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ファブリックの女王 [映画 (美術関連)]

「ファブリックの女王」は、北欧を代表するファッションブランド「マリメッコ」
の創業者アルミ・ラティアの人生を描いたフィンランド映画である。

1951年、第二次大戦後のフィンランドで、アルミは斬新なデザインの生地会社
「マリメッコ」を立ち上げ、世界的なブランドへと成長させた。
生地のデザインのみならず、インテリア用品なども手掛け、人々のライフスタイル
を楽しく心地良いものに変えようとした。
私生活では夫との確執や恋人、事業家としての迷い、デザイナーなど従業員たち
との関係、妥協しないアルミには、次々、問題がおこる。
(この辺りの詳しいことは、下のコメント欄でyk2さんが補足してくださっています)

fablicMarimekko.jpg

この映画は、単に女優(ミンナ・ハープキュラ)がアルミの人生を演じるのでなく、
演劇の手法を取り入れ、アルミの人生の再現ドラマのメイキングにしている。
なかなか面白い趣向。
女優が、アルミはどうだったのだろう、どう表現したらよいのだろうと考えながら、
演出家と意見を交え、作品作りをしていくのが現在。そして、アルミに成り切って
ドラマをすすめる時は過去である。

しかし、現在だ、過去だと考えなくても、波乱万丈の人生に引き込まれていく。
監督は、巨匠ベルイマン監督のもと、プロデューサーを務め、自身も初期の
マリメッコ社で役員をしていたヨールン・ドンネル。
 
良い映画だと思うが、万人向きと言えるかどうか。。

1951年当時は、女性の服がシルクやウールだった時代で、コットンは普段着だった。
だから、マリメッコがフィンランド産コットンに大胆なプリントを施し、おしゃれ服
を作ったのは、画期的なことだった。そして、ケネディ大統領夫人が気に入ってくれた
ことから、アメリカでも人気となり、世界ブランドとなった。
マリメッコで代表的な柄は、赤い芥子の花を大きく描いたもの。
北欧らしい可愛さ、明るさ。
Marimekko.jpg

私が使ってるエプロンは、最近のマリメッコ製品。
油はねなどの汚れが目立たないので、エプロンとして実用的。
Apron2.jpg
      
フィンランド映画といえば、私はアキ・カウリスマキの暗い世界も好きでした。
最近、アキ・カウリスマキの映画の話題をききませんが、新作はないのかしら。

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coco030705

こんばんは。
「マリメッコ」のファブリックは、明るくて楽しい感じの印象です。友達がバスマットをプレゼントしてくれたので、長く使っていました。自分でも、小物類を買って、持っていたことがありました。Taekoさんのエプロン、とても趣味のいい色彩と柄ですね。美味しいお料理ができそうです。

ところで、アキ・カウリスマキの作品ですが、私は「ル・アーブルの靴みがき」という作品のレビューをソネブロに書いていました。Taekoさんもコメントくださっていましたよ。老夫婦の愛情が描かれ、アフリカからの密航者の少年を二人が助けるいい物語でしたね。カウリスマキ監督は、2017年「希望のかなた」が第67回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)に輝きました。けれども、同作を最後に、彼は引退する意向を示していたとのことです。残念ですが、色々な生き方があるのですものね。
by coco030705 (2020-10-18 22:28) 

angie17

再現ドラマのメイキング・・ですか。
面白そうな手法ですね!
マリメッコはプレゼントで頂くと、元気な気持ちになれるし、
頂戴して嬉しいブランドですね。
by angie17 (2020-10-19 16:17) 

ぼんぼちぼちぼち

マリメッコ、人気ありやすよね。
最近は、北欧調のカフェブームというのもあり、マリメッコの生地はあちこちで目にしやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-10-19 20:58) 

ふにゃいの

世のマリメッコ熱も一時期に比べたら落ち着いてきたのかなと思いつつ
結構最近の柄が使いやすくなってるなぁと思ったり。

ちょっと舞台要素がある映画のつくりが
面白そうですね。
by ふにゃいの (2020-10-19 22:19) 

Inatimy

マリメッコの生地、色使い、にぎやかで面白いですよね。
落ち着いた色の生地でも、アクセントが効いてるというのか。
クッションカバー持ってます^^。うさぎ&キツネ&鳥などのプリント柄。
by Inatimy (2020-10-20 21:34) 

yk2

この手の評伝記的映画ってエンタメ的にはちょっと地味目に思えて、DVD化されてもまずレンタルになんてならないだろうなぁ~などと考え、僕はDVDを購入しましたが、今はAmazonプライムなんかでサクッとお家視聴出来ちゃう様になってるそうで、まぁ世の中便利になりましたこと(^^;。

marimekkoの創業者の話ってことで、観る前はとってもとってもカラフルでファッショナブルかつ明快な成功物語を想像してました。だけど当時の時代背景として、戦争を経て独立したばかりのフィンランドはお世辞にも豊かな国家だったとは云えないし、女性の社会進出にも理解が有ったわけでもない。ましてや女性の会社経営者などに世の男性が寛容で在るわけがなく、隙さえあれば直ちに足を引っ張って、その立場に取って代わろうとダンナやその親族はおろか息子でさえ虎視眈々と狙ってる。一見華やかなファブリックの女王・アルミの人生は常に男性社会や身内との会社経営上の主導権戦いに明け暮れていた。でもそれは、あまりに自由奔放、出鱈目とほとんど紙一重なアルミの会社経営手腕に対して健全さを求めるが故に発せられるアンチテーゼなわけで、一概に反対勢力を「悪」とも決めつけられないモヤモヤ感も拭えず。疲弊したアルミの酒量は増え、ついには追い詰められて薬物摂取に依る自殺未遂も起こす。

「アルミを決して神格化するための劇にはしない」って宣言した上での演出だから、観る側もそれを受け止めないといけないんですよね。それが、taekoねーさんの仰る「万人向きといえるか・・・」って感想に行き着いちゃうんでしょうね。
by yk2 (2020-10-21 02:49) 

響

マリメッコのデザインは明るくていいですよね。
北欧をしらなくても家に一つはある気がします。
by (2020-10-21 08:17) 

TaekoLovesParis

cocoさん、マリメッコのタオルは、頂いたことがあるけれど、柄が大きくて、バスマットにしたほうが良さそうと思いましたが、バスマットもあるんですね。
気になったので、見てみました。いろいろな柄がありますね!

アキ・カウリスマキの「ル・アーブルの靴みがき」、不法移民の子供を助ける話でしたね。cocoさんのところになんのコメントをしたのかとみてみたら、「みます」でした。舞台のル・アーヴルという港町には行ったことがあるので、懐かしかったです。私が見たアキ・カウリスマキ「マッチ工場の少女」はフィンランド、「浮き雲」も北欧の暗い場所だったので、ル・アーヴルで明るい映画になるのかなと予想、それは当たってました。
どの作品も貧しい人が主人公ですが、悲惨さよりも、不条理、シニカルな視点、ユーモアと、「えっ、どうして?」という突然の行動で、淡々とした画面に盛り上がりが出ます。見終わって、人間って?ということを考えさせる、監督の技量のすばらしさが伝わってきました。映画のテンポに独特の世界があります。
引退ですか、、、もう撮りたいものがないんでしょうか。
by TaekoLovesParis (2020-10-22 00:47) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲angieさん、始まりもユニーク。工場と思しき何もない空間に椅子に座った女優だけ。そして、女優がアルミについて語り始める。その話に引き込まれていると、メイキングなので、演出家が舞台の袖から指示を出しという展開。演出家とは大いに議論をする。過去のアルミの場面に転換するのは、映像だと一瞬ですみ簡単でいいです。
マリメッコは、時々、柄が大きすぎるのもありますが、明るい気分になるものばかりで、普段の生活が楽しくなりますね。

▲ぼんぼちさん、そうですね。カフェは増えてるし、やさしい、寛げる、童心に帰れるというイメージに合うのがムーミンCaféでしょうね。木を使った北欧家具やインテリアは、日本に合いますしね。

▲ふにゃいのさん、メイキングは面白いです。画面の真ん中に置かれたソファーの両横に人が立ち、正面(観客)を向いて、大きな声で明瞭に話し始めると、この部分は舞台の手法と、わかって面白かったです。
どんなに年数が経っても昔の柄をおいているところは、日本で流行遅れのものが売り場からなくなる、のと違いますね。デザインを大事にしてるのでしょう。

▲inatimyさん、<うさぎ&キツネ&鳥などのプリント柄> → クッションにいい柄ですね~。ふっと目をやったとき、なごみますよね。キツネとベリー柄も好きです。ネコの柄のもいくつかありますね。

▲yk2さん、この映画は、調べて見たら、bunkamuraのル・シネマで、2016年12月に6日間だけの上映だったのですね。レンタルにならないかも、、と思うのは、この頃だったら当然ですね。今は、かなりのものをamazon primeで見れる時代。いつでも見れると思うと、見る時の集中度が薄いのか、見ても忘れちゃって(苦笑)

私も、マリメッコのいろいいろな柄が見れると勝手に想像していたのですが、違いましたね。さらに、私は、アルミがデザイナー兼創業社長だと思っていたのだけど、美的感覚よりも商才があったのですね。売れる、売れないのカンがある。
フィンランドは、ヘレン・シャルフベックで親しみを持ち始めたのですが、第二次大戦後の社会の変化、ロシアへの賠償金による逼迫経済など困難な状況での操業。失敗した染色の生地を活かす発想はまさに時代のもの。そして明るい色、斬新なデザインは人々の求めるものと合致してたのでしょうね。
ご主人、個性的な授業員たち、それぞれ、しっかりした役作りで、見る人にわかりやすくしているけれど、成功しても、さらに上を理想を目指すアルミ。応援しながら見ていても、だんだんついていけなくなって、疲れました。神格化しない、、演出家の意図どおりだわ。

▲響さん、マリメッコ柄は、マグカップなど食器にもあるので、見かけることが多いですね。婦人服もあるけれど、高いんですよ。
by TaekoLovesParis (2020-10-22 11:44) 

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