ギュスターヴ・モロー展 [展覧会(西洋画)]
東京・汐留の「パナソニック汐留美術館」で開催中のギュスターヴ・モロー展に行った。
日曜日の3時過ぎだったので、そんなに混まないだろうと思ったら、「1時間待ちです」
と言われてびっくり。23日までなので仕方なく並んで見たが、きちんとテーマに沿った
展示でとても良かった。
日曜日の3時過ぎだったので、そんなに混まないだろうと思ったら、「1時間待ちです」
と言われてびっくり。23日までなので仕方なく並んで見たが、きちんとテーマに沿った
展示でとても良かった。
テーマは、「サロメと宿命の女たち」
その女に恋をした人、された人は破滅の道へ導かれる、それが宿命の女である。
つまり、とてつもない魅力、魔力を持った女性で、神話で語られることが多い。
その女に恋をした人、された人は破滅の道へ導かれる、それが宿命の女である。
つまり、とてつもない魅力、魔力を持った女性で、神話で語られることが多い。
たとえばサロメ。
サロメの母は、今はユダヤの王ヘロデの妻だが、元はヘロデの兄の妻。
サロメを連れて再婚した。それは「律法で許されない」と預言するヨハネ。
だから、サロメの母は、ヨハネをうとましく思っている。
ヘロデが宴で、サロメに、「踊れば、何でも好きなものを褒美にやろう」と言い、
サロメは、踊りの後、「ヨハネの首を褒美にください」と答えた。
「出現」
ヨハネの首がサロメの前に現れた「出現」したところ。
実は、ヨハネの首は、サロメにしか見えていない。なぜなら、この絵で他の人たちは何の
驚きの表情もなく描かれている。首はサロメの見た幻なのである。
しかし、サロメは臆することなくヨハネを見つめ、射殺さんばかりの勢い。
実は、ヨハネの首は、サロメにしか見えていない。なぜなら、この絵で他の人たちは何の
驚きの表情もなく描かれている。首はサロメの見た幻なのである。
しかし、サロメは臆することなくヨハネを見つめ、射殺さんばかりの勢い。
絵の半分から上は背景である。ここに描かれた細い黒線が建物を立体的に見せる効果を
与えている。これは実際に絵を見ないとわからない。
与えている。これは実際に絵を見ないとわからない。
「サロメ」
祈るようなポーズで,つま先で立つサロメ。
「ヘロデ王の前で踊るサロメ」のための習作。と言っても衣装がきちんと描かれ、
習作とは思えない。
祈るようなポーズで,つま先で立つサロメ。
「ヘロデ王の前で踊るサロメ」のための習作。と言っても衣装がきちんと描かれ、
習作とは思えない。
他にも、サロメを描いたものだけで30点ほど。小品やデッサンが多い。
デッサンの中で良かったのは、「踊るサロメ(刺青のサロメ)のための習作。
モローはサロメの衣装のために、古代エジプトの女性像やインドの女神像などを参考に
したということがわかるデッサン。
デッサンの中で良かったのは、「踊るサロメ(刺青のサロメ)のための習作。
モローはサロメの衣装のために、古代エジプトの女性像やインドの女神像などを参考に
したということがわかるデッサン。
サロメの他には、「トロイアの城壁の前に立つヘレネ」
「オイディップスとスフィンクス」
「ヘラクレスとオンファレ」
「セイレーン」(海で美しい歌声で男を誘惑する人魚)
「レダ」
「パテシバ」
「オイディップスとスフィンクス」
「ヘラクレスとオンファレ」
「セイレーン」(海で美しい歌声で男を誘惑する人魚)
「レダ」
「パテシバ」
と続き、お馴染みの「エウロペの誘拐」
白い雄牛に変身したゼウスは、侍女たちと海辺で遊ぶエウロペに近づき、エウロペが雄牛
に腰をかけた途端、ダッシュで海を駆け抜けクレタ島に向かった。
りりしいゼウス、見つめるエウロペもまんざらでない様子。誘拐とか略奪という言葉
が使われるシーンだが、そんな様子はない。モローなりの解釈なのだろう。
白い雄牛に変身したゼウスは、侍女たちと海辺で遊ぶエウロペに近づき、エウロペが雄牛
に腰をかけた途端、ダッシュで海を駆け抜けクレタ島に向かった。
りりしいゼウス、見つめるエウロペもまんざらでない様子。誘拐とか略奪という言葉
が使われるシーンだが、そんな様子はない。モローなりの解釈なのだろう。
「クレオパトラ」
「サッフォー」
「エヴァ」アダムとイブのイブ=エヴァ。
木の上から、りんごを差し出すアダムは線のみで描かれ、主人公はイブであることを
示している。イブの足の筋肉が女性っぽくないのが気になった(笑)
「一角獣」チラシにも使われている絵。女性の衣装が細かくみごと。
モローは、「クリュニー中世美術館」で一角獣のタピストリーを見て、刺激を受け、
この絵を制作した。純潔の乙女にしか、なつかないという幻の動物「一角獣」。
一角獣は可愛らしく描かれ、上品な楽園という雰囲気。
始めに「自画像」があった。24才の時だそう。
モローにとっての「運命の女性」ということで、母を描いたデッサン、恋人を描いた
デッサンが、最初にあった。
モローにとっての「運命の女性」ということで、母を描いたデッサン、恋人を描いた
デッサンが、最初にあった。
「女性」が主人公の絵ばかり、モローらしいタッチのきれいな絵が多く、見応えが
ある。
ある。
*明日23日までです。(混雑状況を調べてからいらした方がいいと思います)
パナソニック美術館は常設でルオーの作品を展示している。
ルオーは、モローの一番弟子で、モロー亡き後、住居が、モロー美術館となったが、
初代館長を務めたのは、ルオーだった。
パナソニック美術館は常設でルオーの作品を展示している。
ルオーは、モローの一番弟子で、モロー亡き後、住居が、モロー美術館となったが、
初代館長を務めたのは、ルオーだった。
こんばんは。
すばらしい絵画展ですね。幻想的で、ある種不気味なサロメの絵に、なぜか惹かれます。美しい衣装やユニコーンや背景の風景もいいですね。幸いなことに、あべのハルカス美術館に巡回しますので、楽しみに待ちます。
by coco030705 (2019-06-22 23:02)
クラナッハとモローは、僕はtaekoねーさんにその面白さを教えて貰った(?)画家ですね~。サロメなんて、昔の僕なら絶対良いとは思えない、好きになれそうもない画題だったのに。どうしてtaekoねーさんは事ある毎に、こんな生首絵画(^^ゞをブログで紹介するんだろう?って思ってましたもん(笑)。
以前、誰の描いた『レダ』だったかは忘れましたが、こちらのコメント欄でりゅうさんが、レダ役(?)のtaekoねーさんに白鳥ゼウスが焼き鳥!にされちゃうって書いておられて大爆笑させて頂いたことがありましたが、今回モローの描いたレダや挑発的な眼差しのエウロペを観賞し、ゼウスさえ破滅に向かわせるファムファタルと云うモローの発想、女性観を改めて興味深く思いました。そして、あの時りゅうさんはtaekoねーさんをファムファタルとしてコメントなさったのだろうか、それとも単に肉好き(笑)だから→焼き鳥って発想だったのだろうか?。展覧会場でひとり、そんな事を思い出して笑ってました。くっくっくっ(^^ゞ。
by yk2 (2019-06-23 11:45)
ファムファタルかつ肉好きなTaekoお姉さま、おはようございます。
(なんか、呼ばれた気がするのは、気のせいかな?・・・)
とても魅力的で興味深い展覧会でした。
一つだけ不満。
それは、Taekoさんの肖像画が無かったこと。
なんたって、主題はファムファタル「宿命の女」ですからね!(*'▽')
by りゅう (2019-06-24 07:03)
こちらのブログで何度か拝見してるうちに美術館でサロメとヨハネの首の作品を見るたびに
Taekoさんを思い出すようになりました^^。
アムステルダム国立ミュージアムでも2つほどあって、Pierre Courteysのリモージュ琺瑯の作品で"Plaque with Salome with the Head of John the Baptist"と、15世紀だったかの絵でJacob Cornelisz van Oostsanenの"Salome with the Head of John the Baptist"。
ギュスターヴ・モローの描く人物は、頭が割と小さめだからか、長身に見えますよね。
ふくよかだけどすらっと見えるというのか。
その繊細そうな線を見ると思い浮かぶのが日本の画家・イラストレーターの天野喜孝。
by Inatimy (2019-06-25 00:02)
cocoさん、あべのハルカス美術館に巡回なんですね。期待に応えられる良い展覧会だと思います。近くでじっくり見ると、ていねいに描かれているのがわかります。無数に線がはいってたりとか、テクニックに感心します。
by TaekoLovesParis (2019-06-25 01:49)
nice&コメントありがとうございます。
▲yk2さん、サロメの絵を出すたびに「また生首~」とコメントを頂いてましたね。でもね、私の関心は首ではなく、美しく強いサロメなのですよ。首の部分は悪い夢を見るといけないから見ないようにしています。
日本では馴染みがあるとはいえないサロメですが、欧米の美術館へ行くと、いろいろな画家が描く「サロメ」の絵に出会います。ドラマティックだから絵の主題になりうやすいのでしょう。人気だったパリでの「クリムト展」の図録の表紙も「サロメ」でした。サロメはオペラで度々上演されるし、ビアズリーの版画もあったり、下のInatimyさんのコメントにあるようにリモージュ琺瑯だったりと、昔から有名人ですね。
レダへのりゅうさんのコメント、傑作ですよね! 2010年1月でした。噂をすれば何とやらで、次にご本人登場とは思いませんでした(笑)
▲りゅうさん、気のせいじゃないです。呼びましたよ(笑)。なんというタイミングって感心してます。
yk2さんが、「あの時、りゅうさんは、taekoねーさんをA or B 」と疑問形でコメントを閉じたら、りゅうさん、いきなり答えてくれましたね。<A and BのTaekoお姉さま、> 肖像画かぁ、これも上手いなー。こうなると、ほめ殺しに近い(笑)
モローって、ファムファタルのような人に出会い、破滅への道を歩みたいという憧れがあったのかしら。
▲Inatimyさん、あら~サロメを普及させちゃった?(笑)
Pierre Courteysは、探したらWikiにも作品が出てました。Jacob Cornelisz van Oostsanenのその絵は、マウリッツハイスのサイトにありました。
<モローの描く人物は、頭が割と小さめだからか、長身に見えますよね>→
モローの理想のスタイルなのでしょうね。なぜなら、一生連れ添った恋人のデッサン画がありましたが、丸顔でふっくらという感じだったので。
天野喜孝、一時、流行ったけど、最近はどうなのかしら。
by TaekoLovesParis (2019-06-26 01:05)
いっぷくさん、お久しぶりです!アイコンを見ると懐かしいです。
by TaekoLovesParis (2019-06-26 01:14)
匁さん、お元気ですか?
by TaekoLovesParis (2019-06-26 01:14)
1時間待ちだったんですね。じぶんが行った時は全然混雑していませんでした。 ^^;
それはさておき? モロー展ご紹介もして頂きましたが、とても素敵な展覧会でしたね。モローは昔から気になる画家のひとりで(ルオーが好きでその先生と言うこともあり)したが、なかなかまとまって見る機会がなかったのですが、素晴らしい作品がたくさん見られたこと。
それから、モローのファムファタルの背景が何となく自分なりに理解できたこと etc etc…。お母さんの影響って強いなと b^^
今年のじぶんのテーマはファムファタルだと思っています。
先日ようやく上野の方のクリムトに行ってきました。続けてもう一つもと思っています。
by moz (2019-06-26 06:02)
「出現」
サロメにしか見えないヨハネの首。
なんか、ドキドキしちゃいますね。
いつか観れたらいいなー。
「一角獣」も、美しいですね^^
by 初夏(はつか) (2019-06-26 15:14)
mozさん、混んでなかったんですね。やっぱり会期の早いうちに行くべきですね。mozさんのルオー好きは知ってますよー。私の周り、女子はルオーを好きな人はあまりいないから、私はルオー→ mozさんという連想です。今回、モローを見終わってから、特別展示室でルオーの作品を見たら、初めて共通点があることを感じました。サーカスのイメージが強かったので、モローと結びつかなかったのです。キリストが題材の作品でならわかります。
ファム・ファタルがテーマだから、最初の部屋がお母さんと生涯の恋人なんですよね。晩年、眼がよく見えないお母さんに、「こんな絵を描いてる」と手紙で細かく説明している、きっと昔から絵ができるたびに、お母さんに見せて説明していたんだろうなと思いました。お母さんはモローの絵を全面的に支持してくれてたんですね。
ファムファタルで運命が変わるほどでなくても、ファムファタルに影響されて趣味が変わったり、内面的成長があったりとか、人生が変わること、あるでしょうね。私は、国立新のウィーンに行きました。上野はこれから、です。
by TaekoLovesParis (2019-07-01 18:53)
初夏(はつか)さん、入場待ちの間、チラシにある一角獣の巨大ポスターの前に立っていたので、女性の衣装が実に細かく描いてあることがよくわかりました。絵の倍、3倍に引き伸ばしてもアラが見えるどころか素晴らしいと思えるなんて、すごいでしょ。感心しました。
「出現」は、ドラマティックで大きな絵、素晴らしいです。
by TaekoLovesParis (2019-07-01 23:18)