キアロスクーロ展とホルツィウス [展覧会(西洋画)]
キアロスクーロ展
先週金曜日夜、西洋美術館の企画展「キアロスクーロ」に行った。
キアロスクーロとはイタリア語で「明と暗」、明暗を使いわけたルネッサンスとバロックの時代のイタリアの多色刷り木版画のこと。
普通の木版画は白い紙に黒インクのみで刷るが、キアロスクーロは2色以上を使う。ラインという絵の主版の上に画面に陰影を与えるトーン(色版)を重ねる。重ねることによって明暗がはっきりして立体的に表現できるのだ。
上の絵が1508年、初めてのキアロスクーロ作品。2版を使用した「聖ゲオルギウス」。
キアロスクーロはオランダにも伝わり、オランダの巨匠、ホルツィウスの作品があった。
Hendrick Goltziusというスペルを見たとたん「あ、この名前!」
アムステルダムの国立美術館に私が行った時(2003年3月)正門に、公開中の企画展の
大きな垂れ幕がかかっていた。左の写真で見えますか? 「HENDRICK GOLTZIUS 」
古典主義っぽい絵で惹かれるけれど、全く聞いたことのない名前、でも有名らしい、
と思ったのだった。
美術館のすぐそばに泊まったので、朝に夕にこの垂れ幕を見て、名前も覚えていた。
これは絵だけど、版画も卓越した腕なのだからオランダの天才なのでしょうね。
ホルツィウスは筋肉隆々たる裸体が得意ということで、代表作は「ヘラクレス」だが、
私はこちらの「テティス」が好き。
テティスは海の女神。ひっくり返した貝をイルカにひかせてに乗っています。海産物を髪につけ、
足元には魚が見えるという構図。
1589年の作品で、3版使用(黒と緑とベージュ)。