ルーベンスの家 [絵が描かれた場所を訪ねて]
ルーベンスは若くして成功した画家だったので、家がとても立派です。
弟子もたくさんいて、自宅が工房になっていました。
これが入り口。屋根には青銅の等身大の彫刻がついています。
↓は中庭。手前の花壇は3月だったので、まだ花が植えてありませんでした。
ルーベンス33歳、結婚して間もない頃、妻イザベルとの自画像。
ルーベンスの生涯に関しては、Ikesanが「王の画家にして画家の王」という記事を書いて
いらっしゃるので、そちらを見てください。
前回「プラハ国立美術館展」に、ヤン・ブリューゲルの花の絵を載せましたが、
ヤン・ブリューゲルが花環を描いたあとに、ルーベンスが人物を描きいれた共同作品。
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多いことでしょう。
↓ネロが見たくてたまらなかった ノートルダム教会のルーベンスの祭壇画 「キリストの降架」
ここのステンドグラスがとてもきれいでした。
プラハ国立美術館展(ルーベンスとブリューゲル) [展覧会(西洋画)]
初日に出かけ、そのうち記事にしようと思っていたら、もう会期は明後日まで。
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ヤン・ブリューゲル(父)の「夏景色」
昨年の「ベルギー王立美術館展」の「イカロスの墜落」を思い出させる海、船、木々、遠景の景色。
衣服の色が赤、というところも似ています。
ブリューゲルはファミリーで絵描き。農民と田園の情景を多く描いています。
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見えにくいけれど、皆でオートミールを囲んで食べている「緑のフランドル村」
フランドル地方は現在のベルギーの北部。
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「東方三博士の礼拝」
フランドル地方の雪景色。この絵は部分なので、東方三博士は左端の黄色い服。
2人しか見えません。ひざを折って祈っています。
↓ブリューゲル・ファミリーの中でも、ヤン・ブリューゲルは「花のブリューゲル」と呼ばれ、
背景が黒の花の絵をたくさん描いています。
ルーベンスは、ブリューゲルと同時代、同じフランドル地方ですが、
躍動感あふれる宗教画、肖像画の名手で、工房には弟子もたくさんいて
成功を一身にうけている人でした。バロック芸術の代表者といわれています。
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「カエサルの凱旋」の部分。もっと横にいろいろ描かれている大作。
ルネッサンスの巨匠「マンテーニャ」の同じ題名の絵をモチーフにしています。
←ルーベンスの「聖アウグスティヌス」 これも大きな絵で圧倒されます。
当時のフランドル地方は、神聖ローマ帝国で、ハプスブルグ家支配下。
チェコのプラハも同じくハプスブルグ家の支配のもとにあったので、絵が運ばれて行き、
コレクションが充実しているのだそうです。
こじんまりとしているけれど、印象に残るいい絵がたくさんある展覧会でした。
アルテ・ピナコテークのドイツ絵画 [外国の美術館、博物館]
りんこうさん、katsuraさんから 「ここは、デューラーの絵が有名なのでは」と、正論コメントを
いただきました。
デューラーは中世ドイツを代表する画家です。
中世のドイツは、ルターの宗教改革があった時代。芸術家が少ない中、デューラーは一人、
光を放っています。
デューラーの絵はとても力強く男性的です。そのせいか私が知っている限りでは、
女の人で「デューラーが好き」という人は少数。
以下にデューラー作品を3点ご紹介します。
①これは、デューラー の「1500年の自画像」、28歳です。
キリストを意識して描いたのだそうです。説明がなければ、これを「キリスト?」と思う人も
いるかもしれないほど、神々しく深い沈黙と内面性にうたれます。
この写真では、小さくて見えませんが、左上の金文字は1500(年)と自分の頭文字AD。
右上に「アルベルト・デューラー・。。。不朽の色によりかく描けり」とラテン語で
書かれているそうです。
②「4人の使徒」↓
キリストの4人の弟子、左から、ヨハネ、ペテロ、パウロ、マルコ。
各々の持ち物は、ヨハネとマルコは聖書、ペテロは天国の鍵、パウロは剣。
「4人の弟子のそれぞれの性格の違いがはっきり表現できている絵」と説明がありましたが、
私は祭壇画として描かれた2枚の絵の対称性、左の赤と右の白の衣装に目がいってしまいました。
衣装が単色でこうだから、表情がはっきり読み取れるのかもしれません。
左の2人は聖書を深く調べている穏やかな研究者的まなざしなのに対し、右の2人の目つきの鋭さ。
白い衣装のマルコは「激情的で怒りっぽい」性格で、隣のパウロは「心配症」
戦いをいどもうとするマルコに「本当にやるんですか?」と心配そうなパウロです。
③三面鏡を広げたような形の3つに分かれた絵「Paumgartner-Alter Um1500」
中央がキリスト降誕の絵、マリアとヨセフが中央。
左右はその地域の旗を持つ騎士姿の聖人。
デューラーに次いでなじみがあるのは、クラナッハでしょうか。
「アダムとイブ」が有名ですが、これは「Goldene Zeitalter(黄金時代)」
← クラナッハの「ルクレティア」 思いつめた表情のルクレティアですね。
ルクレティアは、パルマ展のパルミジャーノ作品と比べてみるのもおもしろいかと思います。
<追加>
デューラーの26歳の自画像(プラド美術館)
☆ 文中に登場している、「りんこうさん」が、2010年、ついに、ここにいらっしゃった記事です。