SSブログ
2024年04月| 2024年05月 |- ブログトップ

吉原展 [展覧会(日本の絵)]

芸大美術館で開催中の「吉原展」に行った。
「歌舞伎が好きなあなたなら、絶対面白いはず」と浮世絵好きの
友達から誘われて行った。

dai_yoshiwara_4.jpg.jpg
吉原は、江戸時代、幕府公認の遊郭で、場所は浅草。浅草寺の北1キロ、
周りを堀に囲まれた横330m、奥行き250mの四角い閉ざされた場所だった。
四方を塀と堀に囲まれ、入口が大門ひとつだったので、遊女たちは
遊郭外に出ることができなかった。

250年続いた江戸の吉原は、他の遊廓とは一線を画す格式と伝統を備えた場所で、
武士も刀を預けるしきたりを持ち、遊女たちは、古典、書道、茶道の教養を
身に着け、琴や三味線の芸事で客をもてなした。

歌舞伎の「助六」に出てくる三浦屋の「揚巻」、舞踊の演目にもなっている
「高尾大夫」(太夫とは、最高の格の遊女)らの美しさは浮世絵に描かれた。

鳥文斎栄之「畧六花撰 喜撰法師」1796-1798年頃  大英博物館

British長文采.jpg

鳥文斎栄之は、旗本の出身だが、寛政年間、歌麿に並ぶ美人画の人気浮世絵師
だった。今回、大英博物館から何枚もの浮世絵が里帰りをしているのが、本展
のウリ。どれも外国人に選ばれて購入されただけあって美しい。


英一蝶(はなぶさいっちょう)の「吉原風俗絵巻」(写真無し)
絵巻なので横に長い。丹念に描かれ描写がみごと。実に多くの人が描かれて
いる。座敷で宴会が開かれ、男芸者(たいこもち)たちが笑い転げ、台所では
お膳の支度と、賑わいが伝わってくる。解説によると、英一蝶は客として吉原に
来ていたが、話術巧みなので、男芸者として人気があったが、客に迷惑を
かけた罪で三宅島に流された。島で吉原を思い出しながら描いた作品だそう。

さきほど、大夫は最高の格の遊女と書いたが、江戸中期には、大夫は減り、
高級遊女は花魁(おいらん)と呼ばれるようになった。
庶民は近づけない高峯の花の花魁てだが、花魁行列を見ることはできた。
禿(かむろ)という花魁見習いの子供や妹分の遊女を連れ、大名行列の
ように歩いて、茶屋にお客を迎えに行くのが花魁行列で、毎夕、行われていた。
花魁は帯を前に結ぶのが特徴。
勝川春潮「吉原仲の町図」1789~1801年 大英博物館
img_hl_04eikoku.jpg

幕府公認は吉原だけであったにもかかわらず、非合法な遊女たちが江戸の各所
でみられ、吉原の利権を大いに脅かしたので、吉原は大掛かりな季節の催しを

企画し、集客に努めた。春の桜、夏の玉菊灯籠、俄(にわか)が有名である。
春の桜のために、3月の間だけ桜が移植された。その賑わいを描いた大きな絵、
(横1.5m、縦1m)喜多川歌麿「花の吉原」米国コネチカット州ワズワース・
アテネウム美術館からの借り物が、緻密で色も美しくすばらしかった。いったい
ここに何人の人が描かれているのだろう。しかも一人、一人が美しい。
一部分が上の写真のチラシに使われている。


歌川国貞「美人合 俄」1818~30年 山口県立萩美術館
俄は、即興芝居のこと。
unisada.jpg


3月にだけ桜を移植、生け垣を作り、ボケの花をあしらうなど、花見は
非日常で贅沢な演出だったので、多くの庶民が、吉原見物に出かけた。
各店が25歳で亡くなった花魁「玉菊」の供養で灯篭を飾る「玉菊灯籠」
も華やかで夏の風物詩となった。そうした吉原の様子が浮世絵師たちに
よって描かれ、江戸の文化となり伝承されていく。

遊女の一日を時間ごとに描いた喜多川歌麿の十二枚の作品がわかりやすく
美しく面白かった。「青楼十二時 続卯の刻」から始まり、寅の刻まで、
十二支での時刻ごとの遊女の身支度の場面の浮世絵。身の回りの世話を
する禿の姿がかわいい。


こんな格好でも優雅。歌麿が遊女を描いた美人画浮世絵は、大人気だった。
「青楼七小町 玉屋内花紫」1794年頃 千葉美術館
utamaro.jpg


絵師である姫路藩主の弟・酒井抱一は吉原の大文字屋の「香川」を身請けし、
台東区根岸の家で一緒に住み、創作に励んだ。「遊女と禿図」「吉原月次風俗図」
が展示され、抱一画、香川が書の合作「紅梅図」のパネルもあった。


おや、見たことがあるネコの絵。歌川廣重「浅草田甫酉の町詣」 江戸名所百景より 1857年
遠くに富士山、前に広がるのは吉原田んぼ。向こうに鷲大明神社の「酉の市」へ
参る人々の列が描かれている。よく見ると熊手を担いでる人がいるそうだ。
畳の上に女性のかんざしが置かれていることから、ここは吉原と想像できる。

hokusai_neko.jpg


吉原は明治時代になっても、続いていた。
高橋由一は西洋画で花魁を描いた「花魁」1872年
修復されて初公開。
takahasiyuiti.jpg

一度見たら忘れられない絵。かんざしのせいか、花魁が中年だからか。
着物の模様も浮かびあがるほどに立体感がある。

河鍋暁斎「文読む美人図」1888年
帯無し、髪も結い上げる前でくつろぐ姿。着物と髪型で遊女とわかる。
文読む美人図_暁斎.jpg

最後に辻村寿三郎制作の人形と吉原の模型があり、ここだけ撮影可だった。
yosihara.jpg

予想以上に面白く、江戸の文化を知ることができ、良い展覧会だった。

最初にいきなり「江戸の吉原遊廓は現代では存在せず、今後も出現することはありません。」
と書いてあって、?と思ったら、女性の人権侵害と言われるのを恐れてのことだそう。


*参考
開幕前日に行われた報道内覧会では、本展学術顧問である法政大学名誉教授の田中優子によるステイトメント「『大吉原展』開催にあたって:吉原と女性の人権」が配布された。
田中はステイトメントにおいて「遊廓を考えるにあたっては、このような日本文化の集積地、発信地としての性格と、それが売春を基盤としていたという事実の、その両方を同時に理解しなければならない、と思っています。そのどちらか一方の理由によって、もう一方の事実が覆い隠されてはならない、と思います。本展覧会は、その両方を直視するための展覧会です」とし、4月から施行される「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(女性支援新法)」が売春する女性への扱いを「更生」から「福祉」へスタンスを変える法改正であるものの、いまだ女性だけが罪を問われる一方的な状況に対し「この展覧会をきっかけに、そのような今後の、女性の人権獲得のための法律制定にも、皆様に大いに関心を持っていただきたい」と発信している。なお、展示の内容はもとの予定から変更はない。


nice!(28)  コメント(6) 
共通テーマ:アート

回転寿司おのでら [和食の店]

ファミリー向けでなく、大人どうしで行く高級回転寿司店。
場所も表参道の交差点から原宿方面への道、一本目を曲がった所とわかりやすい。
回転寿司でないミシュランの星をとっている「銀座おのでら」が始めた店。
仕入が同じなので、ネタが新鮮で綺麗。
シャリは江戸前の赤シャリで、職人さんが握るので、ふんわりとしている。

ドライブ帰りの暑い日だったので、まずはビールと光もの。
小肌、しめさば。一貫ずつ来る。
Onodera2024.jpg


つまみの魚もおいしい。
旬のホタルイカを頼んだ。
Onodera2024_2.jpg

それから、白ワインに。ボトルで4000円くらいの安いぶんが、すっきりした
味でお寿司に合うので、いつも、それ。
赤貝とアワビ。
Onodera2024_3.jpg

恒例正月のマグロの初競りで一番になった店なので、マグロの中トロは甘み
があり格別に美味しいので、いつも頼む。

白木のカウンター31席、4人掛けのテーブル席が4つの他に個室もある。
広い。壁は夕焼けを意識したらしいオレンジ色で、温かみがある照明。

ネットで評判がよいのか、外人観光客が多かった。
タッチパネルで寿司の写真を見ながら注文するので、言葉が通じなくても
上手くいくのだが、私の隣は韓国人女性のおひとり様。今年の新入社員
らしい若いお店の人が、タッチパネルを指さして、sold outと書いた紙を見せたが、
通じないらしい。canselと言い換えた。途端に彼女は立ち上がり、Why cansel?
お互い英語がうまく通じないと困るんんだな、と思った頃には、もう納得した
ようだった。

お店の外観(写真は、サイトからお借りしました)

t150-1-1.jpg

奥が回転寿司の入口で、手前「立喰」と書いてある所は6席くらいの対面式。
「立喰」でなくちゃんと椅子がある。「こっちは高いのかしら?でも、待ちたく
ないから、こっちで」と座った。板前さんは、回転から交代でやってくる。
注文をすると、無いものは回転の方に取りに行くし、値段も大して変わらない
ようだった。私と友達は2人でだいたい15000円くらい。
2年くらい前のオープン時から行きはじめ、3か月に一回くらいの割合で
行っているお気に入りの店。

nice!(29)  コメント(10) 
共通テーマ:グルメ・料理

2024年04月|2024年05月 |- ブログトップ