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浮世絵・江戸絵画名品選(ヤマタネ美術館) [展覧会(日本の絵)]

ヤマタネ美術館へ「浮世絵・江戸絵画名品選」を見に行った。
展示品全部が所蔵品で構成されている。
ここの浮世絵コレクションは、保存状態が良いので綺麗ときいていたが、その通り、
とても江戸時代のものとは思えない鮮やかさだった。

yamatane_tirasi.jpg


まずは、浮世絵から始まる。
風俗画、美人画など。絵の横にわかりやすい説明がパネルで展示されている。
鈴木春信「梅の枝折り」1767年(前期展示)
振袖姿なのに、肩車をしてもらって白い梅の枝を折るとは、、なんてお転婆なのでしょう、
と笑いがこみ上げる。しかも細い腕。武家屋敷の横縞の塀に対し、振袖の袖柄は縦縞。
塀の模様が粋な印象を残す。
梅の枝折.jpg


写真はないが、
鳥居清長の「武家の若殿と乳母、2人の侍女」も楽しい。
若殿は5才くらいの幼児。乳母が傘をさしかけ、付き人2人が周りを囲んで
お出かけ。小さい時から殿は別格なのです。


チラシに大きく出ているのは、
北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」(前期展示)


「浮世絵ではお馴染み「広重の「
東海道五十三次、日本橋 朝之景」(前期展示)
鐘が七つを打つと(四時)、手前の木戸が開かれ、朝が始まる。
朝焼けの空が背景だが、雲のない版もあるそうだ。

広重_にほんばし.jpg

広重の「五十三次」は、全部で56枚。それが前期・後期で全部見れる。
日本橋から始まって、日之出(品川)、六郷渡舟(川崎)、神奈川、、と見ながら、
「日之出って、日の出桟橋のこと?」とか「遊行寺って、あの坂の、駅伝で」
「箱根の山、この断崖絶壁、大げさ」等々、話声ひとつしない会場だったので、
心の中でつぶやいた。

私が見たのは、前期展示だが、8月3日から後期展示となり、
東海道五十三次の後半28枚が展示される。


後期では、写楽の「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」も展示される。
ここでは、著作権のこともあるので、チラシに掲載されている絵の
写真だけをのせている。
写楽_石部金吉.jpg



ヤマタネ美術館の創立者・山崎種二は若い頃、酒井抱一の作品を見たことが
きっかけで、絵の蒐集を行うようになったので、琳派作品も充実している。

琳派作品のコーナーでは、金屏風がずらっと並び、華やか。
伝 俵屋宗達「槙楓図」17世紀。 緩やかな孤を描く槙の幹。緑の槙に対し赤い楓。
やまと絵中心だった当時、この装飾性が人気となった。
宗達_槙楓図.jpg

隣に酒井抱一の「秋草鶉図」19世紀
アーモンド形の月。秋草の茂る草むらに五羽の鶉。細く鋭い薄の葉が
画面全体に伸びる。
抱一秋草うずら図.jpg


その隣に 鈴木其一「四季花鳥図」19世紀  艶やかなはっきりした輪郭の花々。
其一四季花鳥図.jpg


次に掛け軸の琳派作品が並ぶ。
宗達の絵と光悦の書の共作「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」17世紀
中央に鹿が一頭。光悦の美しいくずし文字が五行ほど
入る
「こころなき 身にもあはれは しられけり 鴫立つ澤の 秋の夕暮れ」

酒井抱一の十二か月花鳥図から「菊に小禽図」「芦に白鷺図」も美しい。



琳派の反対側には、江戸絵画の掛け軸岩佐又兵衛「官女観菊図」17世紀
輿の中から御簾を上げて、道端の菊を眺める官女2人。
無彩色に近いので、写真では見えにくいが、近くに寄って見ると、菊の花も
官女の顔もわかる。

岩佐又兵衛_官女観菊図.jpg


伊藤若冲「伏見人形図」1709年
伏見人形は、京都の伏見で作られていた郷土人形。
七体の布袋様が描かれている。


若冲_伏見人形.jpg


蘆雪の作と伝わる掛け軸「唐子遊び図」18世紀、
唐子たちの無心に遊ぶ、じゃれ合う姿は、可愛さに、芦雪の描く犬と
共通のものを感じた。


最後に、撮影可の作品、椿椿山「久能山真景図」があったが、私には良さが
わからなかった。


他の場所の展覧会で見た絵が6点ほどあったためか、親しみやすい感じが
する展覧会だった。8月29日(日)まで。



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