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仁阿弥道八展 [展覧会(絵以外)]

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「何て読むの?」ときかれた。「にんなみ・どうはち、京焼きの人なの」
「お正月だから、七福神、見るの?」 「あ~、チラシ正面にいる「寿老人」のことを
言ってるのね。こんなのばっかりじゃないと思うわ。私、上野の博物館で、道八
の陶器をいくつか見たけど、乾山ふうだったり、仁清ふうだったりで素敵なのよ」
「あなたがそう言うなら、、」と、しぶしぶついて来た友達も、帰りには、「意外、
面白かったわー!特に下の部屋、笑えたわね」と、ご機嫌。

道八は、代々の陶工の名前で、この展覧会では、二代目道八の作品が
多かった。道八は高い技術を持っていたので、過去の名匠をまねた作品を
造った。それらは「写し」と言われ、時には、お手本以上のもので人気があった。

色絵筋文入り子茶碗(一双)
美しい!見とれる。仁清の写しだそう。こんなに美しく「写し」を造れるのだから、
茶道具の注文が殺到したというのがわかる。

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黒と赤の一双、楽(らく)茶碗。銘は「寒山」、「拾得」

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お煎茶の道具もあり、漢詩がびっしり書き込まれている「きゅうす」が素晴らしかった。

菓子鉢だろうか?「色絵桜楓文鉢」。赤が鮮やかで美しい。

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東京博物館で見て、すばらしいと思ったのも、道八の桜模様の鉢だった。
  (yk2さんの記事に、道八の鉢の写真がいくつかあります)

尾形乾山、野々村仁清の写しは、特に素晴らしく、本家以上かとも思われる
作品があった。

時節柄、「雪竹模様小鉢」も良いなーと思った。

階段を下りて、3階へ行くと、ようすが一変する。
3階には、彫刻っぽい作品が勢ぞろい。
ちらしにある愛嬌あふれる顔の「寿老人」
かわいくて気に入ったのは、「猿」。そばで見ると、猿の毛のふさふさした感じが
ホンモノそっくりにできている!顔もポーズも愛らしい。
「たぬき」は、なんと炉の蓋になっている。座ってる座布団が炉の蓋である。
得意げな顔が何とも言えず、笑いが込み上げる。「俺が炉の番をしてるんだぜ」。
裏にまわって見ると、尻尾がちょんと出ていた。

saru.jpgtanu.jpg

猫の手あぶり(火鉢)、山羊の手あぶりもあって、どれも、表情がかわいい。
道八の観察眼の素晴らしさ、ユーモアたっぷりに造形して行く力、まさに天才。

160点と作品の数が多いので、見応えがあった。
気楽に見れるし、楽しいしで、おすすめの展覧会です。


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コメント 14

moz

写しの達人、きっと技術が抜群なのですね。それでいて、オリジナリティがあるから、元以上に美しくなったりしてしまう。
日本の職人さんは芸術家なんですよね。それは西洋とは違うのかも?
タヌキの表情良いなぁ~、見る者をちょっと小馬鹿にしているような、飄々とした顔つきですよね 笑
こういう古だぬきっぽい住職さんとかどこかの山寺にいそうです ^^;
焼き物も面白そうですね。美術って本当に奥深いと思います。今年は色々と見てみたい。ご紹介、これからもよろしくお願いします。
お忙しいのに、コメントいれて下さって、本当にうれしいです。ありがとうござました。 m(__)m
by moz (2015-01-25 06:26) 

baby_pink

どれも味わいのあるものばかりですね.。
ここにお写真を載せてくださっているのだけでも
魅了されてしまいました~。✿。
写しも素晴らしいですし、漢字がしきつめられているの「きゅうす」
も見てみたいなぁ。。茶碗も両手で持ってみたいです。微笑。
菓子鉢の赤も本当に鮮やで気持ちも華やぎますね。

のびのびとまじめに。
うんうん。とうなずいてしまいました。^^
by baby_pink (2015-01-25 07:18) 

coco030705

こんばんは。
サントリー美術館、一昨年に行っていい美術館だと思いました。カフェもいい感じでした。
作品では色絵筋文入り子茶碗がとても美しいと思いました。これは逸翁(いつおう)美術館蔵なんですね。この美術館は阪急電車と宝塚歌劇の創立者小林一三さんのコレクションを展示している関西の美術館です。こじんまりとしていい美術館です。それからお猿さんの像はとてもかわいいですね。たぬきも面白いです。猫のてあぶりはいちばん上のポスターに写真がでているものでしょうか。ほしいです♡


by coco030705 (2015-01-26 18:23) 

チョコローズ

これ、行こうかどうしようか、悩んでいます。
チョコシーズンが終わったら行ってみようかな。
鑑賞後は虎屋カフェで甘いもの・・・とお帰りルートまで考えています。
by チョコローズ (2015-01-26 23:08) 

TaekoLovesParis

チョコロさん、3月1日までだから、一年で最大のイベント=バレンタインが終わってから、行くかどうか考えたほうがよさそうですね。ミッドタウンの虎屋カフェは行ったことないんです。いつも展覧会を見終わった途端に入れるミュージアムカフェ、加賀の不室屋になってしまう。麩まんじゅうがつるりと美味しい店です。抹茶との組み合わせがいいらしいけど、展覧会帰りはコーヒーが飲みたいから、いつもコーヒーと麩まんじゅうという変則的な組み合わせです。
バレンタインは毎年、チョコロさんの記事を参考に、伊勢丹、高島屋に出かけてます。朝早く行かないと、混むのよね。
by TaekoLovesParis (2015-01-26 23:30) 

TaekoLovesParis

cocoさん、こんばんは。
サントリーは大阪の天保山にも美術館があったけど閉鎖になりましたね。天保山というから、山の中の美術館だと思っていたら、cocoさんの記事で海がある写真を見て、「あら?」と思いました。立派な建物だったのに、今は、、と気になって調べたら、大阪府に寄付されて、イベントに使われてるんですね。よかった。
カフェは、私も吸い込まれるようはいってます。

逸翁美術館という名前、変わっていると気になっていたのですが、小林一三さんのコレクションですか。なるほどー、です。
猫の手あぶりは、黒の楽焼に銀彩を施してあるので、銀光して、写真ではあまりはっきりしないのですが、実際に見ると、ちょこんと座ったポーズがかわいいです。りーちゃんに似てる?
by TaekoLovesParis (2015-01-26 23:43) 

TaekoLovesParis

pinkちゃん、<どれも味わいのあるものばかり> → ほんと、そうでした。特に動物シリーズが、ユーモアたっぷりでかわいいんです。菓子鉢も桜に楓と派手ですが、晴れやかな気持ちになります。鉢の内側にもびっしり絵付けされていて豪華。きゅうすの文字は歌なんですって。さらに絵付けもされてるのよ。
まじめに、がついてるところが面白いわね。遊びすぎないよう戒めてる?
by TaekoLovesParis (2015-01-26 23:52) 

TaekoLovesParis

mozさん、おっしゃる通り、技術抜群が、見ていると、びしびし伝わってきます。
日本では、茶道具として、茶碗、水指、香入れ、菓子鉢などの陶器が発展したけれど、西洋では王侯貴族の晩さん会用の食器が主だったんでしょうね。
タヌキ、ちゃんと袈裟を着てるのが笑えますね。住職に化けたのに、残念ながら、尻尾が出てるのが、余計、かわいいです。
陶器も見始めると、奥深くて、面白いです。値ごろなものなら、使う楽しみもありますしね。私は食べるのが好きだから、どの器に何を入れよう、って考えるのが好きです。
by TaekoLovesParis (2015-01-27 00:05) 

yk2

下の階でお友達が何に喜んでいたのか、ちょっと想像つくけどエレガント部の部長であるtaekoねーさんトコのコメント欄では文字にしにくいですね(^^;。ご機嫌ねぇ・・・(笑)。
by yk2 (2015-01-27 00:21) 

匁

おはようございます。
匁もしぶしぶついて来た
お友達と同じ心境です。
陶芸品、よくわかりません?。
七福神は瓢箪にも描いて町の美術展に出品したことあります。しかし、
テレビの なんでも鑑定団 を見ていると
300万円表示が500円と言われたり。
江戸時代からの御茶碗と鑑定されても1000円だったり。
本物で、よほどの著名人の作品でないと高額にはならないみたいです。

by (2015-01-27 08:14) 

Inatimy

面白そうな展覧会ですね。 いろいろと仁阿弥道八の作品を検索して見ていたら、
あっという間に時間が経ってしまいました^^;。
私の好みはやっぱり、猫の手あぶり、山羊の手あぶりです。
使いながら本物の猫や山羊のぬくもりが思い出されそうで、ホッとするかも。
お猿さんの丸みも、冬の寒い日のふっくらとした毛のようで、優しい感じ。
色絵桜楓文鉢もいいですね。
子供の頃、実家にあった透鉢など(もちろん仁阿弥道八のじゃないですが^^;)を
洗いにくいな、と面倒に思ってましたが、ようやく菓子鉢っていいかも、と思うように。
by Inatimy (2015-01-28 17:04) 

gillman

ぼくも行きました。テレビで見ていると陶器とくに茶碗などは、これのどこが凄いのと思ってしまいますが、本物を間近に見るとやっぱり違いますね。なんか手に取って掌の中に入れてみたくなります。新鮮でした。
by gillman (2015-01-29 09:50) 

あやっぴぃ

ステキですね♪-60点はかなり疲れそうですけど…(;^_^A
by あやっぴぃ (2015-01-29 22:28) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲yk2さん、なんかぁ、どれのこと言ってるのかしら。宇須女オバサンじゃないですよね。
「人面徳利とか面白いけど、実際に使うのはね~。こんな睨まれたら飲めないでしょ」とか「鬼面のついた炉」の奇妙さ?を見ながら笑ってたんですよ。
yk2さんは、紫陽花がお好きだから、紫陽花模様の鉢がよかったのかしら。手つきで可愛いのもありましたね。

▲匁さん、<しぶしぶついて来たお友達と同じ心境です>→ 笑いました。
七福神の香合がありました。七つ、それぞれ、小さくて、ころころっとして、可愛らしかったです。なんでも鑑定団では、ニセモノっていう判定の方が多いですね。
道八の国立博物館にある「タヌキの置物」に似せて作ったものが出たことがあって、「おみやげ品」クラスと言われてました。

▲Inatimyさん、道八は京焼だから、Inatimyさんには馴染みがあるのかしら?って思ってました。やはり、透鉢がおうちにあったんですね。日常の器として使われていたとは、いいですね。絵付けが派手な鉢は使うより、観賞用として眺めていた方がよいと思いました。
動物シリーズは、どれも感心するかわいさ、リアルさです。猿も羊も毛の表現がすばらしかったです。手あぶりって大きくないんですね。だから、猫はホンモノの大きさに近かったです。

▲gillmanさん、いらっしゃいましたか!深く考えずにさらっと楽しめますよね。
お茶碗は、手触りが大切ですものね。掌に入れたくなるって、茶道具として最高ですね。焼き物は立体だから、写真では魅力が全部伝わりませんね。

▲あやぴいさん、やはり、茶道具は日本の文化ですね。いいお茶碗はじーっと眺めてしまいます。2つのフロアを使っての展示だから、歩いてないようでも、結構、歩いてるかもしれません。

by TaekoLovesParis (2015-01-31 01:19) 

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