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「だまし絵展」 [展覧会(西洋画)]

 東京・渋谷Bunkamuraで「だまし絵展」を見た。
とにかくおもしろい!
夏休みなので、高校生や親子連れなど、いつもの美術館と違う雰囲気だが、あちこちで、
「ほら~!」とか、「へぇ~」「すごい!」と、感心しながら、楽しそうに語る声が聞こえる。
かなりの混雑で、熱気があっても不快に思わないのは、その空間で楽しさ、珍しさを
共有しているという感覚があるからだろう。

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[右斜め上] ちらしもこんなふう。
額から抜け出しそうとしている男の子の絵。
「だまし絵」(トロンプルイユ)とは、見る人に、目の前にあるものが本物であると思わせること、
つまり、「目をだます」意味だそう。
この男の子が額から出てしまう、、と思わせることが、トロンプルイユ。

[右斜め下] 「珍品奇物の棚」(1666年) 珍しい物のコレクションを棚に飾るのが当時の流行だったそう。
本棚に奥行きがあって、中央のギリシア彫刻模様のトロフィー?が飛び出している。
実際に見ると、かなりの迫力なのだが、写真では立体感が伝わらないのが残念。
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 「壁の状差し」(17世紀)
一瞬、本物?と思うほど巧みに描かれている。奇抜さはない。   

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 伝統的なヨーロッパの次は、アメリカのトロンプルイユ。
好奇心旺盛なアメリカ人は、19世紀以降、トロンプルイユ作品を描き始めた。
[右斜め下] 「インコへのオマージュ」
     ガラスが割れたケースに剥製のインコ。右下に説明がき。

  damasi3.JPG     

 この展覧会の目玉作品は、アルチンボルドの「ルドルフ2世」。
遠くから見るとグロテスクだが、よく見ると顔もからだも果物でできている。
鼻は洋梨、口(歯)はさくらんぼ、目玉は黒ぶどう、頬はりんご、、、
王様をこんなに茶化して描いて、、と思うかもしれないが、アルチンボルドは宮廷画家。
この絵は、美術好きだったルドルフ2世の依頼。

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 横から見ると違う絵に見える「判じ絵」や、「三重肖像画」も楽しく、人が集まっていた。

 

 日本では、幕末から明治にかけて、「描表装」という、表装の布部分まで描いてしまう絵が
はやった。琳派の鈴木其一の「正月飾り図」の前で思わず立ち止まってしまう。表装の上に
正月飾りの伊勢海老と松を実際につけたのかと思えるほどだが、全部描いた表装。

 其一の娘婿の河鍋暁斎の「幽霊図」。遠くからも「こわいよ~」という声が聞こえる。
実際、かなり恐い。これも描表装。
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 歌川国芳の「としよりのような若い人だ」
漫画のような絵で、滑稽。よく見ると、顔、手、首が男の人のからだで構成されている。
日本のアルチンボルドですね(笑)

 最後のコーナーは、20世紀以降の「だまし絵」
明快な絵で、発想が奇抜で楽しいのがルネ・マグリット。
これは、「囚われの美女」というタイトル。透明なキャンバスの向こうの風景は。。
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 「だまし絵」といえば、エッシャー。おもしろいだけでなく建物や鳥の絵がいい。
マルセル・デュシャン、マン・レイなどの作品もあった。
印象に残ったのは、1、ダリの「スルバランの頭蓋骨」
2、アメリカのアレグザンダー・ホープの「エサをやらないでください」
3、本城直季の「small planet」シリーズの写真
本城直季は、私が前に住んでいた家のご近所。当時は目のくりっとした小学生だったけど。。

☆8月16日まで、好評につき連日21時まで開催。

        damasiBrecker.JPG   "Sky and water" というエッシャーの絵に惹かれて、以前
                      買ったマイケル・ブレッカーのCD。"Birds and fish"にも
                      見えます。鳥が少しずつ変化して魚に!

 


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