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ジャックマール・アンドレ美術館 [☆彡Paris 美術館]

ジャックマール・アンドレ美術館は、凱旋門からプランタンデパート方面に行く道=オスマン通りに
面している。昔は馬車で入って来たのだろう。馬車回しがある。
この堂々とした館は、銀行家のアンドレ氏と画家である妻ネリー・ジャックマールの
邸宅として1869年に建てられた。

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妻ネリーは画家で、趣味が美術品のコレクションだったため、屋敷はたくさんの美術品
で飾られていた。これはパンフの写真。18世紀フランス絵画の間。

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誰の作品かすぐわかるものもある。
正面は、シャルダンの「Attributes des Arts」芸術の特質1731年
右はナティエの「ダンタン公爵夫人」、その上、切れているが、楕円形の絵は、
フラゴナールの「ヴィーナスの目ざめ」
調度品も素晴らしい。

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床は寄木細工。
ネリーが肖像画家だったためか、所蔵品は肖像画が多い。
左端の半分切れている絵は、ヴィジェ=ルブランのナポリのSkavronskaia伯爵夫人の肖像画。

こちらは「温室」という部屋。高い天井から陽が差しこみ観葉植物の緑で庭園のよう。
私は、この美術館では、ここが一番気に入っている。
ローマ時代っぽい彫刻の後には鏡が置かれている。
奥の対称な2つの螺旋階段、二階の回廊の白が、アールデコふうで美しい。

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床、彫刻台、アーチ型のくぐり戸、さまざまな大理石がふんだんに使われている。
彫刻の配置も品が良い。

奥様ネリーの寝室。
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「音楽の間」はコンサートに使われたのだろう。
圧巻だったのは、「タピストリーの間」。天井の高い部屋の壁一面にタピストリー。
「フィレンツェの間」「ヴェネチアの間」とイタリア絵画の展示が充実していた。

きれいだった絵の数々は、購入した絵葉書をスキャンしたもの。
18世紀フランス絵画の間で目立っていたナティエの「Portrait de Marquise d'Antin」
輝く表情。花輪。鳥。繻子の服の光沢がすばらしい。

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「フィレンツェの間」は、ルネッサンス時代のフィレンツェの教会の一部屋のような造作。
ボッティチェリが2点。
左:「エジプト逃避行」 右:「聖母子」

BottityeriS.jpg Botticelli.jpg

聖母子はいろいろな画家のものを比較できて興味深かった。

ペルジーノの聖母子
一目で、ペルジーノ!とわかる優美な顔の聖母。
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マンテーニャの「聖母子」は硬質で(写真なし)、ベリーニのは柔らかく優雅。
背景の青が美しい。
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少し暗めの照明の下、どの聖母子も色が綺麗。

これも、この美術館の自慢の作品。
ウッチェロの「聖ゲオルギウスの竜退治」 1460年。
ウッチェロは遠近法を初めて使った画家。手前に3者が並び、道の奥に白い建物
が見える。はっきり明快な構図。

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最後はレンブラントの「エマオの巡礼者」。小さな絵だが、光を放っていた。
斬新な構図と大胆な光表現がドラマを表している。
巡礼者(キリストの弟子)が墓からよみがえったキリストと、キリスト本人とは
わからず話してるうちに、本人とわかり、驚く瞬間を劇的に表現している。「死んだはずなのに!」
キリストは画面手前のシルエットの人物で、光を正面に受けているのが弟子である。
更に別の薄暗い光によって浮かび上がっているのは、もう一名の弟子である。

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画家である奥様ネリーの審美眼とアンドレの財力で、コレクションは質が高い。
特にルネサンス期のものが充実していた。
*追記:夫妻の出会いに関心のある方は、下のyk2さんへのコメントの返事を読んでください。

邸宅は素晴らしいし、レストランもなかなか、そして絵も良いので、訪れる価値が
あると思う。


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