SSブログ

ゲティ美術館(2) [外国の美術館、博物館]

ゲティ美術館で見た絵の続きです。

ゲティ美術館は、資金が潤沢なので、13世紀末から19世紀までのヨーロッパ絵画
の超一流のものを金に糸目をつけず、毎年、オークションで購入している。

ラファエロ(または弟子)の「赤い服を着た若い男の肖像」 1505年
この絵は、西洋美術館の「ラファエロ展」に来ていた。
Gettyrafael.jpg

巨匠レンブラントの「エウロペの誘拐」1632年
ギリシア神話。エウロペに一目惚れしたゼウスは、エウロペが遊んでる海岸に
美しい雄牛の姿になって現れ、雄牛にまたがったエウロペを乗せ、海の中を走り
クレタ島に行き結婚した。

6GettyRembrandt.jpg

同じくレンブラントの「笑う自画像」1628年。
レンブラントの初期の注目すべき作品。銅版に描いていてI-Padくらいの小ささ。

6RembrandtSelfportrait.jpg

レンブラントは5点、ルーベンスもあった。

神々しく輝く厳粛な絵。
近づいて見たら、グイド・レーニの「棘の冠のキリスト」1636年
グイド・レーニはカポディモンテ美術館展で見た「アタランテとヒッポメネス」が
良かったので名前を覚えた画家。

6GuideReni.jpg


ヴェニスの絵を見ると、「カナレット」と思うが、これもそうだった。
カナレット「ヴェニスの大運河 from Flangini to Campo San Marcuola」1738年
すぐそばに、ほぼ同じ大きさのフランチェスコ・グァルディの「ヴェニスの大運河」が
架けられていたのが、競作のようで面白いと思った。

6Canalette.jpg


小さい絵だが、こちらを向くバラ色の頬の少女が気になって足をとめたのが、
オランダの風俗画に影響を受けたフランスのグルーズの「洗濯女」1761年
劇の一場面のようだが、250年前の絵。

5Greze.jpg 

一昨年、三菱一号館で「シャルダン展」があったので、おなじみになったシャルダン。
台所を題材とした絵は、「テーブルの上の魚、野菜、グジュエールチーズ、ポット、
薬味入れ」1769年。
6JChardin.jpg

ここからは19世紀の絵

スペインのゴヤ「サンティアゴ公爵夫人の肖像」 1804年
左手に閉じた扇を持ち、スペインの民族衣装マハを着た公爵夫人はかなり奔放な人で、
このとき40歳。43歳で亡くなった。遠景の景色の筆使いは、さくっと速い。

5Goya.jpg

ドイツ、ロマン派の代表、フリードリッヒ「夕闇の中の散歩」 1803年
フリードリッヒの描く風景画は、この絵のように暗く神秘的かつ内省的。
険しい雪山、谷、風に揺れる木々を描くことが多い。人がいる場合はひとりだけ。
人はシルエットで顔が見える絵はない。崇高な感じすらして私は好きだ。

4Fleidlich.jpg

イギリスの風景画家ターナーの「モダン・ローマ、カンポ・ヴァチーノ」 1839年
カンポ・ヴァチーノは牛の放牧場だが、古代ローマのコロッセウム、凱旋門、大浴場がある。
陽が沈み、月がでてきた時刻、ヴェールに包まれたような靄った景色だが、月明かりがまばゆい。
手前に牛や人々が描かれている。
描かれてから初めて市場に出、ターナー作品最高値の40億円でゲティが入手した。

5TurnerRoma.jpg


フランスの風景画家コローの「湖に舟人がいる風景」1839年
フランスのサロンに出展し好評を博した絵。「コローは厳粛で思索的な人だが、
自然を見つめる態度に人柄が表れている。線と黄昏の光のハーモニーがすばらしい」
と評された。

4Corot.jpg


色づかいの鮮やかさと、きりっとした風格のある絵で目に飛び込んできたのは、
フランス・新古典主義のダビッドの「テレマコスとEucharisの別れ」 1818年。
ホーマーの小説「オデュッセイア」の登場人物を描いた絵。
オデュッセイウスの息子テレマコスはニンフのEucharisと恋人どうしになるが、
彼女を残し、父を捜しに旅だたなければならない。その別れの場面。

5David.jpg


ドラクロワ「浅瀬を渡るモロッコの騎手」1850年
馬の速い動きをみごとに描いた絵。
ドラクロワは当時の画家たちのようにイタリアに行かず、北アフリカに旅した。
灼熱の太陽と強烈な色彩に惹かれ、モロッコやアルジェリアを題材にした絵も多い。

5Doracroit.jpg


愛らしさに見入ってしまう明るい画面は、ブークローの「エロスの誘惑に抗する娘」
1880年。キューピッドは恋の矢を娘の心に向かって投げようとし、娘は、困っている
ふうではなく。。。清々しさのある絵。

5Bouguereau.jpg


ゲティの庭には、いくつも彫刻が置かれている。
手前はマグリットのの「?」、
下の写真は、ヘンリームーアの「座る女」、向こうに見える建物もゲティセンター。

3garden.jpg


3garden3.jpg


ジェコメッティ、ジャコモ・マンズーなど一目でわかるものの他に現代彫刻もあった。
広大な空間、山に囲まれた青空の下に彫刻たちはとても自然に配置され、景色の
一部のようになっていた。


nice!(49)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 49

コメント 20

hatsu

フリードリッヒの「夕闇の中の散歩」、すてきですね。
美しい力強さを感じます。
ケーブルカーに乗って美術館、すてき^^
by hatsu (2014-09-21 05:22) 

TaekoLovesParis

hatsuさん、フリードリッヒの絵は、CDのジャケットに使われたりしています。
そういう雰囲気ありますよね。
あのね、入場料は無料だけど、サンドイッチはとっても高いの(笑)。「うまく出来てるわ」って、友達が言ってました。でも持ち込みOKなので、持っていけばいいんだけど、もう一回行くこと、あるかな?行きたいけど。
by TaekoLovesParis (2014-09-21 16:40) 

coco030705

こんばんは。
シャルダンの静物画、ターナーの「モダン・ローマ、カンポ・ヴァチーノ」、コローの「湖に舟人がいる風景」が好きです。ほんとうにすばらしい美術館ですね。
お花の写真にnice!を有難うございました。
by coco030705 (2014-09-23 17:11) 

yk2

マグリットは本当に『?』ってタイトルですか?。それともメモして来なかったから分からないって意味の「?」。僕ならここの庭でじっくり彫刻の写真を撮りたいトコですが、ねーさんは日焼けがイヤでしょうからちゃちゃっとあっさり済ませたっぽいですね(笑)。
by yk2 (2014-09-23 23:21) 

TaekoLovesParis

cocoさん、このターナーの絵は、実際に見ると、もやっている部分がもう少しはっきり見えるので、光の表現のすばらしさを堪能できます。絶頂期の作品と言われるだけあって、すばらしいです。後期の作品は、モネの後期同様、靄が多すぎて、私はあんまり好きじゃないんですが。。コローの夕陽もきれいで、抒情的な風景ですね。
月下美人、以前「今晩咲くから」と鉢植えを持ってきてくれた人がいて、数人で庭でお月見を兼ねて、開花待ちの飲み会をしたんですよ。実際12時を廻った頃に咲き、夜目にも白さが感動的でした。cocoさんも開花を待ち続けたのかしら?
by TaekoLovesParis (2014-09-23 23:33) 

TaekoLovesParis

yk2さん、もちろん、「メモしてこなかったから、わからない」です。でも、マグリットなら、?というタイトルでも不思議ないですね。前回マイヨールのl'airを教えてくださったInatimyさんなら、わかるかしら。
このすぐ横に、椅子・テーブルがあり、サンドイッチを食べようとしていたので、ちゃちゃっと、撮影は終了したのでした。yk2さんだったら、こんな晴天の撮影日和、サンドイッチには目もくれずに、、じゃなくて、サンドイッチは後にして、でしょ。

by TaekoLovesParis (2014-09-23 23:59) 

Inatimy

幅広いコレクションですね〜。
あ、これがあのヨーロッパ大陸の語源になった神話の絵ですね〜、エウロペの誘拐。 yk2さんのお話で登場して覚えました^^。
カナレットは分かりやすいですよね。 グーグルのストリートビューのように、何枚も街をくまなく描いてる感じで。 いつかベネツィアに行って、同じ風景を写真に撮ってみたい気がします♪
グルーズの「洗濯女」は、どことなく上品さがありますね。女性の履いてる靴、ヒールもあるし、やっぱりフランス、オシャレ♪
フリードリッヒ「夕闇の中の散歩」は、背景の木々の枝が繊細で、色合いが素敵。支石墓のようなモニュメントがあるのも神秘さを増す要素ですよね。

なんか作品の名前、調査をさりげなく振られてる気がするので早速探しました^^;。
たぶん、"Delusions of Grandeur"だと思います。 でも、なんて邦訳するんでしょうね? 偉大さの妄想? 錯覚?
by Inatimy (2014-09-24 00:59) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、早速調べてくださってありがとう。
私も少しは調べる努力をしたんだけど、「マグリット 彫刻 上半身」では、違うのばかり出て来て、あきらめたとこでした。それで、<Inatimyさんなら、わかるかしら>と書いた1時間後にもう答が来るなんて、すごすぎー。
Delusions of Grandeurは、誇大妄想と辞書にありました。

「エウロペの略奪」は、いろいろな画家が描いているので、お話がわかると、それぞれの違いが面白いですよ。
ヴェネツィアでカナレット風の写真撮影は、立ち位置がポイントかしら?Inatimyさんは景色の撮影がお上手だから、きっといい写真が撮れると思うわ。

グルーズも最近覚えた画家なんですが、どこの美術館にもあるし、少女の絵がほとんどで、カナレット同様、わかりやすいです。靴はオランダの木靴っぽいな、と思って私もちょっと注目しました。
フリードリッヒは静けさ+神秘を表すこの色合い、いいですよね。「窓辺の婦人」という絵は、後ろ姿で、ハンマース・ホイの絵に似てるんですよ。
by TaekoLovesParis (2014-09-25 00:05) 

nicolas

レンブラントの「エウロペの誘拐」、なんか舞台のような効果ですね。
スポットライトみたいに光に包まれてて、幻想的に拍車がかかります。
自画像も笑ってるとはオモシロイですね、しかも微笑みどころじゃない笑みで。
フリードリッヒ「夕闇の中の散歩」の色合いも素敵ですねー
by nicolas (2014-09-25 11:02) 

yk2

taekoねーさんったら、またもやinatimyさんに調べ物の丸投げをしたんですね。ヒドいなぁ~(笑)。これで何回目だろう。いなちゃん、きっといつかおなかいっぱいにエビ三昧(出来るだけ高級な食材で!)させて貰いなね。もしくは、ご返礼としてtaekoさんは『エウロペの略奪』ばかりを幾つも集めて、inatimyさんの為に特集記事を書いて差し上げるとか。どう?(うひひ^^)。
by yk2 (2014-09-25 13:16) 

coco030705

Taekoさんへ
月下美人の写真は友達がメールで送ってくれたものです。
Taekoさんは「開花待ちの飲み会」をなさったんですね。すばらしい!
開く瞬間に立ち会えるなんて、さすがTaekoさんですね。
by coco030705 (2014-09-26 17:19) 

TaekoLovesParis

にこちゃん、この「エウロペの誘拐」は、海のそばに木立、遠景に建物や停泊する船が描かれ、風景としても理想郷っぽくて私は好きです。そんな穏やかな景色の所に突然現れた白い雄牛がエウロペを乗せて、海の中へ一目散、侍女たちの驚きぶりもわかります。レンブラントは、陰気な表情の自画像が多い中、これは、めずらしいですよね。はっははと笑ってるんですもの。

小粒だけどみずみずしくておいしそう、と5個入りを買ったりんごが、固くて酸っぱいので、明日は、にこちゃんのレシピを参考に「アーモンド風味のりんごケーキ」を作ろうと思ってます。
by TaekoLovesParis (2014-09-27 01:02) 

匁

Taekoさん
G軍リーグ優勝おめでとう。

圧倒的強さで勝利しましたね。
これから、プレーオフですが、カープもタイガースも
目じゃないと思いますよ!
一応、規定により試合が行われて
こちらも応援はしますが!
照準は日本一!!!ですね。

by (2014-09-27 08:40) 

TaekoLovesParis

匁さん、ようやく優勝できてうれしいです。今年はT軍が夏の頃には、脅威でしたからね。今年は苦しい試合が多かったから、喜びもひとしおですよー。菅野の復帰でパワーアップ。エース内海も優勝を決める試合でがんばったし。長野、片岡、坂本、阿部、高橋由伸たちは、ここぞ、というときには打ちますからね。
<こちらも応援はしますが!>→ ありがとう(笑)、日本一の相手はソフトバンクと思っていたら、連敗続きの押し出し地獄もあって。。うちのTVは9chで、いつも、ソフトバンクの試合中継をしてるんですよ。だから、内川、イデホ、長谷川、柳田、、すっかり顔なじみ。
今年は野球の他に、テニス、サッカー、水泳と見るべきTVが多くて楽しいです。

by TaekoLovesParis (2014-09-27 10:37) 

TaekoLovesParis

yk2さん、ご負担をおかけしないように、スルーできるように、Inatimyさんなら、、って、ちょっとつぶやいただけですよ。yk2さんみたいに、「パリ調査員いなちゃん」なんて特別任命をしたりしません。エビはInatimyさんの大好物ですものね(笑)
<『エウロペの略奪』ばかりを幾つも集めて、inatimyさんの為に特集記事>
→ それは、「パリスの審判」を命じたのがゼウスと言われているし、エウロペをInatimyさんにご紹介なさったご縁もあるから、yk2さんが適任だと思うわ。
by TaekoLovesParis (2014-09-27 10:57) 

TaekoLovesParis

cocoさん、今、もう一度、「月下美人」の写真を見てきたところです。二重にも三重にも花びらがあって珍しい花ですよね。楊貴妃を連想させる高貴な美人。
開花の瞬間には弾ける音がする、なんて言う人がいたので、皆で耳をすましていたのですが、それはウソでした。庭で月を見ながら開花を待つ、あんな風流な会をまたやりたいけど、お花が手にはいらないです。
by TaekoLovesParis (2014-09-27 11:04) 

カエル

本当に上手いなぁと思ったら、レンブラントの「笑う自画像」でした。
やっぱりレンブラント好きですね。
先日載せていらした三菱美術館のヴァロットンチケットまで買っていたのに行けなかったです~~~涙!
by カエル (2014-09-29 14:19) 

Inatimy

調べもので私を思い出していただけるのは案外嬉しかったり^^。
現在は「オランダ調査員」になってますが、目の前に海老をちらつかせられたら、
パクッと食いついちゃって、どこにいたって任務遂行。
あ、いえいえ、私自身が知りたいって好奇心からです・・・^^;。
私もTaekoさんと一緒につぶやいてみようかな。 
yk2さんなら『エウロペの略奪』特集、いつか書いてくださるかしら・・・と。
by Inatimy (2014-09-29 15:56) 

TaekoLovesParis

カエルさん、レンブラントの「笑う自画像」、とっても自然でいいですよねー。写真で撮るときも、一瞬の良い表情を捉えるのは難しいでしょ。
ヴァロットン展、いらっしゃれなかったのは残念!カメラ的に見てもいいアングルっていう構図の絵がたくさんあったのよ。

by TaekoLovesParis (2014-10-01 23:36) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、おー調査員の鏡。Inatimyさんは、類推能力に優れてて、すぐに、「これがぴったりだと思うわ」を見つけてくださるのがすごいです!有り難いです。
ところでー、yk2さんへの「書いてください」のつぶやき*2=依頼だから、私たちが記事を読める日も近いことでしょう。
by TaekoLovesParis (2014-10-02 00:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0