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六、七月歌舞伎 [演劇、ミュージカル、Jazz]

 七月歌舞伎は、若手役者陣が務める。
四月から六月までは杮噴落(こけらおとし)公演で、歌舞伎界を代表する
役者たちの舞台だった。

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夜の部、「四谷怪談」を見た。
主演は、伊右衛門が染五郎、お岩が菊之助。直助が松緑。
染五郎40才、菊之助35才、松緑38才。
松緑の父・辰之助は40才で亡くなってしまったが、染五郎の父・幸四郎、
菊之助の父・菊五郎は現在の歌舞伎界の中心人物である。

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御存じお岩さんが、「恨めし~」と毒薬で変わった醜い顔の幽霊で出てくる怪談。
恨めしの相手は、お岩の夫・伊右衛門。箸にも棒にもかからぬ悪だが色男。
染五郎の伊右衛門は端正な顔立ちが災いしてか、悪としては物足りない。

菊之助は美しい。誇り高い武士の娘の気丈さが潔い。毒薬で醜くなった顔に
気づき、髪に櫛を入れると、髪の毛が束になって抜ける見せ場の苦悶の様子は、
哀れを誘う。最後の回想場面で、幸せだった日々を思い出し、伊右衛門と踊るが、
いつ見ても菊之助の踊りは玉三郎譲りで美しい。見とれてしまう。
この芝居の見どころは、菊之助が3つの役を演じることにもある。第一幕、まだ
お岩が出てこないときは、小間物屋に身をやつした浪人・与茂七として鮮やかな
剣裁きを見せる若武者。お家騒動で離れ離れになっていた妻と地獄宿で会う
場面は笑いが止まらない。軽妙な役もうまい。
早変わりで花道から駆け抜けてくるたびに大きな拍手がおこった。
お岩の幽霊は宙吊りで変貌自在に動き、戸板返し、仏壇返し、提灯抜けなど
、お化けの見せ場では、あっと驚かせ面白かった。

悪の片棒を担ぐ薬屋・直助の松緑は、狡いが大悪党になれない下っ端ぶりを
軽い動きでうまく表現、芝居をまわしていた。ちょっと台詞が一本調子かな。
    
お梅:右近、お袖:梅枝、奥田庄三郎:亀三郎、四谷左門:錦吾、按摩宅悦:市蔵、
みんな心に残るいい芝居をしていた。

チケットを買ったのが遅かったので、最前列一番左端、花道の外側という席。
斜めに座って見たが、見えにくい所もあった。次は、早めに手配しないと。

  *昼の部:「加賀見山再岩藤」をご覧になったcocoさんの感想はこちら

 

さかのぼって6月。
杮葺落公演は、一日3回興業。
夜の部は6時開演。誘われた時、「仕事が終わるのが5時半だから遅刻だけど」
と言うと、海老蔵大ファンの友達は、「最初は鈴ヶ森、幸四郎だから見なくてもいいよ」
と極端発言。
梅雨の時期、雨の日だった。携帯でパシャっと一枚だけ。

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助六
杮葺落公演なので、口上があった。
幸四郎が、「助六」は歌舞伎十八番の演目で、歴代團十郎に伝わる家の芸と
述べたあと、今回は亡くなった團十郎さんに代わって海老蔵が一生懸命務め
させていただきます、皆々様、よろしくお頼もう申し上げます」、万雷の拍手。

場所は吉原の大店「三浦屋」。若くて美しい花魁たちがずらりと並ぶ。これだけで
十分に華やか。花魁道中が始まる。ひときわ綺麗なのは、壱太郎(ひいきめ?)。
福助の揚巻登場。私が一番好きな役者は福助。揚巻なので衣装も豪華。
三浦屋の常連、髭の意休(左団次)が、お供の若い者、遊女白玉(七之助)を
引き連れ登場。意休は揚巻がお目当てなのだが、断られてばかり。

やがて高下駄の音が花道に響き、海老蔵・助六登場。華がある!
花道で、唐傘を使った振りを披露。拍手。白酒売りの菊五郎も登場。

三津五郎の通行人役が達者。こんなに面白い人だったのね、と思った。
今までなら勘三郎がやっていた役。「この辺り、3年ぶりで来たら随分と
きれいになって」、ここでもう笑い。股くぐりを命じられ、「じぇ、じぇっ」。
菊五郎も「どっしょーかな、(頬に指を当て)オッケー」
「珍しいことしたから呟こう」と、スマホを出し「そうだ、海老蔵のブログを見よう」
ブログを読み上げると、その文面は、「團十郎さんも大きな星になって空から
見ているでしょう。十四代目が生まれ、十四代目が助六をやるまで歌舞伎座を
御贔屓に」

十四代目が助六をやるまで、あと25年はかかるでしょう。
親子二代の襲名披露興行を見れたらいいけど。。。

助六揚巻1.jpg

*忙しいのでコメント欄は閉じておきます。


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