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4月9日までお休み

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いらしてくださってありがとうございます。

私の記事は、レストランやワインが多いので、少しお休みをして、
4月10日に新しい記事を載せたいと思います。

そのときは、よろしくお願いいたします。

  sancerre.JPG


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酒井抱一展(畠山記念館) [展覧会(日本の絵)]

 昨日まで、白金台の畠山記念館で、「生誕250年酒井抱一展」が開催されていた。
展示品すべてが畠山記念館の所蔵品なので、気をつけていれば、また見る機会が
あると思う。

 今回は、会期を2回に分けて、一部展示を入れ替えていた。
12ヶ月花鳥図の1月から6月まで前期で、7月から12月までが後期という具合。

 前期に展示されていた「四季花木図屏風」
四季花木図屏風.jpg

屏風なので、かなり大きい。
満開の桜のみごとさ、華麗さに目が行くが、下の花々は、まさに百花繚乱。
色とりどりの鮮やかな色彩。細やかな写実の優美な線。美しい。

 抱一は、晩年63歳から、「12ヶ月花鳥図」の連作を始めた。
12ヶ月花鳥図とは、藤原定家が、各月を象徴する植物と鳥を選び、和歌に
詠んだものが、後世、光琳らの画題となった。
抱一は、花や鳥、虫を伝統的なものと入れ替え、立体感のある瑞々しい画面
を構成した。

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上の写真は、右から一月、二月、三月。
一月、椿と白梅に鶯。椿の赤の鮮やかさに目が惹かれる。
二月、菜の花に雲雀
三月、こちらに向かって伸びてくる桜の枝が画面に奥行きを感じさせる。
ほぼ中央に位置する瑠璃鳥。桜の花の色に瑠璃色が鮮烈なインパクト。

「12ヶ月花鳥図」は、宮内庁三の丸所蔵館版、プライスコレクション、
出光美術館版、ファインバーグコレクションなどがあり、花や鳥が少しづつ違う。

畠山のは、他のシリーズにない鳥や花が登場するものがあり、個性的である。
四月の「芍薬に燕」、六月の「百合・立葵に雀」、七月の「むくげに頬白」(下右)、
十月の「山茶花にカケス」である。

7月8月.JPG

むくげの枝の交差が面白く、右上に配置された頬白が、つがいで楽しそうな光景。
ちなみに、三の丸版の七月は、朝顔・玉蜀黍に青蛙である。
八月は、芙蓉に鶉(上左)。「秋草鶉図屏風」の鶉と同じく、太って愛らしい鶉。
抱一の描く鳥たちは、かわいい表情なので、見ていると、和やかな気持ちになる。

 「月波草花図」
銀の世界。厳かなまでに静かな両端の景色が、真ん中の絵の激しさを際立たせる。
大きく描かれた月に、しぶきを立てる荒々しい波頭。
「今は、津波のあとだから、この波が恐く見える」と、友達が言った。

この日の入場料は、被災地への義援金にすると書いてあり、私が払った500円玉
を、受付のおねえさんが「寄付金箱」に入れていた。

月波草花図.JPG

 写真はないが、この日、一番、印象に残ったのは、鈴木其一の「向日葵」だった。
前期の華やかさに比べ、地味な色合いの後期の展示の中、すくっと伸びた茎の上
に大きく咲く黄色の花一輪。左右には蕾。「たらしこみ」技法で、丁寧に描かれた葉
の一枚一枚には、軽やかなリズム感があった。

 畠山の「風神雷神図」は、掛け軸なので、大きさも屏風に比べると小さい。
コンパクトなので、風神、雷神共に、かわいらしく、表情と仕草はマンガっぽく楽しい。
墨で描かれた雲の濃淡がみごとで、達者な筆さばきに感心し、見入った。

風神雷神図掛け軸.jpg


 海に囲まれ、四季のある日本の自然は、すばらしいけれど、地震や津波は。。
寒い中、辛抱なさってる被災された方々への援助、早くすすんでほしいですね。


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20世紀のポスター【タイポグラフィ】 [展覧会(絵以外)]

  一昨日からの地震の被害が、どんどん広がっていく様子がTVに映しだされています。
マグニチュード9、1000年に一度の大地震という未曾有のものでした。
皆様も、それぞれ怖い思いをなさったことでしょう。帰宅も大変だったことでしょう。
そして、原発のこと、とても心配ですね。
自然の恐ろしさを改めて感じます。そして、被災地の方々のことを考えると、胸がつまる
思いです。まだ今後3日間は、地震の可能性もあるとのこと。
さらに、明日朝から計画停電が実施されますね。乗りきっていくしかないですね。

停電にそなえて、懐中電灯を買いました。今のはLEDなんですね。明るいです。
ラジオも必要ですね。



[かわいい]少し前のこと。
東京都庭園美術館で、「20世紀のポスター・タイポグラフィー」展を見たので、そのことに
ついて書きます。20世紀、つまり約100年前からの有名なポスターの展示。

ポスターの中で、文字は、情報を伝える大切な役目がある。
タイポグラフィーとは、活字の文字の表現方法。たとえば、現在、よく使われている縦横の
大きさが同じ「ゴシック体」(センセリフ)は、1930年頃、発明された。

私の気に入ったポスターをなるべく年代順に並べてみた。
(1) カッサンドル「食前酒DUBONNET」(1932年)。ユーモラスで楽しい。
買ってみようかな、という気にさせる。
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(2) カッサンドルの助手、レイモン・サヴィニャックも楽しい。
タイヤの「DUNLOP」社のポスター(1953年)
スキャンがうまくいかなくて、斜めになってしまったけど。。

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活字ポスターが一般的になる以前は、手描き文字だった。
(3) ホドラーの「ウィーン分離派(ゼセッション)展VER SACRUM(聖なる春)」
(1904年)のポスターは、アールヌーヴォー。
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(4) マックス・エルンストのポスターは、ロンドンで開催された「シューレアリスム展」
(1936年)。当時のシュールレアリスムは、今、見ると、あまりシュールではない。
現在、国立新美術館で開催の「シュールレアリスム展」の広告とは、だいぶ違う。

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第二次世界大戦が終わり、主流はモダンデザインで、商業広告がふえた時代。
(5) スイスのマックス・フーバーのグランプリ・レースの告知。
「モンツァ・グランプリ」イタリア(1948年)は、スピード感あふれるレース競技場。
その上に、文字が疾走する。当時としてはかなり斬新だったであろう。
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(6) イタリーの有名タイプライターメーカー「オリベッティ」社の企業広告(1942年)。
ジョヴァンニ・ピントーリの作品。目の検査のようなフューチャリズムは当時の流行だった。
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(7) 日本光学工業の一眼レフカメラの広告「NIKON SP」(1957年)
東京オリンピックのポスターで有名な亀倉雄策の作品。
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(8) 1960年代には、ポスターにアメリカ文化の影響が出てくる。
ロバート・インディアナは、アンディ・ウォーホル、リキテンシュタインと並ぶアメリカを
代表するポップアーティストで、言葉と文字を使った手法が特徴。
新宿西口のビル前にも、赤い「LOVE」の文字のインスタレーションがある。
これは、ニューヨークのステイブルギャラリーで開催された「LOVE展」のポスター
(1966年)
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1980年以降は、パソコンの普及により、電子時代、DTPの時代となる。
文字もパソコンソフトで、容易に3次元(立体的)にできる時代となった。
(9) カリ・ピイッポの「ハムレットの公演告知」(1993年)
HAMLET、WILLIAM SHAKESPEARE の文字、何かを暗示するような「H」の文字
だけが横たわる。
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 ポスターなので、絵画の流れの歴史とも、連動していて、興味深かった。
庭園美術館は、元朝香宮邸で、完成したのは、約80年前、アール・デコ様式。
20世紀を生きてきた建物なので、これらのポスターには、最適な展示場所と
思えた。(3月27日まで)


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琳派芸術・第二期 [展覧会(日本の絵)]

 出光美術館で、開催されている「琳派芸術」展に行った。 
梅の季節に合わせ、第一期で「光琳」の「紅白梅図屏風」、第二期で「抱一」の
「紅白梅図屏風」が展示されている。(第一期の記事は、こちら

  チラシ.JPG

 [1]銀の世界
第二期は、「転生する美の世界」という御題。
江戸時代の中期以降、銀屏風が登場し、人気になった。
銀は、東洋絵画では古くから「月光」を表す素材であり、静かな輝きを持っている。
酒井抱一は、特に銀を好み、金地屏風の裏に、銀地に胡粉で光琳風の波を描く
試みをした。『波濤図屏風』(Fig.1)
尊敬する光琳の「風神雷神図屏風」の裏に、雷の雨に打たれた秋草を銀地屏風
に描いた「夏秋草図屏風」は、重要文化財で、国立博物館にある。

Fig.1
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抱一の「銀好み」は、弟子の其一に受け継がれ、『秋草図屏風』がある。
銀地が、年月の経過で、黒く変色し、輝きはないが、当時は白い萩の花、朝顔の青
、葛の花の紫、緑の葉が浮き立っていたことだろう。右上には万葉集の山上憶良の
秋の歌の色紙が置かれている。ひとつひとつの花の写実がみごと。

     其一秋草図屏風.JPG

今回の展覧会は、ほとんどが出光美術館の所蔵品だが、これは、千葉市美術館のもの。
『芒野図屏風』
銀地に、画面いっぱいのススキの野原。デザインされたかのような配置。
風に揺らいでいるものがあることや、色合いから、晩秋であるとわかる。

      其一すすき.JPG

 目玉は、もちろん、抱一の「紅白梅図屏風」[かわいい] 昨年と違って、明るい照明だったので、
紅梅が美しく見えたが、白梅の幽玄さは望めなかった。


 [2]銀作品の次は、「抱一の美」と題された抱一コーナー。
『八橋図屏風』(六曲一双)
左右並べて見ると、橋がつながって見え、さらに折った時は、橋のジグザグが立体的に見える
という見事に計算された構図。
この構図は、元々は、光琳が生み出したものだが、抱一は、花の形を清楚にし、根元を揃え、金の輝きが増すよう、絹本に金箔を貼り、金泥を塗っている。(高価ですね!)

                     抱一八橋図びょうぶ.JPG
抱一八橋図屏風左.JPG

抱一は、姫路城主、酒井雅楽頭家の次男。
「お金持ちだから、超高級品の画材を使っていた」と、抱一に詳しいyk2さんが教えて
くれた。絵の注文主も、徳川将軍家だったりしたそうだ。
これも金をふんだんに使った贅沢な屏風。絵も上質な絵の具なので色あせていない。


『12ヶ月花鳥図貼付屏風』 から3枚。(実際には12枚展示されている)
花もすばらしいが、鳥がかわいい。

 抱一12ヶ月.JPG抱一12ヶ月夏.JPG

 [3]抱一の弟子、鈴木其一のコーナー。
其一は、師匠ゆずりの描写力は言うに及ばず、さらに色彩と構図が明快。
今でも全く古さを感じさせない。
『野菜群虫図』
好きな絵。一番上にスズメ、その下がトンボ、蜂、シジミ蝶。
こんな菜園が実際にある? かわいらしい一コマ。
右下の葉が、病気で黄色くなっている写実は、伊藤若冲の影響、と解説にあった。

其一野菜図.JPG


『四季花木図屏風』
豪華絢爛。紅白梅の根元には、牡丹。たんぽぽ。白いすみれ、かきつばた。
牡丹が中央で主役。ひときわ大きく咲いている。

其一四季花木図屏風.JPG

 [4]工芸品もあった。
原羊遊斎の『草花蒔絵四方盆』 4枚。下絵を抱一が描くこともあった。

四方盆.JPG


抱一が描いた下絵。左に「蓋」と書いてあるから、お椀の蓋の絵だろうか。
抱一蒔絵の下絵.JPG


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