SSブログ

7月歌舞伎 [演劇、ミュージカル、Jazz]

歌舞伎座へ「七月歌舞伎」を見に行った。
チケットを取ろうと、ネットで調べたら、売り出して一週間ほどの6月なのに、
一階の一等席が満席。空いててもひとつだけ。2人並んで取るのがムリだったが、
桟敷があいていたので、ほっとする。

出し物は、時代物の名作「熊谷陣屋、一谷ふたば軍記」と世話物の「怪談牡丹燈籠」。
夏は怪談ですものね。

7kabuki.jpg

●一谷軍記 熊谷陣屋
熊谷直実… 海老蔵
義経… 梅玉
相模… 芝雀
藤の方… 魁春
弥陀六… 左団次

「一枝を伐らば一指をきるべし」と満開の桜の木の下に立札が立っている。
単に枝を伐るな、という以上の言葉と後ほどわかるそうだが。。

平敦盛を撃ち、功名をたてた直実が陣屋に戻ってみると、妻の相模が出迎えた。
「陣屋には来てはいけないと言ったのに」と、なじると、「初陣の息子小次郎が
心配だったから」との答え。そこへ敦盛の母、藤の方が現れ、「息子の仇」と
直実に斬りかかるが取り押さえられる。直実は昔、藤の方に仕えていた相模と
恋中になった経緯があり、藤の方は直実夫婦の恩人。
義経が現れ、敦盛の首実検をする。討ち取った首がホンモノか確かめる。
びっくり!首は敦盛でなく小次郎。しかし、義経は、動じず、「よくも討ったりな」
実は、敦盛を救うようにと義経からの密かな命令があったのだ。
大役を果たし、わが子を失った直実は出家する。「十六年は夢のごとし」が
最後の言葉である。

「一枝を伐らば一指をきるべし」、最後になっても、うまく結びつかなかった。
浄瑠璃を全部、聴きとれてないからかな?
海老蔵が、体をいっぱいに使った大きな演技で、上手くなったと思った。
睨みをきかせたり、ポーズをとったりの時に、「成田屋!」と声がかかるが、
声が小さく威勢がない。だから、拍手もおきない。せっかくの演技なのに、、
と思ったが、私は、「成田屋!」という度胸はないし。。

●怪談牡丹燈籠
伴蔵… 中車
お峰… 玉三郎
三遊亭円朝… 猿之助

怪談なので、暗い舞台。
大川の上を船が進んで行く。「新三郎さま」しか言わない恋の病の
旗本の娘お露。船は器用に舞台の裾を曲がって、花道を通って消える。
一方、三遊亭円朝が高座で自作の「牡丹燈籠」を語っている。猿之助が
やっているのだが、噺家のしゃべりが上手い。ホンモノそっくり。

新三郎のお世話をして暮らしてるのが、伴蔵とお峰の夫婦。
新三郎に焦がれ死にしたお露の幽霊が毎晩、新三郎の元にやってくる。
気色悪いので、伴蔵がお寺からもらったお札を貼ると、幽霊が「新三郎宅
に入れないので、はがしてほしい」と幽霊から頼まれる。お峰と相談し、
「百両くれるならはがす」と、言うと、実際に百両がはいってきた。
以下略。

この演目は、玉三郎が演出。演じては下町の世話女房役が実に上手い。
中車をさりげなくリードしながら、芝居を盛りたて、笑いをとっていた。
中車の人気がすごい。登場した時の拍手が、海老蔵の時より大きかった。
演技も上手く、観客を長丁場の芝居に引き込んでいた。
が、時々、所作が歌舞伎にしては小さすぎと思える所があった。
特に、最後、花道を去る場面、片足で、とっとっと、、と行くのは、日舞の姿勢
で、かなり腰を落としてないと。。
十年前に見た三津五郎の伴蔵、福助のお峰の舞台が素晴らしかったので、
ついつい比較してしまった。

暑い日だったので、「終わったら、お寿司とビールね」、と休憩時には、
サンドイッチを半分づつ。次の休憩には、最中アイス。周りの人たちが、
幕の内弁当を広げてるのをちら見しながら、我慢した。
お寿司、もちろん、おいしかったですよ。
すしもと2.jpg


nice!(47)  コメント(9)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 47

コメント 9

moz

海老蔵と中車、玉三郎と豪華な出演なんですね。
さすが一等席が売り切れなはずです。でも、桟敷がとれて何よりでした。
一の谷は悲しい物語。わが子の首実検なんですね。
思ってもなかなか声はかけられません。じぶんもコンサートでブラボーって言ってみたいのですが、なかなかです ^^;
中で我慢された甲斐があって? お寿司とビール、とっても美味しそうです 笑
by moz (2015-07-19 09:24) 

yk2

>幕の内弁当を広げてるのをちら見しながら、我慢した

いただきますを云うよりも早くお箸が先に出ちゃう食いしん坊のtaekoねーさんにとっては何よりの苦行だったですね(笑)。おなか空くと、すご~~~~~~く気もそぞろでしょうに、舞台に集中できたんでしょうか?(^^。
by yk2 (2015-07-19 09:28) 

angie17

歌舞伎を見て、お寿司・・・・・
良いですねぇ、日本の夏です!

by angie17 (2015-07-19 11:55) 

coco030705

こんにちは。
豪華な配役ですね。歌舞伎座ならではと思います。関西ではこんなに豪華な顔ぶれは観られません。
海老蔵、いつも思うのですが声の通りが悪いというのか、そんな気がします。姿は美しい役者さんですが・・・。
牡丹燈籠よかったでしょうね~。これだけでも観たいですね。玉三郎、下町の世話女房の役もとてもいいでしょうね。うまいですよね、大好きです。今私は猿之助にも注目しています。動きがすばやく、演技力がありますね。踊りも上手いしどんな役でも自分のものにしてしまう人ですね。中車もだいぶ良くなってきましたね。でもやっぱり歌舞伎役者としては日が浅いですね。どこまでがんばれるか、期待してます。後のお寿司、おいしそう!充実した一日ですね♡
by coco030705 (2015-07-19 17:05) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲mozさん、歌舞伎は出し物より、誰が出るかで、チケットの売れ行きが決まるみたいです。元同僚に歌舞伎役者の御嬢さんがいて、歌舞伎座フリーパス、と言うので、「満席の時は?」ときいたら、折り畳み椅子をもらって3階の一番後ろに座るんだそうです。そして、その場所で、立ちあがって「〇〇屋」って声をかけるんですって。
コンサートの「ブラボー」、最近、できるようになりました。と言っても、知人のコンサートで、「言ってください」って頼まれたからです。躊躇して遅くなっちゃいけないんです。すぐ言わないと。

▲yk2さん、なぁに、失礼ね。先にお箸が出て、、、って。乾杯って言う前に飲んじゃったことは数回あるけど、お箸は、ないですっ!桟敷って一段高いから、人のお弁当の中身がよく見える。。お寿司屋さんに予約してなかったら、売店にお弁当、買いに行ってました。気もそぞろは、う~ん、弱み握られてる気がする。

▲angieさん、そう、日本の夏!これで、絽の着物でも着てたら最高だったんだけど。

▲cocoさん、cocoさんが5月歌舞伎「團菊祭」をご覧になったっていう話から、私もしばらく歌舞伎行ってないし、、で、7月のチケットを取ったんですよ。
海老蔵の声、こもって聞きづらいですよね。歯切れが悪いのかしら、とも思ったり。
からだを十分につかった大きな演技で、表情豊かで、睨みは最高ですが、声が通らないと、筋がわかりにくいです。義太夫も滑舌じゃなかったので、手元の筋書きを追っていました。<巳之助がよくなってる>と、cocoさんが書いてらしたので、
今回、チラシに名前があったので、期待して行ったら、義経がお伴を4人連れて現れる、その中の一人で、セリフは、皆で声を合わせて「はい」だけでした。

玉三郎が出て来たときは、ちゃんとcocoさん!って思いましたよ(笑)。おばけが出ると「きゃ、大変」って、ひっくり返って観客に足の裏を見せてバタバタするのが数回あり、その度に大笑いでした。玉三郎演出なので、自分で考えたのでしょうね。

猿之助の身体能力はすごいですよね。飛び跳ねる時も一際高いです。今回は、落語の噺家に徹してました。上手いです。ホンモノの高座を見てるかのようでしたもの。

中車は随分、演技が上手くなりました。歩き方も上手です。時々、勘九郎の演技に似てるなって思いましたが、やはり日舞の素養が足りないので、腰が高くなってしまう時がありました。歌舞伎役者は皆さん、踊りの名手ですものね。

by TaekoLovesParis (2015-07-20 13:29) 

Inatimy

ボスの命令で実の息子を身代わりに殺害して差し出さないといけないなんて・・・。
陣屋に来てはいけない、という言葉の妻への思い、そして、母親としての直感か、
息子の身を案じて来てしまった妻。 その先の展開は、心が苦しくなるシーンですねぇ。
討ち取った首が本物かどうか確かめる・・・って、怪談同様、怖いお話ですよね^^;。
by Inatimy (2015-07-22 17:56) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、時代物の名作で250年前から上演されているんだそうです。日本人の心を打つ筋書きは、何年たっても変わらないんですね。親子の情、武士の忠誠、恩を忘れない心。<怪談同様、怖いお話ですよね> → だから、8月の演目なのかしら。
by TaekoLovesParis (2015-07-23 01:55) 

カエル

結構安易に殺しちゃいますよね~。
あと誤って身内を殺しちゃうとか。。。
携帯があったらこんなことにならなかったのに、と思うことしばしばです。
そしたら物語ができないねって友人と話してました。
by カエル (2015-07-28 11:17) 

TaekoLovesParis

カエルちゃん、歌舞伎の世界は江戸時代、武士は主君に忠誠を誓う時代だから、恩ある主君のために我が子を殺しちゃう、その苦しい心情を今の人たちにわかってもらえるように、どう表現するかが、役者の上手さでしょうね。
携帯があったら、、、物語にならない、そうですよね、写真があったら、首実験も必要ないわけだし。
by TaekoLovesParis (2015-07-29 00:38) 

コメントを書く

お名前:
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0