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ミュージカル「エリザベート」ウィーン版 [演劇、ミュージカル、Jazz]

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 今まで帝劇で見ていたミュージカル「エリザベート」は、ウィーンで20年前に作られたもの。
ショーの要素が強いブロードウェイ的なミュージカルと違う歴史上の人物に焦点を当てた
ストーリーの音楽劇。そのホンモノが、ウィーンからやって来る!
引っ越し公演。行かなくちゃ。だいぶ前に初日のチケットを買っておいた。

舞台装置を持ってくると大掛かりになってしまうので、大道具はないが、小道具はあり。
舞台奥中央に指揮者がいていて、演奏が見えるスタイル。オーケストラピットはない。

ドイツ語なので、左右に字幕が出る。
主演のエリザベト役マヤ・ハクフォートは、美しいだけでなく、エリザベートになりきった
感情表現で魅入られる。なんと出演回数が世界一なのだそう。
注目のトート(死神)役は、マテ・カラマス。背中を膨らませ猫背っぽくして、不気味さを
漂わせる。時に甘い声で、時に恐ろしいほどの殺気を感じさせ、動きに目が離せなかった。
暗殺者ルキーニは、ブルーノ・グラッシーニ。軽く陽気に見える一方で、怒りや冷徹さも
秘めた難しい役を熱演。

皇帝フランツ・ヨーゼフ役は、母と妻の間で悩む気の弱さを自然体で表現。
皇帝の母、皇后ゾフィー役はガブリエレ・ラム。厳格さと威厳をこちらも自然体。
ドイツ人ぽさを感じる。見ているだけで、嫁と姑の関係が、エリザベートに
どれだけ大きな影響を与えたかがよくわかる。

皇太子ルドルフの幼少時を演じたのは在日のドイツ人。かわいい坊やだった。
「ママ、どこにいるの」と歌う声がいじらしい。
大人になったルドルフはハンサムなルカス・ぺルマン。切なく響く甘い声。
親子デュエット「僕はママの鏡だから」は、切々たる感情が伺えとてもよかった。

感動しながらも、時々、日本版を思い出しながら見ていた。
トートの歌い方は山口さんに似てるなぁ(あ、逆?、山口さんがマネた?)
ルキーニは高嶋政宏とどっちがいいかなぁ。
エリザベートは、ウィーン版、素晴らしいです。勝てません。

初日なので、終演後、カーテンコールの特別サービスは、トート役マテさんの達者な
日本語の司会で、トートとルドルフの「闇が広がる」のダンスと日本語での歌、さらに
「いっしょに歌いましょう」と客席に呼びかけた。皆総立ちで、「闇がひろがーる」と、
ホール中大合唱。

Eliza.jpg

これは、プログラムの1ページ。
下右の写真は、群衆が歌う「ミルク」のシーン。飢えた群衆が不満を爆発させ、「ミルクをよこせ」
と缶を叩いて歌う。贅沢なエリザベートへの批判だ。
エリザベート自身の苦悩だけでなく、当時の政治状況も丁寧に説明されていて、音楽劇だが、
これを通して、「この時代の歴史がもっと知りたくなった」と同行の友達は言っていた。

☆「エリザベート」といえば、pistacciさん、お元気かしら。この間niceをくださったから、時々見て
くださってるのね、って思いました。ありがとう。
pistaさんのおかげで、何回も日本版を見てあったから、ウィーン版がとっても楽しかったです。
   pistaさんの「エリザベート」記事です。


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yk2

あらま、今回は“ご実家”の嫁姑戦争ネタのミュージカルですね(笑)。

ミュージカルじゃシシィをあんまり悪く書けるハズもなく、うら若き美貌のプリンセスが叔母でもある母后ゾフィーのがんじがらめで厳しい嫁教育に耐える健気なヒロイン、って設定じゃないと物語が成立しないと思いきや、シシィに対する批判的な部分もきちんと描かれているのですか。ちょっと意外な感じがしますね。かつてpistaさんの記事で読ませて頂いてた時は、それはもうひたすらエリーザベトへの賛美賛美ってお話だったから(笑)。

僕は2009年に国立新美術館で開催されたハプスグルク展の時に、少し本を読んだりしてお勉強しましたが、ゾフィーはかなり強烈なお姑さんだったみたいですねぇ・・・。もっとも、僕の読んだ本では、シシィだって、あのルートヴィヒ2世と同じバイエルン王家の血筋(※変人揃いって書かれてました・・・笑)なんだから一筋縄でいくわけもなく、むしろゾフィーの方が常識的だったかも、なんて具合の書かれ様でしたが(^^;。
by yk2 (2012-10-30 22:25) 

pistacci

ご無沙汰しています。すっかり読者になっていました。元気にしています。
リンクしてくださってありがとうございます
行きたかったんです、この公演。
ドイツ語で聞いた方が韻をふんでいたり、リズムの強弱が言葉と合っていて良かったでしょう。最後のダンスはドイツ語のほうが断然いいと思います。ミルクも迫力あっただろうなぁ、って想像しています。
音符に当てはまる訳語を選択するのは、大変らしいです。
マテさんは山口さんと一緒に日本版エリザベートにも出演してたから、似ちゃったのかしら?
山口トートは今年で12年になります。
yk2さん、私はトート閣下賛美派よ?o(^_^)o
by pistacci (2012-10-31 10:10) 

TaekoLovesParis

pistaさん、ご登場ありがとう!(ハート**10)
ドイツ語版はとってもよかったです。おっしゃってくださったようにリズムとドイツ語の音がぴったり合うんですね。プログラムにドイツ語歌詞と直訳がでているけど、「闇が広がる」は、「やっと話す時がきた。沈黙を破る時がきた」、これじゃ歌いにくいですよね。「長い沈黙の時は終わったのさ」、は、上手い訳って思いました。
大学の時、ドイツ語劇をやったり、演出をしたりだっので、ドイツ語のセリフが懐かしかったです。
皇后ゾフィーのせりふもドイツ語だから、厳格さ、きつさが出ていいんですよ。意地悪をしてるのではなく、信念で言っている、と、はっきりわかります。
ルキーニの早口セリフもドイツ語では自然なんですね。「キッチュ」の時は皆で歌いましょう、という客席によびかけるジェスチャーがあって、皆「キッチュ」のところだけ歌って、手拍子。
マテさんは、パワフルでした。日本公演で日本語で歌ったんですってね。
山口さんより、もっとストレートに、エリザベートを、ルドルフを愛してるんだ、という
演技でした。セクシーさと怖さが同居してるんですよ。

pistaさんは、ウィーンで、「ここが、、」と感慨深くシェーンブルグ城をお歩きになったんですよね。本場の「ヴァンパイヤ」をご覧になったのがうらやましい。私もウィーンでリーヴァイ・ミュージカルを見たいな、って思い始めました。
by TaekoLovesParis (2012-10-31 22:02) 

TaekoLovesParis

yk2さん、これは「嫁姑」から、「強制と自由」をテーマに、さらに、「愛と死」、「罪と赦し」など、いろいろな要素がはいっているストーリーです。何回も見ていると、
いろいろな要素があるから惹きつけられるとわかります。さらに、エリザベートだけでなく、フランツ・ヨーゼフ1世の気持ち、行動、皇太子ルドルフの成長過程での気持ち、行動が、時代の流れと呼応しているんですよ。見ているうちにその時代に入り込めるから、同行の友達が、歴史が知りたくなったんだと思います。
エリザベートが16歳から60歳まで、と長い年月の物語なんです。歌い手も年をとってからは、少し低めの声で歌ってました。

でも、yk2さん、すごいですね~。いつのまにか、たくさん本を読んで、ハプスブルグ家、バイエルン王家の人々に詳しくなっているんですもの。変人揃いのには、笑ってしまいました。ルートヴィヒ2世の変人ぶりは映画になっているほどですものね。私は主役の「ヘルムート・バーガー」がハンサムなので好きでした。そういえば「シシィ」も映画になってましたね。
by TaekoLovesParis (2012-10-31 22:25) 

angie17

Taekoさんの説明を読んでいるだけで、
素晴らしい舞台が想像できますね。

by angie17 (2012-11-01 00:18) 

Inatimy

細やかなレースらしき扇が美しいですね~。
左右に字幕が出る・・・というのを読んだ瞬間に、縦書き?と頭に浮かび、 
縦書きも横書きも可能な日本語って便利だなぁ、と思ったけれど、
そうだったのかしら・・・どんな字幕だったんだろう。
by Inatimy (2012-11-01 00:34) 

TaekoLovesParis

angieさん、主演のマテさんは、ドイツ語、英語、日本語の3か国語で、公演を
した経歴の人。日本に来たとき、インタビューは日本語で答え、舞台の説明は、
英語でしていました。
いい舞台を見ると、充実感が長続きします。
by TaekoLovesParis (2012-11-01 00:46) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、エリザベートのドレスもレースがたくさん使われ、扇もこれ、
レースっぽいですね。優雅な衣装をいろいろ着ての舞台で、華やかでした。
字幕は左右に出るときは縦書きで、上に出るときは横書きです。
字幕はパソコンで作成し、プロジェクターで映し出します。
by TaekoLovesParis (2012-11-01 00:55) 

チョコローズ

これ、見に行こうかどうか悩んで、結局行かなかったんですが…
エリザは宝塚での日本初演から見ています。ウィーン版のCDも早くから入手して
大好きな演目のひとつです。やっぱり本場版、見ればよかったかな~闇が…私も歌えます!
by チョコローズ (2012-11-04 01:48) 

匁

Taekoさん
G軍 日本シリーズ制覇優勝日本一
本当におめでとう。
日ハムを圧倒しました。実力の差を見せつけた
シリーズでした。勝敗的にも2勝2敗のタイまで
昨日の最終戦も3対3のタイまで
エンジンがかかるのは遅いだけに
温まるとハイパワー大型エンジンですね。
内海、阿部の活躍が光りました。
中田の1発もそこまでの感じでした。
この勢いは来期も続きそうですね。

再建中のHTフアンの匁より
by (2012-11-04 18:41) 

TaekoLovesParis

匁さん、ありがとう。
CSシリーズも3連敗のあと3連勝、今回も2勝のあと2連敗、いつも追い込まれてから勝つパターン。<エンジンがかかるのは遅いだけに温まるとハイパワー大型エンジンですね。> → その通りですが、応援するほうは疲れます(笑)。
阿部は勝負強いですね。シーズン通して長野、坂本もよくがんばってました。
3年ぶりの優勝で、原監督の続投も決まったようです。4月は最下位だったし、
スキャンダルもあったりで、苦しいスタートだったけど、原監督は選手をほめながら
育ててるようで、爽やかでいいです。
タイガーズ、再建中。来年、両チームに1,2位争いをしてほしいです。
by TaekoLovesParis (2012-11-04 22:44) 

りゅう

ウィーンのお引越し公演!
しかも初日!! キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
Taekoさんはドイツ語で劇をされていたのですね♪
私もドイツ語がわかるようになりたいです。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2012-11-04 22:52) 

TaekoLovesParis

チョコロさん、エリザファンなのは、前の東宝版の記事の時、お話して知ってますよ。でも、宝塚の初演のときから、とは、筋金入り~!ウィーン版のCDを持ってらっしゃったら、この公演は楽しかったと思うわ。私は今頃になって、CDほしいって
思いながら、YouTubeで、2005年版ウィーン公演をいくつも見て、主役の2人が若いって眺めてました。やっぱり歌がどれもいいですね!
by TaekoLovesParis (2012-11-04 23:38) 

TaekoLovesParis

りゅうさん、この舞台はとっても楽しかったですよー。今も耳にいろんな曲が聞こえてきて、余韻を引きずってます。pistaさんに近づいてきたかしら(笑)
ドイツ語のあのはっきりした発音が、舞台では、きりっとして、良いです。
Noと言うより、Neinの方が重々しいでしょ。Nichtも否定って明確に伝わるし。
仲良しの親戚がドイツ語の先生だったので、高校でも、大学でもドイツ語を選択しました。大学の文化祭で演出をしたのは、「サウンド・オブ・ミュージック」の元になった劇。
今は、ぽつん、ぽつんと単語を思い出すだけです。りゅうさんもドイツ語選択だったんでしょ?

by TaekoLovesParis (2012-11-05 23:55) 

moz

いっしょに歌いましょうの言葉で、ホール中が大合唱ってすごいですね。
その場にいたら、すごい感激なんだろうなと思います。やっぱり行くなら初日なんですね。 ^^
それに「やはり」、本場ものなのですね。何ごとも先ずは本物? 原点を知ることが必要なのかなと思いました。
もちろん、日本版も素晴らしいのだとは思いますけれど、本場のものを知って見るとまた違った見方が出来るのかもしれません。
by moz (2012-11-07 11:27) 

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