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「曜変天目茶碗と日本の美」展 [展覧会(絵以外)]

サントリー美術館で開催中の「藤田美術館の至宝、曜変天目茶碗と日本の美」、
とても良い展覧会です。

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「曜変天目」というお茶の茶碗を御存じですか?
天目茶碗とは、鉄釉をかけて焼いた茶碗で、鉄分で黒い色になっている。
中でも、曜変天目というのは、南宋時代、中国で焼かれたもので、内側に星の
ように見える斑紋が散らばり、角度によって虹色に光り輝く。
現存するのは、世界中に3個だけで、京都の大徳寺、大阪の藤田美術館、
東京の静嘉堂文庫が所蔵、どれも国宝に指定されている。

今回、藤田美術館の「曜変天目」を見ることができるので、わくわくして出かけた。
会場は、照明が上手で、実際、茶碗の中の模様がキラキラ輝いているのが容易に
確認できる。期待に違わぬ美しさだった。(チラシの写真参照)

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まさに、天下の名椀だった。
静嘉堂文庫のを以前、見に行ったのだが、常時公開ではなく、見れなかった。
静嘉堂は現在、補修工事で休館中だが、10月31日から、琳派展が始まり、
その期間、曜変天目も展示される。

お茶の茶碗の国宝は他に2つあり、いずれも光悦作。三井記念美術館の
「志野卯花がき」(垣根もよう)と、サンリツ美術館の「白楽茶碗不二山」。
2つとも見たが、いつまでも印象に残る美しさだ。


展覧会のタイトルは、「曜変天目と日本の美」なので、仏像、絵画、皿、茶道具などの
展示品もすばらしい。
写真では、惹きつけられないと思うが、小ぶりながら色鮮やかな仏像に見入ってしまう。
特に着衣の表現がみごと。袈裟の部分には截金が施されている。
地蔵菩薩立像(重要文化財) 快慶作 鎌倉時代  

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国宝 仏功徳蒔絵経箱 平安時代
「法華経」の説話をもとに描かれた絵が四方を囲んでいる。

国宝 紫式部日記絵詞

国宝 玄奘三蔵絵

国宝が、ずらっとある。藤田美術館の財力たるや。
関西の実業家、藤田傳三郎氏は、廃仏毀釈運動による文化財の破壊や
海外流出を防ぐために、仏画や仏像などの収集を始めた。美術品、茶道具にも
関心があったので、それらも積極的に収集し、コレクションを息子が受け継いだ。
(椿山荘は藤田氏の東京別邸だったので、藤田観光が受け継いでいる)


展示品で、印象に残ったものは、
錆絵、角皿十枚 (尾形乾山作、尾形光琳画)

お茶道具では、交趾大亀香合  明~清時代 17世紀
交趾とは、ベトナムの地方名。ベトナムとの交易でもたらされた品。

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「田村文琳茶入」 宋~明時代 13~15世紀
文琳とはリンゴのことで、リンゴのような丸い形のお茶入れ。

御所丸黒刷毛茶碗 銘 夕陽(重要文化財) 17世紀 朝鮮
黒地に刷毛で白い丸を描いたような模様、いびつにも見える形。

鴨形香合  野々村仁清作 江戸時代

ノンコウ、変な名前と思ったら、楽焼きの楽家の三代目の愛称だそうだ。

時代順の展示で、最後には、近代日本画家の長沢蘆雪、竹内栖鳳の絵もあり、
見応えのある展覧会だった。

会期はあとわずか。27日までです。


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