笠間日動美術館 [日本の美術館]
笠間日動美術館は、茨城県笠間市にある東京の日動画廊が経営する美術館。
東京からは、車でないと不便な場所なので、行くのが延び延びになっていた。
自然が豊かな環境で野外彫刻も見れるので、新緑、紅葉の季節が良いと聞いていたから、
「ドライブに行きましょ」というお誘いは渡に船。
これが入口。建物は芦原義信の設計。
写真を撮り忘れたので、パンフの写真を借用。手前のツツジは私が行った時は
もう終わっていて殺風景だった。
まずカフェに行った。全面ガラスの戸から新緑の渓谷が見えて爽快感がある。
カフェなので、ランチメニューは少ない。オムライスを頼んだら友達が、「あら、これ知ってるわ。
私が時々買う冷凍よ。便利だけど、ここで出てくるとは」「でも560円だから文句言っちゃだめよ」
コーヒーは美味しかった。
渡り廊下を通ってフランス館に行くため外に出ると、なだらかな丘陵に野外彫刻園があった。
見覚えのある彫刻がある!左の下から2番目、舟越保武の「原の城」。
岩手県立美術館で見たものと同じだと思う。彫刻は型があると鋳造して同じものを造れる。
「原の城」は、島原の乱の時、廃城だった「原の城」に農民一揆軍が立てこもり、全員、
幕府に殺害された。このことを忘れないよう、討死した兵士が亡霊のように立ち上がる様子
を彫刻にしたもの。クリスチャンである舟越の渾身の作。悲惨さに胸が痛くなるほどで、一度
見たら忘れられない作品。
一番手前にあるのは、雨宮敬子の「間」。一番上、背中だけが見えるのが本郷新の「冬の像」
右側、髪が風になびいているのは「五月の風」山本豊市。
中央は、淀井敏夫「夏、流木と女」。右は木内克「エーゲ海に捧ぐ」
痩せた体が特徴の淀井の彫刻は、世田谷美術館の庭にもあるし、三菱一号館の庭に
「ローマの公園」という女性2人がベンチに座っているおしゃれな雰囲気の彫刻が
置いてあったこともある。
これがフランス館の入口。シンプルだが、右側にジャン・デビュッフェの白・青・赤のオブジェが
あるので、「フランス!」とわかる。
左側の胸像は、「鴨居玲」雨宮敬子作。
別棟で、企画展「鴨居玲展」をやっているからなのだろう。
この美術館の一番の自慢は、ルノワールの「泉のそばの少女」。
30×40と小さなサイズ。肌色からオレンジ色への色合いとグリーンとの対比はルノアール色。
印象派の技法に疑問を持ち始めたルノワールが古典主義的な作風に転向した頃の作品。
同じ年に代表作「大水浴図」が描かれた。
ゴッホ「サンレミの道」
ゴッホが亡くなる年の作品。サンレミの精神病院に入院していた時で、筆致は荒いが、、色彩には
南仏の光のまばゆさが表れている。
ピカソ「女の顔」1901年
20歳の時の作品なので具象的。それでもやはり、ピカソらしさが表れている。
「画家とパレット」というパレットを左手に筆を右手に持って画布に向かう自画像は
少し抽象にはいっていた。(写真なし)
シャガール「村の通り(赤い家並) 1937~40年
50歳の作品。青をだくさん使っていた時代。
もう一点のシャガール「花のオルフェ」は、他の絵でもよく見かける花束。
フジタの「天使(眠る女)」は、眠る女性の頭上に可愛らしい天使が3人。
フジタの乳白色の美しい絵。
カンディンスキー「活気ある休憩」1923年
青を基調としたエルンストの「夢創りの達人」は、意味不明だが、ふくろうが可愛かった。
アンドレ・マッソンの「とうもろこしの伝説」もシュールなとうもろこし。ミロ風。
いつもながらに難解なロバート・ラウシェンブルグの作品。
面白かったのは、ニキ・ド・サンファルの「蛇の椅子」
キスリングの「花・アガパンサス」赤の背景。
ダリ「花のカリカチュア」は、サンセべリア(観葉植物)に駝鳥の首から上が花として
くっついたもの。思わず笑ってしまった。
日本の画家の作品もある。
岡鹿之助「花」1939年
高橋由一「鮭」
あれっ?ここにも鮭、でもよく見ると、芸大蔵のものより痩せた鮭。
調べたら、向きも反対だった。
由一の「鯛」もあった。
どれも、質の高い作品ばかり。さすがは老舗画廊「日動画廊」の所蔵品。
日動のオーナー長谷川氏は、笠間市の出身なので、故郷に美術館を建てたというわけ。
初代オーナーの息子嫁千恵子さんは美人で有名な人。アンディ・ウォーホルの「C夫人像」
もあった。
「パレット館」という建物があり、画家のパレットだけ、350点を展示してある。
それぞれの画家の個性が反映されていて面白く、さくっと見るはずが、ついついじっくり眺めてしまった。
それほど広くはないが、作品が充実していて屋外に彫刻もあるので、遠路、行った価値があった。
企画展「鴨居玲展」もなかなかよかった。(記事は後日)追記:チラシを紛失して資料不足。記事はやめました。
追記:
コザックさんは昨年の5月、GWの時にここにいらしてますが、つつじがみごとです。
近くの笠間神社は藤がすてきなので、行くなら、つつじの季節ですね。