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レディ・ベス [演劇、ミュージカル、Jazz]

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レディ・ベス(花總まり)は、エリザベス1世の少女時代の呼び名。
「なぜプリンセス・ベスじゃないの?」と、劇中に台詞があるように、エリザベス1世は、
2歳半の時、母アン・ブーリンがねつ造された不義の咎で処刑されたため、プリンセスの
称号をはく奪されたのだった。

これは、エリザベス1世がレディ・ベスだった時、つまり少女時代の話のミュージカル。
母は処刑され、義姉メアリー・スチュアートからは冷たくされていたけれど、良き家庭教師
アシュリー(涼風真世)とアスカム先生の御蔭で、ラテン語、ギリシア語に堪能となり、
フランス語、イタリア語も話せた。またその時代最高の教養を身に着けていた。

さて、幕が開くと、アスカム先生一人が舞台下手に登場。
英国王室の歴史講座。石丸幹二の歌が始まった途端、この歌は山口祐一郎の
深い厚みのある包み込むような歌声にぴったりだったと思った。石丸さんはきれいな声で、
上手だけど、舞台まわしのこの役は、特別な声の方が、これから始まるという高揚感が
出ると思う。

舞台のセットとしては、大きな天球儀や天文時計が使われていて、時代をさかのぼる
役割として効果的だった。

エリザベス1世は、生涯独身だったので、なぜ?と私も思っていたが、映画「エリザベス」
で、幼なじみの貴族ロバート・ダドリーと恋愛関係にあったが、結局、国を守るため
結婚はしなかったという説に納得していた。
今回のミュージカルでは、吟遊詩人と知り合い、彼と恋愛関係になるが、王位継承の
段になった時、身分の違いを悟り、恋でなく王位の座を選ぶという話になっている。

imagesWS9GQ5AQ.jpgエリザベス1世肖像画

キャストは、教育係キャットの涼風真世以外の大きな役は、ダブルキャスト。
だから、上のチラシのように、2人ずつ、うつっている。
女性キャストは宝塚出身の人が多いので、歌も芝居も上手い。
吟遊詩人ロビン(山崎育三郎)は、自由な魂で恋に夢中な若者の感じが伝わってくる。
夜、ベランダに立つベスに会うため、庭の木の垂れ枝をロープにしてターザンのように
ベランダに飛び込む場面は、「おっ!」だった。
スペイン王子フェリペは、派手な衣装に上半身裸というセクシースタイルでビリヤード
で遊んでいる場面で登場。遊び好きで、わかりやすい性格が面白い。
帝劇では御馴染み悪役の吉野圭吾さん、今回も悪役。ガーディナー司教役の
石川禅さんとの悪のコンビの演技が笑いをよんでいた。

よく知られている話だが、ヘンリー8世は、エリザベスの母=アン・ブーリンと結婚
するため、離婚をローマ法王に申し出たが、許されなかったため、法王と決別し、
英国国教会を作った。正妻の娘メアリは、エリザベスを妾の子とさげすみ、母と
同じくカソリックを貫き、血のメアリと呼ばれるほど、反カソリックの者を弾圧、処刑した。
エリザベスは、父母と同じくプロテスタントであったので、メアリから憎まれた。

ミュージカルなので、読むと難しいストーリーをわかりやすい台詞と、印象に残る
メロディの歌で表現している。王室ものだから衣装が豪華。
脚本・歌は『エリザベート』、『モーツァルト』と同じくミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・
リーヴァイのコンビ。歴史がわからなくても楽しめるように作られているし、逆にこれを
見ると、王室の歴史に興味がわくかもしれない。

24日までです。

pistacciさんの記事もあります。


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コメント 10

pistacci

リンクありがとうございます!
楽しんでいただけて(お勧めしたので)ほっとしました。
単なる異母姉妹だけじゃなく宗教も絡んで来るので、より複雑な状況。
この舞台で、とても人間くさい感情が背景にあると思うと、歴史に体温を感じます。
山口アスカム先生も見ていただけるのは次回再演のときかな?
(っと、勝手に再演ありと思ってます。)
by pistacci (2014-05-19 21:26) 

Inatimy

よく似た衣装の人がふたり・・・と思ったら、そうそうWキャストでしたね。
先にpistaさんの記事で読んだ覚えが。
帝国劇場ののサイト探してプロモーション舞台映像を見てきました。
メアリー・チューダー役の未来優希さんの声、すごくいいですね〜。
衣装もゴージャス。 
キャストを見ていて、シモン・ルナールをシナモン・ロールと読んでしまった・・・。
by Inatimy (2014-05-20 07:47) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲pistaさん、おすすめされたから、楽しみにしていましたよ。見終わってからpistaさんの記事を読んだら、行く前に読んだときと違って、よくわかりました。
<アスカム先生以外はダブルキャスト全て観劇>に、驚いてます。それって
3回じゃ無理だし。。早く再演してほしいです。山口アスカムを聴きたいです。
今、考えても、脚本がすばらしかったと思います。だって、ムダな台詞がない。
どれも大事なひとことばかり。次に行くときは、セリフの意味がもっとわかると
思うわ。ヘンリー8世=青ひげ公、で、私には悪いイメージだったけど、立派な
王様だったのだと、娘のエリザベスの時代に英国が繁栄する下地を作ったの
ですね。
エリザベートのハプスブルグ出身のスペインのフェリペの強烈さも忘れられないです。肖像画を見たら、似てました(笑)。彼の時代が、スペイン最強の時代だったんですね。pistaさんのおっしゃる通り、観劇で、歴史に興味もでてきます。

▲Inatimyさん、そうなの、Wキャストでうつってる写真だから、人数が多いの。
未来さんは宝塚出身だから、やはり歌が上手。堂々としてるし。衣装はどれも、
すてきでした。えっ、シナモン・ロール、Inaちゃんらしいなぁ(笑)
エリザベート、レディベスで、ヨーロッパの王室に関心がでてきます。
しかも、私が3回見たオペラ「ドン・カルロ」のお父さんが、フェリペ2世。立派な
お父さんを越えられないカルロの悩み、新教と旧教の対立がオペラのテーマ
だけど、今、ようやく背景がわかってきました。
by TaekoLovesParis (2014-05-22 01:21) 

yk2

エリザベスが今回のテーマでありながら、ついついハプスブルクに話題が流れてしまうのは、やはりご実家贔屓なtaekoねーさん(笑)。
by yk2 (2014-05-22 07:04) 

カエル

この時代のストーリーは常にどろどろですよね。
妬みがメインで常に優位に立とうとしている足をひっぱるの連続。
実際そうだったのかなぁ。。。
by カエル (2014-05-22 10:46) 

TaekoLovesParis

yk2さん、大事なこと、書き忘れてました。フェリペ王子は、エリザベスの義姉
メアリの婚約者なんです。固くて真面目なメアリと派手な遊び人の王子、どうやっても合わなそう。劇中でも、王子はエリザベートと気が合ってましたよ。でも、王子は旧教(カソリック)で、エリザベートは新教だから、結婚はダメなんです。

フェリペの肖像画を見ると、ハプスブルグの顎なんですよー。フェリペ2世から、
約300年後、オーストリアのハプスブルグ家のエリザベートが映画やミュージカルになっている美しい皇妃エリザベートです。

Jazz好きのyk2さんは、ミュージカルの曲はあんまりお好きでないかもしれないから、映画の「エリザベス」や「エリザベート」がおすすめです。
by TaekoLovesParis (2014-05-23 00:44) 

TaekoLovesParis

カエルちゃん、妬みは恐いですよね。今と違って情報が少ないぶん、間違った恨みもあったりするし。あと、この時代は、病気であっけなく人が亡くなるから、王位継承者が次々変わったりしますね。3か月だけの王様が珍しくなかったりで。エリザベスも自分に王位がまわってくるとは思ってなかったようだし。ドラマが多い時代でしたね。
by TaekoLovesParis (2014-05-23 00:52) 

ひこうき雲

メアリースチュアートとエリザベス1世の王位継承争い、メアリーの処刑を発端(他にもオランダ独立戦争へのイギリスの介入)に起きた、フェリペ2世とのアルマダ海戦、最もヨーロッパがどろどろとして激動している時代ですね。

スペインのアルマダ海戦の敗北は、インカ帝国の復讐(ジャガイモの食糧化によるイギリスの台頭)と考えている僕ですが(笑)
by ひこうき雲 (2014-05-24 11:15) 

TaekoLovesParis

ひこうき雲さん、じゃがいもはスペイン人が南米から運んで来たものなんですね。
海を制すものが世界を制す、の時代でしたね。
by TaekoLovesParis (2014-05-26 00:30) 

moz

映画は見ました。今でも各国であるみたいですが、結婚を選ぶか王位を選ぶか?
究極の? 選択なんですよね。
素敵なミュージカル ♪
by moz (2014-05-29 06:50) 

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