オルセー美術館2017年12月 [☆彡Paris 美術館]
オルセー美術館に来たのは、改装以来、4年ぶりくらいかしら。
入場するにはいつも行列なので、少し高いけれど、並ばなくてすむチケットをネットで買っておいた。
改装で広くなったせいか、以前とは、展示が変わり、見やすくなっていた。
後期印象派とか象徴主義とよばれる私が好きな時代の画家の作品がふえていたので、ご紹介。
入場するにはいつも行列なので、少し高いけれど、並ばなくてすむチケットをネットで買っておいた。
改装で広くなったせいか、以前とは、展示が変わり、見やすくなっていた。
後期印象派とか象徴主義とよばれる私が好きな時代の画家の作品がふえていたので、ご紹介。
1、フェリックス・ヴァロットン
額が大きく、絵が見えにくいと思うが、ヴァロットンのセンスを感じさせる2枚。
左:Baigneuse rose 水浴 ローズ色 1893年
右: Femmes à leur toilette 浴室での女性たち 1897年
額が大きく、絵が見えにくいと思うが、ヴァロットンのセンスを感じさせる2枚。
左:Baigneuse rose 水浴 ローズ色 1893年
右: Femmes à leur toilette 浴室での女性たち 1897年
2、モーリス・ドニの3枚
左から2番目「母性」、3番目「Vallet神父の肖像」
左から2番目「母性」、3番目「Vallet神父の肖像」
3、ヴュイヤール
室内画の多いヴュイヤールの「Hessel家の昼食」
室内画の多いヴュイヤールの「Hessel家の昼食」
4、ジェームス・ティソ(1836~1902
当時の流行画家で、ジャポニズムをいち早く取り上げた。
生家が布地商だったため、服地への関心が強く、正確な服描写が人目をひく。
「ファウストとマルガレーテの出会い」
当時の流行画家で、ジャポニズムをいち早く取り上げた。
生家が布地商だったため、服地への関心が強く、正確な服描写が人目をひく。
「ファウストとマルガレーテの出会い」
5、ドガ(1834~1917)
踊り子たち(パステル画
おなかがすいたので、ランチは美術館の「カフェテリア」へ。
毎朝、ホテルでゆっくりとビュッフェの朝ご飯を食べているので、ランチはキッシュ程度ですむ。
私は、スモークドサーモンとほうれん草のキッシュ。Mは、ベーコンとハムのキッシュロレーヌ。
毎朝、ホテルでゆっくりとビュッフェの朝ご飯を食べているので、ランチはキッシュ程度ですむ。
私は、スモークドサーモンとほうれん草のキッシュ。Mは、ベーコンとハムのキッシュロレーヌ。
企画展は、入り口横の看板にもある通り「ドガのダンスデッサン」
「ドガのダンスデッサン」というのは、ポール・ヴァレリーの著書のタイトル。
ヴァレリーは、詩人で作家、思考家。フランスを代表する知性と言われたほどの人。
ヴァレリーは22才の時、59才のドガに会い、2人の友情は20年続いた。
その間、ヴァレリーはドガとの交流をノートに書き留めた。
デッサンに関してドガは、「観察しなさい、もっと広い部分まで。想像しなさい、見てもらうのを
待ってるものを」と言った。ヴァレリーは、「ドガは容易にできることを拒否し、彼の思索の対象
だけに関心があった。」と述べている。
ヴァレリーは、詩人で作家、思考家。フランスを代表する知性と言われたほどの人。
ヴァレリーは22才の時、59才のドガに会い、2人の友情は20年続いた。
その間、ヴァレリーはドガとの交流をノートに書き留めた。
デッサンに関してドガは、「観察しなさい、もっと広い部分まで。想像しなさい、見てもらうのを
待ってるものを」と言った。ヴァレリーは、「ドガは容易にできることを拒否し、彼の思索の対象
だけに関心があった。」と述べている。
ドガはアングルを崇拝していて、若い頃、アングルから「線を引きなさい、自然にでなく、記憶から
たくさんの線をひきなさい」と教えを受けた。
アングルの自画像を意識して描いたと言われているドガの自画像。
たくさんの線をひきなさい」と教えを受けた。
アングルの自画像を意識して描いたと言われているドガの自画像。
ドガは、古代ギリシアの彫刻をデッサンしていた。古代の作品はドガにとってインスピレーションの
源泉だった。マンテーニャの「徳の勝利」(ミネルヴァが悪徳を打つ)の構図をそっくりまねて
単純化した「知恵の神が悪徳に勝つ」という絵もあった。
源泉だった。マンテーニャの「徳の勝利」(ミネルヴァが悪徳を打つ)の構図をそっくりまねて
単純化した「知恵の神が悪徳に勝つ」という絵もあった。
ドガは裕福な音楽好きの家庭に育った。父は家にオペラ座の楽団員を招き、コンサートをして
いたので、ドガは自然とオペラ座に通うようになった。そしてバレエを見る機会があり、ダンサーの
動きに魅せられた。
「オペラ座のオーケストラ」1868年
いたので、ドガは自然とオペラ座に通うようになった。そしてバレエを見る機会があり、ダンサーの
動きに魅せられた。
「オペラ座のオーケストラ」1868年
「オペラ座のバレエ教室」1872年
「ダンサーたちのグループ」 1884年 上の絵から12年後の作品。
ドガは一瞬の動きを表現するのが、上手い。
左:カフェ・コンセールの歌手 右:アイロンをかける女たち(部分)
左:カフェ・コンセールの歌手 右:アイロンをかける女たち(部分)
ドガは馬を愛していた。競走馬はドガにとって好きなテーマであった。
速い動き、ジョッキーの一瞬の動きを捉えるデッサン。ドガは馬の彫刻も作っていた。
速い動き、ジョッキーの一瞬の動きを捉えるデッサン。ドガは馬の彫刻も作っていた。
もちろん、人物の特徴を捉えるのも上手い。
「椅子にすわるマネ」1866年
「椅子にすわるマネ」1866年
彫刻「14歳のダンサー」と、そのためのデッサン。
ドガの踊り子への愛が伝わってくる。
ドガの踊り子への愛が伝わってくる。
この企画展は、「ダンス」というタイトルで、ヴァレリーの言葉や絵で始まるが、ダンス(バレエ)
だけでない、多岐にわたるドガの作品が展示されていて面白かった。
だけでない、多岐にわたるドガの作品が展示されていて面白かった。
常設のほうに、パステル画の初めて見るちょっとユニークな「踊り子たち」があったのは、企画展に
主要作品が来ていたからなのだろう。
主要作品が来ていたからなのだろう。
ドガのデッサンがメインの展覧会をやってた、と聞いていたのでもしやとは思ってたんですが、ポール・ヴァレリーの『ダンス・デッサン』を主題にしてたんですね!。実は訳本(筑摩書房刊)を手に入れているのですが、積ん読状態のまま早数年・・・。今日から読み始めようっと(苦笑)。
日記を読んでおられるハズ(笑)だからtaekoねーさんも覚えていらっしゃいますよね?。ヴァレリーの奥さんジャニがモリゾの娘・ジュリーが実の三姉妹の様にともに暮らした従姉妹(ゴビヤール姉妹の妹の方)だったってこと。ドガはモリゾ亡き後、やはりモリゾの親しい友人だったマラルメとともに、三人娘をまるで身内の様に可愛がっていたそうですから、その内の一人と結婚したヴァレリーにも「アンジュ」と呼ぶほどに好感を持っていたんですって。若い詩人だなんて、ヒネクレ画王のドガにしたら一番に嫌いそうな人種ですのにね(笑)。
by yk2 (2018-01-30 08:51)
ドガの描く踊り子たち、美しいですね。
今にも踊りだしそう♪
「オペラ座のオーケストラ」も、音楽が聴こえてきそうです^^
by 初夏(はつか) (2018-01-30 15:15)
オルセー美術館、美しい美術館ですね。
ドガのことを詳しく載せてくださり、興味深かったです。
踊り子のバレエダンサーたちをよく描いたのは、育った環境もあり、劇場でとりこになっていったのも納得です。
動き、表情、とらえるのがお上手だなと、つくづく思います。
美しいしぐさ、落ち着いた色使いの中にも秘めた情熱も感じられて、感動する絵画たちですね。
by アールグレイ (2018-01-30 18:41)
ドガと聞くと、絵に詳しくなくても、
バレエダンサーを思い浮かべますね。
チュチュのふんわり感とか、素敵ですね。
by angie17 (2018-01-30 18:49)
こんばんは。
いい絵がたくさんそろってますね。
私の好きな、ヴュイヤールの絵素敵です。色もきれいだし日常的な温かい雰囲気が好きです。
ドガの特集すばらしいですね。パステル画の「踊り子たち」の構図がいいと思いました。ドガの自画像を観て、こんな人だったんだ、と改めて思いました。真面目そうに見えます。アングルってハンサムですね~!
お食事は美味しそうなキッシュ、大きく見えますが全部召しあがったんでしょうか。
by coco030705 (2018-01-30 22:21)
yk2さん、ヴァレリーの「ダンス・デッサン」をお持ちだったんですか!
私は会場で、説明を読んで、本の名前なんだとわかりました。画商アンブロワーズ・ヴォラールが編集してる本なのね。ちなみに、この展覧会は、ドガ没後100年の特別企画なんですって。
ジュリーの日記ね、はい、一応読みました。ジュリーとエルネスト・ルアール、ジャニ・ゴビヤールとヴァレリーの合同結婚式の日の写真も展示されてたんですよ。ジュリーとドガが一緒に写ってるルアール家の家族集合写真やイボンヌ・ルアールとなった「ピアノを弾く少女」のイボンヌがロイフラー・デザインの衣装でロイフラーふうに踊っている写真があり、興味をひかれました。図録にも載ってました。
<若い詩人だなんて、ヒネクレ画王のドガにしたら一番に嫌いそうな人種>
→ ドガも年取って、丸くなったのかと思いましたが、ヴァレリーがドガを引き付ける何かを持っていたのでしょうね。
by TaekoLovesParis (2018-01-31 00:37)
初夏(はつか)さん、ダンサーたちは皆、若くて、一生懸命で、美しいですね。チュチュの透け感、レースの様子も美しいです。ダンサー以外の歌手やアイロンをかける人は、リアルで若いとも、美しいとも言えないところが、なんとも。。(笑)
by TaekoLovesParis (2018-01-31 00:43)
ヴュイヤールの「Hessel家の昼食」、こってりめな壁紙や装飾に対して赤のチェックの入ったクロスが目を引きますね。ビストロみたいな可愛さ。
ジェームス・ティソの「ファウストとマルガレーテの出会い」の中央右寄りにいる女性の前掛けや指先の出る長手袋みたいなのが素敵で。(いい絵だなと思って、大きい画像の探して見ました。)ティソのこと調べてたら、wikipediaにドガが描いたティソの肖像像が載ってて、思わぬところで交流の広さを知りました。
ドガの「踊り子たち」も、上から眺めるような視点の踊り子さんたちの絵って珍しいですよね。ドガのダンスデッサン・・・Dが3つ並ぶのも狙ってますね^^。
by Inatimy (2018-01-31 18:15)
nice&コメントありがとうございます。
▲アールグレイさん、御存じだと思うけど、オルセー美術館は、以前、駅だったんですよ。だからドーム型の明り取りがある天井で、時計がついてるんです。上手な再利用ですよね。
ドガがバレエに興味を持つ経緯、私も図録で読んで、なるほど、って思いました。オペラ座(オペラ・ガルニエ)は、今もバレエ公演が主で、オペラ公演は新しいオペラ・バスティーユで、です。
ドガのダンサーは可愛いらしいのに、仕事に飽きてあくびをする人とか、強いお酒「アブサン」飲んで、朦朧としてる女性とかの描写は、酷なほどリアルですね。ある一瞬をとらえる観察力とデッサン、今なおすばらしいですね。
▲angieさん、バレエの絵がドガの代名詞のようになってますものね。衣装チュチュの優美さがみごとに表現されて、、綺麗です。ウェディングドレスに同じく、白が、純粋さをあらわしてるんでしょうね。
▲cocoさん、ヴュイヤールがお好きでしたね。<日常的な温かい雰囲気>→ ヴュイヤールも日常のある一瞬をとらえてるので、演劇の舞台を見ているようです。若い女性が赤ちゃんをあやしている、それをじっと見つめる母親、赤ちゃんの正面にすわっているけれど、新聞を読んでいて、赤ちゃんに無関心、顔もあげない父親。これは、新たにオルセーに加わった作品と書いてありました。
ドガは視力の衰えもあって、晩年のバレリーナの絵は、パステルが多いです。
看板の座って足に手を当ててるダンサーの絵もパステルでした。パステルでチュチュを表現できるのは、すごいです。
ドガは母親がアメリカ・ニューオリンズ出身のクレオール(植民地生まれ)なので、
顔立ちがエキゾチックです。ドガの家は銀行家で裕福だったので、オペラ座の楽団員で、当時かなり有名だった音楽家たちを招いて、ホームコンサートをしていたんですって。
キッシュは直径10センチくらい。日本で一人分が円型というキッシュは見ないですよね。円型はたいてい18センチか20センチの切り分け用ですものね。友達が頼んだキッシュ・ロレーヌは大きいのをカットしたいつも見る形でした。
by TaekoLovesParis (2018-02-02 01:05)
Inatimyさん、ヴュイヤールの「Hessel家の昼食」の大胆な赤のチェックのクロスで、私はボナールの「格子柄のブラウス」を思い出しました。猫を抱いてる絵です。
ティソの絵、初めて見たのは、グランパレでの展覧会「パリ・ブリュッセル1900」で、「LL嬢の肖像」。図録の表紙にも使われてました。最近、日本でも見る機会が多いです。私の記事でも、「クラークコレクション」で「菊」、「ルノワール展」で、「夜会」の写真を載せました。特に夜会は黄色の衣装のシルクの風合いがすばらしく、
目を見張りました。
ティソはドガより2才下。ほぼ同年代ですね。<ドガが描いたティソの肖像画>どこでだったか忘れたけど、見たことがあります。背景に有名なホルバインの肖像画がかかってるんですよね。
Dが3つ並ぶ、Inatimyさん、すごい観察力!気が付かなかったわ。
by TaekoLovesParis (2018-02-02 01:45)
こんばんは、ドガの企画展!さすがのオルセーです。
作品の顔ぶれがすごいですね。
私も最初のパステル画は、あのアングルのは観たことなーいと思いつつ。
そういう理由だったのですね☆作品層が厚い!巨人みたい。
いずれにしても、何もかもがうらやましいです(^^)
by コザック (2018-02-04 23:48)
コザックさん、これだけの規模のドガの展覧会をいろいろな所から借りてこなくても出来るのが、オルセーのすごさですよね。だからこそ、普段、お目見えしない(俯瞰的に眺めた)踊り子たちような絵が常設にあったのでしょう。
この数日後、ゴーギャン展に行ったのですが、そこにもオルセーからのドガの「踊り子」の絵が一点、展示されていました。
たくさん作品を見ると、ドガの多才ぶりがよくわかります。
by TaekoLovesParis (2018-02-05 00:44)