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マノン・レスコー [オペラ、コンサート、バレエ]

 きょうは東日本大震災から4年目を迎えた日。
3年前の3月15日に、このオペラを見に行く予定だったが、震災が発生。
舞台稽古で来日していた歌手たちは、急遽、国に帰り公演は中止になった。
そのオペラ「マノン・レスコー」が、同じスタッフ・歌手で、公演されることになり、初日
(9日)に出かけた。

manon.jpg

マノン・レスコーは、親友歌姫が、「一番好き」というオペラで、話は何回もきいているが、
私は見るのが初めてだった。同行の友達は、飼っている犬の名前が、マノン。
「あら、やだ、マノンって女の人の名前だったのね。うちはオス犬なのよ」

歌姫がなぜマノンを好きかというと、「まず、プッチーニの曲、アリアがすばらしい、
次にストーリーが面白い。ああいうタイプの女の人は、日本にはいない!激しい」
実際、見て、その通りだと思った。

ストーリーは、
18世紀後半、フランス、アミアン(大聖堂が有名)の近くの旅籠。
騎士デ・グリューは、旅籠にぽつんと一人座っているマノン・レスコーの美しさに
惹かれ、声をかけると、「修道院に入るので、連れて行ってくれる兄を待っている
」との答え。大蔵大臣ジェロンドは、美しいマノンを愛人にしたいとマノンの兄に
話をもちかけていた。それを知ったデ・グリューは、マノンに積極的に言い寄り、
パリへ駆け落ちする。

マノンはデグリューとの貧乏くらしに耐えられなくなり、大臣ジェロンデの愛人
となって、贅沢三昧な暮らしをしている。しかし、デグリューとの愛の生活が
忘れられずにいると、突然、デ・グリューが現れる。マノンは許しを求め、熱い抱擁。

manon2.jpg

そこにジェロンデが帰宅し、「警察を呼ぶ」と怒って去る。マノンは宝石類を持って
逃げなくちゃと荷造りに手間取り、逮捕されてしまう。
アメリカに流刑されるマノンの乗る船に水夫として乗船させてもらうデグリュー。

アメリカでもマノンは問題を起こし、デグリューと荒野へと逃げるが、疲れて、
歩けなくなり、デ・グリューの腕の中で愛を語り息絶え、デ・グリューは号泣する。

[台風]

美貌のマノンは、ブルガリア人のスヴェトラ・ヴァッシレヴァ。顔が小さく細身。
宝石への執着ぶりを滑稽に演じて上手だった。アリアも素晴らしかった。
後半、荒野で死にそうな場面でのアリアは、前半の軽さと対照的でみごとだった。

ひたすらマノンを愛し続ける誠実なデグリューは、イタリア人のグスターヴォ・ポルタ。
甘いだけでなく、豊かな表現の声。マノンを愛したゆえの苦悩がじーんと伝わる。

衣装は、マリーアントワネットと同時代なので、ロココ調。白を基調にしていて
お洒落で豪華。
マノンの兄、レスコー役のダリポール・イェニスが長身でかっこよかった。
大臣ジェロンドは、妻屋秀和。この人は、声も体格も良いので、外人キャストに交じっても
ひけをとらない。

指揮: ピエール・ジョルジョ・モランディ
演出: ジルベール・デフロ


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コメント 10

hatsu

魅力あるストーリーですね♪
「マノン」という映画を観ようと思っていたので調べたら、
このお話をモチーフにしていたようですね^^
「マノン・レスコー」、いつか観てみたいなぁ。
by hatsu (2015-03-13 05:59) 

TaekoLovesParis

「マノン」という映画もあるんですね!ドラマティックだから、映画にぴったりでしょうね。このオペラ、マノン役を重量級のソプラノがすると、イメージ崩れるみたいです。
by TaekoLovesParis (2015-03-13 12:55) 

angie17

Taekoさんの解説を読んでいたら、
見たくなりました。
BS放送とかで、でやらないかな?(笑)
by angie17 (2015-03-13 17:22) 

Inatimy

話を読んでるうちに浮かんできたマノンの人物像から、最初いったいなぜ修道院に?と。
修道院でも問題が起こってたかもしれませんね・・・^^;。
衣装が黄色なのも、ふと信号みたいに注意を促す色?なんて思ってみたり。
愛と贅沢、どちらかではなく、どちらも必要なマノン、
荒野で息絶えちゃうのは可哀想だな。 でも最後は愛だったのね。
by Inatimy (2015-03-13 21:48) 

yk2

あら、やだ、マノンって女の人の名前だったのね。うちはオス犬なのよ・・・に一人、ゲラゲラと笑ってしまいました。

フランス文学者の鹿島茂の本に『悪女入門 -ファム・ファタル恋愛論』ってタイトルのがあるんですが、その冒頭で、フランス文学の歴史の中で真にファム・ファタルの名に値するに相応しいヒロインが登場したのは、衆目の一致するところ1731年にアヴェ・プレヴォが書いた『マノン・レスコー』であるって紹介されてるんですよね。恋心を感じた男を破滅させるために、運命が送り届けてきたかの様な魅力を持つ女。オトコとしては、生涯の内に一人くらい出会ってみたいような、みたくない様な・・・(^^;。
by yk2 (2015-03-14 01:10) 

Inatimy

↑ オム・ファタルっていうのはないのかしら?
by Inatimy (2015-03-14 07:47) 

yk2

オム・ファタルなどとカッコ良く呼ばれる前に、それは所謂「ヒモ」ってヤツだよね~(苦笑)。悪魔的なまでに美しい容姿でオンナを破滅に導くヒドいヤツ・・・ってか(笑)。

因みに、「運命の女」も、基本、無意識の内の悪魔じゃないといけないんだって。無邪気と悪魔は紙一重(by青柳いづみこ)ってヤツね。お金に執着しているワケじゃないけど、結果的に湯水のようにお金がかかる、愛を育てるにはお金って肥料がたっぷりないとね~って、ごく当たり前に思っちゃうオンナ(^^;。

taekoねーさんは、意外にこの手のお話がお好きなんだよねぇ、サロメちゃんにカルメンしかり。無意識の意識中に”破滅させたい願望”でもあるのかしらん?(笑)。
by yk2 (2015-03-14 10:49) 

e-g-g

「トスカ」、「蝶々夫人」、「ラ・ボエーム」、そして「マノン・レスコー」、
どれもストーリーだけを追えばその甘さとお涙頂戴に辟易しそうなのに、
アリアを聴いた瞬間、そんなことはどうでも良い、
ただただ美しい音楽に耳を傾けよう、そう思えてしまうんですね。
でも、その親しみやすさの奥にプッチーニの才能はしっかりと刻印されている、
だからこれだけ上演されるんですね。
歌舞伎の名場面の名台詞を聞くときの快感に似たものがあるかもしれません。
by e-g-g (2015-03-15 19:17) 

moz

震災で中止になった公演のリベンジなんですね。
同じキャストでの公演。きっと演じる方も他の公演とは違うでしょうし、見る方もその時見ることになっていた方達も多いのでしょうね。
読ませていただいて、素晴らしい公演だったんだろうなとおもいました。
マノン・レスコー、曲は少しだけ聞いたことありましたが、粗筋を知ったのは初めてです。最後は可愛そうですね。 
by moz (2015-03-20 06:03) 

TaekoLovesParis

全く、お返事をしてませんでした。遅くなりましたが。。
▲angieさん、「マノンレスコー」は日本では、上演機会が少ないオペラだけど、BSでやるといいですね。

▲Inatimyさん、<衣装が黄色なのも、ふと信号みたいに注意を促す色?>→
うまいなぁ。なるほどね。人目を惹くような色を選んで着るんでしょうね。
<愛と贅沢、どちらかではなく、どちらも必要なマノン> → まさにその通り!
ちょっといい男の人を見ると、自分に注目させたくなるんでしょうね。そこだけに心血を注ぐって、すばらしいです。私はできないから、憧れます。

▲yk2さん、鹿島茂のそんな本があるんですねー。マノン・レスコーは、うちにあった中央公論の「世界の文学」にはいっていたので、高校の時、読んで、友達と、作者が、「アベ・プレボ」、安部くん?って笑ったのばかりが印象に残っていて。。
<オトコとしては、生涯の内に一人くらい出会ってみたいような> → そうでしょうね。でも破滅はごめん、って思ってるでしょ(笑)

<愛を育てるにはお金って肥料がたっぷりないとね>→そうだと思う。変化がないと結局は飽きちゃうから、変化のためにお金がかかるわけで。。どんなに貧乏でも彼さえいればいいわ、って言ってても、長くは続かない例を見てるし。

<サロメちゃんにカルメン> → ヨハネもホセも、サロメ、カルメンからの愛のメッセージにつれない態度だから、サロメもカルメンも怒っちゃう。美貌とモテ度には自信があるから、「私を無視するなんて」と恨み、破滅へと仕組んでしまう。私が破滅させたい願望、そんな疲れること、しません、望みませんって。

▲e-g-gさん、もう、その通りです!私が言いたいことをすべておっしゃっていただいて、ます。オペラでも歌舞伎でも何百年も続く出し物は、ストーリー、音楽、歌手(役者)の三拍子がそろっているからでしょうね。

▲mozさん、プログラムやチラシに使ってる写真は、3年前の舞台稽古の時に撮ったぶんなんですって。こういうものも使われずに眠っていて、出番を待っていたんですね。
オペラは悲劇で終わるものがほとんどですが、やはり、わかっていても、「私が死んでも愛は死なない」と歌い、息途絶える最後は、胸がつまります。
2幕目と3幕目の間のもの悲しい間奏曲にも、じーんと来ます。間奏曲は次の幕を予想させるだいじな役割をしてるってわかります。機会があったら、聴いてみてくださいね。
by TaekoLovesParis (2015-04-25 12:38) 

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