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リゴレット・イン・マントヴァ [オペラ、コンサート、バレエ]

 2月11日(祭日)
一日中、雪模様との天気なので、家で、録画してあったDVDを見た。
「リゴレットin マントヴァ」(1月8日 NHK BS)

オペラ「リゴレット」を舞台ではなく、劇設定の場所、マントヴァで2010年9月4日に
撮影したもの。イタリア、イギリス、フランス、ドイツ、日本のTV局などが出資した。

イタリアのマントヴァは、16世紀に、フランチェスコ2世の妻、イザベラ・デステが、
芸術好きで、マンテーニャ
をはじめ多くの画家を宮廷においたので、ルネッサンス
の中心地になった。その息子、フェデリーコも母と同じく芸術の擁護者であり、
ラファエロの再来と評判だったジュリオ・ロマーノをマントヴァによび、パラッツオ・
テとよばれる別荘を建てさせた。
今回の「リゴレット」の舞台の一幕目は、パラッツオ・テの「巨人の間」。
洞窟のような部屋で、ジュリオ・ロマーノが描いた「天空の神々によって滅ぼされる
巨人族」の壁画と天井画が特徴。

Giant_JRomano.JPG

 さて、オペラだが、主役リゴレットが、プラシド・ドミンゴ。
ドミンゴは、世界三大テノールのひとり。テノールなのに、バリトンのリゴレット役。
年をとってきたからバリトン役をするのかもしれないが、「ジルダ」と娘をよぶ時は、
テノールの甘い声だった。

RigolettoD.JPG

マントヴァ公役は、ヴィットリオ・グリゴーロ。
ハンサムなイタリア人。ドミンゴの推薦による抜擢だそう。
背景に、「巨人の間」の壁画が見える。

Rigoletto2.JPG

そして、殺し屋スパラチフレ役は、ルッジェロ・ライモンディ。
ライモンディは、バスの大御所。私もウィーンのオペラ座で、と日本でのウィーン歌劇場
引越し公演で見ている。

ストーリー=わがままで女好きのマントヴァ公に仕える道化師リゴレットは、
口が達者すぎて、モンテローネ伯爵の怒りを買い、「おまえは呪われる」と、
予言めいた口調で言われる。その言葉が頭から離れないリゴレットだが、
家には、美しい一人娘ジルダがいた。箱入り娘なので、教会へのお出かけしか
許してもらえないジルダだが、教会で会うハンサムな若者に心ひかれていた。
ある日、その若者がジルダの後をつけて家にやって来た。ふたりは愛を確かめ合う。
若者は、貧しい学生と名乗るが、実は、マントヴァ公。    (以下省略)

作曲=ジュゼッペ・ヴェルディ
指揮=ズービン・メータ
監督=マルコ・ベロッキオ
<出演>
 リゴレット ……プラシド・ドミンゴ
 ジルダ ……ユーリア・ノヴィコヴァ
 マントヴァ公爵 ……ヴィットリオ・グリゴーロ
 マッダレーナ ……ニーノ・スルグラジェ
 スパラフチレ ……ルッジェーロ・ライモンディ
 モンテローネ伯爵 ……ジャンフランコ・モントレゾール

私は、リゴレットでは、第二幕の4重唱が好きだが、これは映画スタイルなので、
表情がよくわかり、心理合戦のような4重唱だった。
マントヴァ公は、「アポロンのよう」とマッダレーナに評される通り、若く輝いていた。
「女心の歌」は、私にはイマイチだったが、他の歌はすばらしいし、演技も上手い。

歌だけでなく、演技力も定評のあるドミンゴは、屈折した道化師になりきって、娘を愛する
父の苦悩、ついには、マントヴァ公を殺そうとする企て、その感情をよく表現していた。
ジルダは、清らかな感じで、美しいソプラノの繊細な声だった。

スパラフチレとマッダレーナ、悪の兄妹も、凄みがあった。
映画スタイルのせいか、オペラなのに、歌よりも演技の方が記憶に残る。

そして、最後の場面は、胸がつまる。運命のむごさ。。。終わって、しばらくは、ぼ~っと
していた。

RigolettoPTe.JPG


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julliez

東京は雪だったんですね〜。
こちらは打って変わって、太陽がこの3日間見られました。
本当に久しぶりの太陽に生き返りました。
とは言え、また雪とか降りかねないので、油断禁物で春を待っています。
今年はパリにオペラを見に行けるような余裕が欲しいです(笑)
by julliez (2011-02-13 17:23) 

TaekoLovesParis

Julliezさん、ロワールは寒いみたいですね。
ワインフェアのお手伝い、お疲れさま。記事、面白かったです。
金賞、銀賞ワインは、こうやって選ばれるんだなって、よくわかりました。
2010年のロワールのワイン、飲んでみたいです。
春が待ち遠しいですね。
by TaekoLovesParis (2011-02-13 19:54) 

yk2

この流れでロワールどう?、なんて僕も訊いてしまうと、それこそ私信欄になってしまうので止めときましょうね(笑)。

リゴレット、僕も見ましたよ~。
僕はオペラ・ファンじゃないので、動機はイザベッラ・デステが暮らしたマントヴァの宮殿がどんなところなんだか見てみたい!って興味からでしたが、舞台と映像が先ず素晴らしくって、当然、ドミンゴの歌声も素晴らしくって、すっかり引き込まれてしまいました。でも、当初あらすじも設定も飲み込めない内は、てっきりドミンゴがマントヴァ公役だと思っちゃってたんですけどね。あの風格だし、頭にフェイクの王冠載せて登場だったし(^^ゞ。

まぁ、物語の結末については、こうなったらリゴレットの代わりに僕がマントヴァ公を!・・・なんて、つい思ってしまうくらいに不条理なものでしたが(^^;、まぁ、後々は史実として“某ご実家”であるハプスブルク家に所領を召し上げられちゃうってコトで、taekoさん的にはめでたしめでたし?(笑)。
by yk2 (2011-02-13 21:40) 

TaekoLovesParis

yk2さん、<ドミンゴがマントヴァ公役>に、「え~、そんな。。。」って、笑ったけど、ストーリー知らないで見たら、マントヴァ公だから風格があると思うのが当然なの
かもしれませんね。あの王冠、ガレット・デ・ロワの景品のような(笑)

正義はどこに?のようなエンディングでしたが、マントヴァ公にも呪いがかかったのか、この100年後、ペストは流行するし、継承争いは起こるしで、当時、勢いのあったハプスブルグ家に支配されてしまうマントヴァ。

でも、実は、この話は、ユーゴの「王の愉しみ」っていう戯曲がオリジナル。
フランソワ1世(ロワールのお城の秘密の通路、ダビンチとの親交、yk2さん記事に書いてらした)をモデルにした実話なの。で、当然、すぐ上演禁止。だから、ヴェルディは、舞台をマントヴァに変えて、オペラ化したっていうわけ。
yk2さん、あのにっくきマントヴァ公=フランソワ1世に、もっともっと興味がでてきた
でしょ?
by TaekoLovesParis (2011-02-13 23:01) 

aranjues

メータの指揮、ドミンゴにライモンディが出演、豪華なオペラですね~~。
雪の降る寒い日はご自宅でオペラですか、、何処までも文化的で
驚きます。11日は朝名古屋も雪、その中さらに雪国へ行っておりました。
by aranjues (2011-02-14 08:56) 

keyaki

TaekoLovesParisさん
コメントありがとうございます。
同じSo-net同士、今後ともよろしくお願いします。

グリゴーロは、お父さんがオペラ歌手にしたかったようですから、先々役立つだろうということで、バチカンで初等教育(9〜13才)を受けた後、ローマのフランス人学校に行かされたんだそうです。それで、フランス語でインタビューを受けたりもしています。
フランス語のオペラのレパートリーも、グノーのファウスト、オッフェンバックのホフマン物語、マスネのマノンはすでに歌っていますが、6月には、スカラ座で、グノーのロメオとジュリエットが決まっていますし、今後、マスネのウェルテルも歌うそうです。
夏にはオランジュ音楽祭で、リゴレット(本物のバリトンのヌッチ)に出演予定ですので、関連記事とかテレビとかフランス語でたくさん出て来ると思いますが、そのときは、いろいろ教えていただけると嬉しいです。

このマントヴァ公爵は、実際にはプレイボーイなのに、ジルダが一目見て恋をしてしまうような魅力がないと.....ということで、今のところ、実力、容姿ともに揃っているのはグリゴーロしかいないということですね。グリゴーロ自身、いつもオペラ歌手も居心地のいい劇場を出て、皆にオペラの素晴らしさを知ってもらう努力をしなければ.....と言ってますし、グリゴーロにとっても渡りに船の企画だったと思います。
by keyaki (2011-02-14 11:06) 

シェリー

外に出たくない雪の日
私は適当なTV番組を見ながらだらだらごろごろ
しちゃいましたが・・・^^;
家でオペラのDVD鑑賞なんて素敵ですね♡
内容はちょっと重たい感じもしますが・・・
ゆっくりワインなんて開けちゃうのもあいそうですね。

by シェリー (2011-02-14 11:38) 

Inatimy

たとえ推薦で抜擢でも、“わがままで女好きのマントヴァ公”にピッタリ、っていうのは、
本人としては、一瞬、複雑な心境ですよね・・・。
でもハンサムだからこそ演じられる、それはいいかも♪
by Inatimy (2011-02-14 20:15) 

TaekoLovesParis

aranjuesさん、この間の富山に続き、またまた雪国への旅でしたか。
きっと、そのうち、ブログ記事にしてくださることでしょう。
オペラは、見始めたら動きたくないので、天気の悪い日には、ちょうどいい
んですよー。同じ演目を違った歌手、演出で見て、くらべるのが、おもしろい
んです。若い時代のパバロッティのマントヴァ公は、いいですよ。
by TaekoLovesParis (2011-02-14 23:43) 

チョコローズ

寒い日はおうちでDVD鑑賞って良いですね。
先日ようやくTVが壊れ、大きなテレビを買いました。
バレエのDVDは見ましたが、オペラはまだ。
Taekoさんの解説を読んでいたらリゴレット見たくなりました。
でもこの雪の日、私はスイーツ食べに舞浜まで外出してました(笑)
by チョコローズ (2011-02-14 23:51) 

TaekoLovesParis

keyakiさん、keyakiさんのところで、グリゴーロのマノン・レスコーのデグリューを
聴いていました。マノン・レスコーは私の親友の一番好きなオペラで、見るようにと
言われていて、ようやく、来月、新国立で見ます。
デグリューは、陽気で明るいマントヴァ公と違って、ドラマティックな愛に生きるので、
歌も切々と情感がこもっていて、いいですねー。

ファウスト、マノン、ロミジュリ、ウェルテルと、次々、フランスもののいい役ですねー。
でも、私は、旅行に困らない程度のフランス語ですから、マスコミ記事の情報を正確に読むのは、自信がないです。

マントヴァ公は、最初のアリア「あれか、これか」で、傲慢に歌っても、女の人たちが、飛びついて行くほどなんですから、それだけ魅力的なんですよね。生まれ育ち
の良さが持つ雰囲気と美貌、パバロッティ、アラーニャ、よりもルックス的には、
グリゴーロですね。
by TaekoLovesParis (2011-02-15 00:25) 

TaekoLovesParis

チョコロさん、大型TVなら、DVD鑑賞はちょうどいいですねー。
この日、私は、バレエの録画も見たんです。パリ・オペラ座バレエの「ドンキホーテ」、
もう引退してしまったマニュエル・ルグリと川崎製鉄の広告に出ていたオーレリ・
デュポンが主演で、これも美しかったです。
舞浜って、ディズニーですよね!
by TaekoLovesParis (2011-02-15 00:31) 

TaekoLovesParis

シェリーさん、一生懸命、見すぎて、ワイン飲みながらって、考え付かなかったのは、残念。おうちで鑑賞だから、飲みながらもOKなんですよね。これは赤ワインの雰囲気でしたね。私的には、シャンパンも白ワインも×。でも、バレエだったら、白ワインがいいな~。
by TaekoLovesParis (2011-02-15 00:35) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、<ハンサムだからこそ演じられる>→コレがポイントね(笑)
あと、当然ながら、歌が上手くないとね。オペラは悲劇のドラマだから、性格の
悪い人がお約束のように出てきます。
わがままな人って友達だったらいやだけど、傍で見てるぶんには、おもしろい。
特にドラマでは、ね。
by TaekoLovesParis (2011-02-15 00:51) 

kazu-m

臨場間のあふれるコメントで、歌や、演技が伝わってくるようでした。
by kazu-m (2011-02-15 22:03) 

TaekoLovesParis

kazuさん、このオペラのおもしろさが少しでも伝われば、うれしいです。
by TaekoLovesParis (2011-02-16 00:08) 

baby_pink

私もりゴレット大好きなオペラの一つです^^
ドミンゴ・・・指揮に歌手に多方面に大活躍ですよね♪
ドミンゴは3テナーの中でも情熱的でセクシーさを兼ね備える
大好きな歌手さんなので、いつまでも素敵な姿を見せて欲しいと思っています^^
by baby_pink (2011-02-17 07:47) 

TaekoLovesParis

baby_pinkさん、「リゴレット」は、はらはらドキドキの場面が多くて、そして、あの
エンディングですもの、何度見てもいいですねー。
親戚にドミンゴの大ファンの伯母がいて、レーザーディスクの時代から、「ほら、ここがいいのよー、見て」と、行く度に見せられてました。日本公演があれば、全部見るし、NYのメトにも何度も行って、追っかけを自認しています。だから、いつも伯母とは、
オペラ話で盛り上がってます。パバロッティ亡き今、ドミンゴには、長く、元気な姿、歌声を見せてほしいですね。
by TaekoLovesParis (2011-02-19 09:22) 

duke

リゴレット、見たことないです。いいですね、オペラ、見てみたいです。
そして設定の場所で撮影なんて、とても贅沢ですね。DVD、出てるのかしら。
見た~いです!!

by duke (2011-02-20 00:58) 

TaekoLovesParis

dukeちゃん、「リゴレット」は、定番オペラだから、見るチャンスはたくさん
あると思う。でも、このDVDが出てたら、おすすめです。
昔のお城が残ってるマントヴァだから、できるんですよね。
dukeちゃんが見たマリンスキーの「トロイア」と「陰のない女」は、なかなか
見る機会がない出し物。明日、もう一度ていねいに読んでからコメントしますね。
by TaekoLovesParis (2011-02-21 01:24) 

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