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バルベリーニ美術館(ローマ) [外国の美術館、博物館]

 毎日、暑いですね[晴れ]
3年前に行ったローマが記録的な暑さだったことを思い出します。
バルベリーニ美術館の記事が下書きにはいったまま、随分時間が経って
しまったけれど、載せますね。

バルベリーニ美術館は、ローマ教皇を輩出したバルベリーニ家の館で、
17世紀に建てられたバロック様式の宮殿。  (私が行ったのは2012年夏)
この建物の門は、重厚なので、映画「ローマの休日」でアン王女が滞在
する某国大使館の門として使用された。

Barberini.jpg

この美術館は、イタリア国立古典絵画館で、ラファエロの「ラ・フォルナリーナ」、
カラヴァッジョ3点、グイド・レーニ、フィリッポ・リッピなどイタリア人画家の作品を
揃えている。
ボルゲーゼ美術館は、予約しないと入れないのだが、ここは大丈夫。

美術館の入り口を示しているのは、ラファエロの「ラ・フォルナリーナ」の垂れ幕。
館内案内のパンフも、ラ・フォルナリーナ。
ラ・フォルナリーナは、ラファエロの恋人で、フォルナリーナとはパン屋の娘。

barberini3.jpg


美術館内は撮影禁止なので作品はポストカード。
部屋は時代順になっている。

フィリッポ・リッピ「タルクィニアの聖母」
リッピ初期の作品。玉座の生母。
いつもリッピの描く聖母は優雅で美しく、赤ちゃんはまんまる顔。
モデルは妻と息子フィリピーノ

RippiMadonna1.jpg

フリック・コレクションで見て以来、気に入っているブロンズィーノ。
一目で「ブロンズィーノ!」とわかる冷たく研ぎ澄まされた美しい肖像画。
「コロンナ家のステファノ4世」
buronzuino.jpg

こちらも、「ヘンリー8世!」とすぐわかるホルバイン作品。
衣装が豪華。

henry8.jpg


カラヴァッジョ「ナルシス」
ナルシストの語源であるナルシス。水に映る自分の姿に惚れ込み微動だにしない。
カラバッジョ独特の明暗で、劇的な効果を出している。
見ていると、吸い込まれそうになる絵。
Narkissos.jpg

カラヴァッジョ「聖フランシスコ」
聖フランシスコは、イタリアの守護神。両手で持った頭蓋骨をじっと見つめている。
死について考えているのだろう。
StFeancisco.jpg

カラヴァッジョ「ホロフェルネスの首を切るユーディット」。
非常に残酷なシーン。かわいらしいユーディットが顔をしかめて、酒に
酔わせて眠らせた敵の大将ホロフェルネスの首を切ろうとする場面。
ホロフェルネスの「殺すのか!」という驚きの顔。それを固唾をのんで
見つめる老婆の表情。緊迫感にあふれている。

hudit.jpg

カラヴァッジョのあとには、美しい少女
グイド・レーニ「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」
気品のある美しさ。白のこの服は?気になって調べたら、これは囚人服。
チェンチ家は貴族なのだが、父親の家庭内暴力がひどかったため、ベアトリーチェは
家族を守るため、父を殺した。そのため処刑になったのだそう。この微笑は、死の直前
の無欲の表情なのだろう。
guideReni.jpg

クエンティン・マセイス「ロッテルダムのエラスムス」
マセイスは、今年のルーヴル展で見た「両替商とその妻」を描いた人。
思想家エラスムスと両替商に共通点を見つけようとしてはいけないけど、
似たところがある?

maseisErasumus.jpg

他にも、良い絵がたくさんあった。
私が行ったときは、とてもすいていて、どの部屋もひとりでの鑑賞、ぜいたくだった。
特にカラヴァッジョの「ナルシス」と静かに向き合えたのが印象に残っている。


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コメント 11

yk2

何の前触れも説明も無く、唐突に3年前の夏休みにタイム・トリップなさいましたね(笑)。

去年ともに日本で展覧会があったせいではありますが、ホルバインの『ヘンリー8世』はヴァロットンを、カラヴァッジョの『ナルキッソス』はバルテュスをそれぞれ引用元や同画題作品として思い出させますね。この2枚を持ってる美術館なのか~!。

グイド・レーニのベアトリーチェは初めて見る絵。とても美しいけれど、画題の筋を聞くととても悲しいお話なのですね。構図的に、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』と見比べたくなります。
by yk2 (2015-07-30 02:05) 

moz

ローマの休日で使われた門なんですね。オードリー・ヘップバーン大好きです。
帰ってきたら、DVDをもう一度見てみますね。
素晴らしい作品の数々を収蔵している美術館なのですね。
フィリッポ・リッピもラファエロもすごいけれど、アップして頂いた中だと、やはりカラヴァッジョの「ナルシス」がすごいな~・・・。
ポストカードを這っていただいたのですけれど、その透明感と緊迫感のような感じが伝わってきます。水面が澄み切って鏡のようなのだと思いますが、絵そのものが鏡のような感じもします。いいな、実際のこの絵としばらく向き合うことができたんですね。
グイド・レーニ「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」は虚ろなほほえみですね。なるほどそういう訳があるんですね。じっとは見ていられない、そんな感じの絵です。
by moz (2015-07-30 06:11) 

hatsu

「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」、美しいですね~。
無欲の表情、そういう意味があるんですね。
「ローマの休日」観てみたくなりました♪
by hatsu (2015-07-30 06:37) 

coco030705

こんばんは。
ほんとにお暑うございます。昨日友人と京都へ行って、「ちもと」で和食をいただきました。お昼の点心のコースで3000円でした。お連れさんが飲まない人だったので、お茶で……。"(-""-)"  ですからこのお値段です。(笑)でもとてもおいしかったです。
それからタクシーで細見美術館へ。今は所蔵品の中から、「きらきら編」の蒔絵や螺鈿が光る漆工芸品、そして「ほのぼの編」の琳派作家(俵屋宗達や中村芳忠)の作品群でした。こじんまりとしていて疲れないので好きな美術館です。

それはさておき、素敵な古典絵画を楽しませていただきました。
ラファエロの「ラ・フォルナリーナ」、なんて美しい絵なんでしょう。これだけでも
観に行きたいです。「ヘンリー8世」はどこかで観た絵ですね。教科書だったかしら。カラヴァッジョ「ナルシス」本当にきれいな男の子ですね~。これをじっくり眺める時間がおありになったとは、すごくうらやましいです。グイド・レーニ「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」にこんな悲劇が込められていたとは、悲しいですね。
よい絵画とレビューを有難うございました。



by coco030705 (2015-07-30 22:35) 

Inatimy

さりげなく前書きが足されてますね^^。
首を切ってる絵、Taekoさん、確か以前にも似たの紹介されてましたよね。
侍女と一緒だったかな・・・と思って、探したら「カポディモンテ美術館展」のお話でした^^。
アルテミジア・ジェンティレスキの「ユディットとホロフェルネス」(1612)。
このカラヴァッジョの「ホロフェルネスの首を切るユーディット」があったから、
あっちのアルテミジアの絵も最初はカラヴァッジョのだと思われてたのかしら・・・と、
繋がった感じです。
クエンティン・マセイス自身の顔も両替商に似てる感じかも^^。
by Inatimy (2015-07-31 20:50) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲yk2さん、ご忠告ありがとう。読む人は、「なんで、急にローマの美術館なんだ」って思いますよね。速攻、前がきを足したけど、Inatimyさんみたいに鋭く気づいちゃった人もいるわね。
ホルバインの「ヘンリー8世」、見る機会が多いけれど、、yk2さんのブログのヴァロットンの所にもあった、と、コメントもらって思い出しました。

グイド・レーニの「ベアトリーチェ」、これをフェルメールは参考にして「真珠の耳飾りの少女」を描いたといわれてます。昔は「青いターバンの少女」と呼ばれていた絵だけど、当時のオランダにはターバンという習慣がなかったから、ベアトリーチェの白いターバンを参考にしたのでは?って。構図、とっても似てますよね。少女の美しさからいうと、私はベアトリーチェって思いますが。
カラバッジョの構図や明暗は、バルテュスだけでなく、いろいろな所で参考にされていますね。

▲mozさん、「ローマの休日」のDVD、お持ちなんですね。あの映画は、もう何年もたっているけれど、ローマ観光の参考になりますね。門はかなり立派ないかめしい門です。
<素晴らしい作品の数々を収蔵している美術館なのですね。>→そうなんですよ。だから皆さんにご紹介したくて、記事にしたけど、途中で終わって、下書きのまま3年、でした。
「ナルシス」の水鏡、実際に見ると、絵に立体感があるんです。どうやって、立体感をだしたんだろう、光と影だけでは、、って思ってしまいました。
「ベアトリ―チェ・チェンチ」のお話は当時、とても有名だったんですって。後に、アルベルト・モラヴィア(学生時代に私は好きだった作家)が戯曲にしています。

▲hatsuさん、「ローマの休日」は気楽に見れて、楽しい観光映画です。オススメよ。古いからもう「ジャック&ベティ」ではやらなそう。ベアトリーチェ、白いターバンが印象的で、美しいですよね。この世と別れる時は無欲になるなじゃないかな、と思って。
by TaekoLovesParis (2015-08-02 16:32) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲cocoさん、お昼で3000円なら、かなり美味しい部類ですよね。「ちもと」っていうお店なんですね。細見美術館の展示、「きらきら編」「ほのぼの編」という分け方が面白いです。螺鈿のきらきらは大好きです。そういう工芸品を京都で見るのは、また格別でしょうね。
絵の感想を読むの、好きです。cocoさんもそう感じてるのね、って思いながら読みました。「冬の轍」見ました。全くわからない言葉の映画は何年ぶりかしら。明暗のはっきりした画面で、部屋の中の場面は、セリフが多いので演劇のようでした。
明日でも、cocoさんの記事にコメントしますね。

▲Inatimyさん、さりげなく、のつもりが、ばれちゃってましたね。
カポディモンティ美術館はイタリアだから、この美術館所蔵と同じ画家のが多いわね。私もアルテミジア・ジェンティレスキの「ユディットとホロフェルネス」の絵はドラマティックだから覚えてました。Inatimyさんは読んだだけで覚えててくださって、すごいわ。あれが、最初はカラヴァッジョ作品って思われてたそうだけど、やはり、こっちの方が、ユーディットが可愛い顔立ちなだけにリアルね。国を救うために殺さなければならなかった、っていうのが伝わってきます。
クエンティン・マセイスの「自画像」、見てみました。確かに共通点ありますね。
by TaekoLovesParis (2015-08-03 00:08) 

カエル

ナルシストがナルシスを語源とされていたとは、この画いいですね。
この画でよーくわかる。私こんなに自分の顔を見ないから。。。
ヘンリー8世の衣装、これ何キロくらいあるんでしょうか?きっと恰幅もよかったんでしょうね。昔の方は本当にたいへんですね。
by カエル (2015-08-12 08:19) 

TaekoLovesParis

カエルちゃん、ナルシス、恍惚感がよく表れてる絵ですよね。このままじーっと何分でも、って感じ。自分で自分の顔を見惚れるほどだったら、、いいでしょうね。
ヘンリー8世の衣装、ゴージャス、この上なし、ですよね。ロンドンに行った友達が見せてくれた写真でも、歴史資料館のヘンリー8世人形の衣装、こんなでした。体格も肩幅、がっちり、みたいですものね。あれだけ権力をフルに使い、御妃何人、の王様だから、体格がいいのも当たり前でしょうね。
by TaekoLovesParis (2015-08-14 09:40) 

コザック

こんばんは
この記事を拝見してから、ずっとベアトリーチェに超似ている知り合いに見せたいと思っていて、先日会う機会ありこのブログの写真を見せたら超よろこんでいました。
よくよく聞いて家族の写真みせてもらったら、母親も娘さんも同じ外国系の雰囲気でビックリ(@_@)でした;;
ナルシスは鏡効果の水面の深みのある色づかいを実物で観てみたいなぁ~と思っちゃいまいた☆
by コザック (2015-08-14 23:09) 

TaekoLovesParis

コザックさん、すごいなぁ、ベアトリーチェに似てる、それも超似てるなんて、美人なだけでなく、気品を漂わせてますものね。コザックさん、そこは、アタックでしょ、と思ったけど、娘さんがいるんですね。ザンネン。
「ナルシス」はね、その部屋の中で、ひとつだけ、遠くからでもわかる目立ちぶりでした。400年以上前の作品というのに驚きます。カラヴァッジョは、絵は上手いけど、素行が悪いので定評があったから、何年か前に「カラヴァッジョ」という映画があったけど、スルーしました。でも、見ておけばよかったかな。
by TaekoLovesParis (2015-08-15 13:18) 

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