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トリノ・エジプト展 [展覧会(絵以外)]

 エジプトものは、大英博物館、ルーヴル、NYのメトロポリタン、デトロイト、ボストン、ベルリン
などで、見たから~、、とあまり乗り気でなかったのだが、チケットをいただいた。しかも、
トリノのは、展示方法がすばらしいとのこと。ジョニー・ディップが主演の「スゥイニートッド」や
ディカプリオの「アビゲーター」の美術担当が手がけたというので、がぜん見たくなった。
 さらにトリノはチョコレートが名物で、日本初登場のおいしいチョコが会場で買えるときいて
はりきる。[サーチ(調べる)]

 [右斜め下] 「アメン神とツタン・カーメン王の像」 BC1300年
左側大きいのが神で、小さいのが若い王。高さ2m、奥行1m12cm

TrinoE1.JPG

 奥にいくつも並べてある彫像が、崇拝の目で、神と王の像を眺めているかのような
レイアウト。荘厳さが伝わってくる。実に美しい白い石灰岩の彫像。台座には象形文字が
びっしりと彫られている。高い天井には、赤い布が天蓋のように配されていた。
右後方に見える約2mある「ライオン頭のセクメト女神立像」も、すくっと美しかった。

 なんでトリノにエジプト美術品が集まったのか?
 この本によると、    TrinoE4.JPG ナポレオンのエジプト遠征で功をあげた
ピエモンテ(州都トリノ)生まれのドロヴェッティは、1810年にエジプト総領事となった。
彼は、発掘作業の指揮をし、コレクションをピエモンテ国王に買ってもらった。だから、
トリノ美術館は世界初のまとまったエジプトコレクションを持つことになったのである。

 味をしめたドロヴェッティは、さらに2番目のコレクションを作って、フランス国王に
買ってもらい、これが現在のルーヴルのエジプト所蔵品の大部分となった。
1,2番目より劣る3番目コレクションは、プロイセン国王に買ってもらい、ベルリン美術館の
エジプトコレクションとなった。

 同じ頃、英国のエジプト領事もコレクションを作り、大英博物館に売り込んだ。
さらにすばらしいコレクションを作ったが、購入をしぶられ、フランス王に売ったので、
ルーヴルの所蔵品は、一気にトリノと肩を並べるほどになった。



[右斜め下] 「イビという名前の役人の棺のふた」 BC600年
  黒光りする石の彫像。高さ2m、死後の世界のオシリス神の姿。
これもライトアップをして、少し斜めに立てかけての展示。
神秘がかって見える。体全体に象形文字で死後の世界での守護の文が書かれている。
イビは地位の高い役人だったと思われる。

TrinoE5.JPG

 以上の2つがもっとも見たかったものだったので、閉館間際のすいた所でもう一度眺めた。

 [牡羊座]ほかに印象に残ったものは、最初の展示物、「トトメス3世のシリア遠征のパピルス」
破片だけど、3000年前のパピルス。文字がびっしり書かれている。
葦の筆を使ったそうだが、インクは何だったのだろう?
少し離れた場所には、「書記のパレット」や「書記用タブレット」のような小物が展示されていた。

 象形文字が書かれた台座にのった「動物の神の小さい像」が美しかった。
ハヤブサ(左)、トキ(中央)、ジャッカル(右)。木彫りで彩色されている。
 TrinoE3.JPG

 「青銅製の猫の小像」は、すくっと細い猫。愛嬌があってかわいい。何度でも眺めたくなる。
 
 「ロータス文様のファイアンス製容器」、ファイアンスは石英の粉末を固めて色釉薬をかけて
焼いたもの。ブルーの色が鮮やかで、黒の模様が幾何学的で美しい。

 墓の模型や座像もたくさんあった。。
「王子の石棺の蓋」は大きな彫像つきで幅が1m以上。石棺全体は何トンあったことか。

 「葬送用の船の模型」は内側まで彩色されている大きな船。
びっしりと人が乗り込んでいるのだが、映画では、この人たちは、王といっしょに生贄と
して葬られたと聞き、胸が痛んだ。


 [双子座]会場を出たところに、トリノの老舗「グイド・ゴビーノ」のチョコレートショップがあった。
ヘーゼルナッツのはいったジャンドゥーヤ。ふわっと滑らかな口どけ。かなり甘い。
一口で食べられるようにと、小さめなので、これで2400円は高い。
「スカラベ」を形どったデザインの紙バッグがおしゃれ。さすがイタリア!
TorinoE6.JPG


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