもしろい。
保存がよくきれい。ウィーンの美術館は、大切にしまっておいてくれたのですね。


 この日は雨だったので、外に出るのが面倒ということで、美術館の中の
「ブラッスリー・ポール・ボキューズ」で夜ごはん。

「お疲れ様。明日、土曜だけど出勤ね。」と、ラズベリーのはいったシャンパン。

    PaulB4.JPG    PaulB3.JPG 
  

   PaulB2.JPG PaulB1.JPG

 前菜に「カモのテリーヌ」 メインは「真鯛のクリームソース」
 デザートは「りんごのコンポートとアイスクリーム」

 いい展覧会と、楽しい食事で、ちょっと息抜き。土、日出勤なんですもの。
 


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コメント 26

pokopeko

「ブラッスリー・ポール・ボキューズ」、いいですね。
by pokopeko (2009-12-13 08:54) 

末尾ルコ(アルベール)

ムリーリョ、クラナッハ・・う~ん大好きです。

                             RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2009-12-13 09:00) 

匁

年末のお忙しいところ
思い切って行かれたんですね!。
ヨーロッパを蹂躙したハプスブルク家とオーストリア大帝国を
思い知らすかのような大展覧会ですね。
ここからも圧倒されますから、
実際観覧したら平伏するしかないかな?・・・   。
by (2009-12-13 09:32) 

+k

ニアミス!
残念 *
by +k (2009-12-13 11:13) 

aranjues

週末出勤お疲れ様。
相変わらず肉食系メニューで、週末も十分乗り切れるだけのエネルギー
供給できましたね。
ラズベリーの入ったシャンパン、ちょっと興味あり。
ハプスブルグ家の顔立ち、、なるほどね~~。
また知った顔するネタを一つ仕入れることが出来ました(笑)。
by aranjues (2009-12-13 12:27) 

pace

本当の貴族の底力がわかりますよね
by pace (2009-12-13 13:27) 

c-d-m

大帝国展覧会の後にキール・アンペリアルとは、流石taekoさん絶妙なセレクトですね。
見た目も味も華やかですし季節柄も相応しいですね。
オーストリア、個人的には欧州で最も心惹かれる文化とワインの国です。
by c-d-m (2009-12-13 14:43) 

chicory

ハプスブルグDNAって、確か受け口とかでしたっけ?
スペインのハプスブルグにもその傾向があったたかで、強力な受け口遺伝子が
あったんでしょうかねぇ?
by chicory (2009-12-13 16:40) 

てんとうむし

今年の秋は、王室や皇室のコレクションは格が違うな~・・・と感じました。

by てんとうむし (2009-12-13 17:48) 

雛鳥

私も先週日曜に見に行きました。
ひとりでしたが、ボキューズでランチしてきました。
ご紹介の、最初の展示室のエリザベートの大きな肖像画と、
11歳のマリア・テレジアの可憐さに心奪われました。
周りの方々が話している内容を聞きますと、最近はミュージカルや
宝塚で題材が取り上げられることもあり、演劇ファンも多いなあと感じました。
私も今、自分の中で沸々とハプスブルグブームが湧き上がっています(笑)。
土日のお仕事、お疲れさまでした。気分転換できましたでしょうか?
by 雛鳥 (2009-12-13 19:49) 

Bonheur

私も、9月末に行ってきました。まさにこの展覧会を運営している美術館スタッフの方の講座に出席して、その講座の一環で観に行きました。私は大学受験の際に世界史を勉強していないので(日本史・地理選択でした。。って、今更この年で言い訳にはなりませんが)、歴史的背景の知識が希薄なのですが、このハプスブルグ家の生い立ちや小ネタをたくさん伺って、凄く楽しむことができ、充実した展覧会見学になりました。
スタッフの方は、あの日本の画帳があんなに混雑するとは想定しておらず、配置に失敗した、とおっしゃっていました。
ウィーンに行ったのは10年近く前ですが、また再訪したくなりました。
年末、Taekoさんはまたパリにお出かけですか?

by Bonheur (2009-12-13 20:04) 

好(ハオ)くん

シシィは美しいですね。実は、来月欧州に2年半ぶりに行くことになりました。
旅先をなかなか決められなくて、最初はウィーンが第一候補だったのですが日程が厳しくて諦めました。ザッハトルテを食べたかったのですが…
ハプスブルク家の栄華は未だに息を飲んでしまいますね。
ボキューズでお食事もさすがTaekoさま、素敵です★
by 好(ハオ)くん (2009-12-13 22:09) 

pistacci

あと一回は行きたいと思っていましたが、もう終わりなのですね。
改めて思い出しています。フェリペ2世の甲冑の足もとばかり見ていたので、顔が似ているのまで見ていなかった。お友達、観察がするどい!
お仕事、おつかれさまでした!
by pistacci (2009-12-13 22:48) 

チョコローズ

可愛いマリア・テレジアとシシィのクリアファイルを買いました。
美術館や博物館に行く度増えていきます。きれいなのでやめられません。
それよりポール・ボキューズでディナー・・・大人の食事ですね。私も大人ですが。
鴨のテリーヌ美味しそうですね~いつか行ってみたいです。
by チョコローズ (2009-12-13 23:15) 

yk2

ふふふ、“ご実家展”、ようやく観に行かれたのですね。

ところでtaekoさん、サロメ好きですよね~~~。
このテーマの絵が有れば、過去、毎回必ず取り上げておられるよーな気がしますよ~。なんでなんで?(笑)。

ま、誰が生首好き(爆)かはともかく、クラナッハの描いたサロメの豪奢かつ妖艶な姿はこの展覧会場の中でも特に異彩を放ってましたね。満足そうに微笑んでるところが余計にコワイです(^^;。
by yk2 (2009-12-14 00:17) 

duke

ゴージャスなコレクションですね。「絢爛」って感じがします。
ボキューズは浮いてるみたいなところですね。
さすがにもう長蛇の列にはならないのでしょうか^^
by duke (2009-12-14 16:27) 

Inatimy

展示会のタイトルの「The ハプスブルグ」というのにそそられますね。
なんだか、すごい一家の大集合のようで、見ごたえありそう。
シリーズ化して「The ブルボン」とか出てくるかしら♪
by Inatimy (2009-12-14 19:59) 

roseadagio

最終日の昨日、ようやく行くことができました。
Taekoさまの記事のおかげで、ハプスブルグ家のDNAを感じながら鑑賞することができました。
見入ってしまったのが、サロメの絵。生首目の前にあの笑顔ですものね^^;
帰りにはザッハトルテも入手しました♪
by roseadagio (2009-12-15 09:11) 

エリザベート

華やかなフランスのイメージがそのまま描かれている感じですよね。。ゆったりとした時間の流れを感じます。
by エリザベート (2009-12-16 17:27) 

りゅう

シシィ、マリア・テレジア、綺麗で見応えありましたね♪
顔、スタイルはもちろんですが、ドレスが本当に凄かったです。
シシィのドレスはふんわりと柔らかく軽やか、
マリア・テレジアのドレスは滑らかなさわり心地で光沢があり、深みのある色合い。
あ、マルガリータちゃんのドレスも素晴らしかったですね。
シシィが美しすぎて他の作品の印象が薄いんですよね。。。
感想記事書けるかな。。。(^_^;)
by りゅう (2009-12-16 22:10) 

TaekoLovesParis

roseadagioさん、私の記事がお役にたったときいて、とってもうれしいです。
やはり、ザッハトルテお買いになりましたね(笑)
陶器も売ってましたね。ウィーンへ行ったとき工場へ行って買った「アウガルテン」の
「オールドウィンナローズ」のコーヒーカップが一客33000円と値段がついていたのでびっくり!そんなには高くなかったと思うけど。

by TaekoLovesParis (2009-12-17 23:35) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲pokopekoさん、ボール・ボキューズはランチの時、いつも行列なのを見ていたので、美術館に着くなり予約をしました。金曜の夜だったので、満席で待っている人たちもいました。さほど値段が高くないので、混むんでしょうね。

▲アルベールさん、ムリーリョ、クラナッハがツボでしたか。

▲匁さん、たしかに大展覧会でした。今ふりかえってみても、行ってよかったです。
ウィーン美術史美術館は行ったことがあるのですが、規模が大きくて、全部、
ちゃんと見きれなかったんですよ。<ヨーロッパを蹂躙したハプスブルク家>
まさにそうでした。

▲+kさん、六本木にいらしてたのに、、ですね。

by TaekoLovesParis (2009-12-17 23:54) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲aranjuesさん、相変わらずのツッコミで、もぅ、笑うしかないです。
ラズベリーシャンパンは、カシスほど甘くなくて、さわやか。展覧会で歩き疲れた体
に効きました。下でcdmさんがコメントくださってますが、「キール・アンペリアル」
という名前なんですって。

▲cdmさん、キール・アンペリアルという名前って知らなかったです。ハンガリー・オーストリア帝国の展覧会で、アンペリアル、なるほど!
そういえばウィーンに行ったときは、「ホイリゲ」とか「ワインケラー」(地下のワイン
倉庫を使ったワインバー)に行きました。ワインがたくさんとれるんですね。
以前に記事にした、ラベルのきれいな「ツル」ZULLはオーストリアでした。

▲paceさん、底力を支えてるのは財力ですね。

▲chicoryさん、そう、受け口です。はっきり特徴の出ている顔立ちの人もいました。
きっと強力なDNAなんでしょうね。

▲てんちゃん、皇室のお宝展もよかったですね。見ごたえのある展覧会は
ずしんと印象に残りますね。


by TaekoLovesParis (2009-12-18 00:55) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲雛鳥さん、一行、一行にうなづいてしまうコメントでした。
ランチの時間は、明るくて陽がさしそうなボキューズですね。友達が言ってたけど、
国立新美のお茶する所は、上にいくほど値段が高くなるんですって。だから、地下が一番安くて、ボキューズのティータイムが一番高いって。
私も美術館は、ひとりで行くことがありますが、ひとりの時は、まわりの人の話が聞こえてきて、思わず笑ったりしそうになりますね。
今度の「パイレーツ」のエリザベス女王の衣装もすばらしいけど、ミュージカルの「エリザベート」の衣装は、これと同じだったんですよ。私はpistaさんのあついオススメで
2回見たので、印象が濃いです。雛鳥さん「パイレーツ」行き楽しみですね。

▲Bonheurさん、私は世界史で受験したけど、特定のことしか覚えてなくて、全体の流れの把握に欠けてます。でも、すべては、マリア・テレジアが女帝だったことに
起因しているんですよね。若い女帝だからとなめられ、プロイセンに領土の一部を
奪われ、奪回するために、外交に頼る。フランスと手を結び、マリー・アントワネットが
嫁ぐ、ですものね。
明治天皇の画帳人気は、スタッフの予想外だったんですね。私が行ったときも唯一、
係りの人が、「ずっと立ち止まらないでください」と声をかけている場所でした。
パリは、年末に行けないので3月初めに行く予定です。

▲好くん、旅先はどこになったのかしら。お出かけ前の風邪に気をつけてくださいね。

▲pistaさん、<フェリペ2世の甲冑の足もと>、、私が友達に、「これで歩けるのかしら?」と言ったら、「歩かないわよ。馬に乗ってるだけよ。王様は戦うんじゃなくて、
飾りみたいなもんだから、甲冑が大事なのよ」って言ってました。重そうですよね。

▲チョコロさん、ファイルは買ってしまいますね。私もいくつも、いくつも(笑)。
でも場所をとらないし、きれいだから、いいですよね。
美術館の中におしゃれなレストランがあるのは、いいですね。
by TaekoLovesParis (2009-12-18 23:03) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲yk2さん、サロメの首への返事、首を長くして待ってたでしょ(笑)
サロメが首をお盆に載せて、、という話を小学校の時に読んで以来、気になってる
んですよ。「そんなこと私にできるかしら?」と思って。この残忍さは究極のドラマ。
絵に描かれてる人たちは、「生首が気持ち悪い」よりも「仕事をした達成感」で、
実に満足げな表情なんですよ。このクラナッハのサロメの「ふふ、やったわよ」という
微笑み、yk2さんもごらんになったBunkamuraのヴェネツィア展での「ティツィアーノ」
のサロメも仕事をし終わった安堵と満足の表情。クリムトの「ユーディット2サロメ」
(私の2006年1月17日の記事に写真があります)は、耽美的な表情といわれている
けど、遠くを見つめるような眼に、成し遂げたあとのふっと息をぬいたやさしさを感じます。ドラマだからこそ、そこに描かれた人の表情から、いろいろ想像することに興味あり、なんです。

▲dukeちゃん、ボキューズの場所は下から見上げると、たしかに~浮いてるように
見えますね。夜のコースメニュー+シャンパン+カラフワインで9000円くらいだったような。。(よく覚えてない)

▲Inatimyさん、そういえば、Theがつくと、○○家(の人々)って、英語で習いましたね。「THE ブルボン」も、ルイ14世からはじまってマリーアントワネット、華やかな人々がたくさん、だから、いい企画かも。

by TaekoLovesParis (2009-12-19 00:24) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲エリザベートさん、ハプスブルグ家の富と栄華が伝わってくる展覧会でした。
ここには、のせていませんが、カメオ(マリアテレジア一家が彫られている)、金細工、貝を使ったものなどの工芸品にもいいものがたくさんありました。
明治天皇が、フランツヨーゼフ1世に贈った蒔絵の棚もすてきでした。

▲りゅうさんもいらしたんですね。りゅうさんは、フィラデルフィア美術館展のときも、マティスの青いドレスに惹かれてましたね。衣装にも注目すると、楽しさ倍増。シシーのドレスはパリのデザイナーにたのんだと書いてありましたね。宝石の髪飾りも豪華で。。ため息もの。これとアントワネットで、他がかすんじゃったんですね(笑)
by TaekoLovesParis (2009-12-19 00:50) 

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