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ルオーとフォーヴの陶磁器 [展覧会(絵以外)]

panf.jpg

東京・汐留のパナソニック汐留ミュージアムで「ルオーとフォーヴの陶磁器展」を見た。

チラシを見たら、「マティスの花瓶がさわやかで明快、アンドレ・ドランの花瓶も華やかで
幾何学模様がいいなぁ、メテのも興味深い」、というわけで、見に行った。

内容的には、「アンドレ・メテの陶芸と絵付けの画家たち」だった。
展覧会のタイトルは集客のために、ルオー、フォーヴを前面に出す、とわかった。

アンドレ・メテ(1871~1920)は初めて聞く名前。
メテは独学で陶芸を学んだ。丁度、時代が、絵より低い位置にあった陶芸をアートとして
高めようとしていた時だった。
メテは、初めは炻器(stone ware)… 陶器と磁器の中間の性質をもつ焼き物で堅牢
その後、ファイアンス…素焼きの器に錫釉をかけ絵付けした後、低温で焼く、脆い。
さらに、施釉陶器という彩り豊かな装飾で防水性が強化されたものに辿りついた。

メテの作品は絵付けの色とデザインがすばらしい。魅了されてしまう。
大皿「アダムとイブ」(1909年)
中央がアダムとイヴ。オレンジの果実で満たされた楽園。
知恵の木が中央にあり、ヘビが巻き付いている。周囲には12の守護神?
MeteAdam&Eve.jpg

花瓶「幾何学模様と野うさぎ」(1910年)
メテの模様には、花、動物、幾何学模様が多い。イスラム陶器の影響なのだそう。
VaseLievre Mete.jpg

花瓶「植物と鳥」(1909年~20年)
薄紫色の地と模様の紫と緑色の取り合わせが綺麗。
メダル型の中に鳥が5羽づつ描かれている。
この他にメダル型の中に雲が描かれたもの、水鳥が描かれた花瓶があった。

MeteMotifsVege Medaillons.jpg

植木鉢、金縁の観賞用ティーカップとソーサーのティーセットも展示されていた。


次の部屋に移ると、メテが作った素焼きの陶器(ファイアンス)に当時の画家たちが
絵付けをしたものが展示されていた。
有名な画商ヴォラールの誘いで、画家たちがメテの工房に集まり、絵付けをしたのだった。

左:マティス「装飾的な花」(1907年)
ひとめでマティスとわかる明快な作品。[黒ハート]

右:ヴラマンク「花瓶 薄紅と黄の花、青と緑の葉」(1907~1909年)  

doran (2).jpg bramanc.jpg


左:アンドレ・ドラン「幾何学模様」(1907年)
右:ルイ・ヴァルタ「花瓶 レダ」(1907年)
この位置では見えないがレダの左手の先に白鳥がいる。立体感を出すため、
ハッチングがされている。


doran (1).jpg   LedaLouisValda.jpg  

  
画家たちによって描かれる絵は、花の他に裸婦が多い。
ルオー「花瓶 水浴の女たち」(1909年)は、チラシに使われている。


画家絵付けの陶器は、売れなかったので、ヴォラールが手を引いたため、
画家たちが工房に集まることもなくなってしまった。
しかし、ルオーだけは、陶芸が気に入ったのか、その後もメテ工房に通い続け、
たくさんの作品を残した。

陶芸作品でも、ルオーは独自の色づかいで、裸婦が多い。
ティーセット(1911年)

ReautTeacup.jpg

なかなか面白かった。それぞれの画家が絵付けをしても、やはり画風の特徴が
はっきり表れていた。
マティスの陶器の横に、「中国の花瓶」(ポーラ美術館)という絵も展示されていたが、
絵は、他にブラマンク1枚とルオーが数点だった。

MatisseLe vase chimais.jpg

 


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コメント 14

ぶんじん

画家たちの饗宴、という感じで楽しいですよね。
by ぶんじん (2015-06-07 22:20) 

moz

都美術館に行った時にパンフレットがあって、この展覧会が目に留まりました。
何と言っても大好きなルオーの名前があるので ^^
そうですか、ルオーはあるけれど中身はアンドレ・メテが主役の展覧会なんですね。
ちょっと残念と思いきや、そんなことはないみたいです。見せて頂いてとても面白そう!!
アンドレ・メテ、面白そうな芸銃火さんですね。ちょっとプリミティブで、ギリシアとかミケーネっぽくて、実物を見てみたいと思いました。
マチスやルオーの作品も面白そうです。汐留ミュージアム、最近行っていないし、散歩しながら行ってみます。 ^^
by moz (2015-06-08 05:29) 

TaekoLovesParis

ぶんじんさん、はい、その通りでした。マティスとブラマンクのように同じ形の素材を使っていると、特に違いが明白で面白かったです。
by TaekoLovesParis (2015-06-08 21:59) 

TaekoLovesParis

mozさん、全体の構成は3室。最後の1室が全部ルオー部屋です。この部屋にはいった時、mozさん喜ぶでしょうね、でも、陶器はどうかな?って思ったんですよ。
メテとルオーは同じ年齢なんです。だから気が合って、他の画家が去った後、7年も通ったんでしょうね。7年なので、作品もたくさんあります。箱のふたが道化師の顔のとか、陶板で道化師の涙もありました。私は初めて見た裁判官シリーズ(結構大きい陶板)がいいなと思いました。絵もかなりの数、展示されています。ルオーをたくさん持っている出光から借りてきた絵もありました。ご覧になると新たなルオーが見えてきて面白いと思います。
by TaekoLovesParis (2015-06-08 22:17) 

Inatimy

アンドレ・メテ・・・初めて聞くような名前だけど
アダムとイヴの姿にかすかに頭の中にゆらめく記憶が・・・と思ったら、
過去にこの陶芸家さんの作品見たことありました。
モーリス・ドニの美術館で装飾暖炉を♪ André Mettheyだから、
名前の読み方が分からなくて、メッテイ?などと書いてました^^;。
それもウサギがモチーフに。
マティスの花瓶、シンプルな線がいいなぁ。 
洗面台も陶器だから、こんな絵がついていたら朝から気分良さそう♪
アンドレ・ドラン「幾何学模様」の花瓶も案外いいかも。 絵は赤やピンクがどぎつくって、一歩後ずさりしてしまうんですけどね^^;。
by Inatimy (2015-06-10 18:36) 

匁

ルオーの陶芸ですか?
やっぱり黒い線が太くてゴツゴツした絵になっているんですね。

またまた堂上 4-4 活躍しました。
首位の座がっちり固めて下さいね
by (2015-06-12 08:31) 

TaekoLovesParis

匁さん、陶器に絵付けをしているので、やはり絵の特徴がそのままでますね。
ルオーの黒い輪郭線と色合いの特徴がはっきりでますね。匁さんは陶板に絵付けをなさったこと、ありますか?瓢箪の絵のお皿、楽しくて良さそうですよ。

昨日は堂上と相川の活躍でようやく連敗地獄から抜け出しました。
DeNAとG軍が負けてる間に、首位と2.5ゲーム差になってるのは、なんとT軍。交流戦になってから勝ち越しカードが多く調子が上がってますね。今日はまだゼロゲーム続いてますね。
by TaekoLovesParis (2015-06-12 21:11) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、ドニの「ル・プリウレ」の記事、見てきました。メテの暖炉、中央の模様が「葡萄に鹿に女性たち」と楽園をイメージしてるみたいですね。ウサギは得意なモチーフだったんですね。Inatimyさんのように、きちんと丁寧に細かく記事を書いてくださってると、こうして後から見るとき、役立ちます。

マティスのこの作品は、南仏を思い浮かべる明るさでいいですよね。ドランの絵に後ずさり、わかりますよ。ヴラマンクも私にとってはドランと同じく苦手タイプだけど、ここの花瓶の絵つけは、まぁいいなと思いました。
by TaekoLovesParis (2015-06-12 22:16) 

moz

ありがとうございます。ルオーは一部屋あるんですね。
それはうれしい情報です。行ってみます ^^
by moz (2015-06-14 04:31) 

コザック

おはようございます。
こちらの記事でさいごのマティスの作品が来ていると知り、行ってきちゃいました。
新しい試みの絵付けに圧倒されまくりの展示でした☆もっとメテを強調してもいい展覧会だと思いますよね。
ドラン・・苦手なんですネ(^^)
by コザック (2015-06-14 10:44) 

TaekoLovesParis

mozさん、展覧会のタイトルが、ルオーなのは、パナソニックがルオー作品をたくさん持っているからなのだと思います。私には今まで見覚えがないルオーの絵があったし、mozさんのお好きなブリジストンの「郊外のキリスト」との連作のような2人の子供とキリストの絵もありました。うまく時間の都合がつくといいですね。
by TaekoLovesParis (2015-06-15 02:04) 

TaekoLovesParis

コザックさん、いらしてくださったんですね!
マティスのこの絵は、絵付けの花瓶つながりで出展されていたんだと思うけど、
ゆったりとした文化的な豊かさが伝わってくる空間ですね。
メテの陶器の良さに惹かれて画家たちが集まり、絵付けをしたのだから、主役はメテですよね。でも、パナソニックはルオー作品をたくさん持ってるから、ルオーを強調したかったんでしょう。
ドランの強い輪郭と強烈な色合いがあまり好みでないのですが、後期の作品群は、新鮮さと力強さがあって、嫌いではありません。
by TaekoLovesParis (2015-06-15 02:17) 

カエル

マティスの花瓶のデザイン、好きだなぁ。
こういうシンプルで軽快な色合いが好きです。
植物と鳥のブルーも綺麗だけど、薄紫色の地の部分もいいなぁ。
by カエル (2015-06-19 15:51) 

TaekoLovesParis

kaeruちゃん、マティスのこの色合いは、梅雨のうっとおしさを吹き飛ばしてくれそうな明快さですね。
薄紫の、実物はもっとすてきです。アンドレ・メテ、フランスだったら、皆が知ってるんでしょうね。柿右衛門のようにね。
by TaekoLovesParis (2015-06-22 22:37) 

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