ラ・ボエーム(MET ライブビューイング) [オペラ、コンサート、バレエ]
METライブ・ビューイングというのは、ニューヨークのメトロポリタン・オペラハウス
の公演のDVDを映画館の大きなスクリーンで見せるしくみ。料金は1作3000円位。
リーマンショックで企業からの後援が減り、経営が苦しくなったメトが考え出した
システムで、公演終了後、1か月位で、見れる。
私は、回数券を買っていたNが行かれなくなった分をもらって、新宿ピカデリー
で、「コシ・ファン・トゥッテ」と「チェネントラ」を見た。
ライブ・ビューイングのフィルムには、解説や出演者へのインタビューがついて
いるので、それも魅力だ。時々、wowwowで放映することもある。
今回の「ラ・ボエーム」の主役ロドルフォは、ヴィットーリオ・グリゴーロ(テノール)。
親友歌姫が、夢中になってる人。
歌姫は、グリゴーロの日本公演を見て感激。ネットで次の公演を探したらミラノで
オペラ2つ。速攻、チケットを予約して、「5日間留守にするからー」と出かけて行った。
イタリア語が出来る歌姫は、公演の後、グリゴーロの出待ちをして、一緒に写真
を撮ったと、得意になって見せてくれた。「彼は顔も良し、声も良し、最高!」って。
で、グリゴーロって、どんな顔?と思うかたは、こちらをごらんください。
http://taekoparis.blog.so-net.ne.jp/2011-02-13
「ラ・ボエーム」MET ライブビューイングは、8月20、21日に東劇(東銀座にある映画館)
で見れるので、行こうと思っていたら、ラッキーなことに、先日、wowwowで放映があった
ので、それについて書きます。
始まるとすぐ、「開演にあたり、MET総裁から挨拶があります」とのアナウンス。
「皆さん、今日はMETの歴史の中で貴重な体験をすることになります。本日、ミミを歌う
ことになっていたソプラノのアニータ・ハーティッグから、今朝7時半に、『風邪で出演
出来ない』と連絡がありました。急遽、昨晩、このMETの舞台で『蝶々夫人』を歌った
クリスティーヌ・オポライスに電話をして代役をお願いし、何とか引き受けてもらえること
になりました。昨晩『蝶々夫人』を歌って、18時間以内に『ミミ』を歌う人はMETの長い
歴史の中でもオポライスが初めてです。どうか、そのような事情をご理解いただき
温かい声援をお願いします」
幕間で、ミミ役オポライスへのインタビューがあった。
「前日『蝶々夫人』を歌いましたが、歌ったその日は興奮していて中々寝れず、
明け方近くまで起きていました。だから、朝8時に電話で起こされ、『今日、ミミを歌ってくれないか』
と頼まれた時は断りました。バタフライとミミはとても違う役柄なんです。でも、プロだから、
やらなければ!と思い直し、引き受けました。さあ、それからが大変でした。歌のおさらい、衣装合わせ、
化粧など、すべてを限られた時間の中でやらなければなりませんでした。でも、舞台ではヴィットーリオが
支えてくれたので、上手くいきました。」
プロだからやらねば、の意味は、多分、オポライスが代役として登録されていたのだと思う。オペラは、
声の調子、体調が悪いとダメなので、代役を必ず登録する。代役で注目され、有名になることも多いので、
歌手にとってはチャンス。今回のオポライスもこれで名を残すだろう。
実際、オポライスとグリゴーロは息の合った演技と歌で、素晴らしかった。魅了された。
ボエームとはボヘミアンの意味で、貧しいながらも自由な生活を送る人たちのこと。
パリの屋根裏部屋で共同生活をする画家、音楽家、哲学者、詩人が主人公だ。
その中の詩人ロドルフォとお針子ミミの悲恋物語。なぜ悲恋かというと、ミミは最後に
結核で亡くなってしまうのだ。
オペラは演出次第で舞台が豪華だったり、簡素だったりと印象が変わる。
今回は、絢爛豪華な舞台演出で知られるフランコ・ゼフィレッリ。
クリスマスの日に皆が街に繰り出す場面では、総勢100名が舞台に立っていた。
以前、私が見た新国立劇場の舞台でも、7,80人、まぁまぁ豪華だったかな。
ロドルフォとミミの恋愛と同時進行で繰り広げられるのが、画家マルチェッロと
ムゼッタの恋である。ムゼッタは贅沢好きの派手な女。貧乏なマルチェッロでは
飽き足りなく、お金持ちの老紳士の恋人になったものの、マルチェッロと仲直りを
したく、、。派手で奔放なムゼッタの存在がこのオペラを明るく盛り上げる。
キャスト
ロドルフォ…ヴィットーリオ・グリゴーロ ミミ…クリスティーヌ・オボライス
ムゼッタ…スザンナ・フィリップス マルチェッロ…にマッシモ・カヴェレッティ
指揮…ステファーノ・ランザー二
2015年4月5日メトロポリタン・オペラハウス公演
歌姫さんご執心のヴィットーリオ・グリゴーロって、ドミンゴの『リコレット・イン・マントヴァ』の時の最悪女ったらしなマントヴァ公(^^ゞですね。オペラがよく解ってない僕ですから歌そのものよりも、やっぱりストーリーに感情移入出来るかどうかが、楽しめるか、そうでないかの鍵。ヴィットーリオ・マントヴァ公の女癖のタチの悪さは、僕が物語に入り込むに十分なワルモノっぷりだったと記憶してます。まぁ、確かに見た目は格好いいですもんね(^^。
『ラ・ボエーム』は貧乏画家の恋の物語。僕はアンナ・ネトレプコとローランド・ビリャソンって人たちが演じた映画版をDVDで見ました。MET版も数年前にNHKのBSで見たけど、さすがに歌手の名前は覚えてなくって。司会進行がルネ・フレミングだった?・・・ってのは曖昧な記憶にあるけども(^^ゞ。主人公たちの住むボロアパートがなんだかパリの”洗濯船”の様にも思える舞台ですよね。物語で描かれているのはエコールド・パリの頃よりも古い時代の設定みたいだけど、ついつい僕はオペラ=悲劇って感覚とボヘミアン繋がりでモディリアーニの話(『モンパルナスの灯』よりもアンディ・ガルシア版ね)とイメージを重ねちゃう(^^ゞ。
by yk2 (2015-08-09 11:21)
yk2さん、そう、TV版「リゴレット」のマントヴァ公、です!やさしく言い寄るときの表情、しぐさ、洗練さが、まさに女好きのイタリア男ですね。元来、ハンサム好きの歌姫だから、ころっとまいってしまうのも無理ないです。(直接言い寄られたわけじゃないのにね・笑) 今や、パバロッティの再来と言われて大人気です。
ネトレプコの『ラ・ボエーム』をご覧になったんですか!それは良かったですねー。ネトレプコは今、世界一と言われているソプラノで、引っ張りだこです。同級生のBくんは、毎夏、休暇をとって、ネトレプコの追っかけをしてます。「最近、太っちゃったんだよなぁ」と言いながらも、来週からドイツに行くと言ってました。
METの『ラ・ボエーム』、進行役がルネ・フレミングの、録画してあったので、もう一度見ました。2008年の公演でゼフィレッリ演出だったので、今回のグリゴーロと同じ装置。2つを比較できて、とっても面白かったです。ミミがアンジェラ・ゲオルギュー、美人で有名な人です。
パリの洗濯船を、、そうですよね。芸術家たちの共同生活。クリスマスイヴに繰り出すのは、カルチェラタン。楽しい恋の日々なのに病におかされ、生活苦もあり、と、モディリアーニ「真実の愛」の悲劇の結末とイメージ重なりますね。ジャンヌがかわいそうで、涙でした。
by TaekoLovesParis (2015-08-10 13:52)
贅沢をとるか愛をとるか・・・以前紹介されてたマノン・レスコーもそうでしたね^^。
リゴレット・イン・マントヴァでは、ハンサムだけどわがままで女好き。
なかなか上手くいかないから、ストーリーとしては面白くなるとはいえ、
登場人物に感情移入してみると、やきもきしてきますねぇ。
公演終了後1ヶ月くらいで3,000円・・・
ウィーンの国立オペラ座で上演中の舞台のライブ中継が無料で広場で見られるっていうのがあると出張先のKamoさんから聞いたことがありますが、思えばこれってかなり太っ腹なんですよね・・・^^;。
by Inatimy (2015-08-11 19:06)
Inatimyさん、女性は贅沢か愛か、で選択を迫られるケース、特にオペラに多いですね。でも、結局は愛が勝つんですよね。Inatimyさんは、贅沢派でなく、愛を選ぶ方でしょ。
ウィーンでそんな洒落た「お振る舞い」があるんですね。広告なんでしょうけど、満席で見れなかったものを一目見たい、っていう場合、いいですね。
いま、調べたら、METライブビューイングは3600円でした。同じ劇場で普通の映画は1600円だから、高いですね。満足度は大きいけど。
by TaekoLovesParis (2015-08-12 07:50)
なぜかボヘミアンと言う言葉に惹かれる私です。
貧しくなくて裕福で自由に暮らす人になりたい。
by カエル (2015-08-12 08:10)