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パリ郊外カイユボットの別荘での展覧会 [絵が描かれた場所を訪ねて]

 昨年12月に、ブリヂストン美術館へ「カイユボット展」を見に行った記事を書いた。
そして、4月5日からパリ郊外のカイユボットの別荘で開かれる展覧会に行きたいと
思っていた。今年はカイユボットが45歳で亡くなってから120年。30才から35才
までの間、イエールでの暮らしの様子と風景画を80点描いた。

4月5日展覧会初日、丁度パリにいたので、イエールに出かけた。
郊外電車でパリ・リヨン駅から20分ほど。イエール駅で降り、バスに乗った。
郵便局前で降り、道を尋ねながら5分くらい歩くと、イタリア風瀟洒な建物の
カイユボット邸が見えてきた。
ここが門。白いテントが見えてるのは、初日のパーティ用の会場。

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門をはいると、カイユボットの絵に描かれているローマふうの家があった。
「絵の通り!」とうれしくなる。外からガラス戸越しに室内が見えるのだが、
奥にピアノがある。ブリヂストン美術館が最近購入した「ピアノを弾く男」の
ピアノに違いない。
展覧会は、左側に見える建物(元住んでいた家)が会場だった。
今まであまり公開されなかったものを含め43点、全部イエールを舞台とした絵
が展示されていた。

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とにかく広大な敷地。11ヘクタールあったと書いてあったっけ。
カーブを描く小道、背の高い木々、花壇、広い芝生。右側に見える白い建物は
キャフェテリア。テラス席もあったので、庭を眺めながら、キッシュを食べた。

カイユボットが12歳の時、事業に成功した父が、ここを別荘として購入した。
太陽が気持ちのいい場所。光と影がはっきりして、屋外での写生を重んじる
印象派の絵を描くのに丁度良い場所だったとわかる。

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この白いのは、風に散った花びら。りんごの花?

Yerres1.jpg


散歩道を奥に進んで行くと、カイユボットの絵に何回も登場する「菜園」が見えてきた。
子供の頃読んだ「秘密の花園」を思わせる菜園入口は、絵で見て気になっていた。

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中に入れるようになっていて、中では、花や野菜の栽培をしていた。
カイユボットの絵にも、菜園で働く人たちを描いたものがある。
白い石造りの菜園の壁を描いた絵は、今、見た展覧会に2枚あった。

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これが菜園の絵。「Le Jaradin potager,Yerres」(イエールの菜園)1879年

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これが、菜園で働く人の絵。「Les Jardiniers」(庭師たち)1879年

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カイユボットは、イエールの川で泳いだり、カヌーをしたりする人を描いた。
「Baigneurs, bords de l'Yerres」(イエール川で水遊びをする人たち)1878年
「Perissoires sur l'Yerres」(イエール川でカヌーをする人たち)1877年

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「Perissoires sur l'Yerres」(イエール川でカヌーをする人たち)1878年
「Peche a la ligne」(釣り糸を垂れる人)1878年

イエール川は想像より川幅が小さかったけれど、水面に木々が映る様子は、
カイユボットの絵と同じだった。

YerresRiviere.jpg

イエールは、1881年彼がここを売ってセーヌ右岸のジュヌヴィエイユに移るまで、
絵の舞台となった。明るく輝いていた時代である。1882年以降、彼は絵を発表
せず、ヨットの設計や園芸に夢中になった。なぜかはわからない。


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