ギメ美術館の中国陶器など [☆彡Paris 美術館]
パリのギメ美術館は国立の東洋美術館。3階は中国の工芸品部屋。
「おやっ、三蔵法師がこんなところに!」
三蔵法師が白馬に乗ってお供を連れ、山を越えインドに経典を集めに行く話の
説明がしてあった。私たちにはお馴染みの西遊記。
三蔵法師がインドの僧院で学び帰国したのは645年。遥か昔。
「BISHAMEN、北の守りの天の王」 10世紀初め。
So-netのおともだち「匁さん」の絵みたいな、、天秤が頭上にあるし、、
BISHAMEN=毘沙門天!と気づいてうれしかった。
西域の影響で、鎧が長い。
続いて8世紀、北中国の皿。
ペルシアの影響がうかがえるバラ窓模様の皿。
鮮やかな唐三彩の水差し。8~9世紀
首の部分が鳳凰、成型するのだろうか?それとも別仕立て?
胴の部分の模様は、馬に乗って弓を弾く人。騎馬民族モンゴル?
見入るほど美しい。
(左)青磁、牡丹の模様が刻まれている。耀州窯、12世紀、北宋の時代。
(右)黒釉 灰色地に黒い釉薬をかけて模様を作っている。
(左)17世紀初め、明の時代の椅子とキャビネット
(右)「風景画のある黒のキャビネット」 蒔絵。
海、島、舟をこぐ人が埋めこまれているから風景画。
メモ: 隋 → 唐 → 宋 → 元 → 明 → 清
ここを見ていると、中国の陶器の歴史がざっと把握できる。
1600年より前、明の時代の陶器は、白地に青の染付け。
コバルト顔料で文様を描き、 透明釉をかけて焼成する青い文様。
明の時代。色絵が出てくる。「五彩魚藻壷」 鯉がかわいい。
当時、日本で「白磁に色絵」の陶器が開発され、評判になった。
これは日本に注文して焼かせた品。 図柄も細かく指示したのだろうか?
「五彩山水人物桃紋」 皿の裏に「福」と印字があるそうだ。
清の康熙帝の時代には、薄い白磁に色絵の陶器が宮廷を中心に流行した。
「庭園仕女嬰戯図」 仕女は宮中に仕える女、女官のこと。
次回は、ギメ美術館の日本の陶器。3回連続ものになってしまいました。
ポンピドゥー・センターのキュビズム作品 [☆彡Paris 美術館]
ここは20世紀の美術作品を展示しているので、「キュビズム」関連も多い。
キュビズムはピカソとブラック(GeorgeBlaque)が、考え出した。
ブラック作品2つ
(左):「ギターを持つ男」 (右):「果物鉢とカード」(邦題:クラブのエース)
スペインのホアン・グリス(JuanGris)の「ギターを持つアルルカン」1919年
ブラックの黒、白、茶という色合いと異なり、色彩の対比が印象的。
この色あいがスペイン的な気がする。
同じくキュビズムに参加したフェルナン・レジェ(Fernand Leger)だが、
「機械と人間」をテーマにした独自の様式を確立する。
レジェは、第一次世界大戦に従軍。毒ガスを吸って入院したりもするが、
機械の威力、魅力にとらわれ、それをテーマにした絵を描いた。
「読書」 1924年
人間の形がロボットのよう。単純化された線。明るい色あいで楽しさがある。
これは大きな作品 「3つのコンポジション」1932年
左の3人の腕の形がロボットっぽい。右は機械の部品のように見えないこともない?
アントワーヌ・ペヴスネル(Antoine Pevsner)
ロシア生まれ、フランスで活躍したロシア構成主義(幾何学的形態に重きをおく)の彫刻家。
キュビズムの彫刻版。線、面で構成する均整のとれた造形。
ここは人気で、写真を撮る人が大勢いた。
(左):空間のコンストラクション
(右):マスク 1923年 軽いプラスティック製。上部は透き通る素材。
ライトアップされていた。
これもキュビズム。ピカソ「朝の調べL'Aubade」 1942年
横たわるオダリスクと座るギター弾き。
第二次大戦中の占領下で描かれた悲劇的な風刺作品。かなり大きい絵。
戦時下の食糧難でオダリスクの豊かな髪は失われ、体が膨張。魚のようだ。
暗い色の壁と床は閉ざされた空間を表している。「戦争画は描かなかった」とピカソは
言ったが、この絵は戦争の危険さと暴力性、恐怖を想起させる。
ギター弾きが気持ち悪い形なのが気になった。
最後は、シュールな1枚。
Victor Brauner 「ヒットラー」1934年
頭に傘をさし、顔中に釘を打たれているヒットラー。
Victor Brauner は、ルーマニア生まれのユダヤ人。パリで活躍した。
ユダヤ人なので、ナチに対する感情は想像に余りある。
弾丸がおなかを貫通しているのにびくともしない肥満度300%のはだかのおじさんの絵
もあった。
ポンピドゥー・センターの絵(2008年冬) [☆彡Paris 美術館]
ポンピドゥー・センターは、近代美術館で、20世紀の美術品が展示されている。
(前回 2008年春の記事はこちら)
マティス、ピカソ、シャガール、モディリアーニ、フジタなどの作品が見れる。
11時が開館の時間。11時5分についたので、20分並んではいった。
まずはお茶でも、と最上階(7F)のレストランに行ったら、まだ閉まっていた。
12時開店らしい。
正面に見えるのが、ノートルダム寺院。その左のドームはパンテオン。
ここからは、パリが一望のもとに見渡せる。
クリスマス時期だったので赤いツリーが置かれていた。メタリックなテラス席によく似合う。
見て行った順に並べてみた。
展示は絵画だけではなく、オブジェや椅子もある。
コルビジェと並んで偉大な20世紀フランスの建築家&家具デザイナーの
ジャン・プルーヴェの作品、椅子。デッサンも展示されている。
プルーヴェは、プレハブ住宅をうみだした人。それまでの石の建物に代わる
鉄筋コンクリートの建物、6×6パネルのプレハブを考案した。
プルーヴェのプレハブ住宅の図面は、シャルロット・ペリアンを通じて日本に
渡り、戦後の住宅に適用された。
プレハブの意味は安っぽいことでなく、あらかじめ用意されているものを組み
たてるの意で、組み立て後に変えることもできる未来型思考だった。
中心となる長い廊下の壁面に絵が並ぶ。
まず目にとまったのが、ピンク色がきれいなデュフィ作品。
「ピンクのドレスの夫人」 1908年(左)
ピカソ「赤い帽子女」(右)
シャガールはブースがあるので、数枚まとめて見れる。
(左) ワイングラスの2つのポートレイト(1917年)
(右) 新聞屋 (1910年)
「白い襟の服のベラ」 (1917年)
ベラはシャガールの恋人。下に小さく人が描き込まれている。大きな存在のベラ。
婚礼(1910年) これはかなり大きい絵
幻想的で夢あふれるシャガールに浸った後のブースは、これ。
強烈!一度見たら忘れられない。
(左) オットー・ディクス「ジャーナリストの肖像」
(右) フェリックス・ヴァロットン「赤い服のルーマニア女性」
強烈な印象のあとは、マティスの作品がおとなしく見える。
(左)オリエンタル風の絨毯にすわる装飾的人物(1925年)
(右)金魚鉢のあるインテリア
★次回へ続く
ルーヴル美術館(19世紀フランス絵画) [☆彡Paris 美術館]
絵は何色の壁面に、どの絵のそばに置くかで、だいぶ印象が変わる。
ルーヴルは、ドイツ絵画を少ししか持っていないので、
デューラーの若い時代の自画像は、自慢の品。 空間を多くとって特別扱い。
壁面もおちついた青緑。
鮮明なデューラーの自画像はここをご覧ください
いつも気になる絵 「海辺にすわる裸の少年」 作者はHippolite Flandrin
高い位置にかけてある。ここの壁面はピンク。右端のドアの枠はブルー。
下の位置には、シャセリオーの絵。
中央:アンドロメダ 右:王との謁見のために化粧をするエステル
同じシャセリオーでも、初期の作品「海のヴィーナス」は、アングルの作品と並んで
こんなパステルカラーの壁面に。下:アング「トルコ風呂」
テオドール・シャセリオー(1819~1856)は、フランスの植民地ドミニカ生まれ。
両親とともにパリに戻り、11歳でアングルに弟子入り。とても可愛がられていたのだが、
アングルが政府の命令でローマに数年滞在している間に、ドラクロワに傾倒してしまった。
当時、ドラクロワとアングルは色彩の使い方で相容れず、画壇もドラクロワ派、
アングル派と分かれていたほど。
ドラクロワ「モロッコの婚礼」
フランス政府の外交使節に随行する記録画家としてモロッコを訪問した時の作品。
多くの色合いを使って、人物をひきたたせるのがドラクロワの手法。
ドラマティックであるが、アングルの絵の優雅さはない。
ドラクロワ「狂えるメディア」
夫イアーソンの浮気を知ったメディアが怒って、イアーソンとの子供2人を
殺そうとする場面。 この絵を初めて見たのは中学生の時、夫が心変わりを
したからと夫を殺す話はあるけれど、子供を殺すなんて、、と衝撃的だった。
ライトアップされ、さらに迫力があった。
シャセリオが、アングル+ドラクロワの手法で描いたのが、上から2番目の写真、下段右。
「王との謁見のために化粧をするエステル」
アングルふうのエステルの体の美しさをひきたたせているのが、背後のドラクロワ的色彩。
シャセリオーは、私の好きなシャヴァンヌに大きな影響を与えた画家。
★このあたりのことは、yk2さんが、くわしく記事になさっています。
アングル、コローの絵は、オルセー美術館にもある。
人物画はあまり多くないコローだが、このモデル「エマ」をとても気に入っていた。
しかし、エマはこの時、死の間際、程なくして亡くなった。
「泉に立つギリシア風衣装の少女」
今回は全部、人物画だったので、最後に風景画を。
ミレーとほぼ同時代、バルビゾン派のテオドール・ルソーの「フォンテンブローの樫の木」
ルーヴルから出たのは6時。外はもう、こんなに暗くなっていた。
凱旋門、その横に青く見えるのは、ライトアップされたエッフェル塔。
ルーヴル美術館(15~18世紀フランス絵画) [☆彡Paris 美術館]
だいぶ以前に、ルーヴル美術館で好きな作品(1)という記事を載せた。
今、見たら、写真が4枚しかない。。そういえば、カメラを持って行かなかった、と思い出した。
今回は、持って行ったけど、ピントがあってないのが多数。ま、記録ということで。
中庭、こんなにたくさんの彫刻。
3階の15世紀~のフランス美術を重点的に見た。
まずは、17世紀を代表する風景画の第一人者、ニコラ・プッサンの連作「四季」
聖書に基づいた「春」、「夏」、「秋」、「冬」 の絵が各々、四方の壁にあるコーナー。
これは「秋」 収穫した葡萄をカナンに運んでいる絵。(カナンは聖書での約束の地)
棒に葡萄を蔓ごとまきつけて運んでたんですね。これで1房。葡萄の実が大きい!
誇張してるんでしょう。
プッサンの風景画はドラマティックではなく、静かで調和がとれているので、やすらぐ。
古典的な風景画のクロード・ロラン
ローマ時代を思わせる建物を巡る詩的な海の風景と陽光。上陸の場面だろうか。
この頃の絵の主流はイタリアだったので、プッサンもクロード・ロランもイタリアで学ぶ。
ちょっと時代が戻って、15世紀後半のフランドルの画家メムリンクの作品。
宗教画と肖像画が多い。左:「St.Jaquesと St.Dominiqueに囲まれた聖母子」
右:オリーヴの枝を持つ聖母子、ポートレイトのような小さい作品だが美しい。
初めて名前をきく画家、Jean Moillonの「さくらんぼ、プラム、メロン」
吸い寄せられて、じっと見てしまうほど、みごとな写実。
「おや?」と足を止めてしまう! 浴槽の中という構図。
「ガブリエル・デストレとその妹○○侯爵夫人」 作者は不詳。
ガブリエル・デストレ(右側)はアンリ4世の寵妃。懐妊を祝っての絵で、初乳が
よく出るようにと乳房をつまんでいるのだそう。後方に小さく見える女性が産着を縫っている。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「いかさま師」 (1635年)
中央のいかさま師の表情がよく見れるようにか、この絵は、中央に配置され、
ライトアップされていた。赤がきれい。
左:「聖トマス」 西洋美術館が数年前、購入した作品と同じ主題のもの。
右:「ろうそくの前のマリア」(1642年)
タイトル不明→ Education of Virgin (Inatimyさんに教えていただきました)
「大工とその息子」は、2009年2月27日から東京の国立の美術館の展覧会に貸出し
と書いてあった。 西洋美術館の「ルーヴル展」ですね。
ラ・トゥールは、聖書に基づいた主題を実生活の場面として描いている。
ろうそくの灯りに代表されるように、明暗に独特の強烈な効果を醸し出している。
18世紀はロココの時代。絵の主題に日常生活、風俗が取り上げられる。
ヴァトーの「ピエロ」 (1718年)
大きな絵なので、表情がよくわかる。ピエロの悲しげな表情に胸つまる思いがしてしまう。
ヴァトーの有名な作品は、「シテ島への巡礼」(1717年)
この絵が、風俗画のはじまりといわれている。
ルイ15世の主席画家をつとめたフランソワ・ブーシェの大きな絵
「les forges de Valcain」 神話画
ブーシェはヴェネティアの画家から絵を学んだ。流麗な構図と明るい色彩。
フラゴナールは、ブーシェよりもっと流麗、華麗な世界。
「かんぬき」
「マリー・マドレーヌ・ギマールの肖像」
このポーズが、もうフラゴナール流。額縁も流麗。
長くなったので、続きは次回に。
★同じ頃、ルーヴルにいらしたdukeさんが、ちゃんとまとめた記事を書いているので、
そちらもどうぞ。
★ブーシェがお好きな方は、こちらもどうぞ。NYのフリックコレクション、実に豪華でした。
オルセー美術館2008年冬(2) [☆彡Paris 美術館]
オルセー美術館での今回の企画展は、「ピカソによるマネの『草の上の昼食』の変奏」
これがマネの「草の上の昼食」
これをもとにピカソが、どんどん変奏していく20枚以上の絵が展示されていた。
う~ん、、最後の方は、もう原型を留めていなかった。
マネの絵は、何回見てもあきない魅力がある。
「バルコニー」 1868年 左端は、義妹で画家のベルト・モリゾ
「笛を吹く少年」1866年
闘牛場
ドガは、マネより2歳年下。
ドガ 「ベレッリ一家」 1858年
黒い服を着て、父の喪に服しているドガの叔母と娘たち。
右の少女が、じっとしているのに飽きているようすが、絵に活気を与えている。
ドガの叔母はフィレンツェの貴族、ベレッリ家に嫁いでいた。
「長いすにすわるモネ夫人」 1871年
モネ夫人カミーユ、静かな気配。この頃はもう病気だったのだろうか?
ギュスターヴ・モロー 「イアソン」1865年
クールベの「鹿」
この他にも鹿を描いた絵が数点あった。
ドラクロワのライオン、クールベの鹿は比類なき技だと思う。
ミレー「春」 1848年 虹が美しい!
農民を描いたものでは、私は、ミレーよりジュール・ブレトンが好きだ。
「落穂ひろいの召集」
ロートレック 左:「Justice Dieuhl」 右:「ベッド」
フレデリック・バジール 「ピンクのドレス」
木々が、人物を近くに、南仏のオレンジ色の屋根の家々を遠くに見えるようにしている。
印象派の先駆者バジールは南仏出身。裕福だったので、ルノワール、モネ、シスレーらを
支えたが、普仏戦争に志願、29歳で戦死したため、作品が少ない。
今回は、あまり時間がなく、たくさんの写真を撮れなかった。
デジカメの「ミュージアムモード」は、フラッシュなしで撮れるけど、色あいの違うものが
いくつもある。ガラスが光ってしまったものもあった。
きっと一眼レフだとうまくいくのだろう。