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国宝 興福寺仏頭展 [展覧会(絵以外)]

2009年、東京国立博物館での「国宝阿修羅展」を覚えていらっしゃるかたも多いと思う。
あれは興福寺の阿修羅像であり、展覧会は空前絶後の観客がはいった。
興福寺といえば、阿修羅像なのだが、今回の「仏頭」も白鳳期の名宝、さらに木造の
「十二神将立像」も国宝で素晴らしい。

koufukuji1.jpg

 展覧会場は、東京芸大の大学美術館。
お寺の広間を思わせる照明を落とした空間、左右に十二神将立像が並び、
一番奥に大きい仏頭が人の背の高さ位の位置で置かれていた。
「白鳳の貴公子」と呼ばれる穏やかながら威厳に満ちた若者の表情。

阿修羅の時もそうだったが、仏頭は360度、ぐるっとまわって見れる。後ろは
穴があき空洞、横に廻ると耳も切れているのがわかる。満身創痍。
それもそのはず、この仏頭は685年に山田寺の本尊として作られた丈六(4.85m)
の大仏。後に、この大仏の素晴らしさを聞いていた興福寺の僧たちが、荒廃していた
山田寺からこれを持ち去り、東金堂の本尊とした。
1411年、東金堂は火災にあい、仏頭を除く本尊は崩れてしまった。
1937年、東金堂解体作業中に台座の中から、仏頭が発見された。実に500年ぶり
のこと。直ちに国宝となった。
VRの映像で、仏頭を復元して見せていた。

仏頭の取り巻きとして造られた12神将立像だが、仏頭が行方不明になって以来、
並んで展示されたのは初めてで、600年ぶりのことだそう。

12sin2.jpg

この一体、一体の彫刻は表情豊かで味があり、見て楽しい。
各々、頭の上に印として12支獣をつけ、さまざまなポーズをとっている。
[右斜め下] 伐折羅(バサラ)大将立像(鎌倉時代13世紀)
バサラはサンスクリット語でダイヤモンドの意味なので、金剛力士と起源が同じ。
頭の上の印は、犬。ガラス玉で光る眼をかっと見開き、吠えるが如くに口を開け、
恐ろしい形相。こわそうでしょ。

basara.jpg

これらの展示室は3階で、2階の展示室には、同じく国宝・木造12神将立像の
板彫があった。どれも威嚇する姿勢の厚さ3㎝のレリーフで、如来の台座に
はめこまれていたらしい。とてもきれいに残っているので、睨みつける表情が
よくわかった。

この他に、厨子や絵画もあり、とても見ごたえのある展覧会だった。
11月24日まで 東京・上野・芸大美術館


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コメント 13

coco030705

こんばんは。
すばらしい仏頭ですね。気品があって威厳があり、しかも優しさも感じられます。
だからこそ、仏像なんでしょうけれど。伐折羅(バサラ)大将立像も迫力があって
いいですね。
私も阿修羅像が大好きです。興福寺国宝館にはほかにも色々な仏像がありますが、阿修羅だけが他の仏像とはまったく違い、異彩を放っています。2年ほど前に玄侑宗久さんの「阿修羅」という小説を読みました。これは三重人格の女性の物語でなかなか面白い本でした。
Taekoさんは仏像にもお詳しそうなんですが、私の好きな仏像を4体ほどあげてみます。
1 滋賀県長浜市渡岸寺(どうがんじ)=向源寺(こうげんじ)の十一面観音菩薩像
  すばらしく優美な仏像です。
2 京都市太秦(うずまさ)広隆寺の宝冠弥勒 ほっそりとした美しい姿に魅せられ  ます。
3 京都市東山 永観堂のみかえり阿弥陀 これは阿弥陀像のお顔が横を向いて  いらっしゃいます。人々の悩みや苦しみに耳を傾けるためといわれています。   お寺自体も広くてすばらしいです。紅葉の名所ですよ。 
4 近鉄大和西大寺駅 秋篠寺の伎芸天 これも優雅な仏像です。他の仏像の中  でもひときわ目立つ存在です。
もしこちら方面においでになりましたら、観光を兼ねて一か所でもお訪ねになってみてはいかがでしょうか。もうご存知かもしれませんが。
by coco030705 (2013-10-05 21:58) 

TaekoLovesParis

cocoさん、歌舞伎だけでなく、仏像にもお詳しいんですね!
私は知識がないので、これから覚えていこうと思ってます。いろいろ教えてくださってありがとう。来月、紅葉を見に京都へ行こうと思ってるので、丁度いいアドヴァイスです。永観堂は、夜に紅葉のライトアップを見に行ったことがあるけれど、みかえり阿弥陀は拝顔してません。紅葉巡りでお寺に行きながら、ご本尊にお参りしなかったことを今、悔いています。
by TaekoLovesParis (2013-10-05 23:54) 

hatsu

美しいですねー。
心にグッときます^^
11/24までなんですね、行ってみたいと思います!
Taekoさん、ありがとうございまーす。
by hatsu (2013-10-06 08:45) 

TaekoLovesParis

hatsuさん、お寺で見るのとはちがった展示空間なので、仏像が芸術作品だと、しみじみわかります。特に今回は照明が綺麗ですから、ぜひ。仏像のポーズにはヨガと通じるものがあるかしら?
by TaekoLovesParis (2013-10-07 00:02) 

カエル

とても気になっています。お顔が綺麗で優しくて。
by カエル (2013-10-07 07:59) 

pistacci

お寺で拝観すると仄暗く、それはそれでありがたいのですが、照明のもとで拝見すると別の美しさがありますね。
最近行けてないので、予定にいれておきます。
by pistacci (2013-10-07 09:02) 

Inatimy

約1330年も昔の仏頭が目の前にあるなんて鳥肌ものです。
お寺が荒廃しても残り、火災にあっても残り、そして500年もの間、台座の中に眠り続けていた・・・
それらの時の流れの重さがひしひしと伝わってきそうです。
台座の中に入れて守った人に感謝ですね。 
厚さ3㎝のレリーフは他の方のブログで写真を拝見したのですが、たった3cmの厚みで
隆々の筋肉や浮かんだ腱の迫力ある表現は素晴らしいですよね。
気になるのがグッズ。 リアルな12神将立像ストラップとか売っていたら買ってしまいそう♪
by Inatimy (2013-10-07 21:31) 

匁

仏頭は詳しくもなんでもないですが
その阿修羅展から、瓢箪などに阿修羅像を描いています。
だんだん本物と遠ざかっていっています。
これ何ですか?と言われます。
阿修羅像です。と言っても、首を傾げられます。

興福寺の阿修羅像は横からは見れないし、それに大人には
人気がありますが、子供はその前に鎮座する大仏さんに人気があるようです。
by (2013-10-08 09:32) 

baby_pink

美しいですね.。なんていうかこころ引き締まる思いがします。
様々な時間を経て、今も尚変わらずそこにあると思うと
私ってなんてひよっこなんだろう(>_<)って思いますし
(←自分と比べるなんて・・超。。生意気ですね私^^:ェㇸㇸ。)
このように綺麗に残っていること自体凄いし、その迫力を
感じられることに感謝な気持ちです。
ぜひ実際に観に行ってみたいです♪
by baby_pink (2013-10-09 14:02) 

moz

白鳳の貴公子ですね、本当に良いお顔。
見る場所によって、優しかったり荘厳だっりなのでしょうね。奈良の仏様たちはどうしてこんなに素敵なお顔なんでしょう・・・。
奈良に行った時に、バスガイドさんが、東京に行ってますと案内してくれました。
是非、会いに行ってくださいと。会期中に行ってみたいと思います。
by moz (2013-10-09 19:39) 

ひこうき雲

木から削りだされたとは思えない、気品と鬼気迫る迫力ですね。
インドで生まれた仏像が、色々な道で伝わっていきその場所その場所で、独自のお顔や姿を持っているのは興味深いです。
仏師は、朝身を清め仏像に向い、姿を刻み開眼したと聞きます。

僕の祖父も、物資ではありませんが観音像を彫っていたことがあります。

来週東京なので、ぜひ言ってみたいです。

by ひこうき雲 (2013-10-09 23:16) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲カエルさん、こうやって360度、全方向から見える展示だと、表情はいろいろに見えるものだ、ってよくわかりました。正面は破損してないけど、裏に廻ると、穴がぽっかりで、痛々しいです。でも神々しさと包容力のあるお顔でした。

▲pistaさん、春の奈良旅行で興福寺にもいらしたのかしら?正倉院、法隆寺、奈良の旅のブログ記事の続き、書いてくださいな。

▲Inatimyさん、<台座の中に入れて守った人に感謝ですね。>→ 私もそう思いました。厚さ3㎝のレリーフは、木の色が未だいきいきしてました。洗ったりしたのでしょうけど、色あせない、ってすごいですよね。ひとつ、ひとつ、じっくり見ると、表情、ポーズ、どれも面白いです。お寺で見るのと違う良さがあります。お線香の香りがしないし、モダンな照明で、お寺の広間とは全然違うから~。


by TaekoLovesParis (2013-10-15 21:09) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。外は台風です。
▲匁さん、ええ、よーく存じてますよ。匁さんが国立博物館での展覧会で阿修羅像に魅せられて、ひょうたんで四方向きのお顔を作ったりなさってましたね。
<阿修羅像です。と言っても、首を傾げられます。>→彩色したから、木彫の阿修羅と雰囲気が違ってしまったのかしら。匁さんのように、ひとつのテーマを追求するのはいいことだと思います。

▲pinkちゃん、じっと眺めていると、心が洗われる気がします。しかも長年の眠りから醒めて、状態ですもの。仏像の生存年齢に比べると、私たち、はかない人生ですよね。だからこそ、しっかり生きないと、って言われてるような気がして、背筋がのびます。(ちょっとマジメになってみた)

▲mozさん、奈良旅行で「天平の美少年=阿修羅」と対面なさってらしたんでしたね。ガイドさんが東京に、、と説明とは、なかなか粋ですね。会いに行ってあげてくださいね。お寺で見るのと、展覧会場で見るのの差は、何よりも照明でしょうね。
mozさんが、奈良にいらしたときも台風でしたね。今もあと数時間で関東地方に
10年ぶりの大型台風が上陸するとのこと。明日あさの通勤を気にしています。

▲ひこうき雲さん、おじい様が御趣味で観音像を彫っていらしたとはすごいですね。仏師で私が知ってるのは、運慶、快慶ぐらいです。仏様は、こわそうな顔、慈悲深い顔といろいろで、ポーズもさまざまですね。以前にドイツの古い木彫を見たとき、仏像に通じるものがあるな、と思いました。
by TaekoLovesParis (2013-10-15 23:38) 

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