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メトロポリタンオペラハウス [オペラ、コンサート、バレエ]

 ニューヨークに4泊6日と短い旅をしてきました。
オペラとミュージカル、美術館、市内観光、食事、買い物です。

まずは、オペラから。
メトロポリタンオペラハウスは、1966年の建物。白い大理石の近代的な設計で、
ロビー左右のシャガールの大きな壁画が遠くから見える。
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入口には、本日の公演「愛の妙薬」...L'ELISIR D'AMOREの看板。

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ロビーは、まばゆくシャンデリアが輝き、パリやウィーンのオペラ座とは違う開放的な
広々とした明るさ。マイヨールの彫刻が2階にあがる階段の中央に鎮座していた。

Met6.JPG

指揮 Donato Renzetti
Nemorino...Juan Diego Florez
Adina...Diana Damrau
Sergeant Balcore...Mariusz Kwiecien
Doctor Dulcamara...Alessandro Corbelli
Giannetta...Layla Claire

注目は、Juan Diego Florez(ファン・ディエゴ・フローレス)。38才。
ペルー、リマ出身。パバロッティ亡きあと、超高音をらくらくこなすテノール。
声はもちろん、軽いコミックな演技が抜群で、会場が笑いの渦だった。

休憩時間にトイレに行こうとしたら、長蛇の列。じゃ先にシャンパンを
飲みましょう、と、飲んだら、トイレのことをすっかり忘れ、予鈴が鳴ってから、
席を立った。悠然と戻ろうとしたら、扉が閉まっている!扉番が「Closed」
地下のシアタールームで見るようにと、案内された。大きなスクリーンに、
2幕目のようすが映し出されていた。 日本の映画館で、メトのオペラを上映
しているけれど、こういう感じね、と思いながら見た。
幕が閉まったところで、席へ向かった。同行のM子さんが、「会えてよかったわ。
心配で、探しに行こうとしたら、鍵閉めたからダメって出してくれないのよ。もう一人、
出たいっていう人がいたけど、断られてたの。あなた、ハンドバッグもコートも置いて
っちゃってるでしょ。入れなくて寒い思いしてたらかわいそうだと思って、見た気が
しなかったわ」 ゴメンナサイ。

 


 
 さて、話、変わって、17日(土)、日本です。神奈川県民ホールへ小沢征爾のオペラ
を見に行きました。

 ご存じのように小沢征爾が体調不良のため、公演はキャンセルになっていた。
Atからメールで、「小沢征爾のオペラ、ピエールからフリーチケットもらえるから行く?」。
ピエールとは、指揮者ピエール・ヴァレー。小沢は2幕2場だけ、残りを全部ピエールが
担当予定だったが、今日は、全部、彼が振る。
すべて準備ができたあとの急な降板だったので、リハーサルという形で行われ、
プログラムも無料で配布された。

Mme.Butterfly.JPG

 予想に反して、ホールは、8割がた埋まっていた。
小沢征爾音楽塾オーケストラは、若い音楽家たちで構成されているので、音が元気。
ピエールは、押さえて、押さえて、のポーズで指揮をしていた。

蝶々夫人...吉田珠代 (アディーナ・ニテスクの代役)
ピンカートン...アレクセイ・ドルゴフ
シャープレス...アンソニー・マイケルス=ムーア
スズキ...エリザベス・デション
ゴロー...デニス・ピーターセン

 代役の吉田珠代が、最初、硬かったが、声にのびがあって、すばらしかった。
日本人らしい振る舞いが自然で、やはり、蝶々夫人は日本人がいいなと思った。
スズキ役のエリザベス・デション、終始動き回る役だが所作が、ちゃんと日本人に
なっていた。深い声は印象的。
ピンカートンは白い軍服がよく似合う甘い顔立ち。最後に「バタフライ」と駆けつけてくる
時、遠くから聞こえてくる声が切なく美しく心に響いた。

 カーテンコールでは、出演者が客席左の方を向いて、呼び出しコールの拍手。
小沢征爾が立った。感動の拍手。こんな素晴らしい公演、キャンセルにしなくても
よかったのに、と思ったが、小沢征爾目当ての人が多いから、しかたなかったのだろう。

 終演後、楽屋に行き、Atがピエールに「Wonderful!」とハグ。私も紹介してもらって、握手。
ピエールは、歌のコーチもしているので、声楽家のAtは彼の長年の生徒。昨年12月には、
ピエールがメトロポリタンオペラハウスで、「ファウスト」を振ってデビューしたので、Atはお祝い
も兼ねてニューヨークに行ったという仲。Atに誘ってもらって楽しかった。


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コメント 16

pistacci

オペラハウスは、輝く明かりが、外からでもわくわく気分を盛り上げてくれますね。
二幕終わるまで入場できなかったのですか。それは惜しいこと。
ぅふふ、マイヨールさん、ここでも下を向いて控えめね。
小沢さんは指揮しなくても会場にはいらしてたのですか。
お人柄がうかがえるエピソードですね。
記事は読ませていただいてますがご無沙汰してました~。
by pistacci (2012-03-20 00:48) 

yk2

メトって、やっぱりすごい(=豪華)んだなぁ~。シャガールにマイヨールじゃ普通に美術館ですね。
#pistaさんがマイヨールのうつむきにここでも触れてるのは、たしかに「ぅふふ」ですが(笑)。

それにしても、さすがtaekoねーさん。優雅な中にも必ず何か1つはやらかしますね~。今回は締め出しで入れて貰えませんでしたか(笑・・・っちゃいけないと思いつつ^^ゞ)。寒くないかとねーさんが心配で気が気でなかったご友人がひたすらお気の毒です。せっかくのメトでの『愛の妙薬』が・・・(^^;。
by yk2 (2012-03-20 02:28) 

TaekoLovesParis

pistaさん、おひさしぶり~!
オペラハウスは、リンカーンセンターという広場にあるので、遠くから煌々たる灯りが見え、オペラの殿堂という雰囲気です。建物の大きさもアメリカサイズ。
マイヨール作品の後ろに見える木の柵の向こうは、おしゃれなレストランで、開演前に軽く食事という使い方です。上野の東京文化会館の精養軒とはだいぶ雰囲気が違います。
小沢塾で若い音楽家を育てるのが、ライフワークだったのに、病気で残念です。
特徴あるたてがみのような銀髪なので、席でお立ちになると、すぐわかりました。
日本人で初めて世界で活躍した指揮者ですものね、オーラがあります。

yk2さん、メトは4000近くも座席数がある大きな劇場。シャガールの壁画の大きさには圧倒されます。豪華な眩いシャンデリアは、開演のベルと共に、するするっと上にあがって行くのです。
このうつむきマイヨールは、体育会系でなく、エレガントで、メトに似合っていました。ギリシア彫刻が似合わない内装ですもの。
閉め出し、まさにそうでした。でも幕間のシャンパンのおかげで悲壮感も寒さもなく、スクリーン部屋で見たのですが、遅刻者は映像で見るというシステムを知らない友達には心配をかけて申し訳なかったです。 いつも失敗が多いのですが、私、yk2さんには、心配をかけるようなこと、してないつもり、ですよ。
by TaekoLovesParis (2012-03-20 09:32) 

roseadagio

ニューヨークにお出かけされたのですね。オペラハウスは舞台がかかっているときにカーテンが開いて、外からシャガールの壁画が見られると聞いたことがありますが、まさしく、ですね。行ってみたいです・・・。
小沢さん健康になられると良いですね。実家では父がどこかの空港で小沢さんにお目にかかったということで、小沢さんのお写真が大事に大事に飾ってあります。
by roseadagio (2012-03-20 11:49) 

バニラ

メトロポリタンオペラハウス、まばゆさが夜の街に映えますね♪ 
幕間って油断してるとあっという間に時間が過ぎてしまうので、要注意ですよね。特にトイレが混んでると焦る~ 
小沢征爾氏、体調を崩されてからはよけいに「聴きに行かなくちゃ!」って思う人が多いのかもしれませんね。

by バニラ (2012-03-20 16:53) 

ルビー

すてきですね! メトロポリタンオペラハウスに行ってらしたんだー。
豪華で芸術的で・・・ニューヨークですね。
小沢征爾さん、焦らず、ゆっくり養生されて、完全にお元気になられることお祈りします。
by ルビー (2012-03-20 17:23) 

Inatimy

シャガールの壁画、ものすごく大きなものなんですね~。
ちゃんと座席で鑑賞されたお友達が見た気がしなくって、
閉め出されたTaekoさんがスクリーン部屋でしっかり鑑賞、というのも、
なんだか、ふふ、って感じでした♪
長い行列、トイレは特に困りますよね。
4000近い座席数がある劇場に必要なトイレの数って、どうっやって算出するんだろうなぁ・・・。
by Inatimy (2012-03-20 20:05) 

kazu-m

小澤征爾さん、松本で開催される今年の「サイトウ・キネン」体調不良でキャンセルという発表がありました。
この数年、小澤さんの体調不良で指揮が出来ず、かなりのトラブルが起きているようです。
外から見ていると、斉藤氏メモリアルの「サイトウ・キネン」なのか、小澤氏の「サイトウ・キネン」なのか・・・
とはいえ、小澤さんの御回復を祈っている一人です。

そうそう、早く松本市民美術館の「シャガール展」見に行かなきゃ終わっちゃいます。
by kazu-m (2012-03-21 22:20) 

TaekoLovesParis

コメントありがとうございます
▲roseadagioさん、<オペラハウスは舞台がかかっているときにカーテンが開いて>→ 知らなかったです。教えてくださってありがとう。
小沢征爾さんは、日本人の音楽家が世界で活躍するさきがけとなった人ですものね。
お父様が、実際にお見かけしたということで、親しみと誇りを持ってらっしゃるのもわかります。

▲バニラさん、まばゆいという言葉がぴったりのきらめきと輝きでした。派手好きのアメリカらしいなと思います。幕間は「20分休憩」と出ると、長い気がするのですが、油断したらダメ、って実感しました。
小沢征爾さんは、一時代を築いた人ですものね。見ておきたい気持ちもわかります。

▲ルビーさん、この公演は、横浜でスタートして、次は愛知県芸術劇場だったので、
友達と、愛知でもこういうリハーサル公演をするのかしらね、と話してました。
メトは、アメリカの誇るオペラハウスですから、豪華絢爛でした。

▲Inatimyさん、シャガールの絵は建物の2階分は裕にある大きさです。「音楽の泉」
という音楽をテーマにした絵だそうです。左側が赤、右側が緑と色の対比がきれいでした。パリのオペラ座の天井にもシャガールが使われてるし、音楽をテーマにした夢のある絵がホールの雰囲気を盛り上げてくれます。
トイレの数、ほんと、どうやって計算するんでしょうね。男女比とかもね。

▲kazu-mさん、「サイトウキネン」は、小沢征爾人気で、私の友達も毎年、東京から行ってます。夏の松本市がこういうイベントでにぎやかになるのは良いですね。
シャガール展がそちらで開催されるんですね。見て明るい気持ちになれる絵は、
いいですね。
by TaekoLovesParis (2012-03-22 23:34) 

moz

素敵なオペラを二つもご覧になられたんですね。
メトロポリタンでの愛の妙薬も素敵だったでしょうけれど、小澤さんのリハーサルにはなってしまったけれど、この公演を見ることができたのはとてもラッキーではないとか思いました。
小澤さん、またしばらく姿を見ることができなくなりますよね。
近年、体調不良が続かれていてほんと、心配です。あの指揮ぶり、公演までのパワーの込められ方・・・、尋常ではないです。体力一気に消耗されるのもよーく分かります。体力を十分に回復されて、また素晴らしい演奏をたくさん聞かせて欲しいですよね。
でも、さすがTaekoLovesParisさんです。行動力も人脈もすごーーい@@;
by moz (2012-03-23 05:57) 

pica

観光客向けのオペラしか観たことないので、いずれは…と
思っています。

鍵をかけられると、終わるまで中に入れないんですね( ̄ー ̄;
融通がきかない気がしないでもないけど、それだけステージを
大切にしてるんでしょうね。
by pica (2012-03-24 00:41) 

hatsu

Taekoさん、お帰りなさい~^^
メトロポリタンオペラハウス、美しいですねー。
シャンデリアのまばゆい輝き、うっとりしちゃいます。
by hatsu (2012-03-24 09:47) 

匁

慌ただしい旅行ですね。
出張見たいな?。ひょっとして出張?。
時差ぼけ取れる前に帰国ですね?!。

途中下車、退場はできないんですね。
流石に格式を重んじるんですね。
by (2012-03-24 10:04) 

チョコローズ

素敵ですね~私もいつか本場でオペラを見てみたいです。
日本でもあまり見たことないですけど。
蝶々夫人は好きです。初心者にはちょうどいいのかな?以前母を連れて行ったら釘付けでした。
by チョコローズ (2012-03-27 01:01) 

vanilla_beans

初めまして。
SO-NETをたどってこちらのブログへやって来ました。
小澤征爾音楽塾のマダムバタフライをご覧に
なったのですね。
我が家の長女が小澤征爾音楽塾の塾生になり
私も鎌倉芸術劇場と上野文化会館での蝶々婦人へ行きました。
今年の夏は松本のサイトウキネンオーケストラに参加しますので
聴きに行こうと思っています。
なんだか嬉しくなり長くなり失礼致しました。
by vanilla_beans (2012-07-28 17:00) 

TaekoLovesParis

vanilla_beansさん、はじめまして。
お嬢様が、小澤征爾音楽塾の塾生でいらっしゃる、つまり、私が見たこの舞台に
出演なさってらしたのですね。そういうかたにコメントをいただくのは、うれしいです。サイトウキネン、私は今年も日程が合わず行かれませんが、友達は毎年
行ってます。下野さん中心だったけど、よかったと言ってました。
by TaekoLovesParis (2012-07-28 20:56) 

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