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映画「ザ・ダンサー」とビストロでの夕食 [映画 (美術関連)]

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Bunkamuraの映画館でやってる「ザ・ダンサー」は、ロートレックも絵に描いてる
有名なダンサー『ロイ・フラー』の話で面白そう と、yk2さんが教えてくれた。
「ロイ・フラー、知らないけど。。。」「白いドレスで、手に持った棒に白い布を巻きつけて
蝶の羽根のようにして踊る、、、知ってるはず」
あー、そうだ、どこかのロートレックの展覧会で、小さな実写映像を見たことがある!
ロートレックがさくっと描いたデッサンがこれ ↓

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一世を風靡したロイフラー。いろいろな人たちが踊る姿を描いている。
ジュール・シェレ / 『フォリ=ベルジェール劇場のポスター「ラ・ロイ・フラー」』
  1893年 石版 ヴィクトリア&アルバート美術館

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フォリー・ベルジェールのロイ・フラー、PAL(ジャン・ド・パレオローグ)によるポスター
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1900年の万博では、「ロイ・フラー劇場」が設置され、ロイ・フラーの名は世界に
広まった。
左:ラウル=フランソワ・ラルシュ / 『ロイ・フラーのランプ』
  1900年頃 ブロンズ 鍍金

右:マニュエル・オラジ / 『1900年パリ万国博覧会のロイ・フラー劇場のポスター』
  1900年頃 石版 ヴィクター&グレタ・アーワス・コレクション


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1900年の万博は、アールヌーヴォー全盛。ポスターの絵もランプもアールヌーヴォー仕様。
当時のロイ・フラー人気のすごさが伝わってくる。

映画のストーリーは、モダンダンスの創始者ロイ・フラーの伝記。
19世紀末。アメリカの農家生まれのルイーズ・フラーは女優をめざし、ニューヨークに行き、
オーディションをいくつも受けるが、端役しかもらえない。ある時、舞台上で数分踊ると
いう役が来て、それが拍手喝采。ルイーズはダンスが自分に向いていると気づき、ダンスの
勉強をし、名前もロイ・フラーとする。そんな彼女を応援してくれたのは、フランス人の
ドルセー伯爵だった。しかし、ロイは、パリ・オペラ座で踊るという夢を叶えるため、
伯爵のお金を失敬し、パリへ行く。
パリで、有名なフォーリーベルジェール劇場で踊るチャンスを手に入れたロイは、白い衣装で、
手に白い布を巻き付けた棒を持ち、鳥のような姿で踊り注目を集めた。光や角度を考えた
照明を使うのも新しい方法だった。一躍有名人となったロイは伯爵と再会し、伯爵の家に
住むようになるが、ロイの関心は恋愛よりもダンスだった。
遂にパリ・オペラ座から出演オファーが来た。ロイに憧れてアメリカから来た
イサドラ・ダンカンを共演者にし、さらに新しい舞台を目指すが、体がぼろぼろ。
イサドラの若さと才能に嫉妬し。。。。
実話に基づき、なのだが、

●日本の川上音二郎一座の踊りに感銘したロイは、彼らの公演をオペラ座で行うが、観客が入らず、
責められる場面がある。実際は、パリ万博の時、万博会場の舞台で、川上音二郎一座が公演をし、
川上貞奴ブームが起きるほど人気を博したと、記録がある。
●ロイの舞台の幻想的な美しさは、アール・ヌーヴォーの芸術家たちに称賛され、ロートレック、
ジュール・シェレ、コルマン・モザーらが絵に描き、建物のカリアティード(女人像柱)
にも彫刻として残されている。芸術家たちと交流があったのだが、映画に芸寿家たちは登場しない。
●当時、アメリカに住んだりするフランスの伯爵がいる?と思ったら、伯爵の部分はフィクションだった。
映画に恋愛要素がないと、淡々としてつまらないからでしょうね。


監督&脚本は、ステファニー・ディ・ジュースト。写真家なので、映像が美しい。
ロイ役はミュージシャンのソーコ 伯爵役はギャスパー・ウリエル かなりセクシー
イサドラ・ダンカンはローズ・ディップ(ジョニー・ディップの娘)


ビストロ「グルトン」 池尻(世田谷区) お店のHP

映画は最終日に行ったので、友達を誘ったけど、美容院の予約を替えられないから、
ごはんだけ一緒に食べることになった。友達が、グルメなお医者さんに、「ここ、いいよ」と
紹介されたので、行きたいと言っていた店「グルトン」
渋谷から、田園都市線で1つ目「池尻大橋」下車徒歩5分、なので、ちょうどいい。
カウンター8席に2~3人テーブル1つだけの小さな店。

カウンターにすわって、アラカルトメニューから、いろいろ選ぶのは、ビストロっぽくて楽しいし、
ワインメニューに好きなワインの名前を見つけて、うれしかったりする。
暑い日だったので、とりあえずビールを飲みながらのメニュー選び。
本日のおすすめは、黒板に書かれている。

写真は、時計まわりに、焼きナスと鯵のサラダ。インゲンとマッシュルームのミモザサラダ。
パスタはトマトソースとひき肉、デザートのプリンと赤ワイン、牛はらみ肉のステーキ、
いわしのマリネ、下はラタトゥイユ(夏野菜のトマト煮)
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季節のスープ、ガスパチョだったと思う。
ここの人気料理は、カニのクリームコロッケ。カニの身がぎっしり。写真撮り忘れ。

シェフは、ロブション出身なので、お料理が、それぞれ、きちっと味がついて、おいしい。
その割に値段は高くないけど、私たちはたくさん食べて飲んで、、、だから。。
奥様がソムリエでサーヴィスも担当。

好きな赤いバラの花の絵のジル・ブートンのサントーバンの1erCruがあったので、ボトルで。
赤ワインはお料理に合わせてグラスでもらった。

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うちからあまり近いとは言えないので、気軽に行けないが、こういう美味しくて気軽に使える店は
いいなと思う。

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ブリューゲル「バベルの塔」と絵の映画 [映画 (美術関連)]

東京都美術館で開催中の「バベルの塔」展、私のまわりでは、「見た?すごかったわね」と
ちょとした話題になっている。職場の同僚からも「行きましょう」と誘われたが、気乗りがしない。
なぜなら、展覧会は、ブリューゲルの「バベルの塔」+ヒエロニムス・ボスの作品という構成
で、ボスが好みでないことと、「バベルの塔」はウィーンで見たことがあるからだ。

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ブリューゲルの「バベルの塔」は2つある。
都美術館て展示中のオランダ・ボイマンス美術館のものと、ウィーン美術史美術館のものである。
ウィーンのは、1563年制作、ボイスマンのは5年後の1568年の作である。
そしてウィーンのは、横155cmとボイスマンの2倍以上の大きさ。
緻密さはボイスマンのほうが勝る。

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ブリューゲルの他の絵もそうだが、細かく緻密な描写が特徴。
チラシの写真からは見えないが、ボイスマンのは塔の工事現場で働く人1400名が米粒くらいの
小ささで描きこまれているそうだ。
ウィーンのは左下に、塔の建築主の王様が何やら文句を言い、職人頭たちが、「お赦しを」と
膝まづいているようすが見えるが、工事現場で働いている人は見えない。実物は横155㎝なので、
働いている人たちは一人1㎝くらいで描かれ、建設作業のようすがわかる。

2つの絵を比べると、ボイスマンの方が後で描かれているので、雲が低い位置に描かれ、
バベルの塔が天に届こうとする高さだったとわかるようになっている。

大勢の人が描かれていることから、そこには、ドラマがあると容易に想像できる。

2011年にポーランド・スウェーデン合作の『ブリューゲルの動く絵』という映画が作られた。
ブリューゲルの代表作の1つ「ゴルゴタの丘への行進」の世界を実写とCGで再現した映画で、
見ているうちに、16世紀のフランドル地方に入り込んだ気分になり、後から考えると、歴史映画
のようでもあった。
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「ゴルゴタの丘への行進」は1564年に制作され、ブリューゲルの作品中、2番目に大きい作品で、
イエス・キリストが十字架に磔にされる場面が描かれている。
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右奥に円形の処刑場が見え、中央に白馬にまたがった人がいて、その上に横たわる十字架
があり、キリストが縛られている。馬に乗った赤い服の兵士たちが周りを囲んでいる。

映画では、この一枚の絵の中にいるそれぞれの人々の物語が繰り広げられていく。
16世紀のフランドル地方。森で、きこりが木を切る、何を作ってるのかと見つめていたら、十字架!
これにキリストが磔にされるのだ。
のんびりと暮している新婚の夫婦。子牛を売りに行く途中、野原でお弁当を広げ昼食。
突然、赤い服の兵士が現れ、「カソリックでないから」と、虐待、殺されてしまう。
当時のフランドル地方は、赤い服のスペイン・ハプスブルグ家の圧政下という社会状況がわかる。
些細なことで農民が殺されていくのだ。[たらーっ(汗)]

岩山の上に風車のある粉ひき小屋があり、ここに神がいて、下界の生活を見守っているのだそう。

絵の右下、グレーのベールの聖母マリアは嘆き悲しんでいる。
絵の中の人物の物語を再現しているので、登場人物は絵と同じ衣装を着ている。
ブリューゲル役がルドガー・バウアー、マリア役は、シャーロット・ランプリング、
絵の依頼者役はマイケル・ヨークと渋い演技達者な人たちが主演。監督はレフ・マイェフスキ。
上映映画館:渋谷・ユーロスペース

映画のチラシからわかるように、ブリューゲルは白髪のおじいさん。実際のブリューゲルは、
39才から44才(生年が不詳)で亡くなっているのに。。。

ブリューゲルの作品は約40点。そのうち12点がウィーン美術史美術館にある。
「雪の狩人」「農民の婚礼」も注目されている作品。
長男も同名で絵描きなので、「バベルの塔」はピーター・ブリューゲル(父)と表記される。

  

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