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ウォー・ホースWarHorse~戦火の馬~ [演劇、ミュージカル、Jazz]

WarHorse.jpg

ウォーホース(戦火の馬)というミュージカルを見に行った。
ミュージカルといっても、場面転換の箇所でコーラスがはいったり、登場人物が
あふれる気持ちを歌う場面があったりと、歌の箇所はそう多くない。
とにかくストーリーに感動して、最後の場面では涙があふれてきた。

ストーリーは、第一次世界大戦が始まる前の英国の小さな農村で始まる。
セリで父親が買った競争馬ジョーイ。息子アルバートはジョーイを農耕馬と
して使うために調教をし、友達のようになっていた。ところが戦争が始まり、
ジョーイは陸軍大尉の馬として供出させられる。アルバートはジョーイに
会うため兵隊に志願。16歳なので断られるが、熱意をかわれ、最前線の
兵隊として戦場に向かった。戦場で、アルバートはジョーイの絵を見せ、
「この馬を知りませんか?」と尋ね歩く。 ~ 中略 ~
戦争の悲惨の場面がいくつもあった後、ドイツ軍の毒ガスで目をやられ
入院中のアルバート。有刺鉄線にひっかかり、怪我をして病院に連れて来られた
ジョーイ。アイ・パッチをしていてもジョーイとわかる感動の再会。(涙)

WarHorse2.jpg

写真でわかるとおり、馬には人がはいっている。ほんとうの馬サイズにするためには、
人が屈まなくてはならない。そうするとリアルな演技ができないので、馬にはいる人
が立って演技ができるよう馬の大きさは実物の2割増し。だから、前足をあげたときは、
すごい迫力だった。人形浄瑠璃も始めは人形であるとわかって見ているが、そのうち、
感情移入してくると、人形であることを忘れる。それと同じように始めは馬に違和感
があるが、徐々に皮製の着ぐるみ馬に慣れてくる。

第一次世界大戦なので、塹壕を掘る場面、塹壕から打つ場面、戦場から脱走しようと
するドイツ兵、毒ガスなど悲惨な場面も多いが、舞台なので、映画ほどの迫力はない
ものの考えさせられる。
馬はもう一頭、黒のトップゾーンという名前の勇敢なのも出てくる。

原作は英国の児童文学。スピルバーグが読んで感激し、映画に制作。
いくつものアカデミー賞候補になったが受賞はできなかった。
昨年、ロンドンで舞台化され、ヒットしたので、日本への引っ越し公演である。
最後の舞台挨拶の時、字幕で「写真を撮っていただけます」と出た。それなら、
と、あわててスマホを出したが、これじゃ。。。馬は舞台右隅。

WarHorse3.jpg

夏休みなので、子供向きかと思っていたら、私が行った日は大人ばかり。
コーラスが上手で、うまく舞台を引き締めていた。
東京・渋谷・東急シアターオーブにて8月24日まで。


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レディ・ベス [演劇、ミュージカル、Jazz]

ladyBess.jpg

レディ・ベス(花總まり)は、エリザベス1世の少女時代の呼び名。
「なぜプリンセス・ベスじゃないの?」と、劇中に台詞があるように、エリザベス1世は、
2歳半の時、母アン・ブーリンがねつ造された不義の咎で処刑されたため、プリンセスの
称号をはく奪されたのだった。

これは、エリザベス1世がレディ・ベスだった時、つまり少女時代の話のミュージカル。
母は処刑され、義姉メアリー・スチュアートからは冷たくされていたけれど、良き家庭教師
アシュリー(涼風真世)とアスカム先生の御蔭で、ラテン語、ギリシア語に堪能となり、
フランス語、イタリア語も話せた。またその時代最高の教養を身に着けていた。

さて、幕が開くと、アスカム先生一人が舞台下手に登場。
英国王室の歴史講座。石丸幹二の歌が始まった途端、この歌は山口祐一郎の
深い厚みのある包み込むような歌声にぴったりだったと思った。石丸さんはきれいな声で、
上手だけど、舞台まわしのこの役は、特別な声の方が、これから始まるという高揚感が
出ると思う。

舞台のセットとしては、大きな天球儀や天文時計が使われていて、時代をさかのぼる
役割として効果的だった。

エリザベス1世は、生涯独身だったので、なぜ?と私も思っていたが、映画「エリザベス」
で、幼なじみの貴族ロバート・ダドリーと恋愛関係にあったが、結局、国を守るため
結婚はしなかったという説に納得していた。
今回のミュージカルでは、吟遊詩人と知り合い、彼と恋愛関係になるが、王位継承の
段になった時、身分の違いを悟り、恋でなく王位の座を選ぶという話になっている。

imagesWS9GQ5AQ.jpgエリザベス1世肖像画

キャストは、教育係キャットの涼風真世以外の大きな役は、ダブルキャスト。
だから、上のチラシのように、2人ずつ、うつっている。
女性キャストは宝塚出身の人が多いので、歌も芝居も上手い。
吟遊詩人ロビン(山崎育三郎)は、自由な魂で恋に夢中な若者の感じが伝わってくる。
夜、ベランダに立つベスに会うため、庭の木の垂れ枝をロープにしてターザンのように
ベランダに飛び込む場面は、「おっ!」だった。
スペイン王子フェリペは、派手な衣装に上半身裸というセクシースタイルでビリヤード
で遊んでいる場面で登場。遊び好きで、わかりやすい性格が面白い。
帝劇では御馴染み悪役の吉野圭吾さん、今回も悪役。ガーディナー司教役の
石川禅さんとの悪のコンビの演技が笑いをよんでいた。

よく知られている話だが、ヘンリー8世は、エリザベスの母=アン・ブーリンと結婚
するため、離婚をローマ法王に申し出たが、許されなかったため、法王と決別し、
英国国教会を作った。正妻の娘メアリは、エリザベスを妾の子とさげすみ、母と
同じくカソリックを貫き、血のメアリと呼ばれるほど、反カソリックの者を弾圧、処刑した。
エリザベスは、父母と同じくプロテスタントであったので、メアリから憎まれた。

ミュージカルなので、読むと難しいストーリーをわかりやすい台詞と、印象に残る
メロディの歌で表現している。王室ものだから衣装が豪華。
脚本・歌は『エリザベート』、『モーツァルト』と同じくミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・
リーヴァイのコンビ。歴史がわからなくても楽しめるように作られているし、逆にこれを
見ると、王室の歴史に興味がわくかもしれない。

24日までです。

pistacciさんの記事もあります。


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ドリームガールズ [演劇、ミュージカル、Jazz]

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  渋谷・ヒカリエにあるシアターオーブにミュージカル「ドリームガールズ」
を見に行った。ニューヨーク・ブロードウェイメンバーでの公演。
「ドリームガールズ」は、ミュージカルの最高峰・トニー賞をとり、ロングラン記録
がある有名な作品。ビヨンセとジェニファー・ハドソンで映画化された。

ドリームガールズのダイナミックな歌声も好きだが、映画が良かったので、
見に行くのが楽しみだった。

モータウンサウンズ全盛の'60年代、スターを目指して、シカゴ(映画ではデトロイト)
からニューヨークへやってきた3人組。敏腕プロデューサーのカーティスに出会い、
有名歌手のバックコーラスというチャンスをもらい、着々と実力を身に着けていく。
妻帯者のカーティスに言い寄られ、恋してしまうエフィーとディーナ。
3人の中で歌が一番うまいエフィはリーダー。しかし、TVデビューにあたっては、
わがままで美貌的に劣るということから、降ろされ、別の人が加わることになる。
ここは一番の見せ場。
It's All Over、[失恋]
And I am telling you I'm not going の歌、I'm living without you~~
と、カーティスから別れ宣言をされたエフィーが声を絞りあげて歌う場面は切ない。

美貌がウリの新生3人組になってからは、ダンスと衣装がすばらしい。
歌って踊っての大迫力。音楽が鳴り響き、照明がキラキラ、パッパと変わる舞台。
男性グループの歌とダンスも間にはいる。まさにショー。

そして7年後、ソロとして、ヒット曲One night onlyを出したエフィー。
3人も独立したいと思い始めた時期だったので、ドリームガールズは解散すること
になり、ラストコンサート。そこにエフィーが加わる。4人での感動のラスト。
エフィー役の歌声は、圧倒的で素晴らしかった。

 *pistaさん(長年ミュージカル見物の極意、教わってます。サンキュ)の記事はここ

この舞台ではないけど、似ている「ドリームガールズ」なので貼っておきます。
 http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=Kuyriw7ir08&t=16

http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=uZgo9g8v76U



暑い夏の夜は、カクテル「モヒート」のミントの香りがさわやか。
最近、どこへ行っても頼んでます。お店によって少し違いますが、これは、
私が飲んだ中での一番でした。麻布十番の某所です。

モヒート.jpg


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六、七月歌舞伎 [演劇、ミュージカル、Jazz]

 七月歌舞伎は、若手役者陣が務める。
四月から六月までは杮噴落(こけらおとし)公演で、歌舞伎界を代表する
役者たちの舞台だった。

7月歌舞伎.jpg

夜の部、「四谷怪談」を見た。
主演は、伊右衛門が染五郎、お岩が菊之助。直助が松緑。
染五郎40才、菊之助35才、松緑38才。
松緑の父・辰之助は40才で亡くなってしまったが、染五郎の父・幸四郎、
菊之助の父・菊五郎は現在の歌舞伎界の中心人物である。

yotuyakaidan.jpg

御存じお岩さんが、「恨めし~」と毒薬で変わった醜い顔の幽霊で出てくる怪談。
恨めしの相手は、お岩の夫・伊右衛門。箸にも棒にもかからぬ悪だが色男。
染五郎の伊右衛門は端正な顔立ちが災いしてか、悪としては物足りない。

菊之助は美しい。誇り高い武士の娘の気丈さが潔い。毒薬で醜くなった顔に
気づき、髪に櫛を入れると、髪の毛が束になって抜ける見せ場の苦悶の様子は、
哀れを誘う。最後の回想場面で、幸せだった日々を思い出し、伊右衛門と踊るが、
いつ見ても菊之助の踊りは玉三郎譲りで美しい。見とれてしまう。
この芝居の見どころは、菊之助が3つの役を演じることにもある。第一幕、まだ
お岩が出てこないときは、小間物屋に身をやつした浪人・与茂七として鮮やかな
剣裁きを見せる若武者。お家騒動で離れ離れになっていた妻と地獄宿で会う
場面は笑いが止まらない。軽妙な役もうまい。
早変わりで花道から駆け抜けてくるたびに大きな拍手がおこった。
お岩の幽霊は宙吊りで変貌自在に動き、戸板返し、仏壇返し、提灯抜けなど
、お化けの見せ場では、あっと驚かせ面白かった。

悪の片棒を担ぐ薬屋・直助の松緑は、狡いが大悪党になれない下っ端ぶりを
軽い動きでうまく表現、芝居をまわしていた。ちょっと台詞が一本調子かな。
    
お梅:右近、お袖:梅枝、奥田庄三郎:亀三郎、四谷左門:錦吾、按摩宅悦:市蔵、
みんな心に残るいい芝居をしていた。

チケットを買ったのが遅かったので、最前列一番左端、花道の外側という席。
斜めに座って見たが、見えにくい所もあった。次は、早めに手配しないと。

  *昼の部:「加賀見山再岩藤」をご覧になったcocoさんの感想はこちら

 

さかのぼって6月。
杮葺落公演は、一日3回興業。
夜の部は6時開演。誘われた時、「仕事が終わるのが5時半だから遅刻だけど」
と言うと、海老蔵大ファンの友達は、「最初は鈴ヶ森、幸四郎だから見なくてもいいよ」
と極端発言。
梅雨の時期、雨の日だった。携帯でパシャっと一枚だけ。

kabuki6gatu.jpg

助六
杮葺落公演なので、口上があった。
幸四郎が、「助六」は歌舞伎十八番の演目で、歴代團十郎に伝わる家の芸と
述べたあと、今回は亡くなった團十郎さんに代わって海老蔵が一生懸命務め
させていただきます、皆々様、よろしくお頼もう申し上げます」、万雷の拍手。

場所は吉原の大店「三浦屋」。若くて美しい花魁たちがずらりと並ぶ。これだけで
十分に華やか。花魁道中が始まる。ひときわ綺麗なのは、壱太郎(ひいきめ?)。
福助の揚巻登場。私が一番好きな役者は福助。揚巻なので衣装も豪華。
三浦屋の常連、髭の意休(左団次)が、お供の若い者、遊女白玉(七之助)を
引き連れ登場。意休は揚巻がお目当てなのだが、断られてばかり。

やがて高下駄の音が花道に響き、海老蔵・助六登場。華がある!
花道で、唐傘を使った振りを披露。拍手。白酒売りの菊五郎も登場。

三津五郎の通行人役が達者。こんなに面白い人だったのね、と思った。
今までなら勘三郎がやっていた役。「この辺り、3年ぶりで来たら随分と
きれいになって」、ここでもう笑い。股くぐりを命じられ、「じぇ、じぇっ」。
菊五郎も「どっしょーかな、(頬に指を当て)オッケー」
「珍しいことしたから呟こう」と、スマホを出し「そうだ、海老蔵のブログを見よう」
ブログを読み上げると、その文面は、「團十郎さんも大きな星になって空から
見ているでしょう。十四代目が生まれ、十四代目が助六をやるまで歌舞伎座を
御贔屓に」

十四代目が助六をやるまで、あと25年はかかるでしょう。
親子二代の襲名披露興行を見れたらいいけど。。。

助六揚巻1.jpg

*忙しいのでコメント欄は閉じておきます。


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モーツァルト・ロックオペラ [演劇、ミュージカル、Jazz]

ロックオペラ「モーツァルト」、評判になったパリ公演を日本用になおしたもの。
渋谷のシアターオーブへ見に行った。

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2年位前かしら、*パリ公演のDVDのことをInatimyさんの記事で読んで、YouTubeで
                          ( *記事の一番下です)           公演を見にいらした記事はここ → **
聴いてみた。ロックオペラなので、私が知っている東宝ミュージカルとは歌が違う。
Tatoue-moi というモーツァルトが歌う曲が気に入って何度もきいた。
それを日本で見れる!しかもモーツァルト役は中川晃教。東宝版のミュージカル
「モーツァルト」の主役を務め、とてもよかった。

今回のモーツァルトは中川晃教と山本耕史が、サリエリとモーツァルトを交互に
演じる。歌もセリフも2人分覚えるわけだから大変。

私が見に行ったのは、プレビュー2月9日。耕史モーツァルト+中川サリエリ。
日にちがその日しかダメだったのと、同行の友達が耕史ファンなので譲った(笑)

モーツァルトの才能に嫉妬するサリエリが時に語り手として出てくるのは、
映画の「アマデウス」に似ているが、妻になるコンスタンツェとの出会い、
コンスタンツェ家の人々を詳しく描いてるのは、ミュージカルとも異なる。
演出家フィリップ・マッキンリーがフランスから来日して、詳しく指導、日本版用
に改変したそうだ。

Mozart2.jpg

幕が開いて、モーツァルトの父役高橋ジョージが歌うのだが、スタイルが悪すぎて。。。
コンスタンツェの姉アロイジア役のAKANEが姿形がよく歌も堂々と上手かった。
コンスタンツェはAKB48の秋元才加。かわいい。母親キムラ緑子は、欲丸出しの
図々しい役をコミカルに演じていた。
モーツアルトの曲もふんだんに使われていた。当時画期的だったドイツ語でのオペラ
「後宮からの逃走」を皆の反対を受けながらも作曲する場面では、後宮の序曲が
流れ、フィガロの結婚の曲、アイネクライネ、レクイエムなども流れていた。
モーツァルトの才能に打ちのめされるサリエリの歌のシーン、ダンサーズと一緒に
踊るのだが、中川サリエリは迫力があった。耕史はダンスが上手く、動きが軽やか。
欲を言えば、主役2人の歌がもう少したくさん聞きたかった。

さて、話変わって、思い出の「モーツァルト」2007年晩秋、帝劇。
モーツァルトは、中川晃教と井上芳雄のダブルキャスト。
私は、「エレンディラ」を見て気に入っていた中川モーツァルトで見た。

Mozart2007ver.jpg

東宝版モーツァルトは、「エリザベート」で有名なコンビ。ミヒャエル・クンツェ演出、
シルヴェスター・リーヴァイ作曲。
山口祐一郎がコロレド大司教。いつもながらに聴かせる歌だった。
モーツァルトの父は、市村正親。
コンスタンツェは、hiro
コンスタンツェの母は、 阿知波 悟美。貫録十分。
ナンネール(モーツァルトの姉) 高橋 由美子。
シカネーダー 吉野圭吾。細い体でのダンスが上手い。独特の世界を持っている。
男爵夫人 香寿たつき。宝塚時代から颯爽と素敵な香寿さん。

私が見た2007年の後、何回か再演されている。

2011年2月、金沢での「ミュージカル・モーツァルト」公演を見にいらした
pistacciさんの記事に、舞台の様子がちらりと説明されています。


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ミュージカル「エリザベート」ウィーン版 [演劇、ミュージカル、Jazz]

ElizaProgram.jpg

 今まで帝劇で見ていたミュージカル「エリザベート」は、ウィーンで20年前に作られたもの。
ショーの要素が強いブロードウェイ的なミュージカルと違う歴史上の人物に焦点を当てた
ストーリーの音楽劇。そのホンモノが、ウィーンからやって来る!
引っ越し公演。行かなくちゃ。だいぶ前に初日のチケットを買っておいた。

舞台装置を持ってくると大掛かりになってしまうので、大道具はないが、小道具はあり。
舞台奥中央に指揮者がいていて、演奏が見えるスタイル。オーケストラピットはない。

ドイツ語なので、左右に字幕が出る。
主演のエリザベト役マヤ・ハクフォートは、美しいだけでなく、エリザベートになりきった
感情表現で魅入られる。なんと出演回数が世界一なのだそう。
注目のトート(死神)役は、マテ・カラマス。背中を膨らませ猫背っぽくして、不気味さを
漂わせる。時に甘い声で、時に恐ろしいほどの殺気を感じさせ、動きに目が離せなかった。
暗殺者ルキーニは、ブルーノ・グラッシーニ。軽く陽気に見える一方で、怒りや冷徹さも
秘めた難しい役を熱演。

皇帝フランツ・ヨーゼフ役は、母と妻の間で悩む気の弱さを自然体で表現。
皇帝の母、皇后ゾフィー役はガブリエレ・ラム。厳格さと威厳をこちらも自然体。
ドイツ人ぽさを感じる。見ているだけで、嫁と姑の関係が、エリザベートに
どれだけ大きな影響を与えたかがよくわかる。

皇太子ルドルフの幼少時を演じたのは在日のドイツ人。かわいい坊やだった。
「ママ、どこにいるの」と歌う声がいじらしい。
大人になったルドルフはハンサムなルカス・ぺルマン。切なく響く甘い声。
親子デュエット「僕はママの鏡だから」は、切々たる感情が伺えとてもよかった。

感動しながらも、時々、日本版を思い出しながら見ていた。
トートの歌い方は山口さんに似てるなぁ(あ、逆?、山口さんがマネた?)
ルキーニは高嶋政宏とどっちがいいかなぁ。
エリザベートは、ウィーン版、素晴らしいです。勝てません。

初日なので、終演後、カーテンコールの特別サービスは、トート役マテさんの達者な
日本語の司会で、トートとルドルフの「闇が広がる」のダンスと日本語での歌、さらに
「いっしょに歌いましょう」と客席に呼びかけた。皆総立ちで、「闇がひろがーる」と、
ホール中大合唱。

Eliza.jpg

これは、プログラムの1ページ。
下右の写真は、群衆が歌う「ミルク」のシーン。飢えた群衆が不満を爆発させ、「ミルクをよこせ」
と缶を叩いて歌う。贅沢なエリザベートへの批判だ。
エリザベート自身の苦悩だけでなく、当時の政治状況も丁寧に説明されていて、音楽劇だが、
これを通して、「この時代の歴史がもっと知りたくなった」と同行の友達は言っていた。

☆「エリザベート」といえば、pistacciさん、お元気かしら。この間niceをくださったから、時々見て
くださってるのね、って思いました。ありがとう。
pistaさんのおかげで、何回も日本版を見てあったから、ウィーン版がとっても楽しかったです。
   pistaさんの「エリザベート」記事です。


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