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デュフィ展 [展覧会(西洋画)]

デュフィの絵は、爽やかな色合いで、さくっと対象を捉える線がやさしい音楽のように
舞い心地よい。好きな画家だ。

2006年の大丸での展覧会、 鎌倉オータニ美術館での作品 はとても良かった。

今回は、回顧展で規模が大きいときいていたので、ちょっと楽しみだった。
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場所は渋谷の東急Bunkamura。デパートに隣接しているので、夜7時まで開館。
休日は、起きるのが遅く、出かけるのも遅いから、7時まで開いてるのは好都合。

回顧展なので、絵は年代順に展示されていた。
デュフィは、1877年にモネやブーダンの故郷、ノルマンディの光あふれる港町、
ル・アーヴルに生まれた。働きながら地元の美術学校で学んだ後、奨学金を得て
パリの美術学校に入学した。
初期は印象派ふうの絵。「サン=タドレスの桟橋」は、海岸だからかブーダンを
思い出す絵。
しかし、数年後には、フォービズムで注目を集めていたアルベール・マルケと
共に、トゥルーヴィルを訪れ、「トゥルーヴィルのポスター」(1906年)を描いた。

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その後、セザンヌの回顧展を見て感動し、セザンヌゆかりの地レスタックで、
描いた「レスタックの木々」(1908年)は、木々の緑と地面の褐色のほぼ2色。
単純化された形はキュビズムっぽい。

デュフィは木版画の制作を始める。
1911年、アポリネールの「動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供たち」の挿絵を
木版画で担当した。馬、ヘビ、ライオン、みみずくなどがシュロの葉など植物模様を
背景に描かれていた。この植物模様版画の延長戦上で生まれたのが、テキスタイル
である。当時のデザイナーの第一人者ポール・ポワレのテキスタイルとして制作された
「たちあおい」(1918年)。色も美しい。

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デュフィデザインの布地が数種類と実際の服も展示されていた。今、街で着ても
違和感がないカジュアルでしゃれた服だった。
以前、大丸での展覧会で見たデュフィデザインの布地も花柄だったが、今回の
より華やかだったという記憶。

私がなじんでるデュフィらしさが出てくるのは、1920年頃から。
コートダジュールの「ヴァンス」を描いた絵が4枚。俯瞰的な眺めの絵が色彩豊か
な模型図のようで気に入った。

1928年「ニースの窓辺」
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マティスだったら、赤で描くところを青に置き換えたと思えるような絵。
デュフィは、青がきれい。窓の外の空の青、海の青が室内にも及んでいる。

「馬に乗ったケスラー一家」(1932年)
大きな絵。やはり青が美しい。馬の茶色、木の緑とマッチしている。
馬の顔がとても穏やか。人物の顔は。。。ちょっとずれている。色彩が形を侵食するのが
デュフィの生み出した技だからなのだろう。
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横長の「エプソム、ダービーの行進」も空の青、競馬場の緑が美しい。
横長という画面いっぱいに、競馬場を見つめる後ろ姿の人々。

1940年代からは、音楽を主題にした絵が登場する。
「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」(1952年)

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上のチラシに使われている絵は「ヴァイオリンのある静物、バッハへのオマージュ」(1952年)
バッハは赤い暖色のイメージで、ドビュッシーは寒色のイメージなのだろう。
赤い画面を見ていると、ロールシャッハテストのように思えてきて、葉っぱの位置で
バッハの顔が見えるような気がする。

1950年「マキシム」
パリの有名レストラン「マキシム」におしゃれをして集う人たち。夢のあるパステル調の
色彩。曲線で描かれたドレス、ストライプのドレス、扇、装飾も加わって画面いっぱいに
あふれる洒落た華やかさ。パリらしさなのだろう。

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パリの街を描いた絵や、パリの名所をゴブラン織りにした椅子も展示されていた。
忘れてならないのは1932年パリ万博の電気館の巨大な壁画「電気の精」。
このミニチュア版が展示されていた。科学の歴史に貢献した約100人の科学者が
描かれている。キューリー夫妻やエジソン、オーム、ワット、ボルタ、フーリエ、ラプラスなど。

気楽に見れて、温かい気持ちになって帰れる展覧会です。
フランスやパリが好きな人には、特におすすめ。7月27日まで。


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