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印象派と世紀末美術・三菱一号館美術館「名品選」 [展覧会(西洋画)]

 三菱一号館は、場所と建物が好きな上に、良い展覧会が多いので、昨年、
同伴1名可の
年間パスポート5000円を買った。「シャルダン展」「クラークコレクション展
「浮世絵展」、そして今回の「名品展」と計4回、シャルダンは2回行ったから計5回、
二人でなのでとてもお得だった。
来年は、、と思ったら、年間パスポートは中止になっていた。
サービスしすぎ、だったのね、と思った。

「名品展」は、おなじみの作品が出ることが多いのだが、今回のは、初お目見えのが
3分の2を占め、意外な面白さだった。

mitubishi2013.jpg

チラシは、ルノワールの「長い髪をした若い娘」1884年。
ルノワールはもう2点、3人の裸婦から選ばれた娘ににりんごを差し出す構図の
「パリスの審判」*fig1と、「麦わら帽子の女性」もあった。

最初の部屋にはいってすぐ、暖炉の上の絵に目がとまる。「あら、ラファエロ!」
ドガによるラファエロの「アテネの学園」の模写。ラファエロの自画像部分だけ。
天井画の厚塗りではなく、薄い油彩で、やさしいラファエロの顔立ちがくっきり。

ミレーの「ミルク缶に水を注ぐ農婦」、小さいが、すぐ、ミレーとわかる作品。
ピサロの「エラニー」の風景2点、シスレーの風景と、フランスの農村風景で、
なごやかな気持ちになる。モネ「草原の夕暮れ」は手前に木の葉が垂れている
浮世絵ふうの構図。(チラシ左一番上だけど見えるかしら?)* fig2
セザンヌのりんごもあった。*fig3

この部屋を出ると、次は、ロートレックのリトグラフ部屋。
明るく楽しい雰囲気。まずは、御馴染みの「ムーランルージュのラ・グリュ」。
「メイ・ベルフォール」fig4 「メイ・ミルトン」fig5、共に1895年の作品。並んで展示されていた。
歌手ベルフォールと踊り子ミルトン、静と動、黒髪に金髪、衣装も赤と白と対照的。

fig4                                  fig5

LautrecBelfort.jpg LautrecMilton.jpg

この横には、コーナーをはさんで、アリステッド・ブリュアンの後ろ姿の文字色違いのポスター
2枚。これも上手い展示と思った。

「レ・スタンプ・オリジナル」というリトグラフの雑誌が発刊され、創刊号の表紙は、ロートレッック
が担当した。
試し刷りを見るジャンヌ・アブリール(ロートレックの絵に度々登場するダンサー)
が中央、左奥に人気刷り師のおじいさんが、「気に入ってもらえるか」と心配そうな顔で、
ジャンヌの方を見ているという構図が面白い。カラーのリトグラフ。
この雑誌の最終号の表紙もロートレックが担当し、舞台の幕引きの場面が右半分、左半分は
楽屋で化粧台に向かう女優という構図だった。

この「レスタンプ・オリジナル」には、私の好きなファンタン・ラトゥールの「聖アントニウスの誘惑」
(モノクロ)もあった。内装や彫刻で有名なシャルパンティエの「ヴァイオリンを弾く少女」は、
やさしい色合い、浮世絵の刷りの技術を取り入れているそうだ。[ハートたち(複数ハート)]
ポスターで有名なジュール・シェレの「ダンス」も茶の濃淡だけで描かれているが、踊る動きが
軽やかで幻想的。さらにブラッックモン、カリエール、シャヴァンヌの作品もあった。

そして、フェリックス・ヴァロットンの版画。これは面白かった。来年、ここでヴァロットンの
展覧会があるそうなので、楽しみ。(ヴァロットンって?というかたはココを参考に)
連作アンティミテの中から、「Le confiant」信頼
「ご信頼申し上げております、奥様」 という場面だが、本心は?
男女の微妙な駆け引きに皮肉を込めてタイトルをつけている。

Vallotton.jpg 

「少女たち」 少女のうちから、もうマダムの要素がいっぱい。

VallottonOnnanokotati.jpg

版画の白黒が絵として、とても綺麗なヴァロットン。[ハートたち(複数ハート)]

 

私にとって良かったのは、ドニの版画「アムール(愛)」シリーズ。
愛がもたらすゆったりとした雰囲気。明るい色合わせが美しい。
Donis.jpg

出かけるので、中途半端だけど。。あとで付け足すことにしてこれで更新。
いつまでも同じお店の記事だと、宣伝してるみたいで気になるので。


ー続きー
本文中の絵
fig1                                                 fig2
fig12.jpg

fig3                                                 fig4
fig34.jpg

この展覧会は、「印象派と世紀末美術」というタイトルだが、版画が多かった。
ロートレック、ヴァロットン、ドニ、ルドン。点数が多く、見たことのないものもかなり
あったので、楽しめた。

ルドンは、モノクロの版画「夢の中で」のシリーズが多く展示されていたが、
私は、パステル画のこれがいいと思った。「小舟(聖女)」 
二人の女性が帆を掛けた小舟に寄り添って座っている。一人は青い服に
赤いヴェール、もう一人は白い服と対照的。ヴェールと背後の光が二人が
聖女であることを表しているのだろうか。

Redon.jpg

この美術館の一番の目玉は、ルドンの「グランブーケ」。パステル画。
高さが2m以上、とても大きな絵で、一部屋がこの絵のために用意されている。
照明が当たって、それぞれの花の色、織りなす色がとても綺麗だった。

RudonGrandBouquet.jpg


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