コロー展 [展覧会(西洋画)]
西洋美術館で開催中の「コロー展」を見に行った。
↑これはチケット。
「真珠の女」というこの絵が、パリ万博で評判になり、「コローのモナリザ」と
言われたそうだ。セピア色の凛とした女性。
でも、私にとって、コローといえば、この「モルト・フォンテーヌの思い出」
高校3年の時、本屋さんの美術コーナーで気に入って買った複製画。
幻想的な景色の森と池がすてきだったのと、ちょっと高い位置にあるものに
手を伸ばして取ろうとする、この動作が受験生の目標にぴったりに思えた。
だから、机の前の位置に額にいれて飾っていた。
そんな出会いがあるので、コローは、私にとっては気になる画家。
ルーブル美術館でも、コローの場所につい長居をしてしまう。
96年、パリのグランパレで、大きな「コロー展」があった。
そこで初めてコローの作品を年代順に見、若い頃、イタリアに留学をし、
リアリズムの画法を身につけたと知った。
見慣れている風景画だけでなく、人物画もいいなと思った。
小さい頃から絵が好きだったコローだけど、父親から、家業を継がず、画家に
なってもよいという許しが出たのが26歳のとき。画家としては遅いスタート。
↑は、最初のイタリア留学、30歳の作品。「ファルネーゼ庭園から見たコロセウム」
左側に見えるのが、コロセウム。
「ティヴォリ、ヴィラ・デステの庭園」
これは2度目のイタリア留学での作品。
木の描き方が、リアリズムではなくなり、後の印象派に影響を与えた。
中央の少年は、後からアトリエで描き加えたもの。
「ヴィラ・メディチの噴水盤」
木の陰がカーテンのように両側から覆い、奥の遠景に光があたっている構図は
ユニークで、後に、この構図をまねて、ドニが同じタイトルで、もっと装飾的に描いている。
ピンク系のモダンな色合いのドニの絵が、コローと比較できるよう隣に展示してあった。
コローは、パリの郊外、ヴィル・ダヴレーの父親の別荘に住んで、近くの森を描いた。
「ヴィル・ダヴレー、水門のそばの釣り人」
「ヴィル・ダヴレーのカパス邸」。村内美術館所蔵の作品。
木の陰がみごとに道に映っている。
写真はないが、「ヴィル・ダヴレーのあずまや」という縦長の大きな作品も
緑がいっぱいで、清々しい空気が伝わってきそうな作品だった。
これだけたくさんのコロー(96点)を一挙に見れて、とても満足だった。
コローの風景画と対比させるために、他の作家の同じような場所での風景画を
配してあるのは、新しい試みであろう。しかし、気が散るから、嫌だという人も
いるのではないかと思ったが。。
★下で、コメントをくださってるbonheurさんの「コロー展に行く」、感想を交えながら
書いていらして、おもしろいので、おすすめです。