SSブログ

桜さくらサクラ2009展 千鳥ケ淵 [展覧会(日本の絵)]

 山種美術館で、桜の花の絵を集めた展覧会をしているときいたので、近くの
千鳥が淵へのお花見かたがた出かけた。
 曇り空でまだ満開ではなかったけれど、東京の桜の名所「千鳥が淵」の緑道
を歩いた。ここは皇居の内堀で、土手の向こうは武道館のある北の丸公園。

sakura01.JPG

sakura2.JPG

 山種美術館は、旧山種証券の創始者山崎種二の近代・現代日本画コレクション。
山種翁は、日本画の収集家であっただけでなく、見込みのある画家の面倒も見た。
奥村土牛の家を訪ねていた山種翁が、「急な連絡の用事があるので電話を貸してほしい」
と言うと、土牛が、「貧しいので電話はひいてません」と答えた。山種翁が帰った数時間後に
「電話局です。電話をつけに来ました。お代は山種さんからいただいてあります」
これには驚いたと、土牛が後に語ったとのこと。翁の画家への惜しみない援助の一端が
伺える話だ。

 展示室は3室。全部が桜の絵で見ごたえがあった。
私がいいなと思ったのは、奥村土牛の「醍醐」。
京都の醍醐寺の三宝院に秀吉は亡くなる前の年、花見のために庭を造らせた。
ここの枝垂れ桜を見た土牛は、深く心を打たれ写生をし、後に時間をかけてこの絵
を完成させた。薄い絵の具を何回も塗り重ねて、桜のやさしさを表現している。
背景の土塀に桜が映える。
[右斜め下]
sakuradaigo230.JPG

加山又造の「夜桜」。朧月を背景にくっきりと浮き出た夜桜。美しい。

yozakura.JPG

 千住博の「夜桜」もあったが、これに較べると、インパクトが薄い。

小茂田青樹の「春庭」は幻想的な作品。散る桜には詩情がある。

小茂田青樹_春庭.jpg

●石田武の「春宵」も一面みごとな京都高台寺の枝垂れ桜。絵具を重ねた立体感が
現代風だった。
●小林古径の「清姫のうち入相桜」。歌舞伎の演目「道成寺」の安珍と清姫の桜。
細い線で描かれた桜の木一本。少し散った花びらが土の上。
くねっと曲がった木は清姫の恨みがこもっているかのようだ。
●速水御舟の「夜桜」 夜なので薄い灰色で描かれた桜。可憐で上品。
[右斜め下]
sakurayozakura_1.jpg

●東山魁夷の「春静」 魁夷の緑の木々の山の斜面に薄いピンクの桜の木一本。
緑とピンクの対比が美しい。
●奥村土牛の「吉野」 桜で有名な吉野山。青、緑、うす茶と階層分けされた山。
そして手前に桜のピンク。

毎年、桜の季節恒例の展覧会なのだそう。
名品ぞろいで心がなごむ。桜の華やかさの余韻が長く続きそうだ。 

  ☆山種美術館は秋に広尾に引っ越し予定。        


nice!(45)  コメント(39)  トラックバック(1) 
共通テーマ:アート