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フランス印象派の陶磁器展(2014年6月) [展覧会(絵以外)]

前記事のケーキが、アビランド社のお皿にのり、コーヒーカップもアビランドの
だったので、パナソニック汐留ミュージアムで昨年6月に見た「フランス印象派の陶器展」
の記事を仕上げていなかったのを思い出した。

「フランス印象派の陶磁器展」は、フランスのリモージュ陶器会社アビランド社の
コレクションを中心に構成されていた。
アビランド社は、当時、人気があった画家・版画家のフェリックス・ブラックモンに
絵を依頼、デザインをウジェーヌ・ルソーが担当した「ルソーシリーズ」を製作、
第一回印象派展に出品し、人気をよんだ。
ブラックモンは北斎漫画にヒントを得たジャポニズムのモチーフで鳥を描き、
ルソーはそれまでの皿は左右対称、という構図から脱した自由なデザインをした。
左)雄鶏に熊蜂図皿(1867年)  「ルソーシリーズ」
右)「花鳥図大皿」(1878年)レオン・パリゾ作、ボルドーの工房作品。日本の花鳥図
に見えるが、こんな鮮やかな色の鳥は日本画にない。

 

HavillandRousseau.jpg

「ルソーシリーズ」のテーブルセッティング(テーブルセッティングのみ写真撮影可だった)

JaponismRousseauSeries.jpg

ナフキンは青。花は青と補色の黄色。色の構成がすっきりしていた。

この展覧会では、テーブルセッティングと壁に名画、という展示もあった。
「海草シリーズ」(アビランド社リモージュ、1874年) ティータイムセッティング。
壁の絵は、左はギュスターブ・ロワゾ―の「フレール岬」1906年
右は、ルノワール「帽子をかぶった2人の少女」 パステル画

HavillandJaponism2.jpg


小さくて見えないが、壁の絵、2つともルノワール。左は「桃」(1871年)、右、「カーニュの農園」
                                    
赤い花はアマリリス。8人用のフォーマルセッティングで、食器は「パリの花シリーズ」
アビランド社リモージュ。1883年

HavillandJaponism.jpg


アビランド社の芸術監督となっていたブラックモンは、新しい技術を持っていた
陶芸家エルネスト・シャプレと出会い、「バルボティーヌ」という絵柄が従来より
いきいきとする技法で作品製作を開始した。
左)秋景図大皿 ブラックモン アビランド社 オートゥイーユ工房 1874年 
この皿はアビランド社に芸術品として保存され、販売はされなかった。

HavillandBlackmon.jpg

 右)シスレーの絵「マントからジョワジェル・ロワへの道」(吉野石膏財団)


印象派やジャポニズムの影響を受けて、1866~1886年当時、どんな陶器が制作
されていたのかを見ることができた。また、同時代のルノワールやシスレーの絵も
展示してあるのがよかった。

左)草花燕図水さし レオン・パリゾ アビランド社 オートゥイーユ工房 1876~83年
右)黒地金才彩花図水さし アビランド社 オートゥイーユ工房 シャルル・ミドゥー
1876~83年 濃い紫色の地に金色の草花は、日本の漆工芸の蒔絵にそっくり。
Balbotine.jpg  Barbotine2.jpg

日本に憧れた19世紀後半のパリでの作品、そっくりなものから、似かたが変
なものまで、それなりに面白かった。


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コメント 4

yk2

この展覧会、もうすっかり忘却の彼方でした~(^^ゞ。

僕はセルヴィス・ルソーとブラックモンの関わりだとか、フランスに於ける本格的なジャポニスムの流行の発端だとか、「北斎」の影響だとか、そんな観点ばかりに注目してこの展覧会を観に行ってしまったので、その点でしっかり空振りでした(^^;。あくまで「印象派の陶磁器展」でしたものね(苦笑)。

とはいえ、油絵のマチエールそのままに絵を陶器に乗せてみました!的な作品群は、果たしてこれを「印象派」と呼ぶに相応しいのだろうか???と思ってしまったのも事実。そもそも、1874年って年は第1回印象派展開催の年であって、今語られるような印象派の定義はまだ何も無い(いわゆるサロン落選者合同展覧会だもんね・・・^^;)わけで、展覧会のチラシに使われていた(この展覧会で一番に印象派的であった)アビランド社の草花燕図水差しも、76年当時アナーキーと蔑まれた印象派をどれほど意識していたろうか?と云う疑問が湧きました。たしかに、この水差しに描かれた絵のタッチはとてもルノワールっぽいんだけど、印象派陶器って呼び方は、どうしたって現代の後付けっぽいよな~って。この辺りの背景は図録を読んでお勉強したかったですが、買わなかったので今以て解らずじまい~(^^;。

by yk2 (2015-03-03 18:58) 

TaekoLovesParis

yk2さん、私もこの展覧会に、印象派と銘打つのはどうだろう、って思いました。
きっと主催者も、アビランド社のコレクションだけで、印象派陶器とは言い難かったから、印象派の絵、ルノワール、シスレー、ピサロ、モネを国内の数か所から借りて来て、辻褄合わせたんでしょう。タイトルは「ジャポニズム」の方が的確だったと思います。

ブラックモンの名前を知ったのは、映画「夏時間の庭」です。敷地内の野の花をつんで入れていたガラス器が、ブラックモンの作品で、価値ある美術品として、キーになってましたね。その後、北斎漫画をフランスに紹介、ジャポニズムを広めたのはブラックモンと知って、興味がわきました。だから、この展覧会はブラックモンの陶器目当てで出かけました。行ってみたら、実際、ブラックモンの陶器が核をなし、後半は日本の茶の湯の鉄瓶っぽいティーポットや、中国の赤い陶器っぽいものもあり、印象派と無関係っぽかったです。たぶん、印象派というネーミングで時代が特定できるし、お客さんをよべるからなのでしょう。
私も図録を買いませんでした。
by TaekoLovesParis (2015-03-05 01:26) 

Inatimy

ブラックモンにルソー・・・聞いた覚えがあると思ったら、以前コメント欄で教えてくださってましたね、「ショーウィンドー水族館」の記事アップした時に^^。
ほしいのは「ルソーシリーズ」かな。青い縁取りが爽やか。熊蜂も日本画や版画などによく登場するモチーフなのかしら。
ティータイムのセットに海草というのも不思議な組み合わせ。海草見たら潮の香りが浮かんでくるし、それでお茶を楽しむとは・・・どこか意外な感じが。
テーブルセッティングの花のアレンジメントも素敵ですね^^。
by Inatimy (2015-03-05 07:32) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、よく覚えててくださって感謝~。そう、魚のお皿からイメージがふくらんだのでしたね。このテーブルセッティングは、日本人がしてるの。だから、私達には、心地よく見えるんでしょうね。オランダの人が担当したら、もっと奇抜かもしれない。海草シリーズは貝殻も絵にはいってて、それなら、Inatimyさん、大丈夫でしょ?お花、すてきでした。みっしり活けると量感があってゴージャスになりますね。ピンクの花は蘭の種類でした。
by TaekoLovesParis (2015-03-08 01:56) 

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