SSブログ

七月大歌舞伎 [演劇、ミュージカル、Jazz]

 七月の歌舞伎は、猿之助・猿翁・中車襲名披露第二弾。
私は夜の部に行った。
歌舞伎座が工事中のため、近くの「新橋演舞場」が使われている。

shinbashi201207b.jpg


 新・猿之助主演の「黒塚」は、能の「安達が原」を下地にした演目。
能のゆったりとした間での一幕が終わると、二幕目は、鬼の老婆の踊り。
一面に広がる薄の野原、月あかりの下での踊り。猿之助の上手さにびっくり。
お婆さん姿で膝を折って、昔を思い出しながら、童女のような柔らかい踊り。
琴、尺八の音色が美しい。月の光の影で、自分の頭に鬼の角が出てることに
気づき、「あら、やだ」と、はにかんで、頭に手をやる仕草がかわいい。
誰も見てないと思って、踊っていたのに、因縁の太郎吾が出てくると、「見たな」と
ばかりに鬼の姿に戻り、急に激しい怒りの踊り。4,50センチ、ピョンピョン、
跳ねる、足を振る、スピードがあって、まさにコサックのダンス。そして、バク転で
墓に戻る。体操選手並みの技量。拍手も忘れ、息をのんで見てしまう。

三幕目では、鬼は長袴姿。刺繍がたくさんある黄色の繻子の豪華な長袴。
裾捌きが大変。まさに荒事芸を披露。鬼の口の周りは、大きく赤く塗られ、
恐ろしさを強調していた。

感動する大作だった。見終わって、これは、中車(香川照之)がこれから何年
かかってもできない芸だと思った。
中車には、「将軍江戸を去る」という将軍慶喜に江戸城開け渡しの御注進、
説得をする山岡鉄太郎役の世話物が用意されていた。「今、開城しなければ、
江戸は戦いの火の海となり、、」と熱く熱く、長いセリフで説得する。慶喜は、
團十郎。セリフは少ないが、将軍の渋さ、重さが滲み出てよかった。
中車は、去り際の歩き方が、まだ少し歌舞伎になじんでなかった。

 口上で中車は、「これから一生涯かかって、歌舞伎に精進してまいります。
皆様、なにとぞ、御支え下さいますよう、お願い申し上げたてまつります」
と、深々と頭を下げて言うと、やはり、応援してあげたくなりますよね。
口上は、市川宗家5名、猿之助、中車、團子、團十郎、海老蔵の出演。
全員、市川家のしるし、「鉞(まさかり)銀杏」、先のとがった髷姿。
仕切り役の團十郎が、貫録があるし、上手かった。

 最後は、元・猿之助、猿翁のための短い舞台「楼門五三の桐」。
猿翁の弟段四郎、弟子の右近、笑也、笑三郎、春猿、さらに門之助など、
猿翁ゆかりの人々が勢ぞろいの華やかな舞台。猿翁の功績の偉大さを
再認識させるものだった。



 
ご飯は、幕間に食べられるよう、劇場のお弁当を予約しておいた。
(写真はパンフから借用)。
いっしょに行った歌姫は、アメリカから帰ってきた翌日だったので、
「鱧のお吸い物、出汁がきいていて、日本のごはんはおいしい」と喜んでいた。

06_yuugiri_a_l.jpg


nice!(42)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート