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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 [展覧会(西洋画)]

東京・上野の西洋美術館で開催中の「ロンドン・ナショナルギャラリー展」へ行った。
この展覧会も3月に開催されたが開始後、数日でコロナウィルス感染予防のために閉館。
会期を延期して再開したが、密になるのを避けるため、入場は事前予約制。
混んでいて、無理だと思っていたのに、休みだった平日、予約サイトを見たら夕方
4時半だけがあいていた。速攻、ネットで申し込み、出かけた。
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人数が制限されているので、会場内はゆったり。
話し声もなく、足音だけが聞こえる。
一番最初の絵は、ウッチェロの「聖ゲオルギウスと竜」1470年頃。
これと同じタイトルの絵をパリのジャックマール・アンドレ美術館で見たので、「おやっ」と
注目。あちらは、もっとおどけて漫画っぽかったけれど、この竜は留めをさされた後で
痛々しい。ウッチェロは馬の描写で名声を高めたそうだ。

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次は、私の好きなドメニコ・ギルランダイオの「聖母子」。1480~90年頃
ギルランダイオは、15世紀後半、フィレンツェで最も多作で人気だったので、
若き日のミケランジェロは、ギルランダイオに板絵とフレスコ画の手ほどきを受けた。
ギルランダイオは絵画技法を熟知していたので、年数を経た今も絵は色褪せず、光の
様子やイエスとマリアを結ぶ銀色のヴェールの繊細さが美しい。(テンペラ画)
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ティツィアーノ「ノリ・メ・タンゲレ」1514年頃
「ウルビーノのヴィーナス」で有名なティツィアーノの若き日の作品。
イエスの墓が空になっていたのに驚いたマグダラのマリアは、遺体を探そうと
走りだし、この男に出くわした。衣服をつかんで、「私の主の遺体を探すのを手伝って
ください」と頼むと、男は「ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)」と言った。
その声で、マリアは、男がイエスであるとわかったという場面。
背景の風景表現がすばらしい。中央にある木は「知恵の木」を暗示している。
「ノリ・メ・タンゲレ」は、多くの画家が描いている有名な主題。

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次の絵は、ジョヴァンニ・ジョローラモ・サヴォルドの「マグダラのマリア」。1540年頃
マリア続きで展示されているが、このマリアは、夜明け前に墓の前に立つマリアの
振り返りざまの上半身肖像画。頭から被った銀灰色のマントが画面いっぱいで目立つ。
この色の衣服のマリアを見たことがなかったが、当時の北イタリアの良家の女性が
家から出る時の一般的な格好だった。(写真なし)

ティツィアーノの弟子ティントレットの「天の川の起源」1575年頃
ティントレットは生涯をヴェネツィアで過ごした。ミケランジェロの彫刻に魅了され、
スケッチに取り入れてドラマティックな動きを表現した。
赤い布をまとった神ゼウスが妻でない女性に産ませた息子ヘラクレスに神としての永遠の命を
与えるため、神である妻ヘラの乳を吸わせようとした瞬間。寝ていたヘラが飛び起き、乳が
飛び散り、天の川となったという神話に基ずく絵。
ゼウスのしるしの鷲、ヘラのしるしの孔雀がはっきり描かれている。


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以上は、第一室:イタリア・ルネサンス絵画から、気に入ったものを選んだ。


第二室は、オランダ絵画の黄金時代
1、レンブラント「34才の自画像」1640年(写真なし)
2、フランス・ハルス「扇を持つ女性」1640年頃
フランス・ハルスは、表情を捉えるのが実に上手い。一度見たら忘れられない表情の
「笑う少年」をはじめ、笑っている顔が多いが、「扇を持つ女性」は、きりっと美しい。
レースの三段襟、袖口、銀色のリボンなどの描写が素晴らしい。マネがハルスに魅了
され、作品を模写したというのも頷ける。


3、ヤン・ステーン「農民一家の食事」1665年頃(写真なし)
シャルダンの「食前の祈り」に似ているが、シャルダンの方が後の時代なので、
この絵を参考にしたのだろうか。こちらに視線を向ける男の子や、足元で鍋をなめる
飼い犬が気になった。

4、フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」1672年頃(写真なし)
この絵とほぼ同じタイトルの絵が、2008年都美術館での「フェルメール展」に来日した。
同じように小さな絵だったが、人物が違う。(2008年の記事の絵を参照)
今回の少女は生気がなく感じられ、前回の女性の方が魅力的。
ヴァージナルには風景画が描かれ、装飾も施されていた。高価な楽器だったのだろう。


5、ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ「ロブスターのある静物」1659年(写真なし)
写実画の技巧に眼を見張る絵。レーマーグラスへの映り込みまでで丁寧に描かれていた。


第三室は、ヴァン・ダイクとイギリス肖像画

1、ヴァン・ダイク「レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー」1635年頃
ヴァン・ダイクはベルギーのアントワープの生まれで、ルーベンスの工房で働いていた。
英国、イタリアに滞在の後、英国王チャールズ1世の宮廷画家となりナイトの称号を授かった。
姉妹2人、新婚のサフラン色のドレスの妹がキューピッドからバラの花籠を受け取っている。
姉(左側)は、純潔を表す白いドレス。2人のドレスのシルク、真珠の耳飾りが素晴らしい。
一般に、2人が同等の肖像画は難しいので、ヴァン・ダイクの技量の高さが伺える。
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2、ジョシュア・レイノルズ「レディ・コーバーンと3人の息子」1773年
サー・ジョシュア・レイノルズはこの時代、傑出した肖像画家だった。
画業の初期にイタリアで学び、古典的な彫刻や絵画から構図を学び、壮麗且つ生き生きと
した画風で、貴族階級の顧客に人気があった。
レディ・コーバーンのご主人は准男爵だったが、この絵が描かれた3年後に破産。
しかし、ここに描かれた3人の息子は、陸軍大将、海軍大将、首席司祭となった。
立派ですね、レディ・コーバーン。
母と3人の息子という日常的な主題に非日常性をもたせるために、裏が毛皮で裾に
金の刺繍があるマントをはおらせ、自信作ゆえ、刺繍部分に自分の名前を入れた。

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3、トマス・ゲインズバラ「シドンズ夫人」1785年
英国の肖像画家で一番好きなのは、ゲインズバラ。優美さこの上なし。
シドンズ夫人は、有名な悲劇女優であった。
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4、トマス・ローレンス「シャーロット王妃」1789年(写真なし)
トマス・ローレンスは、ジョシュア・レイノルズに才能を見出され、ジョージ3世の
主席宮廷画家となった。シャーロット王妃はジョージ3世の妻。ウィンザー城の窓辺で
椅子に座る姿で描かれている。窓の向こうに白いイートン校の建物が見える。


第四室は、グランド・ツァー

グランド・ツァーとは大旅行のこと。18世紀はイタリア旅行がブームだった。
1、カナレット「ヴェネツィア 大運河のレガッタ」1735年頃
カナレットはヴェネツィア生まれの画家で、一番人気の景観画家だった。
レガッタは、毎年カーニバルの期間中に開催され、黒のケープに白のマスクと
いう姿の観光客でにぎわった。この絵はレガッタのゴールが遠くに見えるよう
遠近感を工夫して描かれている。
英国のお金持ちは、ヴェネツィアの旅で絵を注文し、お土産として持ち帰った。

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2、フランチェスコ・グアルディ「ヴェネツィア:サンマルコ広場」1760年頃(写真なし)
カナレットの次に人気だったのは、フランチェスコ・グアルディである。
正確な表現のカナレットに比べると、かすかに霞みがかり、ヴェネツィアの景観
と雰囲気を伝えている。この表現は、ターナー、モネに影響を与えた。


第五室は、スペイン絵画の発見

スペイン絵画で18世紀に英国で人気があったのは、ムリーリョだった。
ゴヤ、ベラスケスが人気になるのは、19世紀になってからである。
1、ムリーリョ「幼い洗礼者聖ヨハネと子羊」1660年~1665年
ムリーリョの描く少年は目が大きく愛らしいと、人気で模写版画が出回った。
ムリーリョは、セビーリャで宗教画家として活躍した。プラド美術館にある
「無原罪の御宿り」は気品ある美しい絵で私は気に入っている。

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2、ゴヤ「ウェリントン公爵」1812年~14年
ウェリントン公爵は、スペインからフランス占領軍を追い出した功労者である。
ゴヤのスペインの民衆によるフランス軍への蜂起の絵「1808年5月」は、
フランス占領時代のものである。
この肖像画は、戦いが終わった直後に描かれたので、功を成し自慢気というより
戦い終わったあとの安堵感と疲れが表情に見えている。
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3、エル・グレコ「神殿から商人を追い払うキリスト」1600年頃(写真なし)
エル・グレコは、この主題の絵を何枚も描いている。
神殿は祈りの家であるのに、そこで商売をするのはとんでもないと、ムチで
商人たちを追い払うキリストは、グレコの特徴で細長く描かれている。


4、ディエゴ・ベラスケス「マルタとマリアの家のキリスト」1618年頃
ベラスケスは宮廷画家になる前、若い頃は、風俗画をたくさん描いていた。
聖書のシーンを農民の台所に置き換えている。老人が指さしているのは聖書の
「マルタとマリアの家のキリスト」の場面。ニンニクをつぶすという単調な作業を嫌々
やっている女性へのいましめ。当時は、細かくつぶしたニンニクと(壺に入ってる)
オリーブオイルを混ぜたものを魚にのせて食べてたのだろう。

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5、フランシスコ・デ・スルバラン「アンティオキアの聖マルガリータ」1630~34年
スルバランは、セビーリャで修道院や聖堂を飾る絵をたくさん手掛けたので、
「修道僧の画家」ともよばれている。アンティオキアは現在のトルコ。
殉教した伝説の聖人だが、スルバランは、羊飼いのマルガリータに素敵な衣装を着せている。
子羊の毛皮のチョッキ、襟や袖のレース、バッグはアンダルシア地方のものである。
等身大以上の大きな作品。
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第六室は、風景画とピクチャレスク

18世紀後半、英国では風景画が流行した。
1、ニコラ・プッサン「泉で足を洗う男のいる風景」1648年頃(写真なし)
木々の葉が涼しい日陰を作り、冷たい水の湧き出る泉、道が遠景へとつながる
理想的な景色。
2、クロード・ロラン「海港」1644年(写真なし)
黄金色の光に包まれた古代ローマの建物、凱旋門をモチーフに古代風の理想化
された風景を描いている。
3、ヤーコブ・ファン・ロイスダール「城の廃墟と教会のある風景」1665~70年頃
(写真なし)
画面の半分以上が雲におおわれた空というオランダの平坦な景色。ほぼ中央に教会、
前景に廃墟となった城があり、雲間からの光が教会や城を照らす。実在する場所で
なくロイスダールが作った景色である。
以上3名、17世紀のの英国人でない画家が描いた理想の風景が、英国の風景画に
取り入れられる。
4、トマス・ゲインズバラ「水飲み場」1777年以前(写真なし)
大きな木々に囲まれた水たまりに山羊や牛が集まってきて水を飲んでいる。横180センチの
大きな風景画。肖像画家として名をあげた後の作品。これも実在する場所でなく、
ルーベンスのスタイルを倣い構成された風景。

5、ジョン・コンスタブル「コルオートン・ホールのレノルズ記念碑」1833~36年
コンスタブルはターナーと並んで、19世紀英国を代表する風景画家。
これは実際の風景。コルオートン・ホールにジョシュア・レイノルズの記念碑を建てた
男爵からの依頼で描いたもの。記念碑の手前左には、レイノルズが尊敬していた
ミケランジェロの胸像、右には、ラファエロの胸像が見える。

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6、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス」
1829年
朝やけの光におおわれた幻想的な風景。横2mの大きな絵。

洞窟に閉じ込められたギリシア神話の英雄デュッセウスが、巨人ポリュフェモスの
眼をつぶして洞窟から脱出。船に戻り、赤いマントを着て両手を上げ、巨人を嘲る。
巨人は船に覆いかぶさるようにシルエットで描かれている。
この写真では小さくて詳細が見えないが、光の素晴らしさはわかると思う。

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第七室は、イギリスにおけるフランス近代美術受容

英国の画壇は保守的だったので、本格的にフランスの絵画が収集されるように
なったのは、20世紀になってからである。

1、アングル「アンジェリカを救うルッジェーロ」1819~39年
アングルは同名の絵を何枚も描いているので、制作年代が長くなっている。
岩につながれた中国の姫アンジェリカが海獣のえじきになろうとする瞬間、
騎士ルッジェーロが救出に馳せ参じる場面である。アンジェリカのねじれた
ポーズが印象的。

ドガが某伯爵の売り立てで購入し、所有していた。
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2、カミーユ・コロー「西方より望むアヴィニヨン」1836年
コロー40才の作品。明るいプロヴァンスの光。画面半分は空。教皇庁が画面
中央に見え、左側にローヌ川とアヴィニヨンの橋が見える。右側の1本の木が
アクセントになっている。
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3、アリ・シェフェール「ロバート・ホロンド夫人」1851年
ホロンド夫人は、気球乗りとしても有名だった英国の政治家の妻。教養豊かな
著述家、慈善家でロンドンに初の託児所を設立した。毎年、定期的にパリに
滞在しサロンを開催、ここでアリ・シェフェールとも知り合った。
新古典主義の画風で、楕円形の絵、ローマの貴婦人を思わせる。頬杖をつき、
物憂げなようすは、メランコリー、芸術家の気質を表すものである。
青、白、赤の三色使いは、フランスに因んだものだろうか。
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4、アンリ・ファンタン・ラトゥール「ばらの籠」1890年(写真なし)
花のラトゥールなので、いつもながらに美しい。

5、カミーユ・ピサロ「シデナムの並木道」1871年(写真なし)
普仏戦争を避けてロンドンに住んだ時代に描いたロンドン郊外の街並み。

6、オーギュスト・ルノワール「劇場にて(はじめてのお出かけ)」1877年
「はじめてのお出かけ」と副題通り、少女は初々しい。すてきな帽子を被り、
手に花束を持ち、熱心に舞台を見ている。一方、下の方には劇場慣れし、で
くつろぐ人たちが見えるが、印象派らしいラフなタッチで描かれ、少女を
クローズアップさせている。
ルノワールは、劇場での絵をたくさん描いていて、コートールド美術館展
での「桟敷席」が記憶に新しい。コートールド氏は、もっと印象派の絵を買う
ようにとナショナルギャラリーにお金を寄付、この絵が購入された。
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7、エドガー・ドガ「バレエの踊り子」1890年~1900年(写真なし)
稽古場でバレエのレッスンにいそしむ踊り子たち。前景の踊り子は足を長椅子の
上にのせ、シューズを履きなおしている。

8、クロード・モネ「睡蓮の池」1899年(写真なし)
モネの庭、睡蓮の池にかけられた太鼓橋の絵。

9、フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」1888年
この展覧会のチラシやポスターに使われた絵。
ゴッホは、アルル時代に花瓶に挿したひまわりの絵を7点描いたが1点は焼失。
そのうち、自筆サインを入れた自信作は2つ。これと、ドイツのノイエ・ピナコテーク
のものである。

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10、ポール・ゴーガン「花瓶の花」1896年
花があふれんばかりに活けられているが、暗い感じがするのは、青い花があり、
黒い花瓶で、テーブルがこげ茶色だからである。その上、テーブルに花びらが
落ちている。タヒチで生まれた子供が亡くなり、貧乏暮らしも重なり、絶望の
時だった。
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11、ポール・セザンヌ「プロヴァンスの丘」1890~92年頃(写真なし)
晩年のセザンヌは、プロヴァンスの原始の地層に興味を持ち、光に照らされる
岩石をいろいろ描いた。
この絵も丘を背景に、左から右へと斜線を構成しながら続く樹木、中景の岩場の
群れがバランスをとっている。


★(写真なし)の絵は、公式HPで見れます。

mozさんの「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」記事で、ここに載せていない絵の
写真が見れます。


★★
全部で61点。見る価値がある逸品揃いで、すごいです。
展示は、ルネサンスから始まる年代順なので、美術史の流れになっています。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、1824年に設立され、王室コレクションでなく、
市民の寄贈によって、作られました。今まで、1,2点の貸し出しはしても
一度に多くの作品を貸し出したことがないので、見る価値があります。
10月18日まで。


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オレンジワインとホワイトビール [シャンパン・ワイン・ビール]


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1か月くらい前のことですが、angieさんの記事で見て、オレンジワインを取りよせました。
angieさんがお買いになったのと同じ、甲州のシャトーマルスです。

丁度、ワインが届いた日に、yk2さんがオレンジケーキへのコメントで、
<オレンジピールとクルミのパウンドケーキは順当なら紅茶に合わせるんでしょうが、
ここ数年ちらほら見掛ける様になって来たオレンジワインと試してみたいな~> 

なんというタイミング!まだケーキも残っていたので、冷やして飲んでみました。
ワインだけで飲むと、冷えてて爽やか、少し苦みがあるけれど、おいしいのに、ケーキと
一緒だと、オレンジピールの味が突出して感じられ、合いません。オレンジどうしで喧嘩
になるようでした。


で、続きを夜ご飯の時、飲んでみました。その日は和食の家庭料理。
さわらの西京焼き、いんげんの肉味噌かけ、小松菜と豚肉の蒸し煮には、ぴったりでした。
ワインはテーブルの上で少し温まってくると、すっきり感が減少、酸味、苦みといった雑味が
加わり、普段の家のごはんに合いました。日本のワインだから日本のごはん向きなのかしら。

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梅雨の日々、仕事を終えて家で夜ご飯。
近所で、イタリアのビール「モレッティ」の白をSALEで売っていたので、ケース買い。
モレッティのビールを飲むおじさんのラベルだけど、白(Bianca)なので、青と白の清涼感
があるラベル。白なので、フルーティでコリアンダーのスパイスでさわやか。
昨年は、ベルギーのホワイトビール「ヒューガルデン」をケースで買って飲んでたっけ。
これもフルーティで、コリアンダーのスパイス。梅雨時には、白いビールが合います。


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土曜日、大阪に出張で行った人から、大阪で有名なビーフカツサンドと551のシュウマイを
いただきました。もちろん在庫があるモレッティービールで。
食べなれているせいか、私はトンカツのカツサンドのほうが好き。ビーフカツだから、
普通のカツサンドより高いんでしょうね。

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別の日、「柿の葉寿司を作ったので」とおよばれ。
売っている柿の葉寿司は、刺身部分が薄いが、これは手作りなので、普通の刺身がのっていて、
身厚なので、食べ応えがあって美味しかったです。

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亡くなった人のことは誕生日でなく命日に忍ぶのだけど、弟が「パパの誕生日だから、
明日、どう?」と、よんでくれた。これが私の一人分。「多いじゃなーい」って言ったのに、
結局、全部食べてしまった。写真はないけれど、ビールの後は、仲田さんがブルゴーニュで
造る「天地人」(写真撮り忘れたので、サイトからお借りしました)。3000円未満だった
けど、ふくよかさがあって美味しかったです。


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デザートのケーキは、ショコラティエ「デリーモ」ので、手前の赤いのが、評判のルビーチョコ。
その奥が、デリーモの一押しの「オセロ」という中がチョコムースの濃厚なケーキ。
デリーモは赤坂、日比谷、目白にお店があります。

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梅雨明け、コロナの終息、待たれます。
夜の飲食店には2月末から行ってません。とりあえず7月いっぱいは我慢するつもり。
そのころには、安心して出かけられるといいけど。。

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ジャコメッティ 最後の肖像 [映画 (美術関連)]

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細長い人物の彫刻で有名なアルベルト・ジャコメッティは、2017年に回顧展が
国立新美術館で開催され盛況だった。この映画は2017年制作、日本公開は
2018年だった。

アルベルト・ジャコメッティは、父が著名な画家ジョヴァンニ・ジャコメッティ、
弟ディエゴも彫刻家である。小さい時から父に手ほどきを受け、絵も上手い。
特に晩年は、絵を熱心に描いていた。

アメリカ人作家のジェームスは、パリからの帰国直前、かねてからの知り合い巨匠
ジャコメッティに「肖像画のモデルになってほしい」と頼まれ、明後日の飛行機に
間に合うならばと引き受ける。

ジャコメッティのアトリエで、制作が始まったが、終わらないので、ジェームスは
帰国を伸ばす。
大きな彫刻を挟んでモデルと対峙するこの画像がなかなか良かった。
筆をとりながらジャコメッティが訥々と語る。

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アトリエの中ばかりでは、息がつまるからと、散歩に出たり、Caféに行ったり、
いつもの散歩道はモンパルナス墓地。

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時には、妻も一緒にレストランへも。

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休憩よりも、絵を早く完成させてほしいと願うジェームスだが、

6日たち、7日たち、、その間に、愛人、妻、妻の彼、弟と現れ、邪魔がはいるので、
いったいいつ終わるのか、と、もどかしく思いながらも、波乱万丈の生活への参加
も楽しく、去り難い。8日、9日、、、14日。
完成が近づくと、
「やはりダメだ」とグレーの絵の具で、肖像画の顔を塗りつぶしてしまう。
一緒に暮らしている弟ディエゴに相談をすると、「締め切りを決めることだ」
と言われ、2人で協力して、「すばらしい、良い出来だ」と褒め、絵をさっと
画架から外し、完成にさせてしまう。実際、またとない傑作で、
18日間のジャコメッティとの日々は幕を閉じた。
アメリカへの帰国後、ジェームスは、この18日間を「ジャコメッティの肖像」
という本に著した。この本を映画化したのが本作品である。

絵の制作の苦しみと予告で言っていたが、そればかりだったら、観客は退屈するので、

年老いても、なお女好きで、かわいい面があるジャコメッティ像を見せてくれる。
愛人(娼婦)が「車を買って」と登場し、「よしよし」と承諾をした数日後、
愛人が赤いスポーツカーであらわれ、「ドライブに行きましょう」。3人でドライブへ。
この場面も一転して戸外。景色が清々しく、軽快な音楽。気分が変わってよい。
黙認はしているが、不服そうな表情の妻。妻は「矢内原」という日本人ボーイフレンド
と自室のベッドで話し込んでいたりだが、娼婦がしばらく来ないと、ふさぎ込んでいる
ジャコメッティに、急にやさしく寄り添い、
「オペラ座のシャガールの天井画披露
パーティに着ていくドレスを買って」とおねだりだったり、、、飽きさせないように
なっています。


帰宅後、気になったので調べたら、矢内原伊作がパリにいたのは、1956年から61年。
ジェームスが肖像画を頼まれたのは1964年。実際に2人は会ってないので、映画での
脚色。


なるほどーと思ったのは。画商を呼んで、最近の絵を渡し、初期の作品を戻してもらう場面。
今の作品のほうが、一目で「おージャコメッティ!」とわかるので売れるから画商は大金を
置いていく。一方、手離したけれど、初期作品には思い入れがあるから、手許に置きたい
ジャコメッティ。


ジャコメッティをジェフリー・ラッシュ、ジェームスをアーミー・ハマーという
2人の名優が演じ、妻をフランスの名女優、シルヴィー・テステューが演じている。
監督はスタンリー・トゥッチ。


セザンヌ、エゴン・シーレ、ゴーギャンに比べると、気楽に見れて楽しい映画だった。

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