SSブログ

法隆寺・祈りとかたち展 [展覧会(日本の絵)]

東京は梅雨にはいり、すでに4日間雨。土日とも雨。
こんな時の外出は、美術館がいいですね。

数週間前に行ったのが、東京芸大美術館での「法隆寺」展。
「この前、芸大に来たのは、興福寺仏頭展だったわね。広い展示会場に
仏頭置いて、照明に工夫して、お寺の空間を再現してたのよね」と、友達と
話しながら会場に着いた。

ちらし.jpg

このちらし、左側が国宝「吉祥天立像」、右側が国宝「毘沙門天立像」。
仏像は彫刻だから、どの位置から眺めるかで、顔も違って見える。
横顔の美しい人、斜め横からの角度が美しい人、正面が一番の人。
私は、この2つとも、少し横から見た方が好きなので、図録の写真を拝借。

きちじょてん.jpgびしゃもんてん.jpg

この2つは、法隆寺金堂に設置されているそうだ。1078年造立。
赤い色が目立つ華やかな彩色で、金箔、きり金細工も施されている。

法隆寺は、聖徳太子が創建したお寺で、1400年の歴史を持つ。
吉祥天、毘沙門天を実際に私が法隆寺で見た時は、堂内が暗かったので、
こんなに赤や金色がはっきり見えなかった。

他にも、下の写真、上の段左から
重文の「広目天立像」「阿弥陀如来坐像」「多聞天立像」(平安時代)
菩薩立像(飛鳥時代)
下の段左から、胡面水瓶(中国、唐時代)は、注水口にペルシア人の顔(胡面)が
彫られている。赤い能面は平安時代のもの。


butuzou.jpg

芸大は東京美術学校の頃から、法隆寺と深い関わりがあった。
美校の創設者・初代校長の岡倉天心は、フェノロサと共に関西の古社寺を
調査・記録して歩いた。
これは、「大作妙品」と記録されている法隆寺の屏風「蓮池図」(13世紀)。
大きな蓮、花の色が変化していくさまが描かれ、白鷺が飛んでいる。

蓮池.jpg


明治35年に美校を卒業した鈴木空如は、法隆寺金堂の壁画を原寸大で模写し続けた。
昭和24年、失火により金堂壁画が焼失した時、この模写は復旧作業に役だった。

鈴木空如.jpg


美校出身者が描いた「聖徳太子関連の絵」の部屋もあった。
横4m、鮮やかな色彩で人目をひくのが、和田英作「金堂落慶の図」(大正7年)
止利仏師が聖徳太子らに完成した壁画の説明をしている主題の絵。

和田英作.jpg


安田靫彦「太子孝養像」(大正10年)
歴史画の大家、安田靫彦による16歳の頃の聖徳太子。
一目で安田画とわかる穏やかで格調高い画風。

聖徳太子 安田ゆきひこ.jpg

高村光雲の「聖徳太子像」(摂政像)明治44年は、木彫だが、他の木彫とは
一線を画す写実性。

光雲の聖徳太子.jpg

法隆寺夢殿の本尊で7世紀の作品といわれる「救世観音像」は、フェノロサと
岡倉天心によって開帳されるまで、永らく秘仏とされてきた。それを描いた
杉山寧の「救」(1986年)という仏像の絵が私には、一番、印象に残った。
瑠璃色のガラス玉の透かし彫の宝冠をかぶった太子像だが現代的な洗練
と、こちらに話しかけてきそうなリアルさがあった。

6月22日までです。


nice!(43)  コメント(15)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート