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ベル・エポック展 [展覧会(西洋画)]

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汐留のパナソニック美術館で「ベル・エポック」展を見た。
「ベル・エポック」は、19世紀末から第一次大戦開始前の1914年頃まで、
パリで芸術が花開いた時代を指す。その時代にパリに集まった芸術家たち
の絵画、工芸、音楽、文学、モードをフランスの「ワイズマン&マイケル
コレクション」を中心に紹介している。
初めて見る画家たちの作品に良いものが多く、中身が濃く面白かった。


第1章 古き良き時代のパリ 街と人々
説明を読んだら、ワイズマン&マイケルのモンマルトルコレクションだそう。
だから最初の絵は、「モンマルトルから望むパリの屋根」Edmond Lempereur 1895
(写真なし)雪が積もっている屋根が続く軒並み。静けさ。モンマルトルは高台なので、
道路が眼下に見え、遠景にパリ市内が見えるのだが、雪で建物の形が明確でない。


印象に残ったのは、「通りの情景」ジョージ・ラクス 1900年頃
鏡に映ってるかのように同じ向きの2人。髪の毛の色がそれぞれ違うのに、
帽子の飾りが似た色で。。後ろに男性。手前の女性がひと際美しい。
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当時の街を歩く女性、カフェにいる女性を描いたパステルや水彩画が多かったが、
服装がロングスカートに帽子とエレガント。
マクシム・デトマスの「タバコを持つ白いドレスの上品な女性」。自信に満ちた
女性がこちらを見つめる鋭い視線に、当時としても目立っていたのだろうなと服
思ったり、往時を偲べて楽しかった。

「ルーヴル百貨店のこども服」というイラスト付きのスタイルブックやレースが
美しい高級こども服、ブルジョワ階級のドレス、装身具、ガレやドーム兄弟の作品、
マイセンの磁器が並ぶ一角にカパネルの「狩りの女神ディアナ」が展示されていた。

「わ、面白い!」と思ったのが、初めて知る画家アンリ・ドトゥーシュ
「サロン・デ・サン」1896年 女性が白鳥のポーズを真似て。
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第2章 総合芸術が開花するパリ

見覚えのあるポスターがたくさん展示されていた。
つい最近、損保のロートレック展で見た人気歌手「ブリュアン」の公演
ポスター。損保のは絵のみで、こちらは文字入り。1893年
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有名なキャバレー「ムーラン・ルージュ」が開店した時のポスター。
作者ジュール・シェレは、フランス初のポスターデザイナーとして活躍。
ムーラン・ルージュの人気演目「影絵芝居」も動画で再現、展示されていた。
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「シャノワール」は多くの芸術家たちが通ったことで有名なキャバレー。
スタンランによるポスター。1896年
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当時の文学者ボードレールの「悪の華」、フロベールの「ボヴァリー夫人」の
各々初版本、マラルメの詩集の限定本、プルーストの「失われた時を求めて」の
直筆書き込み資料も展示されていた。
日本でも人気があったアメリカのエドガー・アラン・ポーの詩をフランスの詩人
マラルメが翻訳、マネが挿絵を描いた「大鴉」。嘴が鋭く描かれた顔の部分、大きく
羽を広げた姿の原画を見れた。Nevermoreしか喋らない鴉の不気味さが年月を経て
伝わってくる原画だった。
アンリ・ド・グルーヴ「ヴェルレーヌ」の肖像画もあった。
マラルメの「半獣神の午後」に基づいてドビュッシー作曲した「牧神たちの午後」
も聴けるようになっていた。

第3章 華麗なるエンターテイメント 劇場の誘惑


この部屋だけは、ルオーの1点以外撮影OK。
ジュール・シェレの「ダンス」連作、4枚次々と展示なので楽しさが伝わる。
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シルクの布、ドレスをはためかせて踊るロイ・フラーの絵も連作。
シャルル・モラン「黄色の衣装」
ロイ・フラーの生涯は映画「ザ・ダンサー」になった。

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アンリ=ガブリエル・イベルス 挿絵付き上演目録 1893‒1894年

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ボナールが描いた作曲家クロード・テラスのピアノ曲集(楽譜)の表紙、

「曲芸師とサーカスの馬」(写真なし)もかわいい絵だった。
見るものがぎっしり。さらに撮影可、十分に堪能できた。


第4章 女性たちが活躍する時代へ

アールデコの世界へ入っていく。
ミュシャ「サラ・ベルナール」1896年
当時、圧倒的に人気があった女優サラ・ベルナールを描いたもの。
実際にサラが舞台でつけた豪華な冠が展示されていた。

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女性画家の先駆者、ユトリロの母
シュザンヌ・ヴァラドン 「フルーツ鉢」1917年
ヴァラドン の絵は、他に2点、展示されていた。
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追加:
象徴主義なのだろうけど不思議な絵。気になってポストカードを買った。
ジョルジュ・ド・フール「鳥と女性」または「花の女性」1893年 水彩とクレヨン
原色の花が咲く密林、女性が握った右手にのせた小鳥を見つめ、小鳥が何か話してる
のでしょうか。女性の頭の上には大きな鳥が。。
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このコーナーでは、他に
マルク・シャガール「花束」1911年(写真なし)が壁にかけられ、下に、
当時のブルジョワ階級のドレス=アールヌーボーのドレス、白、黒2点
がトルソーに着せられ、横には薄い水色の襞スカート、手の込んだ
カットワークと刺繍の子供服が飾られていた。
棚には、ルネ・ラリックの香水瓶などのガラス工芸品、ドーム兄弟の装飾品
が置かれ、華やかな時代を一目で偲ぶことができる。


思っていた以上に見ごたえがある展覧会で、とても面白かった。
12月15日まで。パリが好きな人には特におすすめです。

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