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「競技、デザインとスポーツ」展 [☆彡Paris  展覧会]

展覧会のチラシは、白地に黒のシンプルなもの。
MATCHは、試合とか競技の意味。

DESIGN & SPORT UNE HISTOIRE TOURNEÉ VERS LE FUTURE
 =未来をみつめるデザインとスポーツの歴史



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今年2024年の夏に、パリでオリンピックが開催されるので、今は、
オリンピックにちなんだ催しが多い。
リュクサンブール公園内にある美術館では、3月13日から8月11日まで、
「競技、デザインとスポーツ」展が開かれている。
リュクサンブール公園は、リュクサンブール宮殿の庭で彫刻がある
美しい公園。宮殿は現在は元老院として使われている。
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4日間有効のミュージアムパスを使って、一日に2つの美術館へ行くと
決めたので、小さい美術館で簡単に見れるリュクサンブールへ。
ところが、ミュージアムパスは使えないと言われ、がっかり。
ミュージアムパスは、国立美術館で使えるのであり、ここはパリ市の経営。
14ユーロを払って入場したが、展示数が少なく30分で見終わってしまった。
オルセー美術館も14ユーロだが、1時間では見れない。


入ってすぐに、自転車の展示。
「いつのかしら?どこかに年代書いてある?」「見当たらないわね」
たぶん古い時代の自転車。

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円盤投げをする人の彫刻。これは年代が書いてあった。
左に紀元前450~460年。右に2024年。
紀元前のモチーフを基に作った今の作品ということかしら。

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いろいろなオリンピック競技のアイコン。

Luxem_Icon.jpg

2足歩行ロボ2体による体操演技動画。
2つ揃ってバク転をする。同時だったり、時間差だったり、ロボットだが、
かなりスムーズな動き。見とれてしまう。アメリカのボストン・ダイナミクス社製。

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Luxem_Robo_Gym.jpg


パラリンピック用の器具コーナー。新しい素材が展示されていた。
右はパラリンピック用の車いす。

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シューズやウェア。
アスリートが競技で成果を出すためにデザインが果たした役割を示している。

Luxem_Shoes.jpg

1985年のサーフボード 

Luxcem_SurfBoard.jpg


アスリートが最大限の能力を発揮するために、発明と技術の進歩があった。
シューズ、ラケット、ボールなどが新しい素材や人間工学を取り入れた
デザインによって変わってきた。
また、スポーツの実践に欠かせないカメラや審判システム、競技場、
トレーニングマシン、健康モニタリングマシンなど、新しいテクノロジー
のおかげで、アスリートの記録は伸びている。
動画と実際のものを示しての展示だった。


展覧会をすぐ見終わり、12時前でランチをするほどおなかがすいてなかったが、
アンジェリーナのカフェがあったので、入った。
クラブサンドイッチを2人で分け、各自ケーキセットをとった。
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Angerina_gateau.jpg


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Louis Janmot展(オルセー美術館) [☆彡Paris  展覧会]

オルセー美術館で、ルイ・ジャンモ(Louis Janmot)の「魂の詩」という展覧会を見た。
オルセーの企画展はメインの他に小さいものもをやっている。この時のメインは、
「ゴッホ最後の日々オーベール・シュール・オワーズにて、」で、
スペイン語の高校生たちが大勢並び、楽しそうに語らっていた。1時間は待つとの
ことだったので、小規模のルイ・ジャンモ(Louis Janmot)、絵が好きなタイプ
だったので、見ることにした。



Du 12 septembre 2023 au 07 janvier 2024

 これがポスター。天使に導かれ、天空を飛行、神様のもとに行くのでしょう。
こういう幻想的な絵は、好きなジャンル。

詩人で画家のルイ・ジャンモ(1814-1881)は、敬虔なカトリックで、
カトリックの精神に基づいた長編詩を書き、詩をもとに描いた一連の絵
「魂の詩」34枚を40年かけて制作、1855年の万国博覧会に出品した。
作品は、
ルイ・ジャンモの出身地リヨンの美術館所蔵だが、全部が公開
されるのは、今回が
初めて。

LouisJanmot_002.jpg
1,なんて、明るくて、かわいい絵なんでしょう!
ここがスタートでないのに、この絵に魅せられた。タイトルは「春」
主人公の男の子(ピンクの服)が魂の友(白い服の女の子)に野原で出会い、
二人でこれから人生の旅をする。
LouisJanmot0.jpg

2,「魂の詩」の順番としては、「春」の前に「天使と母」がくる。
赤ん坊を抱く慈愛に満ちた母の姿。横で天使が「この子の魂に神の御慈悲を」と祈る。
LouisJanmot1.jpg

3.さらにその前は、主人公の誕生場面、これが群を抜いて美しい絵。

「魂の道」 
母に抱かれた男の子の魂が天から地へ、たくさんの守護天使たちに守られながら
地上へ降りて来る。地上では、プロメテウスが岩山で鎖に繋がれ、ハゲタカに
食われている。 プロメテウスの絵は、モロー美術館で見たばかり
LouisJanmot2.jpg
と逆順の紹介だったが、以下、撮った絵を紹介。
4,「魂の飛行」
白い服の女性に導かれ、地上を去り、新しい国に向かう2人。
下に子供時代に慣れ親しんだ川、丘、緩やかな谷という穏やかな景色が
見える。
LouisJanmot3.jpg
ポスターに使われていたのは、
「理想」2人の魂は最高点に達し、女の子が先導。

その後、女の子が亡くなり、男の子は心を病み、で、ベージュ色の紙にパステル
で暗い色を使い、「孤独」「無限」「悪霊」「大饗宴」「神の喪失」など、悩む
心のようがが描かれていた。

「亡霊」
自然の美の中で、青年は再び希望を持つ、腕を折り胸に手を当てるポーズで、
一杯空気を吸い込んでいるところ。
LouisJanmot4.jpg
最後の絵は「神の御許へ」だった。
 
あれっ、見たことがある絵が架けてある!
アングル「オスティアのマリア」1854年
この絵は、「魂の詩」と同じ1855年のパリ万博出品作だった。
ルイジャンモは、当時ローマに滞在していたアングルに教えをこうために、
ローマに出かけるほどだった。
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ルイ・ジャンモ「聖家族」1844~87年
アングルのマリアの隣に架けられていた。
アングルの厳粛さ、気高さに比べると、こちらは市井の人のようなマリア。
LouisJanmot_SaintFamille.jpg
「魂の飛行」の横の説明には、やはり見たことがあるアリ・シェフェールの絵
「パオロとフランチェスカ」の縮小版の写真。空を舞うという発想は、ここから
来たのかしら、と説明を読むと、やはりそう。1835年にサロン出品の絵だから
見ているはず。アリ・シェフェールの絵はコントラストに目が行くが、ルイ・ジャンモ
は、もっと詩的、情緒的、ヴォラプチュアス(官能的)でもある。
LouisJanmot_HeriShefel.jpg
亡霊」の男のポーズは、ホドラーの「Regard dans l'infini 」無限の中で見つめる
からヒントを得たのだろうと縮小版の写真つきで説明があった。背景が海と
いうのも同じ。
LouisJanmot_Hodler.jpg

前半(第一部)の絵だけ見ていると、色も明るく、空を舞うように飛ぶ浮遊感。
それが第二部になると、ベージュの紙にパステルと暗くなる。
「魂の詩」、そもそも私が魂について、わかっていないから、ストーリーが
ぴんと来なかった。いつかわかる日が来るのだろうか。

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「源氏の宮廷にて」展 [☆彡Paris  展覧会]

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パリの東洋美術館専門のギメ美術館へ「源氏の宮廷にて1000年の日本の想像力」
を見に行った。人気と聞いていたが、その通り。平日なのに結構、人が入っていた。

源氏物語に関心があるフランス人たちが熱心に展示を見ている。屏風は譲り合って
見るので順番待ち。私と目が合うと、日本人ね、という感じで会釈をしてくるので
「見てくれてありがとう」と言いたくなる。
これが「源氏の宮廷」を描いた屏風。
女性が6人。左端に烏帽子をかぶった貴族の男性がのぞき見(笑)。

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輿、平安時代は天皇や貴族など身分の高いのための乗り物。
装飾が施されている。

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掛け軸、伝・土佐光則(1583~1638)
「歌人 小野小町」桃山時代16世紀 絹地に着色。
1902年にギメ美術館が購入と書いてあった。綺麗に保存されている。

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鳥居清長(1752~1815)「歌人 小野小町」江戸時代1784年 多色刷り。
<小野小町は、平安時代の偉大な歌人で貴族階級。情熱と性愛、孤独と不安を
表現した歌を作った。とても美人であった>と説明がついていた。

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鳥居清長「日本の美人 清少納言、部屋でくつろぐ」江戸時代1781~82年。
<清少納言(966~1013)は、紫式部の競争相手だった。著作「枕草子」は、
自らが一条天皇の皇后に仕え、宮廷で生活した日々の話の文集である。>と
説明がついていた。

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当時の調度品、蒔絵の手箱、中にまた箱が4つある。
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ミニチュアの十二単
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歌川広重(1797~1858)の「源氏物語五十四帖」からの多色刷り。
これには一枚、一枚に説明なし。私が書き加えた。
「桐壺」
第一帖。光源氏誕生の絵。左側に桐壺、隣で乳母が光源氏を抱いている。
中央に天皇、桐壺帝。
感心するほど綺麗なままの浮世絵。左隅に「広重」と署名。
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「夕顔」
乳母の見舞いの折、隣の垣根に咲く夕顔の花に目を留めた源氏が従者に取りに
やらせたところ、邸の住人が和歌で返答する。
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次に、「Genji」のマンガの部屋。壁紙が全部、マンガからの絵。
しかも、アニメ版がスクリーンに映し出されていた。主人公Genjiは、細面で美しい。

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最後の展示室に、豪華な帯が飾られていた。そして帯を織るための糸も。
Obi.jpg

これは、平安時代のものでなく、明治時代のもの。明治時代に京都の西陣は、
留学生をフランスに派遣し、温かくもてなされ、学び、ジャガード織機を
導入したことで、西陣の織物は世界的評価を得るものになった。
このことに感謝した西陣の山口伊太郎氏が、「源氏物語絵巻」を錦織で作成。
ギメ美術館に寄贈した。それが展示されていた。織物なので立体感があり美しい。
フランス人たちも念入りに見ていた。

「錦織で源氏物語」作製のための指示書。どこにどの糸をが記されている。
Gime_Ito_howto.jpg



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ピカソとガートルード・スタイン展 [☆彡Paris  展覧会]

Lux_Piccasotticket.jpg

昨年末のパリ滞在中、リュクサンブール美術館で開催されていた
「ガートルードスタインとパブロ・ピカソ」展を見に行った。


ガートルードスタインは、アメリカ人女性で作家。美術コレクター。
ピカソの支援者で、彼を世に出した人。
私は学生時代に、アメリカ文学の研究者・翻訳者のTN先生の読書会で
「The Autobiography of Alice B. Toklas」アリス・B.トクラスの自伝 
を少し読み、挫折したが、表紙のピカソによる肖像画の鋭い目つきは
個性的だった。
The Autobiography of Alice B Toklas.jpg
この絵は、メトロポリタン美術館にあり、そのサイトの解説によると、
ピカソは、ポーズをとってもらって絵を制作、顔をマスクのように
描き未完成のままスペインへ旅行に行き、古代イベリア彫刻に感銘を
受け、それに似たアーモンド型の眼を描き加えた。(1906年)
その時、アリスは30代だったのに、50代のように見える絵だったので、
文句を言うと、「今にそうなるさ」とピカソは答えたそうだ。
この古代イベリア彫刻からの影響は、1年後1907年「アヴィニヨンの娘たち」
の右2人の顔にはっきり見られ、ピカソのキュビズムの始まりである。


[ー(長音記号1)][ー(長音記号1)]
展覧会の会場を入ると、すぐに目に留まるのは、ピカソでなくマティス。
この明るい色遣いは、まさにマティス。テーブルクロスの花模様まで主役。
「オレンジのある静物」 1913年
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次は、左:セザンヌ「リンゴとビスケット」
右:ブラック「5本のバナナと2つの洋梨」1908年
下:ピカソ 紙で作った「りんご」
ピカソの果物表現は、紙を丸めたような立体で。

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1907年「アヴィニヨンの娘たち」以降、キュビズムに突入したピカソ。
左:ピカソ「男の頭」1909年 
右:「手を組んだ女」アヴィニヨンの娘たちの習作1907年

Lux3_Picasso_tete de homme2.jpgSTEINPICASSO_1080x1080_0.jpg


ピカソ 題名がわからないけれど、ピカソ美術館で見た絵
追記:題名はInatimyさんに教えて頂きました。
「木の下に佇む三人の人物」1907~1908年
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ブラック:サンドニの石切り場の風景 1909年
真ん中にシンボルツリーが1本。ブラックのキュビズムは端正でわかりやすい。
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ファン・グリス「グラス、新聞、ワインの瓶」1913年
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1912年、ピカソは紙でギターを作成。それをもとに立体を組み合わせて
作品を考えた。従来の分析的キュビズムより前進した合成キュビズムである。
Lux7_GuitarPapier.jpg 
ピカソ「暖炉の前の男」 1916年
この頃になると形が複雑に混じり、見てもタイトルと結びつかない。
この絵は、お土産の栞に使われていた。
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[ー(長音記号1)][ー(長音記号1)]
展覧会のタイトルが、ピカソという割には、ピカソの作品が少ない。
こういう時代にピカソは、キュビズムを推し進めていったのだという展示
なのだろう。
ガートルード・スタインと兄のレオ・スタインは資産家だったので、
リュクサンブール公園の近く「フルリュス通り」27番地のアパルトマン
で、週末、サロンを開催、パリの著名な文学者、芸術家が集まった。
ガートルードは当時、無名のマティスとピカソを応援し作品を買っていた。
スペイン出身のピカソとは意気投合。肖像画を依頼し、異邦人どうし、
達者でないフランス語で話し込み、新しい芸術のスタイルを追求していた。

ガートルードは、レズビアンで、アリス・B.トクラスと一緒に暮らし、
何処へ行くにも一緒だった。著書「アリス・B.トクラスの自伝」は、アリス
から聞いた自伝を心理学を基にした「意識の流れ」を取り入れた手法で書き、
新世紀(20世紀)の精神を体現しようとした。

[ー(長音記号1)][ー(長音記号1)]
ガートルードは、本国、アメリカの20世紀半ばのアートにも大きな影響を与えた。
前衛(現代音楽)の作曲家ジョン・ケイジの曲が流れていた。
そして、ジャスパー・ジョーンズの「旗」
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アンディ・ウォホール「20世紀のユダヤ人10人の肖像」1980年
上の段、左から2番目がガートルード・スタイン、
下の段、一番左が作曲家ガーシュウィン
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ロバート・ラウシェンバーグ「Front Roll」1964年
ポンピドーセンターで展覧会を見たけれど、何でも貼り付けて、、意味不明
で、どの作品もわからなかったが、これは知ってる絵があるので面白い。
青い写真の左一番上は、フェルメールの水差しを持つ女、右はレンブラント自画像。
2段目左がピカソが描いたガートルード・スタイン
3段目右がアングルのグランド・オダリスク

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ブルース・ナウマン 「Lip Sync」1969年
メディアを使った作品が多いブルース・ナウマン。
ロボット型だけど、テレビ? 蓄音機? ピカピカ光るので、会場で注目されていた。
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最後の作品は、同じくブルース・ナウマンの
「life death love hate plseaure pain 」1983年
多重色のグラフィック作品。ネオンで光るものもあった。
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反対語を組み合わせている。これはガートルードの詩の影響であろう。
ガートルード・スタインの詩で有名なものは、(抜粋)
A rose is a rose is a rose is a rose.

薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇である。
これは確固たる"アイデンティティ"の主張を意味している。
ピカソとガートルード・スタイン、2人は文学、絵画と分野は違っても20世紀に
残る新しい潮流を示したとわかる展覧会だった。とはいえ、ガートルード
中心だったので、昔、ついていけなかった本の作者の偉大さについて知ることが
できて、うれしかった。 


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アントニー・ゴームリー展(ロダン美術館パリ) [☆彡Paris  展覧会]

ロダン美術館に入って、すぐ、目に留まったのが、これ。
「アントニー・ゴームリーの人体像(オジサンと私は呼んでいる)が何でここに?」
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さらに部屋に入ると、天井から宙づりになったオジサンたち。
ゴームリーの展覧会なのだ。

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これもまたびっくり。組体操でピラミッド?

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外には診察を待つ人のような姿勢のオジサン。

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アントニー・ゴームリー(1950~ )はイギリスの彫刻家。
ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジで、考古学、人類学、美術史の
学位取得後、インドとスリランカで仏教を3年間学んだ。その後、ロンドンの
スレイド美術大学、ロンドン大学彫刻科大学院を修了。そうそうたる学歴。
ゴームリーは、自分の体を型取った鋳型で制作した彫刻で、人体とは記憶と
変化の「場所」であると表現している。彫刻における人間像に新しい生命
を与えてきたと言われてる。


ドームリーは、自分の彫刻を置く場所には、意見・主張があるので、展覧会では、
その場所に彫刻の人物をどのように置いて、景色全体となじませるか、つまり、
そこに以前からあったかのように違和感を感じさせず、置かれた人物彫刻が
メッセージを発することを考えている。

ロダン美術館の前庭に置かれた6体の彫刻は、座ってるものと立ってるものが
あるが、全部、遠くの一点を見つめている。

Rodin_Goumly_Garden.jpg

ロダンの代表作のひとつ「カレー市民」の6人と呼応させているのだろうか。

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背中の吸盤は何なのだろう?


美術館の庭には、こんなガラスのショーケースがあり、そこにも石膏作品が展示
されているのだが、中にポツンとゴームリー作品があった。細い人体である。
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ゴームリーは超インテリなので、自らの作品に対するメッセージは、難しくて、
読んでもわからなかった。しかし、考えるヒントや刺激を得たことは確かだ。


ゴームリーの人体像を初めて見たのは、東京、新宿区初台のオペラシティのビルの
ロビーだった。一人ポツンと直立不動でこちらを見ている大柄の人物像にびっくり。
近づいてみたら、「アントニー・ゴームリー作」と書いてあり、この人体がタイヤ
のゴムのような硬質なもので出来ているので、ゴムのようでゴームリーとすぐ覚えた。

その後、近代美術館に行ったら、やはり、ゴームリーの人体像が皇居東御苑を
眺める全面ガラスの窓の前に立っていた。これに関しては、yk2さんが記事を
書いていらっしゃいます。

オジサンは人気で、世界中、いろいろな所に置かれているそうだ。

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「パステル画、ミレーからルドンへ」展(オルセー美術館にて) [☆彡Paris  展覧会]

3月に行ったオルセー美術館で「パステル画、ミレーからルドンへ」展を見た。
2023Expo_Pastel_Affichet.jpg
Pastels De Millet à Redon 7月2日までの会期なので、まだ、やってますね。


パステル画は、油彩と異なり、紙の粒子に色が残り、揺れ動くような美しさがある。
色や質感の表現が自由自在、ぼかしたり、ハッチング(平行線を重ねて行くことで、
絵に重量感を与える技法)、クロスハッチングで立体感をつけたりできる。

パステル画は、18世紀が黄金時代だった。ビロードのような柔らかい感触が
出せるので、肖像画に多く使われたが、フランス革命で衰退し、19世紀半ばに
復活した。「ミレーからルドンへ」というサブタイトル通り、最初の作品はミレーだった。
こうやって写真になると、パステルとは思えない、実際に見ると、油彩より
柔らかい感じだが、「油彩」と言われれば信じてしまう。

ミレー「マーガレットの花束」1871年 後ろにいるのはミレーの娘。
茶色の紙に黒の鉛筆で描いているそうだ。ミレーはパステル+鉛筆を使った初めて
の画家で作品は好評。パステル画の注文がコレクターからたくさん来た。
市販のパステルや鉛筆でなく、色の粉を粘土で溶いて使ってたそうだ。
Millet_Margarette2.jpg

この展覧会は1階の一隅を使って、オルセーの所蔵品だけからの小規模なもの
だったが、かなりの混雑。みんな真剣なまなざしで熱心に見ていた。
普段、公開されていない作品が多いからだろうか。

実際に見て、
クレパスで描いたとわかるのは、ベージュ色の紙に輪郭線を
はっきりとって色をつけたこの絵。左上あたりは、地を残してる感じ。
ゴーガン「豚飼いの少女」1889年 小さな絵だが、すぐゴーガンとわかる。
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ベルト・モリゾ「姉、エドマ・ポンティロン夫人の肖像」1871年
油彩よりやさしい感じに仕上がる。黒い服で、ベルト・モリゾにも似た顔立ち。
エドマが2番目の子供の出産のため実家に帰ってきてた時に描いた。
ベルト・モリゾ3作目のパステル画で、この後200点のパステル画を制作した。
重ね塗りなど細やかな技法で寛いだ表情を描く一方、背景のペールグレー、
花柄のソファーやカーテンはブラシでさくっと仕上げている。
(注:パステルは削って粉にし、テレピン油で溶いたものをブラシ(筆)で描く。
テレピン油は揮発するので、パステルの質感は残る)

Pastel_Morizo_Edoma250.jpg


マネ 肖像画 
速いタッチだが正確に人物を捉えている。
作品名を撮り忘れたが、左、服の下にmanet のサインが見える。
モリゾ同様、マネも背景にペールグレーを使うのが好みだった。

Pastel_EmileLevy.jpg

これもマネだが、この絵は、いつも1階に展示されている。
写真なので中央に光が入ってて、すみません。混雑してる中、すいた一瞬にスマホ撮り。メモ代わりです。
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マネの唯一の弟子エヴァ・ゴンザレス。
マネに倣いペールグレーの背景。
エヴァ・ゴンザレス「ローズ色の朝」1874年
化粧台の前で、ローズ色のドレスの女性。はかなさが感じられるのは、
パステルでの柔らかい表現だからなのか。
Pastel_EvaGonzares.jpg



パステル画で、忘れてならないのは、ドガ
踊り子のパステル画をたくさん残している。
ドガはデッサンと色彩を統合するためにパステルを用いた。
スナップショットに近い表現を試みている。
Pastel_Dogas.jpg
ドガ「アイロンをかける女」
「アイロンをかける女たち」という2人の女性の油彩画は有名だが、
これは、スナップショットのようなパステルでの一コマ。
Pastel_Dogas_Aian.jpg

「オペラ座の引き戸の前で話す友達LudocicとAlbert」1879年
こんな場面、見かけますよね。2人はドガの友達。
こういう日常の都市生活の表現にはパステル画の軽さがぴったり。
Pastel_Dogas_2hommes.jpg


この時代の郊外での日常生活は、カイユボットのパステル画で見れる。
川に飛び込んで泳ぐ所。当時の水着は縞模様。
ゆったりとした川、爽やかな空気感、ゆらめく大気がパステルだから伝わる。
Pastel_Caillebott.jpg

 



ルドン「青い帽子の若い娘」
初め、ルドンは、息子アリをモデルにこの絵をデッサンしたが、絵に存在感を与える
ためにパステルを使ってみた。結果、息子の肖像は、180度変わって少女になった。
パステルを使って背景の色彩をバトンのように、色から色へとつなげた。そして、
絵の周りに額縁を描き、花びらのバトンでこれがイリュージョン(幻想)であると
表した。詩的な幻想の世界を描くのにパステルは最適だった。
以後、ルドンはパステル画を多く描くようになったので、この絵は1910年以降作品。
Rudon_Jeune fille avec le chapeau2.jpg


時代は、印象派が旬を過ぎ、後期印象派とよばれることもある象徴主義に
変化していた。象徴主義の画家たちのパステル画として紹介されていたのが、
リュシアン・レヴィ=デュルメル。この展覧会のポスターに使われた絵。
レヴィ=デュルメル「メダルを持つ女」1896年
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「魔法使い」La Sorciere 1897年
水色のトカゲが這い、肩にネコ、背後にコウモリの群れ。
恐ろしい絵だが、この魔法使いは美しい顔立ち。
Pastel_Dhulmer2.jpg


レヴィ=デュルメルは、アルジェリアに生まれ、フランスでラファエル・コランに師事。
その後、陶磁器工場で働き、所長にまでなるが、イタリア旅を機に古典芸術に影響を受けた
作品を描くようになる。作品は圧倒的にパステル画が多い。
オフェーリアやサロメも描いてるが、すでに他の画家の同名のものを見ているので、
好きになれない。
好きだったのは、「La Calanque」
白い石灰岩の断崖絶壁に囲まれた入江、カランク。自然の力のすばらしさを感じる。
光を受けた鈍い水の輝き。エメラルドブルー、青い色のすばらしさ。この絵の前
からは動かない人が数名いた。
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