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カフェ2軒 [レストラン(フレンチ)]

1、三菱一号館の「カフェ1894」

「カフェ1894」は、昔の三菱銀行の営業室を復元したもので、美術館と同じ建物にある。
コーヒー色の板張りの天井と太い円柱、白い漆喰の壁。2階まで吹き抜けの空間は、
どっしりと風格がある。
写真は、ホームページから借用した。

img03.jpg

昔どおり復元するのに、かなりお金がかかったというのも頷ける。
こげ茶色と白の広い空間。レトロな雰囲気を持ったカフェ。

美術館に行った帰りは、ここでお茶を、と思うのだが、土日の午後は、いつも
混んでいる。それなら、と、平日の夜、予約をして夕食に行った。

カフェメニューなので、たくさんの種類はないが、どれも美味しかった。
シャルダン展の時だったので、それに因んだベリーと生ハム(左)
美しい。ブルーベリー、苺、グロゼイユ(透き通った赤の小さい実が房になっている)。
グロゼイユはフランスの友達の家で料理を飾るのによく使っている。かなり酸っぱいが
料理によっては心地よい。
自家製パテ(写真右)


cafe1934no2.jpgcafe1934no3.jpg

サーモンのマリネ(左)
かなり肉厚のサーモンで食べ応えあり。香草とよく合っておいしい。
海老とマッシュルームのガーリックオイル煮(アヒージョ) (右)
どれもパンとワインに合う、合う! このアヒージョのオイルをパンに浸して食べると美味。
というわけで、パンをお代わり。「別料金になりますが」と言われたけど(笑)

cafe1934.jpgcafe1934no4.jpg

天井の高さがゆとりを醸し出し、ゆったりと飲める。
BGMがないので、食器の音や話声が聞こえるが喧騒に感じるほどでなく、モノクロの映画
を見ているようなレトロ感覚。平日夜は、空いていたし、値段も高くなかった。


2、新宿・Cafeトロワグロ

新宿・小田急百貨店の8F、ちょっと目立たない場所にあるので、こじんまりして
落ち着ける。夕方、シャンパンを軽く飲んだりや、ケーキとお茶にも使えて便利。
何より、デパートの中の待ち合わせなら、女の人の場合、まず、迷うことはない。

このときはランチ。もちろんカメラなしなので、携帯のぼけぼけ写真。
ここのメニューは、前菜から一品+メインから一品+デザートで2400円。
ものによっては、+300円と書いてあったりする。コーヒーがついてないので、
頼んで、ワイン一杯くらい飲んで、4000円見当。

前菜に、ピスタチオ入りのパテ、メインはローストビーフ+パルメザンチーズ+アスパラにした。

カフェトロワグロ2.jpg


トロワグロカフェ1.jpg


メインにリゾット+ローストチキン+野菜+トマトソースを頼んだ友達は、
「まぁ、きれい!こっちのほうが写真映えするから、撮ったら」と言う。たしかに、ね。

Caféトロワグロ.jpg

2軒とも、気楽に行ける店なので、もっと利用したいと思いつつも、
最近は、和食系に行くことが多い。

 

 


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クラーク・コレクション [展覧会(西洋画)]

 丸の内の三菱一号館美術館の「クラークコレクション」は、今度の日曜26日まで。
2月からやっていたのに、まだ大丈夫と行きそびれ、ようやく連休中に出かけた。
お天気もよかったので、混んでいて、30分程並んではいった。

クラコレちらし.jpg

 クラーク・コレクションは、その名の通り、アメリカ人クラーク夫妻のコレクション。
ルノワールのコレクションが有名で、他にも印象派作品の良いものをたくさん持って
いる。クラーク氏はシンガーミシン設立者の孫、相続遺産でコレクションをふやして
いった。美術館はボストンからさらに列車で3時間くらいかかる場所にあるので、
実際に行くのは不便だから、今回は、良いチャンス。

 上にあるチラシの絵は、ルノワール「劇場の桟敷席にて」(1880年)
黒のドレスが少女の肌の美しさを際立たせる。白い手袋、花束を包む白い紙と
黒、白、赤の取り合わせが綺麗。もちろんルノワールなので少女の顔は美しい。

 「鳥と少女(アルジェリアの民族衣装をつけたフルーリー嬢)」(1882年)
何て色がきれいなんでしょう。しかも女の子はかわいい。見たかった絵。

クラコレアルジェリアの少女.jpg

 「金髪の浴女」(1881年)
モデルは、妻アリーヌ。あれれ、、こんな美人だった?
背景はナポリの海。光あふれる色彩豊かな景色は印象派だが、ルノワールは
イタリア旅行でラファエロのフレスコ画「ガラテアの勝利」に感銘を受けたと語っていた。
その時の制作なので、人物の描き方は輪郭をはっきり描く古典的手法である。

クラコレ裸婦アリーヌ.jpg


 「シャクヤク」(1880年) 
色鮮やかで豊かな花たち。葉の線が絵全体を引き締めている。

クラコレ芍薬.jpg

 他のルノワール作品で気になったのは、
「眠る少女」……猫を膝に抱いて椅子にすわったまま眠る少女。いつものモデルと違って
庶民階級の少女。よく見ると、猫も目を閉じて寝ている。
「テレーズ・ベラール」……背景は青、テレーズの服は青と白という色彩。控えめで
きちんとした顔つきの少女。

 会場にはいると、コローが5点、ミレーが2点、トロワイヨン、ルソーのバルビゾン派
が最初のコーナー。
 ブーダンの「港へ戻る帆船」、低い雲が迫り来て波も高くなっている。
一方、モネの「海景、嵐」(1866)は、暗い色の海。白い厚塗りの波。26歳の作品。

 1885年の「エトルタの断崖」は、画家として円熟した頃の光が輝く明るい絵。

クラコレ_エトルタ.jpg

 「小川のガチョウ」(1874年)
秋の光景。モネとしては数少ない縦長画面の景色。水面の波が手前から奥へと
視線を導く。円形の波が作品に動きを与えている。

クラコレ小川のガチョウ_monet.jpg

 モネは他に3点あった。モネとくれば次はマネだが、マネは小さな絵「花瓶モスローズ」だけ。
(下の写真左) 
花の絵で、インパクトがあったのは、ジェームズ・ティソの「菊」(1874年)。かなり大きな絵。
ていねいに描かれた菊。一見、写真のよう。印象派の人たちと同時代のティソだが、
アカデミズムの画風で上流階級の日常生活を描き、好評を博していた。

クラコレ花瓶のばらマネ.jpg   クラコレ菊tissot.jpg

カイユボット「アルジャントゥイユのセーヌ川」(1892年) 
三角形の川、手前に山道。画家が崖の上から描いているとわかる。
  
遠く地平線上に煙突や工場が見えている。近代的な産業を絵に取り込むのが
当時の流行りだった。青と緑がちょうど今の季節に呼応して清々しい。        

クラコレカイユボット.jpg


 
「おやっ、この絵はここのだったのね!」
印象派の中で唯一のアメリカ人、メアリー・カサットの「闘牛士にパナルを差し出す女」
yk2さんのカサット記事で、大きな写真のこの絵を見ていたので馴染みがあった。

クラコレ闘牛士カサット.jpg

 この絵は、カサットが画家として大成しようとしていた時期の作品(1873年)。
カサットは、はじめ、ジェローム(下の絵)に師事していたが、マドリッドでベラスケスの
絵を見て感銘をうけた。たっぷり絵の具を使った重厚さはベラスケス作品に学んだ
のだろう。

 トルコブルーに目を奪われるこの絵は、ジェローム「蛇使い」(1879年)
ジェロームは歴史画とオリエンタリズムで、時代の寵児だった。
透き通るような青の壁面のタイル装飾は、トプカピ宮殿のパネルの模写で、
蛇使いはジェロームがエジプトで見たもの。つまり、実景ではなく、ジェロームが
作り上げた光景。

クラコレ蛇使い.jpg


 ロートレック「待つ」(1888年)
ほんとに相手が来るのかしら? と見ている側が不憫になるほど。顔が見えなくても
感情は伝わってくる。非常に薄い塗りと画面と色合いが静けさを漂わせる。
 ボナール「犬と女」(1891年)
日本の版画に影響を受け、平面的に絵を構成しようとしていた試みが格子模様
の服からわかる。手前の花、後方の花の大きさの違いで遠近を表現し、装飾的。
ボナール24歳の作品。モデルは妹で、他の絵でもモデルをつとめている。

クラコレLautrec待つ女.jpg クラコレBonard.jpg

 入場制限のため30分待って入ったが、会場内は絵が見えにくいほど混まず、
きちんと見れた。会期はあと数日ですが、オススメです。


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たまもの展・埼玉県立近代美術館  [日本の美術館]

 埼玉県立近代美術館へ行った。
りゅうさんのブログで何回も紹介されている美術館だが、遠い?と思って、
行きそびれていた。でも、今回は、「たまもの」と名付けた大コレクション展、
所蔵作品の一挙公開。行くなら今でしょ(笑)

京浜東北線の北浦和駅、西口を出て、大通りをまっすぐ2分くらい歩くと、
北浦和公園につく。美術館は公園の中。
公園入口には、エミリオ・グレコの「ゆあみ」像。
さらに豊かな緑の木々を見ながらすすむと、ん?大きな裸婦がごろんと。
フェルナンド・ボテロ「横たわる人物」(1984)
ボテロの彫刻は、どれも太っていて大きい。
埼玉県立近美3.jpg

近代的な建物は、黒川紀章の設計。
MOMAはMusium Of Modern Artの略、最後のSはSaitama。

埼玉県立近美2.jpg

カメラを持って行かなかったので、携帯のボケ写真。

テーマにそった展示。
最初のコーナーの
テーマは、「面ざし」
児童画のようにも見える単純な形表現のルフィーノ・タマヨの「顔」が最初の絵。
タマヨの顔シリーズが数点続く。ほんわかしたタマヨを見たあと、振り返ると、
田中保のデッサン自画像。初めて名前をきく画家だが強い意志がみなぎる絵
に魅せられる。キスリングの「リタ・ヴァン・リアの肖像」は赤いスカーフ、黒い
透けるドレス、陶磁器のような白い手の女性リタ。若い日の黒柳徹子はこんな?
「黒いドレスの腰かけている女」、黒い背景に黒いドレスだが、淡いグレーの
ストールが2つの黒を分けている。
キスリングふうだが、これ、田中保!
ルオーの「横向きのピエロ」、パウル・クレーの「古代風の二重肖像」。
イラストふうで楽しい駒井哲郎柄澤斎の木版での肖像画シリーズが面白い!
「待った!」とダメだしの手を出しているアルブレヒト・デューラー。
絵筆を持つクービンの両肩に誰かの手が、、死の舞踏などドクロ系の絵が多いクービン
だから、悪霊が絵を描かせているという発想かな?

最初のコーナーだけで、こんなに面白いが、テーマは32あるという。
あまり興味がないところは、はしょらないと。
2つめのテーマは家族。私の好きなモーリス・ドニの「シャグマユリの聖母子」。
シャグマユリは背が高くルピナスのような赤い穂。いかにも南国という花。
白い服のドニの妻が、海の見えるシャグマユリ咲く
庭で赤ちゃんを抱いている絵。
熱帯の強い光が妻に降り注ぐ。紫陽花のほうがたくさん咲いているのだが、存在感
からいうと、シャグマユリ。
小松崎邦雄「五月の花嫁」は、牧場に牛たち、神父様が司式、新郎がタキシード姿
で新婦は牛!シュール。。「オルナンの埋葬」ふうの結構大きな絵。
池田満寿夫、瑛九、吉岡正人の作品もあった。

3つめのテーマ、深く眠るでは、パスキンの「眠る裸婦」のふわっと浮いた感じが
印象に残った。
こんな調子で詳しく書いていくと、いつまでたっても終わらないので、気になった
ものだけ記しておくと、
岸田劉生「路傍初夏」 奥行きのある道、遠近法で吸い込まれる。国立近代美術館
で見た「道路と土手と塀」より単純化されている。
埼玉の景色、東京の景色コーナーでは、知っている場所も昔はこうだったのね、と
眺める。

斎藤豊作もここで初めて知った画家。埼玉生まれだから取り上げられているのだろう。
斎藤は早くから二科会の花と称賛されたが、フランスに渡り、古城に住み、絵の制作を
した。「にわか雨」というサロンに入選した絵は、画面中央に風に揺らぐ大きな木が一本
ある絵。不穏な空、雲に動きが感じられる。
同郷で、同じく美大に学んだが、遅咲きで
苦労をした熊谷守一に援助をしていたそうだ。
埼玉県立近美_熊谷守一ケシの花.jpg ← ケシの花 1956年 熊谷守一

近代美術館なので、シュルレアリスムは外せない。
アルプ、マン・レイ、ミロ、イヴ・タンギーらの作品。
出品点数1000というのだから、見出がある。

すばらしかったのは、大熊家コレクションの横山大観、掛け軸10点。
四季折々、日本の自然の美しさ、繊細さを見てとれる。

一階には、普通の常設がある。
日本画の小茂田青樹「春の夜」は、すっきりとしたきれいな作品。
梅の花の香り漂う春の夜、ネコが獲物をねらって歩く。木の上でそれを見つめる
フクロウ。梅の木にはたらしこみ技法が取り入れられている。夜空の色あいと
さくらの色の対比が美しい。
小茂田青樹_春の夜.jpg


埼玉県立近代美術館のお宝は、モネの「ジヴェルニーの積みわら、夕日」と、モネ17歳
の作品「ルエルの眺め」。ピサロ「エラニーの牛を追う娘」 フジタ「横たわる裸婦」
MonetSaitama.jpg   埼玉県立近代美ピサロ.jpg


彫刻室もあり、ソファーにすわってゆっくり3点の彫刻を見るようになっている。
舟越保武「ダミアン神父像」ブロンズ。私財を投じ、ハンセン病患者救済に献身した神父。
自分もハンセン氏病で亡くなった。何かを語りかけるような口元。崇高さが漂う。
ジャコモ・マンズー 「枢機卿」1979年 ダミアン神父が等身大なのに比し、これは
大きな作品。白い大理石で三角錐の大きく広がったマント、高い帽子、椅子に座り
目を閉じているが厳粛さが漂う。
ヴェナンツォ・クロチェッティ「マグダラのマリア」
風に向かうマリアの後ろ姿。衣服や髪が強い風にたなびき顔が見えない。風に向かう
ことで、全身で悔悛の情を示しているように見える。衣服のうねりに激しさを感じる。

遠くても行く価値のある美術館でした。[ハートたち(複数ハート)]
  *りゅうさんの常設展の作品紹介ブログ記事
「たまもの」展は、5月19日までです。


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