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ガレも愛した清朝皇帝のガラス [展覧会(絵以外)]

サントリー美術館で、開催中の 「ガレも愛した清朝皇帝のガラス」展に行った。
ガレの作品が好きなので、行きたいなと思っていたところ、新聞(日経)に出ていた
展覧会紹介の写真の「ブルーに茶色の被せガラス、模様は魚」という花瓶の重厚さが

すばらしくて、見入ってしまった。しかもヴィクトリア・アルバート美術館からの
とのこと。見なくては。

panf.jpg


見てよかった。
私はガレ作品には、ジャポニズム=日本の影響があるとしか知らず、中国からの
影響、それも大きな影響があったことを知らなかった。


ガレは、不透明な被せガラスの中国陶器に魅せられ、1885年、ベルリンの
工芸美術館でそれらを見るために、2週間滞在したという記録があり、実際、
それ以降の作品に、清朝ガラスの影響が見てとれる。

また、2015年にガレの旧蔵品がオークションに出され、花器「蜻蛉」制作
の参考にしたと一目でわかる清朝の鼻煙壺があったことから、中国の影響が
確認された。


中国のガラスの歴史は古い。
紀元前5世紀から3世紀のトンボ珠が展示されていた、で、次は一挙に清朝の
時代の展示となる。

乾隆帝の時代(1736~95)、フランスからガラス工芸の技術者を2名招聘し、
宮廷用の品を造る工房を紫禁城内に造った。
この時代、黄色は皇帝か皇妃用の品にだけ使われる色だった。
「黄色鳳凰文瓶」(サントリー美術館)
不透明なガラス。木の枝にとまる鳳凰を彫ってある。
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古代の青銅器を模した形のものも造られた。
「青色文字入双耳瓶」(永青文庫)

青色文字入り双耳瓶.jpg


紅色宝相華唐草文鉢(サントリー美術館)

高台や模様は削り出している。
赤.jpg



雪片地紅被騎馬人物文瓶(サントリー美術館)
白のガラスの上に紅色を被せ、勇壮な騎馬武者が戦う場面を彫ってある。

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乳白地多色貼獅子浮文篇壺 (東京国立博物館)

色違いのガラスで獅子の親子を表している。

buru.jpg



中国の影響がみられるガレの作品が展示されていた。
花器「カトレア」1900年(サントリー美術館)

花器「おだまき」1900年(サントリー美術館)


最後に「鼻煙壺」のコレクション(町田市立博物館)がずらりと並んで壮観だった。

鼻煙.jpg

7月1日までなので、会期はあとわずかですが、おすすめ。



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Inatimy

「黄色鳳凰文瓶」を見て、ふと思い出したのが、モーリス・ドニの美術館で見た
ガレの"Le Chat Jaune"『黄色い猫』。 
あれはガラスじゃなく、黄色い釉薬をかけて焼かれた陶器でしたが。
見た時は、どうして黄色い猫?と思ったけれど、中国の影響だったのかも・・・と
Taekoさんの記事で納得^^。
展覧会のサイトでガレの花器「おだまき」も見てきましたが、色のグラデーションが繊細♪
by Inatimy (2018-06-29 19:39) 

moz

清朝の陶磁器ではなくてガラスなんですね。
全くのマーク外で、えって思ってしまいました。でも、やっぱり清、中国っぽいデザインなんですね。
ジャポニズム前? シノワズリ? なのでしょうけれど、ガレは中国からも影響を受けていたんですね。展覧会7月1日? 明日まで ^^;
プーシキンも行かないと ^^;;;
by moz (2018-06-30 07:27) 

coco030705

こんにちは。
ガラス器ってほんとに美しいですね。黄色一色のガラスの花瓶は初めて見ました。意味のある色だったんですね。おもしろいです。

by coco030705 (2018-06-30 18:31) 

ふにゃいの

きれいですね~。
こういうものを見てガラスがやりたいと思ったものの
なかなか、 被せガラスや パート・ド・ヴェールの
技法には到達できません^^;
by ふにゃいの (2018-07-01 21:19) 

チョコローズ

Taekoさまのブログ記事を見て、行きたいのに忘れてた!と思い、土曜日に行く気でしたが
朝、某神社にお参りしてからここへ行こうと計画していたのに、あまりの暑さに
断念しました。
あ~行けばよかった。サントリー美術館はガラスや陶器の作品も良く展示するので
好きなんですけど、行きそびれます(泣)
by チョコローズ (2018-07-01 23:07) 

yk2

taekoねーさんもがっかりの朝を迎えられた事と拝察致します。もうちょっとだったのに・・・(泣)。

写真撮影可能コーナーの写真、綺麗に撮れてますね。
赤とかブルーだとかの色ガラスの器群に、僕はガレよりカイ・フランクを思い出してました。中国にこんなガラスが在ったんだなぁ~と。

それにしてもサントリー美術館はガレが大好き(笑)ですね。
2年前の展覧会からまた少し遡って、まだ中国趣味も日本趣味もフランスではきちんと整理されていない、区別しにくい時期を通じて、ガレが東洋から受けた影響を具体的なサンプルで提示してくれる面白い企画でした。
by yk2 (2018-07-03 12:51) 

TaekoLovesParis

yk2さん、朝、職場で見てなかった人から「残念でしたね。3対2、負け試合見るなら寝てて正解でしたよ」と言われ、温度差を感じました。実際に見てたら、「勝てるかも、次の試合はいつ?」って、思える幸せな時間があったのですもの。長谷部、本田と日本代表から引退表明。新旧交代していくんですね。

カイ・フランク、、アラビア社のデザイナーでしたね。今でも彼のデザインのシリーズ、使われていますね。ところで、サントリー美での撮影可能作品は、どういう基準で選んでいるのでしょう?自分のところの所蔵品という基準ではなさそうです。

他の国は、ガラスの透明度を重んじていた時代に、重厚さを追い求めた中国のガラス工芸。それだから被せガラスが生まれたのでしょうね。たしかにガレの時代は、中国も日本も区別がつきにくかった時代。ガレは、イスラムやエジプトのガラス器もコレクションしていたそうです。
by TaekoLovesParis (2018-07-04 00:17) 

nicolas

ブルーに茶、なんですね。
深い赤に見えましたが、涼しげなブルーに映えますね~
深紅のボウルも引き込まれる色ですね。
何より、ブルーに茶の被せガラスをあしらったこのポスターがまた素敵です。
トーン違いのミントブルーを持ってきて、白抜きのクラッシックなフォントを
全面に被せてしまっていますが、そのせいか、奥のガラスに見入ってしまいます。
右半分近くを切ってしまっているのも、もっと見たい気持ちにさせる気が。
by nicolas (2018-07-06 20:46) 

初夏(はつか)

「雪片地紅被騎馬人物文瓶」
馬に乗って走り闘う姿、とても美しいですね^^
by 初夏(はつか) (2018-07-10 07:30) 

TaekoLovesParis

遅いお返事ですみません。
▲Inatimyさん、ドニ美術館の「黄色い猫」、ポーズがかわいいですよね。その上、目が愛らしいし。たしかに猫が黄色は不思議ですよね。でも、実際の色だと暗くなってしまうから、黄色にすると、高貴な感じになるって、中国のからヒントを得たのかしらね。オダマキは茶系の色の移り変わりがすてきですよね。さらに重厚感もあって、下に支えがついてるのが面白い。後で、写真を追加しておきますね。

▲mozさん、私も陶器は英語でChinaというくらいだから、中国は陶器と思っていたけれど、浮かぶのは、唐三彩、五彩、青磁、青花などで、ガラス器は知りませんでした。ガレふうの被せガラス、やっぱり綺麗でした。
ガラスは照明でキラキラするので、サントリー美術館の少し暗めの照明でとても綺麗でした。
プーシキン、いらっしゃいましたか?

▲cocoさん、私も中国陶器にガラスがあるのを知らなったので、興味深く見ました。そうしたら、コザックさんが、箱根のポーラ美術館でやはり、ガレ展をご覧になった記事を出してらしたので、そちらも見たくなり、行ってきました。次の記事の予定です。

▲ふにゃいのさん、ガラス工芸をなさってらしたのですね。ふにゃいのさんのサイトに「ガラス工芸」のカテゴリーがあったので、見てきました。お教室に通ってらしたんですね。トンボ玉はアクセサリー、インテリアとして夏に活躍できそうですね。

▲チョコロさん、急に暑くなりましたね。一日にいくつもまわれませんね。
サントリーはガラス器をたくさん持ってるので、夏はガラスの特集が多い気がします。あついー、って帰って来て、何か飲むときのグラスがすてきだと嬉しいですよね。

▲にこちゃん、やっぱりポスターに注目ですね。
おしゃれですよね。夏に涼し気なミントブルー。白のフォントもアールデコふうだし、縦3分の1で切っているのが美しいバランス。
レリーフのように浮き出た魚模様の重厚さ。不透明なガラスの質感に見入ります。この写真では見えにくいけど、下にある蓮の花の茎が全体に伸びてからまってるんです。ブルーは池の水を表してるのかなって思えます。
ヴィクトリア・アルバートからの借り物なので、見ておかないと、と思って出かけました。

▲はつかさん、赤いガラスの透明感から、鳥が描かれてる?と遠くから見て思ったら、戦闘場面でした。しかも実にリアルに描かれてました。馬が疾走し、鉾をかざした武者が馬上に。軍旗も風にはためき、とっても動きのある絵で、見入ってしまいました。
by TaekoLovesParis (2018-07-13 10:40) 

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