ハンセン氏の秘蔵作品展 (オードロップゴー美術館のコレクションから) [☆彡Paris 展覧会]
(2017年12月ジャックマール・アンドレ美術館にて)
以前、コペンハーゲンに行った時、行ってみたかったのが、「オードロップゴー美術館」だった。
でも、コペンから10kmという郊外の森にあるので、遠い!と同行の友達に拒否されてしまった。
でも、コペンから10kmという郊外の森にあるので、遠い!と同行の友達に拒否されてしまった。
オードロップゴー美術館は、保険会社で富をなしたハンセン氏が亡き後、美術コレクションがある
邸宅を国に寄贈、美術館となったのである。庭も屋外彫刻があり快適だそう。企画展をするための
新館は、国立競技場のコンペで話題になったイラク出身の女性建築家ザハ・ハディドの設計。
カフェレストランは国立新美術館と同じくPaulが入ってるとのこと。
邸宅を国に寄贈、美術館となったのである。庭も屋外彫刻があり快適だそう。企画展をするための
新館は、国立競技場のコンペで話題になったイラク出身の女性建築家ザハ・ハディドの設計。
カフェレストランは国立新美術館と同じくPaulが入ってるとのこと。
オードロップゴー美術館のコレクションは、フランス印象派とデンマーク人作品だが、今回、
パリに来たのはフランス印象派。全部で40数点。そのうち14点をご紹介。
パリに来たのはフランス印象派。全部で40数点。そのうち14点をご紹介。
1、風景画コローからシスレーまで
端正に描かれた絵。いつものコローとは違う。
「マントの橋」1850~1854
コローがMantesに滞在時の1842年、行政官Robert氏から自邸に飾る
3枚パネルの依頼を受けて描いたうちの一枚。明るい光を浴び、青空の下のマントの橋、水、
木々、左手前の女性の立ち姿が風景画を一段高めている。
端正に描かれた絵。いつものコローとは違う。
「マントの橋」1850~1854
コローがMantesに滞在時の1842年、行政官Robert氏から自邸に飾る
3枚パネルの依頼を受けて描いたうちの一枚。明るい光を浴び、青空の下のマントの橋、水、
木々、左手前の女性の立ち姿が風景画を一段高めている。
シスレー 「ビランクールでの川舟の荷おろし」1877年
ピサロ 「エラニーのプラムの木の花」 1894年
足を止めて見つめてしまう。白いプラムの花が美しい。背景のレンガの建物に映える。
他の絵に比べて大きめのサイズだったので、写真も大きくした。
足を止めて見つめてしまう。白いプラムの花が美しい。背景のレンガの建物に映える。
他の絵に比べて大きめのサイズだったので、写真も大きくした。
モネ 「グレーの空のウォータールー橋」 1903年
モネは1900年から1904年の間、42枚のウォータールー橋を描いている。
川に浮かぶ船の交通、工業化がすすむロンドンの煙突の煙などを青、緑、グレー、所々
にピンクの点で表現し、筆のタッチを分割することによって、霧の立ち込めたロンドンの
風景の雰囲気を出している。
モネは1900年から1904年の間、42枚のウォータールー橋を描いている。
川に浮かぶ船の交通、工業化がすすむロンドンの煙突の煙などを青、緑、グレー、所々
にピンクの点で表現し、筆のタッチを分割することによって、霧の立ち込めたロンドンの
風景の雰囲気を出している。
2、静物画
マネ 「洋梨の入った籠」 1882年
シンプルで、グレーと緑の色のハーモニーが良いと、ハンセン氏は気に入っていた。
マネ 「洋梨の入った籠」 1882年
シンプルで、グレーと緑の色のハーモニーが良いと、ハンセン氏は気に入っていた。
マティス 「花と果物」1909年
フォーブの時代のあと、マティスはダンスシリーズのような装飾的な絵に変わった。
セザンヌ風の果物、花の色と形は不規則で、幾何学的に引かれた背後の線に対抗している。
フォーブの時代のあと、マティスはダンスシリーズのような装飾的な絵に変わった。
セザンヌ風の果物、花の色と形は不規則で、幾何学的に引かれた背後の線に対抗している。
3、写実絵画 クールベとバルビゾン派
ドーヴィニー 「穏やかな海、グレーの時間」 1894年
ハンセン氏は印象派に先立つ写実絵画にも興味があった。
当時のデンマーク絵画には風景画が少なかったからである。
ハンセン氏は印象派に先立つ写実絵画にも興味があった。
当時のデンマーク絵画には風景画が少なかったからである。
クールベ 「フランシュ・コンテでの鹿狩り」 1866年
クールベはフランシュ・コンテ地方のオルナンで生まれた。
雪の中の鹿の絵をいくつも書いている。これは雌が雄を追い越す瞬間。
クールベはフランシュ・コンテ地方のオルナンで生まれた。
雪の中の鹿の絵をいくつも書いている。これは雌が雄を追い越す瞬間。
4、人物画
印象派の人物画
ベルト・モリゾ 「扇を持つマダム・マリー・ユバール」1874年
マネのオランピアの着衣版のようなポーズ。
印象派の人物画
ベルト・モリゾ 「扇を持つマダム・マリー・ユバール」1874年
マネのオランピアの着衣版のようなポーズ。
ルノワール「草むらの中の女性」1868年
ドガ「髪をとかす女性」1894年
入浴、化粧など日常生活の中のさりげない動きを表現するのが得意だったドガ。
この女性も誰かに見られているという意識はなく、半ば目を閉じて髪をとくことに
夢中になっている。この時期、ドガはパステル画を主にしていたので油彩画は珍しい。
(同じ主題のパステル画もある)緑色の背景が顔の白、腕の白を際立たせている。
入浴、化粧など日常生活の中のさりげない動きを表現するのが得意だったドガ。
この女性も誰かに見られているという意識はなく、半ば目を閉じて髪をとくことに
夢中になっている。この時期、ドガはパステル画を主にしていたので油彩画は珍しい。
(同じ主題のパステル画もある)緑色の背景が顔の白、腕の白を際立たせている。
セザンヌ 「水浴する人たち」1895年
ゴーギャン 「若い女性(ジャンヌ・ゴウピル)の肖像」1896年
ポスターや図録の表紙に使われていたインパクトのある絵。
ゴーギャンがタヒチに行ってからの絵で、タヒチ在の弁護士から、「娘の肖像画を」と頼まれ、
描いた。遠近感のない日本の版画風で、女の子の服の地味さに対比して、背景の絵柄入りの青
とピンクが目立つ。服は背景と同じ青で縁取られ、能面のような白い顔を赤い唇が引き立たせている。
女の子が手にバッグを持っていることから、誰かを待っているのだろう。静かで謎めいた人物
と同じくらい周囲の装飾的なモチーフが主役になっている新しい手法は、後のマティスに見られる。
ゴーギャンがタヒチに行ってからの絵で、タヒチ在の弁護士から、「娘の肖像画を」と頼まれ、
描いた。遠近感のない日本の版画風で、女の子の服の地味さに対比して、背景の絵柄入りの青
とピンクが目立つ。服は背景と同じ青で縁取られ、能面のような白い顔を赤い唇が引き立たせている。
女の子が手にバッグを持っていることから、誰かを待っているのだろう。静かで謎めいた人物
と同じくらい周囲の装飾的なモチーフが主役になっている新しい手法は、後のマティスに見られる。
ゴーギャン「小さな夢、習作」1881年
壁紙が夢の内容かしら?「ゴーギャン錬金術師展」で見た「眠っている子供」の絵を
壁紙が夢の内容かしら?「ゴーギャン錬金術師展」で見た「眠っている子供」の絵を
思い出す。手前右、ベッドにかけられた赤い服の人形が色のアクセントになっている。
展覧会の最後に、「ハンマース・ホイ」の作品の写真があった。
どうして?と思ったら、ハンセン氏は同じデンマーク人のハンマース・ホイの作品を
たくさん持っていて、オードロップゴー美術館のデンマーク人画家の展示棟で見れるそうだ。
どうして?と思ったら、ハンセン氏は同じデンマーク人のハンマース・ホイの作品を
たくさん持っていて、オードロップゴー美術館のデンマーク人画家の展示棟で見れるそうだ。
この展覧会は、ジャックマール・アンドレ美術館で開催されていた。
以前、記事にしたが、、ジャックマール・アンドレ美術館は邸宅美術館で、外が見える
レストランのテラス席がおすすめ。ロブスターがたくさん入ったパクチーのせビーフン、
美味しかったです。
以前、記事にしたが、、ジャックマール・アンドレ美術館は邸宅美術館で、外が見える
レストランのテラス席がおすすめ。ロブスターがたくさん入ったパクチーのせビーフン、
美味しかったです。
今日丁度、同じ作者の名前、勢ぞろいで
見てきたばかりです。
↑ピサロいいですね~♪
by ふにゃいの (2018-03-02 21:40)
ふにゃいのさん、国立新の「ビュールレ」ですよね。そちらの方が展示点数が多いと思います。すばらしい絵ぞろいですものね。私も行くつもり。邸宅美術館はセキュリティが甘いから盗難にあいやすいんですって。ビュルーレで展示されているセザンヌの赤いチョッキは盗難にあって、何年か後にセルビアで発見されて戻ってきた。だから、邸宅美術館は閉じることになったそうです。ビュールレ氏は武器商人で財を成し、ナチの高官ゲーリングと親しかったことからコレクションの入手方法は、などの裏話題もあります。
そういう裏話題と無縁なピサロの白いプラムの花、花びらの純粋さがいいですね。
by TaekoLovesParis (2018-03-03 09:56)
コペンハーゲンの美術館からってことだからか、これまで展覧会でも作品集でも目にしたことのない様な作品ばかりで新鮮に映ります。特に印象派は「またもやこのは作品日本に貸し出されてるのか・・・」なんてパターンが多いですものね(^^;。
by yk2 (2018-03-04 12:16)
yk2さん、この展覧会は、作品数は多くないけれど、個人のコレクションなので、ちょっと毛色の変わったものがあって面白かったです。ゴーギャン、ドガ、マティス、それぞれ、色合いが、ゴーギャンらしいとかドガらしい、で、ない所がいいなと思いました。
印象派には、「また来たの?」という作品、ありますね。特にゴッホは日本で人気があるから、展覧会も多く、同じ作品に会うことがありますね。
会場出口の横に大きく拡大したハンマースホイの「4つの部屋」という絵の写真パネルがあって、「なんで?」 気づきました。ハンマースホイはデンマーク人でしたね。
by TaekoLovesParis (2018-03-04 23:39)
こんにちは。
本当にすばらしいコレクションです!それぞれの画家の作品もたくさん日本に来てますが、全てみたことのないものばかりです。画家の個性はよく出ていると思うのですが、とても新鮮に感じました。Taekoさんのブログならでは、ですね。
どれもこれも素敵です。が、私の好みとしてピサロ「エラニーのプラムの木の花」、マネ「洋梨の入った籠」、マティス「花と果物」、クールベ「フランシュ・コンテでの鹿狩り」、ルノワール「草むらの中の女性」が特に気に入りました。最後のレストランのお食事もおいしそうですね☆☆☆
私、インフルエンザにかかりまして、もう治ったんですがなかなか食欲が元に戻りません。やっぱりキツイ病気なんでしょうね。まだ流行っているようですので、Taekoさんもお気を付けくださいませ。
by coco030705 (2018-03-05 17:44)
コペンハーゲンから列車とバス乗り継ぐのは遠いなぁ、と我が家も行かず^^;。
こうして見ると、目にしない作品ばかりで面白く。 行けばよかった・・・と後悔。
ハンセン氏、すごいコレクション♪ パリに出張する度に買い集めたそうで、
その財力にも驚きです・・・。
この中だとコローの「マントの橋」が気になる絵です。人の配置でさらに絵に奥行き感が出てますよね。今まで見てきたコローの絵には木が多くて、しかもどうしてここに?と私が思う位置に描いてあるので、思わず、その木の向こう側が見たい、と、首を伸ばして覗き込むようにしてしまうほど^^;。でも、この絵はスッキリ♪
ドーヴィニーはゴッホが敬愛していた画家ですね^^。以前、「ドービニー、モネ、ファン・ゴッホ:風景の印象」という展覧会をゴッホミュージアムで観て、珍しく図録を買ったのでした。 ちなみに、どうしてこの絵は貸し出されないんだろう?って思うゴッホの絵、いいのが沢山あるのになぁ。
by Inatimy (2018-03-05 20:42)
ピサロ、モリゾ、ルノワール・・・
私好みの作品がいっぱいだ♪
いいなぁ。
パリジェンヌ展も私好みの良い展覧会でしたよ♪
by りゅう (2018-03-05 21:44)
cocoさん、インフルとは大変でしたね。私は、かかったことがないのですが、かかった人は全員、「きつかった」って言ってます。
この展覧会、今、思い出しても、とっても良かったと思います。cocoさんのおっしゃる通り、それぞれの画家の個性がでているけれど、今まであまり見なかったタイプのものばかりでした。私もcocoさんが好きとおっしゃってくださった絵、どれもやさしい感じで好きです。
「Happy End」というフランス映画見ました。以前、cocoさんが記事になさっていた「愛・アムール」のミヒャエル・ハネケ監督で、出演がジャン・ルイ・トランティニアン、 イザベル・ユベールと愛・アムールに同じです。いろいろ考えさせられる映画でした。
by TaekoLovesParis (2018-03-06 01:03)
Inatimyさん、コペンにいらした記事ありましたものね。やっぱり遠いので、やめちゃったんですね。同じくコペンから35㎞という場所の「ルイジアナ美術館」というのが最高、行ってみてって、仲良しのデザイナーからすすめられています。
<パリに出張する度に買い集めたそうで、> そうなのね。
コローも「マントの橋」は、見たとたん、「今まで見てきたコローと違う、何だろう、この明るさ、さわやか感」って思ったののは、大きい木がないからなんですね。コローの絵で、見たとたん、明るいって思うなんて初めて。
Inatimyさんの観察力は、すごいわ。
<どうしてこの絵は貸し出されないんだろう?って思うゴッホの絵、いいのが沢山あるのになぁ。>→ 日本人受けするだろうと思うのを貸し出すんでしょうね。 「ドービニー、モネ、ファン・ゴッホ:風景の印象」という展覧会の記事、「三人三様の風景画」、今、もう一度、読みました。ドービニーの庭、どの絵だったかわかりました。ひろしま美術館にもあるぶんですね。「走る筆の跡」この記事にあるような明るくかわいらしい色彩の絵をたくさん見たいです。
by TaekoLovesParis (2018-03-06 01:28)
りゅうさん、このピサロは、ぱっと周りを明るくするほど存在感のある絵でした。ピサロ好きのりゅうさんに見せてあげたいと思いました。(ほんとよ)
展示されてないのに、絵ハガキを売っていたのが、モリゾの「赤いブラウスで草原にすわる少女」。どうしてかなと思ったら、オードロップゴー美術館の自慢の作品らしいです。
パリジェンヌ展のこと、教えてくださってありがとう。
by TaekoLovesParis (2018-03-06 01:37)