SSブログ

谷口吉生記念館(金沢) [日本の美術館]

12月に金沢に行ったとき、行ってみようと思っていたのは、「谷口吉郎・吉生記念建築館」。
昨年7月に開館した。
谷口吉郎の住まいの跡地、金沢市の中心部、寺町にある。


谷口_記念館.jpg


谷口吉郎は、1979年に74才で亡くなったが、金沢の久谷焼の窯元に生まれ、東京帝大
の建築を卒業後、東宮御所、東京国立近代美術館、東京国立博物館の東洋館、
昔のホテル・オークラのメイン・ロビーなどを設計した日本を代表する建築家である。
息子の谷口吉生(1937年~)も
建築家で慶応義塾大機械卒、ハーバード大学院建築科卒、
コンペでNYのMoMA(近代美術館)の新館設計を任された。東京湾に浮かぶ葛西臨海水族園
も彼の作品である。
この建物は、谷口吉生の設計で、庇(ひさし)や簾(すだれ)といった和風の要素を
取り入れている。地上2階、地下一階で周りの建物と高さを揃え、1階の道路に面した
部分は、ガラス張りで外から見えるようになっていて喫茶室とミュージアムショップである。


地下は展示室で、開館企画として、谷口建築を年代順にスクリーンで紹介していた。
所要時間は30分くらいだが、私が知らない作品もいろいろ紹介され、興味深かった。
パネルによる展示もあったが、撮影不可だった。

二階は撮影可で、谷口が設計した迎賓館赤坂離宮の和風別館「遊心亭」を再現してあった。
日本の伝統的な数寄屋造りを取り入れ、深いひさしの広い縁側(廊下)の天井は斜め。

谷口_数寄屋の部屋.jpg

47畳の大広間。天井からの照明は、和風の六角形。
中へは入れないが、能舞台のような茶室があり、座敷からお点前が見れるようになっていた。

谷口_数寄屋.jpg

格子の入った丸窓、竹で編まれた腰板は茶室風。

谷口_丸窓.jpg

2階、「遊心亭」の前に、一面、水がはってある水盤の「水庭」がある。植えた木が映り込み、
樹木越しに犀川べりの金沢の街の景色、さらに遠くには山が見える。気持ちのいい空間だ。


谷口_水.jpg

足元に、教会の建物。「旧金沢モリス教会」。
英国、ヴィクトリア朝、絵画でいうと「ラファエル前派」の時期に活躍した詩人でデザイナー
のウィリアム・モリスの邸宅「レッド・ハウス」をまねて作ったそうだ。内装やステンドグラスが
美しいので、「ステンドグラス美術館」でもあったが、今は閉館とのこと。 残念。

谷口_隣の教会.jpg


nice!(37)  コメント(9)