ロートレック展 [展覧会(西洋画)]
この展覧会は昨年秋、大阪で開催され、Cocoさんの記事で紹介されていたときから
見に行きたいと思っていた。
美術館は、3階、4階と2フロアを使っているので、階段を下りるとき、「半分を見終わった」
と、はっきりわかるので見やすい。
前半では、ロートレックの代名詞のようになっているポスター、後半では絵画が展示されている。
平日の昼間に行ったのだが、かなり人がはいっていて、60歳前後の男の人が多かった。
ロートレックは1864年、南フランスの伯爵家に生まれるが、12歳の時、椅子から落ち骨折。
足の成長が止まり、身長が中学生くらいだった。骨折くらいでなぜ?と思ったが、
骨の弱い遺伝子だったそう。
当時、貴族は戦いに率先して出て行き、勇敢であることが条件だったので、身体的弱点を
持つロートレックは家督を継ぐことができなかった。そのため絵を習い、パリに修行に出るが、
誘惑が多い都会では、絵だけに没頭できず、カフェ、キャバレー、娼館などに足繁く通った。
ロートレックは鋭い観察力で、身の回りの人物をデッサンした。特に動きのあるものを描くのがうまい。
南フランスの居城でのデッサン修行時代には、馬ばかり描いていたというだけあって、
馬の描写は巧みである。
また、日本の浮世絵にも関心を持ち、画風にとりいれていた。
↓は、私たちが見慣れた浮世絵の構図ですよね。
このポスターも依頼主の劇場から、NGを出されたが、モデルのこの俳優が、「このポスター
を使わないなら降りる」と言ったため、日の目を見たという、いわくつき。
「ロートレックを好きな女の人は少ない」と、yk2さんが言っていたが、尤もだと思う。
実物より美しく描いてくれることはない。特徴を捉えて、少ない線で滑稽に漫画化して
しまう。他の画家たちは生活費の心配から、依頼された肖像画は美しく描いたが、
ロートレックは金銭的な心配がなかったので、自分が見たその人の特徴を強調して描いた。
おみやげに買ったのは、ファイル。(下の写真) 気に入って使っている。
ムーラン・ルージュのポスター。LA GOULUE は当時人気の踊り子の名前。
背後のシルクハットの影絵は浮世絵の影響とか。
3月9日(日)まで、東京・六本木・サントリー美術館で開催中。
キュイジーヌ・ミッシェル・トロワグロ [レストラン(フレンチ)]
ミシュラン2つ星の「キュイジーヌ・ミッシェル・トロワグロ」に行った。
場所は、新宿のハイアット・リージェンシーホテル内。 「新宿の、どこ?」 と思ったら、
昨秋、センチュリーハイアットホテルがハイアット・リージェンシーと名前を変え、トロワグロ
がはいったのだった。店の名前は、「キュイジーヌ・ミッシェル・トロワグロ」とフルネームで長い。
シャンパンは、ルイ・ロデレール。クレマン・ド・ブルゴーニュも用意されていた。
①アミューズ(つきだし) 長四角の木のお皿にのってくる。おすし屋さんの感覚。
右端のスプーンにのった「魚介のカプチーノ風」は、流行のエルブジスタイル。
②「パースニップのヴルーテ 洋梨とマロングリエ添え」
ヴルーテは、ルウを生クリームでのばしたポタージュ。
ビロードのように滑らかな口当たり。温かく特別濃厚なスープ。
パースニップは白いゆり根のようなもの。黄色がマロン。
③「イトヨリ鯛のソテー、ピーナッツと白胡麻のグリエ、アンディーブのアシデュレ」
アンディーブはチコリ、アシデュレは少し酸っぱい意味。
鯛に、砕いたピーナッツと白胡麻をのせてソテー。香りがいい。魚の下の酸っぱいチコリ
がアクセントになっている。魚が三角形なので、金柑を3ヵ所、飾りに使っている。
④小羊の鞍下肉の真空調理、赤パプリカとズッキーニ 茄子のマリネ
この料理に合うのは、ガメイ種のワインとすすめられた。
⑤デザート 抹茶アイス、レモン風味の軽いケーキ
⑥小菓子
チョコ(トリュフ)、焼き菓子
組み合わせの妙、バランスのよい味。一口食べると味のハーモニーにひたれる。
そしてきれいな盛り付け。さすが2つ星の料理だと思った。
Mr.ソムリエが、坊主頭だったので、「流行ってるから?」と友達にささやいたら、
「髪の毛が落ちなくて一番いいでしょ」との答えになるほど。
ランチで値段はひとり2万円弱(飲まなかったら1万円)だった。
かなの書、ASOチェレステ [レストラン(フレンチ)]
というので、先週、大学時代の4人で見に行った。Kuと私は高校も同じ。
(注:個展は2月18日で終了しています。)
先生のお名前は、榎倉香邨。84歳。今日本で最もうつくしいかな書を書かれる人のひとり。
細字がうつくしい。
今回の個展は、「牧水をかく」で、若山牧水のうたがさまざまな紙に書かれていた。
「しら玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり 」
たくさんの色紙を張った屏風やお茶室の掛け軸に仕立てたものもあった。
私が読めたのは、「白鳥は 哀しからずや空の青、、、」 だけ(涙)
ランチタイム 三越新館の「ASO チェレステ」
代官山のASO(シェフが阿曽さん)の支店。
代官山の店は、一軒家のおしゃれな洋館。花いっぱいの中庭を温室のようなダイニング
から眺めるランチはおすすめ。フレンチっぽいイタリアンで、今回ミシュランの2つ星をとった。
前菜、パスタ、コーヒー、デザートのコースにする。
それぞれ4種類から選ぶ。だから運ばれてきたら、4人とも違うものだった。
(携帯だけど、きれいに撮れた)
前菜 フォワグラ入り鴨のテリーヌ、サラダとレッドグレープフルーツ添え。
小海老のトマトソース、フェットチーネ(ひもかわうどんみたいなパスタ)
アイスクリーム(一口食べたとこ) モンブラン、コーヒーゼリー
これにグラスワインで5000円弱。
白と黒を基調としたモダンなインテリア。きれいな空間でゆったりと食事。
Kuが昨夏、会ったとき、「おみやげ。運転するとき使ってね」とくれたのが、夏の長手袋。
でもね、東京で運転のとき、日に焼けるからと長い手袋してる人、見ないのよ。
だから、まだ大事にしまったまま。。
ルノアール+ルノアール展 [展覧会(西洋画)]
東急Bunkamuraで「ルノワール+ルノワール展」を見た。
画家ルノワールと息子で偉大な映画監督のジャン・ルノワール、2人の作品展。
ジャンが父にどのような影響を受けて作品作りをしたのかがわかる展覧会。
①たとえば、映画「草の上の昼食」の場面は、父の絵↓をイメージして撮られている。
会場では、実際に映画のフィルムが数分間流れている。緑豊かな泉での水浴シーン。
「見ちゃいけないのかな、あ、でも見ちゃった」という表情の男の人が見え隠れすると、
女が振り向いて「いらっしゃいよ」と誘う。
父が描く裸婦たちと同じく、おおらかであり、水に映る光がキラキラ美しい。
②「狩姿のジャン」 モデルは15歳のジャン。
この絵をイメージした映画が、「ゲームの規則」。ジャンも狩姿で出演(中央)。
③映画「恋多き女」、中央でイングリッド・バーグマンが男の人と踊っている場面は、父の
有名な「田舎の踊り」の絵を下地にしている。この絵のモデル、アリーヌが画家ルノーアルと
結婚し、ジャンが生まれたのだ。
④この名画「ブランコ」のシーンも映画「ピクニック」に取り入れられている。
映画でもこれと同じドレスを着てはっきりとわかるようになっている。
⑤ 画家ルノアールは、スペインものに夢中になっていた時代があった。
当時、画商としてスタートしたばかりだった若いヴォラールにスペインの衣装を着せて
ポーズをさせた「スペインのギター弾き」(1894年)
20年後、同じモデルで、「闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール」(1914年)が右の絵
スペイン衣装、スペイン趣味は、映画「黄金の馬車」に取りいれられた。
⑥ 「家族を描くルノアール」(アルベール・アンドレ)
この絵で、ジャンが小さい頃のルノーアル家のようすがわかる。
手前から、アリアーヌ、ピエロの服を着たジャン、ココを抱くガブリエル。
壁には、ルノアールの風景画が架かっている。
父の絵を描く姿を見ながら育ち、頭の中に絵の中の世界がインプットされていたジャン。
その頃、新しく現れた映画という手段で、印象に残る光景を表現したことがよくわかる。
ジャンは父の世界を映し出すことだけでなく、他に新しい試みもたくさんしているので、
フランス映画界の巨匠として今も名を残している。
最後に私の好きな、モーリス・ドニの描いたルノアールの肖像画。
弟子ジャンヌが横にいる。
ドニの「セザンヌ礼賛」の絵にも、画商ヴォラールは登場している。
ジャンの小さい頃のかわいい姿の絵、「ガブリエルとジャン」は、こちら
★julliezさんの、「ルノアールと家族」について記事、秀逸です。
この展覧会は、2005年にパリで開催され好評だったもの。オルセー美術館の後援。
5月6日まで、東京・渋谷・東急Bunkamuraミュージアムにて開催。
過門香 [レストラン(中華)]
「過門香」とは、門を通り過ぎる時、いい香りがする、という意味だそう。
インテリアは黒檀を使って重厚で、香港のお屋敷に迷いこんだかのよう。
↓こんな感じに廊下の両側に個室がずらっと続く。私たちは10人だったので、
奥の大きなダイニングルームに通された。
オープンキッチンで大勢の人が働いているのが見える。
注文をするとすぐにビールと、熱々の小籠包が一人2個づつ籠にはいって出てきた。
そのあとは紹興酒。コースではなく、好きなものを頼んで取り分けた。
デザートまで食べてちゃんとおなかいっぱいになって、一人5500円。安い。
↓鶏肉の豆鼓(とうち)ソース
↓帆立貝と黄ニラ炒め ↓大海老のマヨネーズソース炒め
↓たまり醤油のチャーハン
他にもお料理があったけれど、写真はこれだけ。
広東、北京、四川、上海という区分を超えた中国大陸料理なのだそう。
私は行ってないけれど、他の支店も個性あるインテリアがすてきとのこと。
サロメ [オペラ、コンサート、バレエ]
小雪が舞う寒い昨晩、新国立劇場へオペラ「サロメ」を見に行った。
一幕一場なので、7時半に始まり、9時10分に終わる。休憩なし。
紀元前30年頃のエルサレムが舞台。
サロメは、時の王ヘロデの娘、王女である。
しかし、王は実の父ではなく、母の再婚相手。
ヘロデ王は、美しく成長したサロメを寵愛しているが、サロメは王を嫌っている。
月夜の晩、サロメは庭の古井戸から聞こえる男の声に興味を持ち、井戸を開け、
男を連れて来るよう命じる。男は預言者ヨハナーン。サロメは美しい男に一目惚れ。
「こんな白い肌の男は見たことない、こんなに黒い髪、こんなに赤いくちびる」と、
讃え「キスをして」と言うが、ヨハナーンはサロメを無視して、古井戸に戻ってしまう。
腹立たしい気持ちでいるサロメ。
そんな折、王が、「踊れば何でもほうびをつかわす」とサロメに踊りを求める。
サロメは「七つのベールの踊り」を踊る。ベールを順に剥いで最後には裸身になる
官能的な踊り。そして「ヨハナーンの首を褒美に!」と要求した。
王は預言者を殺すと不吉なことが、、と、ためらうものの、サロメの強い申し出を
断れず、兵にヨハナーンを殺すよう命じた。
緊張の数分。兵が銀の盆に首を載せて現れる。
↓ヨハナーンの首を持ち上げ、キスをするサロメ
(オスカー・ワイルドの原作本にビアズリーが描いた挿絵)
ビアズリーは英国の世紀末を代表する画家。黒白のペン画で多くの挿絵作品がある。
ヨハナーンはヘブライ語よみ。聖書では、預言者ヨハネ。
でも、聖書には「サロメ」という名前でなく、「ヘロディアの娘」と書いてあり、
ヘロデ王の妻であるヘロディアが、娘に「ヨハネの首」をもらうよう命じる。
悪女は、母ヘロディアであり、サロメは当惑しながら母の命令をきく従順な娘である。
カラバッジョ、ティツィアーノという古い時代、すなわちオスカー・ワイルド以前の絵では、
首がのった盆を持つサロメの表情に困惑が見てとれる。
(ここはyk2さんのコメントで気づいて後から追加)
ヨハネに恋するオペラの「サロメ」は、19世紀に英国のオスカー・ワイルドが
創作した戯曲なのだ。
当時も、ヨハネの美貌は伝説的だったらしい。
↓この絵は、ダ・ヴィンチの「預言者ヨハネ」。かなりの美青年ですね。
これと「モナリザ」は、ダ・ヴィンチが死ぬまで手元に置いていた作品。
この美青年があまりにも魅力的なので、ダ・ヴィンチの恋人だったのでは、と言われている。
オペラ「サロメ」は、ソプラノがアラビア風のダンスも舞う非常に難しい役。
ナターリア・ウシャコワがこの大役をみごとに果たした。若さがほとばしっていた。
ヨハナーンは、ジョン・ヴェーグナー。
演出:アウグスト・エファーディング
この日の舞台のようすは、「つるりんこ」さんの記事をご参照ください。