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国立トレチャコフ美術館展・忘れえぬロシア [展覧会(西洋画)]

 以前、ブログ友のpistacciさん(今はお休み中)が、「忘れえぬ絵」とおっしゃっていた
クラムスコイの「忘れえぬ女」が見れる展覧会、東京・渋谷のBunkamura美術館へ。
ロシアのトレチャコフ美術館所蔵品の展覧会。       (6月7日まで開催)

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 かなり大きな絵。
ロシアのモナリザとよばれているのもうなづける。美しい人。
うれいを帯びた瞳には涙が浮かんでいるようにすら見えた。
きめ細かな肌。みずみずしい唇。
手にしたマフや外套の毛皮の毛、一本、一本までがていねいに描かれている。
リボンの繻子の質感。馬車の座席の皮張りの皮の質感。
霧にかすむかのような遠景の建物。

これを描いたのは、クラムスコイ。
同じ画家の「髪をほどいた少女」は、幻想的な雰囲気の作品。

 この展覧会は、19世紀後半のロシアの日常の生活、風景の絵、肖像画が中心。
革命がおこる前の時代。
写実なので、わかりやすい。

 「三月の太陽」 1915年 コンスタンチン・ユーオン
長い冬のロシアに春3月。こんなに空は青く、、道にはまだ雪が。
目にとびこんでくる空の青さ。
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 「恋のライバル」 1890年 ニコライ・カサトキン 
冬。雪景色。ふたりの娘の服の色が鮮やか。写真が小さくてわからないが、
右手後ろにふたりをじっと見ている若い青年。どちらの相手なのだろうか。

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 「森の散歩」 1869年 イワン・シーシキン
ロシアの深い森。貴族的な衣装、手前の犬の動きがいい。

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 シーシキンは森の針葉樹の描写がすばらしい。
「陽を浴びる松」1886年は、神秘的な森。
一人ぽつんと立つ人から森の木々の高さが推測できる。

  同じく森の中、鳥笛を吹いて鳥をおびき寄せようとしている「鳥追い」
(ワシーリー・ペーロフ 1870年)のおじいさんと子供の姿が印象に残る。
鳥をつかまえる緊張感が伝わってきた。



 私が名前を知っていたのは、ロシア絵画の代表イリヤ・レーピンだけだった。
レーピンは、パリに留学。印象派の影響を受けた。
この作品がまさにそう。モネに似てますね。

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 有名画家レーピンには、肖像画の依頼が多かった。
ここには出品されていないが、代表作は「イワン雷帝と息子」。

「ピアニスト、ゾフィー・メンターの肖像」
当時の有名なピアニスト。はなやかな色合いは、留学の成果だそう。
RussieLepinPianist.JPG  

 肖像画は、お金を払って描いてもらうので、この時代、子供の肖像画という
習慣がなかったが、レーピンは、「画家レーピンの息子」という作品を描いた。
こんなにかわいかったら、描いておこうと思いますよね。
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 この展覧会で、気に入ったのは、シーシキン。
彼が草原に立つ肖像画をクラムスコイが描いていたが、なかなかすてきな人だった。
クラムスコイは、自画像もやさしい感じに描けているので、表情を美しく描くことに
長けていたのだろう。
一方、レーピンの描く肖像画は、力強く威厳があった。


 パリに留学したワシーリー・ポレーノフ 「モスクワの中庭」 1877年。
自分の部屋の窓から見える景色を描いた作品。遠くに見える聖堂2つが立派。
手前は農家だろうか。 
RussieMoscow.jpg  RussieTorsty.JPG    

右はニコライ・ゲーの「文豪トルストイの肖像」。
隣にはレーピンの描いた「ツルゲーネフの肖像」があった。
ロシアは文学の国であるが、絵画もおもしろいな、と思った。


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戸栗美術館 [日本の美術館]

 戸栗美術館は、前記事の「シェ松尾」のまん前にあり、元鍋島家の江戸屋敷跡地。
実業家の戸栗氏が買い取って、伊万里、古九谷などのコレクションの美術館を作った。
N嬢がこの近所のマンションに住んでいたとき、「うちの近所に、知る人ぞ知るっていう
陶磁器専門のいい美術館があるのよ。いつもすいてて静かでなかなかー」 とほめて
いたので、行ったことがあった。もう10年以上前のこと。今回は2度目。

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 「柿右衛門展」を開催中。
鍋島藩の屋敷跡地で、藩窯の柿右衛門展とは、歴史が偲ばれる。
陶器を輸出し、オランダから軍事技術を学んだらしく、庭には、鍋島藩が
日本で初めて造った大砲が置いてあった。かなり重そう。

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 約100点の展示なので、見ごたえがあり、解説もていねいに読めた。

 柿右衛門様式は、白磁の美しさが特徴。
美しい白磁に、余白を生かした日本画のような色絵が描かれていることから、
遠いヨーロッパで、人気をよんだ。江戸時代、17世紀後半のこと。
白磁で世界的に有名な「マイセン」も、18世紀には、柿右衛門の写しで作品を
作っていたことが、写真で展示されていた。大皿にしているので、模様も大きく
描くことになり、松竹梅が、どことなく、欧風になっているのがおもしろかった。

 初代・柿右衛門は有田の陶工。
有田焼が、伊万里港から輸出されたので、伊万里の名でよばれるようになった。
伊万里は、柿右衛門以前に中国景徳鎮の製品に倣って色絵の磁器を日本で
初めて完成させていた。

① 色絵 竹虎文 八角鉢  (虎の尻尾が長いのが躍動感を出している)
                   口縁(ふちどり)が金。
② 色絵 瓢唐子 水注   (瓢箪に唐子がのっているとは?!)

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③色絵 花鳥文 輪花皿
④色絵 花唐草文 瓜形 水注

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 水注は、輸出を意識した形、模様に思えた。
当時、オランダの東インド会社が、東洋貿易の覇権を握っていたが、中国が
明から清への混乱期だったため、代わりに日本のものが買われたそうだ。
需要に応えた形なのね、と納得。

 花瓶や壷に、茶せんの形からとったたものがいくつかあり、いいなと思った。

 


 ☆鍋島。。MrsのNeへ
ずっと前にもらった、オランダのチューリップの球根、ほっといても毎年咲いています。
でも、これ、チューリップとは思えないんだけど。。水仙のような。。
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tulipblanc3.JPG (先週撮影)

 ☆Inatimyさん、この花、チューリップですか?
   2年前のInatimyさんの記事の「八重の水仙」に似てるけど。


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シェ松尾 [レストラン(フレンチ)]

  渋谷の松涛、閑静なお屋敷街にある一軒家レストラン「シェ松尾」に行った。
観世能楽堂と都知事公邸の間の道沿いの白い門の家。

 12時の予約。門のところで、サービスの人たちがお出迎えで待っていてくれた。
打ち水の跡のある石畳をぽんぽんと歩き、お玄関に通される。
「お庭をごらんになりますか?」
閑静な庭から見た建物は、蔦におおわれている。

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 席数はあまり多くなく、こじんまり。壁には、いろいろな絵がかかっている。
桜の季節なので、私は桜のカクテル。友達はロゼのシャンパン。

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 ここのメニューは決まったコースのみ(8400円)。
一つめの前菜は、たらば蟹のムースリーヌ。グレープフルーツのゼリーのせ。
横に添えてあるのもグレープフルーツ。
濃厚な蟹の味をグレープフルーツが、さわやかに包む。

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 二つめの前菜は、「きんつばとアイス?」と思える和の雰囲気。
きんつば風は、エンドウ豆のガレット。中にフォアグラをはさんである。
横の茶色の鴨のジュ(汁)をつけて食べる。
アイスに見えたのは、ビンサント(デザート用白ワイン)バター。
 
 三つめの前菜は、ホワイトアスパラのムースとポタージュ。
中央の茶っぽいのは、ゴマのペースト。

Matuo3.JPG Matuo4.JPG

 これに合うおすすめ白ワインは、「Rully」

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 メインの魚料理: さいの目の鰆、菜の花のピュレのせ。
ヴィネガー風味のビーツのブイヨンソース。

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 八幡平ポークのロースト、マスタード風味。3種の調理法のたまねぎ添え。
(写真なし)
これに合うおすすめワインは、スペインワインだった。

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デザート:左上 苺、ベリー、オゼイユなど赤い果物の赤ワイン漬け。右上 ケーキ
       左下 クリームチーズケーキ、カスタードクリーム添え、
       右下 ピスタッチオのアイスクリーム

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 玄関脇の部屋には、ガレのかなり大きなランプがあり、壁にシャガールの絵。
さらに廊下の壁には、ピカソのスケッチブックからという画用紙の絵が10枚。
絵が好きなオーナーのコレクション。
もともとこの家は、明治時代の外交官の家だったとのこと。
「シェ松尾」は、デパートにカジュアル版の店やカフェを出しているが、ここが本店。



 帰路、友達から携帯に電話。
「今晩のFのピアノコンサート、私も行けるから、夕ごはんいっしょに食べよう」
「うん、でも、コンサートの前じゃなくて終わってからにして。今、おなかいっぱいだから」
補助席も出た満席のコンサート。メンデルスゾーンのピアノ、ヴァイオリン、チェロの
三重奏が[黒ハート] いいコンサートだった。

☆コメント欄、少し忙しいのでお返事はできない と思います。スミマセン。


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ワルキューレ [オペラ、コンサート、バレエ]

 新国立劇場に、ワーグナーのオペラ「ワルキューレ」を見に行った。
休憩2回で5時間15分という長丁場なので、5時に始まった。

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 この演目は、「ニーベルングの指環」というワーグナーの超大作オペラの一部。
序夜が、「ラインの黄金」、第一夜が、「ワルキューレ」、第二、第三もある。

 ワーグナーは男性ファンが多いので、この日も男性客が多かった。あちこちで
熱く語っているのが聞こえてくる。いいな[わーい(嬉しい顔)] と思う。

 オーケストラの前奏はなく、唐突に始まる。
ロンドンで好評だったというキース・ウォーナーの斬新でモダンな舞台演出。
椅子2つと机、結婚写真のはいったフォトスタンド。これらは全部普通の3倍の大きさ。
歌う人間が小さく見える。神にくらべて人間が小さいという意図なのか?
空間と照明を上手に利用して、奥行きや光と闇を表現していた。

 行く前に、あらすじを読んだけれど、登場人物が多すぎるし、神と人間がごちゃごちゃ
になって、さっぱり。。。字幕を一生懸命読むことにしよう。

  [ひらめき]  [ひらめき]  [ひらめき]
 主演は全員、世界で活躍するワーグナー歌手。堂々と安定した歌唱力。
もちろん、きれいなドイツ語。重厚さに聞き入ってしまう。
時々、聞こえる「ワルキューレの騎行」(昔の映画、地獄の黙示録に使われた曲)で、
眠くならない。オーケストラはメリハリがあって、管楽器が気持ちよく響いていた。
「この指揮者、前にも見ましたよね」とオペラ友Mが言う。昨年「魔弾の射手」のときと
同じダン・エッティンガー。

 神々は、長いものを上にはおり、神と人間の区別は衣装でつくようになっていた[ハートたち(複数ハート)]
三幕目は、病院のような舞台装置でびっくり。しかも戦乙女(ワルキューレ)たちが
移動ベッドを走って押し回る。[目]

  最後のシーンで、主神ヴォータンがアイパッチで現れたときは、「トム・クルーズ!」
映画「ワルキューレ」で、ヒトラー暗殺計画を企てる将校役のトム・クルーズに似ていたから。
ヒトラーがワーグナー音楽に傾倒していたことを、オペラを見ていて思い出した。
英雄崇拝、権力志向、戦い、神々と人間の苦悩というテーマが、勇壮な管楽器の響きと
共に伝わってきたからだ。台本はワーグナーが中世ドイツの英雄叙事詩をもとに書いた。

 ヒトラーで思い出したのが、手塚治虫の「アドルフに告ぐ」
奇想天外な発想だが、おもしろかったので、まだ本棚に並んでいる。
高校の同級生のEちゃんが、ドイツ語版作成に携わり、全5巻が完成したとのことなので、
取り寄せてもらった。1巻12ユーロ。
漫画だから、絵を見て、字を見て(知らない単語だらけ)、日本語を推測し。。
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桜さくらサクラ2009展 千鳥ケ淵 [展覧会(日本の絵)]

 山種美術館で、桜の花の絵を集めた展覧会をしているときいたので、近くの
千鳥が淵へのお花見かたがた出かけた。
 曇り空でまだ満開ではなかったけれど、東京の桜の名所「千鳥が淵」の緑道
を歩いた。ここは皇居の内堀で、土手の向こうは武道館のある北の丸公園。

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 山種美術館は、旧山種証券の創始者山崎種二の近代・現代日本画コレクション。
山種翁は、日本画の収集家であっただけでなく、見込みのある画家の面倒も見た。
奥村土牛の家を訪ねていた山種翁が、「急な連絡の用事があるので電話を貸してほしい」
と言うと、土牛が、「貧しいので電話はひいてません」と答えた。山種翁が帰った数時間後に
「電話局です。電話をつけに来ました。お代は山種さんからいただいてあります」
これには驚いたと、土牛が後に語ったとのこと。翁の画家への惜しみない援助の一端が
伺える話だ。

 展示室は3室。全部が桜の絵で見ごたえがあった。
私がいいなと思ったのは、奥村土牛の「醍醐」。
京都の醍醐寺の三宝院に秀吉は亡くなる前の年、花見のために庭を造らせた。
ここの枝垂れ桜を見た土牛は、深く心を打たれ写生をし、後に時間をかけてこの絵
を完成させた。薄い絵の具を何回も塗り重ねて、桜のやさしさを表現している。
背景の土塀に桜が映える。
[右斜め下]
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加山又造の「夜桜」。朧月を背景にくっきりと浮き出た夜桜。美しい。

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 千住博の「夜桜」もあったが、これに較べると、インパクトが薄い。

小茂田青樹の「春庭」は幻想的な作品。散る桜には詩情がある。

小茂田青樹_春庭.jpg

●石田武の「春宵」も一面みごとな京都高台寺の枝垂れ桜。絵具を重ねた立体感が
現代風だった。
●小林古径の「清姫のうち入相桜」。歌舞伎の演目「道成寺」の安珍と清姫の桜。
細い線で描かれた桜の木一本。少し散った花びらが土の上。
くねっと曲がった木は清姫の恨みがこもっているかのようだ。
●速水御舟の「夜桜」 夜なので薄い灰色で描かれた桜。可憐で上品。
[右斜め下]
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●東山魁夷の「春静」 魁夷の緑の木々の山の斜面に薄いピンクの桜の木一本。
緑とピンクの対比が美しい。
●奥村土牛の「吉野」 桜で有名な吉野山。青、緑、うす茶と階層分けされた山。
そして手前に桜のピンク。

毎年、桜の季節恒例の展覧会なのだそう。
名品ぞろいで心がなごむ。桜の華やかさの余韻が長く続きそうだ。 

  ☆山種美術館は秋に広尾に引っ越し予定。        


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