ピカソとクレーの生きた時代展 [展覧会(西洋画)]
東京・渋谷のBunkamuraミュージアムへ「ピカソとクレーの生きた時代展」を
見に行った。チケットがあるのに22日(日)で終わってしまうと、気にしていたら、
オペラ友達Mが、「前に六本木でモネ展、見たじゃないですか。私、あれ以来、
展覧会に行ってないんで、何かいいのありますか?」 いいタイミング。
クレー展のちらし見せたら、「あ、かわいい。行きたいです。行きましょ」
この展覧会はドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館が改装のため
貸してくれた作品展。20世紀の作品をたくさん持っている美術館なのだそう。
だから、タイトルが「ピカソとクレー展」ではなく、「ピカソとクレーが生きた時代展」。
幅広く20世紀のいろいろな作家の作品を見ることができる。
第1室は、「表現主義的傾向」 色彩豊かなドイツ表現主義の時代。
第1次世界大戦の影響が強くあらわれている作品群。
(左)ジョージ・グロス「恋わずらい」 1916年
グロな風刺絵が多いグロス。
年代は第1次世界大戦中。カフェにひとりすわる男。杖は戦争で足が不自由に
なったからだろうか? 胸のハートマークが痛い。
マックス・ベックマンの「夜」は、正視に堪えない。グロテスクと不気味さが同居。
大戦時、ナチに美術教師の職を追われ、「退廃芸術」の烙印を押され、オランダや
フランス経由でアメリカに亡命。このような辛い経験から来る人間風刺なのだろう。
ドイツ表現派の中心的存在だったアウグスト・マッケの「ブリブール大聖堂、スイス」
私の知っているマッケ作品は派手な色彩だけど、これはカイユボットの「雨の日」を
思いおこさせる洗練された絵。でも、これを描いた年、彼は志願して出兵、戦死した。
27歳だった。
フランツ・マルク 「3匹の猫」 1913年 豊かな色彩。
白黒の猫が伸びをしている姿勢は、シャガールふう。中央にいるのは赤い猫。
動物を描くのが得意だったマルクが描いた青い馬は、「青い馬などいるはずない」と、
ヒットラーから、退廃芸術と名指しされたという逸話が残っている。
マルクも戦死。36歳だった。
シャガールが2点あった。「祝祭日」(1914年)という絵は、ユダヤ教のラビが
レモンを持っている絵。なんと頭にミニチュアのラビがのっている!
赤や青が多いシャガールだが、これは白と黒、グレー、ベージュで無彩色。
第2室は「キュビズム的傾向」
ブラック、ファン・グリスの作品は、この間、ポンピドーで見たものに似ていた。
ピカソ「鏡の前の女」 は、案内パンフやちらしに使われていた作品。
大きい絵で、単純、明快。鏡に女の人が映っていないのが疑問だが、ま、ピカソだから。
第3室 「シュルレアリスム的傾向」
Mは、ルネ・マグリットの絵を見るのは初めてで、「おもしろいですね~、気に入っちゃい
ましたよ~」と、笑っていた。
ミロが2点、イヴ・タンギーも2点あった。
イタリアのアルロ・カッラの「西から来た少女」 テニスコートに立つ頭が電球の少女。
そういえば、20世紀のイタリア人の作品は見たことがなかったと気づく。
第4室 「クレー」
クレーは小さな作品が多い。
茶系の色の取り合わせが、独特で温かみがある。
(左) 「赤いチョッキ」1938年 (右) 「宝物」1937年
2つとも麻布に描いた絵。
私は、ちらしに使われている絵「リズミカルな森のらくだ」が一番好きだった。
☆この展覧会に関して、てんとうむしさんがくわしく記事をかいていらっしゃいます